■河野裕

2018/11/27

『いなくなれ、群青』 河野裕

階段島という、捨てられた人々が住まう島。自分はなぜ捨てられたのか。脱出することのできない島の中で、七草はかつて自分が強烈に憧れた少女と再会する。青春ファンタジー小説ということになるのだろうか。

(ここからネタバレします)誰だって捨ててきた人格はあって、どうして彼らだけがあの島に閉じ込められたのかに興味はあるが…捨てられただけあって面倒くさい人が多く、特に真辺にはイライラします。同族嫌悪でしょうねw

島の仕組みや魔女の存在には惹かれますが、キャラクタひとりひとりの掘り下げは要らないかなあ。シリーズ続刊がどんな雰囲気なのか少し調査して読むかどうか決めたいと思います。

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2018/07/25

『少年と少女と正しさを巡る物語 サクラダリセット7』 河野裕

シリーズ最終巻。サクラダに能力を残すため少年少女たちが疾走する物語。

これまでの伏線をこれでもか、これでもかと回収して大満足の一冊。一人として必要のなかった人物がいない。シリーズ第1弾からしっかりと構想が練られ、ぶれることなく、しっかりと終わりを迎えられることの素晴らしさと難しさよ。

「交渉」の相手が彼だったことがとても良いですね。心情に、感情に訴えかける。表面的な(薄い付き合いの人間が感じる)ケイは浦地正宗によく似ていますが、ケイと深く関わった者はみな知っています。彼がとても優しい人間だと。その差が良く出たアプローチだったと思います。

サクラダに能力が必要かどうか。ここでもケイを動かしたのは理屈じゃなくて感情でした。ケイはサクラダの能力が好きだ。だからなくなって欲しくない。それを認めてからの彼はとても強かったと思います。岡絵里が憧れていた頃とは違う強さですが。

読みやすく、まとまりもあり、ちょっと考えさせられる。とても良い読書経験でした。

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2018/07/24

『少年と少女と、 サクラダリセット6』 河野裕

シリーズ第6弾。サクラダから能力が消えるまでの物語。

ついに相麻菫の目的が明らかに。自分が彼女と同じ能力を持っていたとして、とてもじゃないけれど同じことができるとは思えません。それが例え好きで好きでたまらない男の子のためであっても。私はアニメが先なのですが、シャワールームでの告白のシーンは本当に衝撃的でした。ここまで観てきて(読んできて)心から良かったと思ったシーンでした。

私はやっぱり相麻菫が好きだなあ。

それでもケイは春埼を選ぶのですね。切ない。

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2018/07/19

『片手の楽園 サクラダリセット5』 河野裕

シリーズ第5弾。夢の中でワンハンド・エデンを作ってしまった少女のお話。

個人的にとっても評価に困るお話。急にファンタジーに振れて頭がついていかないのもそうですが、歪んだ片手の楽園は本当に是正されたのでしょうか?ミチルが片桐穂乃歌の自覚を取り戻し、片桐穂乃歌として夢の中で生きるのはもちろん良いです。夢の中でしか生きられないふたりが友だちになり、隣り合って笑いあうのも良い。でも、その状態って長く続きませんよね? 野良猫屋敷のお爺さんの病状は良いとは言えない。はっきりそう書かれています。友だちを再び失ったときに片桐穂乃歌がどうなってしまうのか。喪失感かたまた安易な楽園を作り上げてしまうのでは? そんなことを考えた本作でした。

というか、現実世界ではどうあっても手に入れられないだろううシナリオNO.407を簡単に手に入れるためだけの世界に見えてしまって…。

シナリオを読むことで知った咲良田の成り立ち、ラスボスとの対峙などこれからの物語に重要すぎる要素がいくつか出てきて胸がときめきますね。

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2018/07/09

『さよならがまだ喉につかえていた サクラダリセット4』 河野裕

シリーズ第4弾。これまで描かれてきた物語と物語の隙間を埋める短編集。

相麻菫の死をケイがどう乗り越え…てはいないので、どう折り合いをつけたか。宇川さんとの出会い。春崎とリセットに起こった変化などなど。これまでの物語、これからの物語、彼らの選択、彼らの言葉がどういった考えや決意に裏打ちされているのかを理解する1冊。

物語はこれから佳境を迎えるので、ハブ・ア・ブレイクなのでしょう。リアルタイムで追いかけていた方はもどかしかっただろうなあw

ある日の春崎さんはお見舞い編が好きですね。U研の依頼を受けるか否かを考える春崎は可愛らしいです。そして春崎の変化を明らかにするよいSSだったと思います。

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2018/07/08

『機械仕掛けの選択 サクラダリセット3』 河野裕

シリーズ第3弾。浅井ケイと春埼美空、相麻菫の出会いの物語。

ずっと謎のままだった「相麻菫という少女はどんな少女だったのだろう」という疑問は解決するけれど、今度は「相麻菫は自分の命を投げ出して何がしたかったのだろう」という疑問が湧きでてくる。続きが読みたくなるナイス演出。私はアニメを観たので答えを知っているのだけれど、未来を知っていても自らの命を投げ出す選択はなかなかできるものじゃない。それができてしまう自分だから相麻菫は自分をアンドロイドだと言うのだけれど、あんなにも強く人を愛せる彼女がどうしてアンドロイドと言えるだろうか。

浅井ケイから春埼美空、春埼美空から浅井ケイ、そして相麻菫から浅井ケイ。三者三様の恋愛感情が言語化されているけれど、はっきり言ってどれもよくわからないw

とりあえず、智樹が美しく届けてくれた言葉は胸に響きました。

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2018/06/23

『魔女と思い出と赤い目をした女の子 サクラダリセット2』 河野裕

サクラダリセットシリーズ第2弾。タイトルの通り魔女と岡絵里の物語です。

岡絵里が憧れた悪くて強い浅井ケイはただの中二病だと思うのですが()アニメではセリフでのやりとりが多くぼんやりとしていた過去がより鮮明に描かれていて、いまさらながらすとんと腑に落ちました。

とりあえず村瀬さん万能。

これまで名前を呼んではならないあの人みたいな扱いだった菫の名と、スワンプマンという重要な要素が出てきましたね。あれも伏線、これも伏線、本当に読んでいてワクワクします。表紙の菫とケイも良いですね。作中の写真がどんな1枚なのか、イメージが膨らむ良い表紙です。

アニメと原作では物語の進行が異なっているのですが(アニメは完全時系列になっている)個人的には原作の「菫ってどんな女の子なのだろう?」を膨らませて膨らませて過去に戻る手法が好きです。

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2018/06/04

『猫と幽霊と日曜日の革命 サクラダリセット1』 河野裕

サクラダリセットシリーズ第1弾。

アニメ全話視聴済みです。アニメは前半(1クール目)は本当に観るのがつらくて何度切ろうかと考えましたが、すべてが繋がっていく16話以降の展開が最高で1週間が本当に楽しみでした。それまでの15話を信じて観てきて良かったと心から思いましたね。そんなわけで、苦しみの先に最高の結末が待っているサクラダリセットです。

この1作だけでも伏線が綺麗に回収される爽快感はきちんと味わえます。交通事故に遭った猫を助けたいという依頼。その依頼に隠された意図、思惑。時間を巻き戻すリセットを使ったことで変わってしまった世界。誰のどんな行動で世界は変わったのか。分かりづらいところもありますが、しっかり読めば大丈夫。逆に言うとしっかり読まないと最後まで???かも。

このサクラダリセットシリーズの素晴らしいところは、この1作目からシリーズ通しての伏線が張られているところ。すべての登場人物に意味があるし、すべての能力に意味がある。シリーズをどこに着地させるか、しっかり計算されて書かれている1作目はとても安心感があります。リアルタイムで読んでいた人は思わせぶりすぎてイライラしたかもしれませんが。まさにアニメ15話まで。そんなところまで再現してくれていたなんて。

尚、脳内cvはすべてアニメに準拠。とても合っていたと思います。

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2017/09/28

『つれづれ、北野坂探偵舎 著者には書けない物語』 河野裕

シリーズ第2弾。バラバラになった舞台脚本を並べ替え、欠けた部分を補うというのがメインのストーリー。そこに作者らしい登場人物の心の揺れや葛藤が描かれています。

舞台の内容が暗喩を用いた文学的なものだったのが個人的に苦手でした。雨坂の書く作品は読めないタイプだと自覚しています(笑)

今回はとても印象的なやりとりがありました。デビュー作は特別という件に出てきた「天才が、凡人に歩み寄らないでください」という言葉。とても良いです。作家としてデビューすることで読者を意識するようになり、個人の我儘が損なわれ、「もっとも鋭利な一欠片が、僅かに削れて丸くなる」。凡人の私でもよくわかる論理です。そして作家に掛ける言葉も同じくなるでしょう。

ちなみに↑の感想のなかに本作の鍵となるフレーズが入っています。伏線ってやつですね(違う)

作家と編集者、ふたりの過去・目的が明らかになり明らかに加速した物語。続きが気になります。

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2017/09/12

『つれづれ、北野坂探偵舎 心理描写が足りてない』 河野裕

アニメ「サクラダリセット」視てます。1クール目はかなり厳しかったですが、2クール目15話くらいからの怒涛の展開は素晴らしいです。伏線しかない。脱落しなくて本当に良かった。

そんな「サクラダリセット」のCMで興味が湧いたので読んでみた本作。幽霊が視える編集者(左)と幽霊を追い求める作家のコンビものです。シリーズ第1弾は連作短編集と言えなくもない作りの長編で、各章でしっかり伏線張られています。伏線大好き。伏線が綺麗に回収される快感が欲しくてミステリを読んでいると言っても過言ではない。

そんな伏線だらけの中に編集者と作家の独特なやりとりが挟まってくるわけですが、これがなかなか洒落ていておもしろい。好き嫌いは分かれると思います。個人的には大好物です。パスティーシュもウエイトレスにしておくには惜しい人物なので、そのうち何者なのか明かされると思います楽しみ。

編集者の目的はつまるところ作家に物語を書かせることだと思いますが、作家の目的は未だ掴めませんね。なぜ「紫色の指先」を追いかけているのか。何巻くらいで明らかになるのでしょう。気になります。

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