■中山七里

2017/01/08

『七色の毒 刑事犬養隼人』 中山七里


『切り裂きジャックの告白』に続く刑事犬養隼人シリーズ第2弾。収録されている作品(毒)の数は7。

中山作品らしいどんでん返しは短編でも健在。7つもあれば飽きる人もいそうですが、私はこういう展開大好きなので大満足です。

個人的ベストは「黄色いリボン」でしょうか。犬養が犯人ではない人物に真相を語るという意味で異色であることと、単純に自分の読みが当たったので(笑)

「黒いハト」も好きですね。その悪意に擁護する隙がなく、ただただ残酷なところが良いです。

「白い原稿」はそんなこと書いちゃっていいのか…と思いましたが、某出版社と付き合う気がないならいいのか。収録されている作品の中では一番の問題作だと思います。

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2016/10/16

『どこかでベートーヴェン』 中山七里

大好き岬洋介シリーズ第4弾。ラストがちょっとやり過ぎな『いつまでもショパン』から時は遡り、まさかの高校生・岬洋介。エピソード0とも言える本作の読みどころは思春期の醜い嫉妬です。

ミステリ要素もあります。岬洋介が死体の発見者であり第一容疑者であり探偵です。ただ難易度は低いので、ミステリを読み慣れた人なら事件発生前のある記述で犯人に到達できるはず。

でも、本作の読みどころはそこじゃないんです。いやあ、胸糞悪い。岬洋介という才能(と努力)の塊が現れて、その存在が才能もなければ努力もできない自分を否定しているかのように感じる思春期の機微はわかります。わかりますがあそこまで悪しざまに他人を罵れますかね。岬洋介→殺人犯に違いない→人格を否定しても構わないはずだの論法もわかるのですが…やはり気分は悪い。岬の左耳の件を嘲笑った個所が一番腹立たしかったですね。岬自身がクラスメイトなど眼中になかったからいいですけど。左耳の件も彼なりに克服したことを知っているからいいですけど。

最後の一行のような趣向は個人的に大好きです。(ネタバレします)作中のキャラクタと作者を同一視しない術はミステリで鍛えられています。大丈夫です。新たな道をきちんと見つけ歩んでいる彼の次回作、『もう一度ベートーヴェン』がいまからとても楽しみです。

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2016/09/16

『切り裂きジャックの告白 刑事犬養隼人』 中山七里

切り裂きジャックというサイコでキャッチーな犯人像と臓器移植という真面目なテーマを掛け合わせた犬養隼人シリーズ第1弾。

中山七里なのでどんでん返しはもちろんありますが弱め。(ネタバレします)というか、最初に捕まった真境名(夫)の動機が理解不能で犯人だとは思えなかったため、もうひとり真犯人がいるんでしょう?と身構えてしまったのがいけませんでした。結局のところ真犯人の動機も弱い(ほぼほぼ同じというかトレース)だったのでこの点に関しては納得できないままなのですが。

だって、このミッシングリンクはどうしたって暴かれるでしょう。臓器移植経験者ばかりが狙われるだなんて、関係者を疑ってくれと言っているようなものじゃありませんか。合間合間に別の殺人を挟んでめくらましをしているというのならまだしも。つまり犯人にとって医療ミスの隠蔽>殺人だったということ。そんな倫理観がありますか。

犬養と古手川(『連続殺人鬼 カエル男』に登場)のバディはとても良かったのでまた読みたいものです。

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2016/07/09

『恩讐の鎮魂曲』 中山七里

御子柴シリーズ第3弾。大好き。

(基本的にネタバレしてます)前作『追憶の夜想曲』の衝撃のラストで弁護士を続けられるかどうかの危機に陥った御子柴ですが、苦しみながらも活動継続しておりました。むしろ、死体配達人としての過去を合法的(弁護士的)脅しに使う豪胆っぷりです。しかし、今回の依頼人であり少年院時代の恩師である稲見の前では御子柴の仮面も剥がれる剥がれる。ダークヒーローっぷりは成りを潜め、ただただ恩師を救いたい一人の人間です。新鮮。

これまでの作品でも依頼人=仲間とは限らない…というか依頼人=敵でしたが、今回は過去最大の敵です。なにせ依頼人が無罪を望んでいない。犯した罪に適正な罰を、それが依頼人の望みであり人生なんですよね。でも、御子柴は恩師であり父親とも言える稲見を救いたくて仕方がない。歪んだ証言の先にある真実を暴けば、きっと稲見を救えると信じて突き進む。それが稲見の傷を抉ることになっても。うん、こういうの好きです。

帯ではどんでん返しを謳っていますが、それほどでもないかな。稲見が気づいていなかったとしてもそこまでの驚きはなかったと思います。それよりも量刑ですが、言わばヒーローである稲見の望みがそのまま通ったという形でしょうか。筋の通った、人生を掛けた稲見の主張は実に自然で受け入れやすかったです。

ラスト、自らへの攻撃では捨てようとも思わなかった弁護士バッチを外そうとした御子柴。そんな彼を救ったのは一通の幼い手紙でした。果たして次に御子柴が救うのは誰なのか。個人的には事務員の洋子あたりかと思っているのですが。第4弾に早くも期待。とても楽しみです。

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2015/05/11

『連続殺人鬼 カエル男』 中山七里

タイトルがすごいですよね。でも、中身もすごいんです。カエル男による凄惨な連続殺人が起こり、街からは人が消えた。あいうえお順による無差別殺人だと報道された瞬間に暴徒化する市民、挿入される胸糞悪い虐待の記録、果たしてカエル男の正体とは?という一冊。

カエル男(実行犯)の正体については早々に看破できるのではないでしょうか。(ここからちょっとネタバレ)ナツオがまるで男の子のように(誤認を狙って)描かれていますが、まあ女の子ですよね。では、物語に登場する女性とは一体誰でしょう?という簡単な消去法。伏線も堂々と張られていますしね。ただ、さらにその先の存在がいるとは思いませんでしたが。

ラスト数行は思わずにやりとしてしまいますよね。因果応報。

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2014/11/15

『追憶の夜想曲』 中山七里

『贖罪の奏鳴曲』から続く法廷ミステリシリーズ第2弾。

リストラを機に家に籠り、借金をつくり、DVを繰り返す夫にカッターナイフを突き立てた妻。本人も罪を認め、争われているのは量刑だけ…そんな裁判を覆す為に法廷に現れたのは御子柴礼司。担当弁護士を脅してまで弁護を担当したがった御子柴の真意とは?被告人が御子柴にすら隠している真実とは?という一冊。

ミステリ(真実)に関してはあからさまに伏線が張られているので見破るのは容易。どんでん返しが得意な中山作品、○○が犯人からのどんでん返しがあるものだと思っていたらそこで終了。でも、

心理のとんでもないハードルを越えてきました

被告人の過去を追う御子柴、被告人が幼い頃に巻き込まれた事件、妹の死…まさか、まさかねとは思いましたがそのまさかをぽーんと飛び越えてきました。常人の理解を超える…って御子柴は常人ではないかもしれませんが、立場のある身、そんなことできるのでしょうか。まさに贖罪。

第3弾があるのかないのか。できれば読みたい。そのときは御子柴がどのような立場で登場するのか…弁護士であるのか。最初から読みどころでしょう。

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2014/01/29

『贖罪の奏鳴曲』 中山七里

『さよならドビュッシー』でおなじみ、岬洋介のパパが拝めると聞いて手に取った本作。なんと、岬パパが登場するのは続編の『追憶の夜想曲』の方でした\(^o^)/ でも、良いの。充分に楽しませてもらったから!

少年期に殺人を犯し、<死体配達人>とまで呼ばれた弁護士・御子柴礼司。ある雨の夜、御子柴は新たな死体をひとつ川に投げ捨てる。しかし、その死体の死亡推定時刻に御子柴は東京地裁で法廷に立っていたのだ。確固たるアリバイ、そして新たなる裁判、果たして事件の真相は?的なお話。最初100頁分くらいのネタバレも入ってるけど。

事件の真相については早々に見破れるかと。手掛かりは豊富…というか、明け透け。ただ、予想外だったのは御子柴のダークヒーローっぷり。御子柴を生き返らせたピアノの描写がまさに中山ワールドでしたが、それにしても少しドラマチック過ぎるでしょうか。いや、ドラマチックに生きようとしていた友の分まで、彼はドラマチックに贖罪を続けなくてはならないのか。

『追憶の夜想曲』がそのくらい続編なのかわかりませんが、これからも御子柴の贖罪を読み続けたい、そう思えるくらい魅力的なダークヒーローっぷりです。期待。

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2013/12/07

『いつまでもショパン』 中山七里

『さよならドビュッシー』『おやすみラフマニノフ』に続く岬洋介シリーズ第3弾。前2作に比べるとミステリ色は薄め、それでもシリーズで一番好きな作品になりました。

とりあえず、

岬洋介、ええ漢やわ!!!

キャラ萌え、キャラ読みで申し訳ないけれど、ピアニストとしての岬洋介にスポットを充てた本作、読み応えありました。ショパンコンクールに参加したピアニストの面々も個性豊かで好印象。カタカナ名前は覚えられないことで有名な私ですが、誰が誰だかしっかり認識できたもの。

もちろん、コンテスタントが“ピアニスト”と呼ばれるテロリスト…所謂“犯人”なのだろうと構えていたからというのもあるけれど。冒頭でミステリ色は薄めだと書きましたが、おざなりなわけではなく、しっかりと伏線を張って納得のいくレベルには仕上げてくれています。ただ、テロリストたるピアニストの動向よりも、コンテスタントたちの動向の方が気になるというだけで。

今回も岬洋介らしさを如何なく発揮し圧巻のステージを魅せてくれたわけですが、最後のノクターンにまつわるアレはちょっと寒い…もとい、やり過ぎ感があるような気がしないでもない。果たして、あんな風に一躍有名人になってしまった岬洋介はこれからどんなピアニスト人生を歩むのか。もしかしたらノーベル平和賞を受賞しているかもしれないシリーズ第4弾に期待したいものです。

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2013/03/24

『さよならドビュッシー』 中山七里

タイトルがあまりに綺麗でずっと気になっていた第8回このミス大賞受賞作『さよならドビュッシー』。音楽とミステリと、どちらかがお座なりになってるんじゃないかなんて心配は杞憂、しっかり両立…ってか、まさかの○○トリック。

ピアニストを目指す女子高生がある夜、巻き込まれた火事。祖父と従姉妹、皮膚と声を失った彼女に残ったものはピアノへの情熱だけだった。天才ピアニスト・岬洋介とともにコンクール優勝を目指す彼女の周りで起こる不可思議な事件はいつしか殺人に発展。果たして犯人は誰?その狙いとは?

みたいな一冊ですが、もちろん読了後に気になる箇所のいくつかを確認させていただきましたとも。若干アンフェアに感じる箇所もありましたが(肝心の○○○○入れ替えに必然性がない。箸が転がっても笑える若さだと言われればそれまでだけれども)基本的に嘘は書かれてないので最終判定はフェア。読了後にようやく気付いた「そうか、一人称だったんだ」が全てを物語っているでしょうか。ヒントは存分、とりあえず、遥の音楽知識があまりに乏しいと感じた違和感からもう少し考察してみれば良かったと後悔。

どうやら本作は岬洋介シリーズとしてシリーズ化されているようなので、そちらも読んでみたい。タイトルは相変わらず秀逸ですね。そして、映画化もされているとか…橋本愛ちゃん好きなのでこちらも観てみたいです。

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