■中山七里

2018/10/01

『悪徳の輪舞曲』 中山七里

大好き御子柴シリーズ第4弾。今回、御子柴が弁護するのは実の母親。どんどんと御子柴の棘が削れて丸くなってゆく。悪くはないが少しむず痒い。まるで思春期の少年のようなんだもの。

事件の真相に気付いたのは200ページを過ぎたあたり。なにが刺激になったのかわからないがふっと降りてきて、急いで冒頭に戻った。今回、御子柴の反証(どんでん返し)が始まるのが残りページがかなり少なくなってからだったが、その分切れ味が抜群だったと思う。ああ、おもしろかった。

次はどんな事件の弁護をすることになるのか。個人的な予想は事務員の洋子さん。

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2018/09/11

『月光のスティグマ』 中山七里

『総理にされた男』とリンクする本作。地震と地震とテロとエロが書きたかったのかなあという印象。

大人になった優衣に魅力がなさすぎて。是枝に騙されているならまだしも。しかもラストで少女だった頃の優衣まで下げる下げる。タイトルのスティグマがミステリ部分と関係してくるのかと思いきや…ミステリって?と言わんばかりにさらりと明かされてしまう過去。

東京地検特捜部の潜入捜査ものとして読んでも今ひとつ。恋愛小説としても微妙です。

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2018/09/02

『静おばあちゃんにおまかせ』 中山七里

『テミスの剣』に登場した高遠寺静(おばあちゃん)がミスマープルのように安楽椅子探偵するお話。静おばあちゃんの印象が『テミスの剣』とやや異なると感じたのですが、退官したからか孫の前だからか。まあ、まさかのオチ(正体)にそんなことはすっかり吹き飛んでしまったのですが。

警察が公然と(民間人である)円に捜査を依頼するガバガバなところはありますが、さらっと読める一冊だと思います。個人的ベストは「静おばあちゃんの童心」でしょうか。「静おばあちゃんの醜聞」も好きです。犬養さんが最も活躍したお話。

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2018/08/19

『テミスの剣』 中山七里

テミスとはギリシア神話における法の女神のことで、法廷モノのドラマなどを観たときに裁判所の入り口にその像が立っていたりしますね。本作はそんなテミス=正義の在り方を問う作品。

とりあえず、中山作品だからどんでん返しがあるだろう→もっとも正義らしく描かれている人が黒幕ならどんでん返し効果がいちばん大きいに違いないというメタ読みは止めましょう(笑)素直に楽しむのがいちばんです。冤罪を扱っているので作品に流れる空気はかなり重苦しいですが。

人を裁くということ、神の代行、力を持つこと。エンタテイメントでありながら考えさせられる一冊。

ちらっと犬養の名前(だけ)が出てきましたのが中山作品らしいファンサービスです。

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2018/07/05

『翼がなくても』 中山七里

『切り裂きジャックの告白』に登場する犬養刑事と、『贖罪の奏鳴曲』から始まる大好きシリーズ御子柴弁護士がvsすると聞いて楽しみにしていた本作。でも、メインはそこじゃなかった。事故により片足を失った女性アスリートが新しい翼を掴みとる物語。

(ここからネタバレします)沙良が幼馴染の死によってよってもたらされたお金を使うことに抵抗を感じていなかったとは思わないし、意図的に描写されていないのだとわかるのだけれど、ポンポンと義足を買い替えていく様はやはり非情に見えます。最後の告白だけでは足りない。とことん絶望したことはわかります。パラの世界に希望を見出したことも。その希望に縋りつくしかなかったことも。それでもデビッドに対する脅迫まがいの態度や、フォーム改造を断行した描写から伝わってくるのが「狂気」なんですよね。彼女の未来に待っているのが幸せだと良いのだけれど。

一日かからずに読みきるほど物語として楽しく読みました。犬養と御子柴の共演は嬉しかった…けど、もっと激突しても良いのよ。またふたりが対決する日を待っています。

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2017/07/27

『ヒポクラテスの誓い』 中山七里

大好き法医学教室モノの連作短編集。北川景子でドラマ化したようですね。光崎教授に柴田恭平はイメージよりかなり渋い。

真琴の成長物語として読むも良し、連作短編らしく通しのどんでん返しを楽しむも良し。(ここからネタバレします)個人的には津久場先生への思い入れが少なかったので登場人物ほど驚けなかった印象。まさかあの人が…とさせたいならもう少し津久場先生の出番があっても良かったのも。もっと善人感強めで良かった。でも変に教室外の人を絡ませるとまとまりが悪くなりそうですね。ちなみにドラマでは古谷一行が演じている模様。うーん、ちょっと悪そう(笑)

個人的ベストは「母と娘」でしょうか。代理~はまたか…という感じですが作中に流れる薄暗い空気が好きです。

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2017/01/08

『七色の毒 刑事犬養隼人』 中山七里


『切り裂きジャックの告白』に続く刑事犬養隼人シリーズ第2弾。収録されている作品(毒)の数は7。

中山作品らしいどんでん返しは短編でも健在。7つもあれば飽きる人もいそうですが、私はこういう展開大好きなので大満足です。

個人的ベストは「黄色いリボン」でしょうか。犬養が犯人ではない人物に真相を語るという意味で異色であることと、単純に自分の読みが当たったので(笑)

「黒いハト」も好きですね。その悪意に擁護する隙がなく、ただただ残酷なところが良いです。

「白い原稿」はそんなこと書いちゃっていいのか…と思いましたが、某出版社と付き合う気がないならいいのか。収録されている作品の中では一番の問題作だと思います。

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2016/10/16

『どこかでベートーヴェン』 中山七里

大好き岬洋介シリーズ第4弾。ラストがちょっとやり過ぎな『いつまでもショパン』から時は遡り、まさかの高校生・岬洋介。エピソード0とも言える本作の読みどころは思春期の醜い嫉妬です。

ミステリ要素もあります。岬洋介が死体の発見者であり第一容疑者であり探偵です。ただ難易度は低いので、ミステリを読み慣れた人なら事件発生前のある記述で犯人に到達できるはず。

でも、本作の読みどころはそこじゃないんです。いやあ、胸糞悪い。岬洋介という才能(と努力)の塊が現れて、その存在が才能もなければ努力もできない自分を否定しているかのように感じる思春期の機微はわかります。わかりますがあそこまで悪しざまに他人を罵れますかね。岬洋介→殺人犯に違いない→人格を否定しても構わないはずだの論法もわかるのですが…やはり気分は悪い。岬の左耳の件を嘲笑った個所が一番腹立たしかったですね。岬自身がクラスメイトなど眼中になかったからいいですけど。左耳の件も彼なりに克服したことを知っているからいいですけど。

最後の一行のような趣向は個人的に大好きです。(ネタバレします)作中のキャラクタと作者を同一視しない術はミステリで鍛えられています。大丈夫です。新たな道をきちんと見つけ歩んでいる彼の次回作、『もう一度ベートーヴェン』がいまからとても楽しみです。

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2016/09/16

『切り裂きジャックの告白 刑事犬養隼人』 中山七里

切り裂きジャックというサイコでキャッチーな犯人像と臓器移植という真面目なテーマを掛け合わせた犬養隼人シリーズ第1弾。

中山七里なのでどんでん返しはもちろんありますが弱め。(ネタバレします)というか、最初に捕まった真境名(夫)の動機が理解不能で犯人だとは思えなかったため、もうひとり真犯人がいるんでしょう?と身構えてしまったのがいけませんでした。結局のところ真犯人の動機も弱い(ほぼほぼ同じというかトレース)だったのでこの点に関しては納得できないままなのですが。

だって、このミッシングリンクはどうしたって暴かれるでしょう。臓器移植経験者ばかりが狙われるだなんて、関係者を疑ってくれと言っているようなものじゃありませんか。合間合間に別の殺人を挟んでめくらましをしているというのならまだしも。つまり犯人にとって医療ミスの隠蔽>殺人だったということ。そんな倫理観がありますか。

犬養と古手川(『連続殺人鬼 カエル男』に登場)のバディはとても良かったのでまた読みたいものです。

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2016/07/09

『恩讐の鎮魂曲』 中山七里

御子柴シリーズ第3弾。大好き。

(基本的にネタバレしてます)前作『追憶の夜想曲』の衝撃のラストで弁護士を続けられるかどうかの危機に陥った御子柴ですが、苦しみながらも活動継続しておりました。むしろ、死体配達人としての過去を合法的(弁護士的)脅しに使う豪胆っぷりです。しかし、今回の依頼人であり少年院時代の恩師である稲見の前では御子柴の仮面も剥がれる剥がれる。ダークヒーローっぷりは成りを潜め、ただただ恩師を救いたい一人の人間です。新鮮。

これまでの作品でも依頼人=仲間とは限らない…というか依頼人=敵でしたが、今回は過去最大の敵です。なにせ依頼人が無罪を望んでいない。犯した罪に適正な罰を、それが依頼人の望みであり人生なんですよね。でも、御子柴は恩師であり父親とも言える稲見を救いたくて仕方がない。歪んだ証言の先にある真実を暴けば、きっと稲見を救えると信じて突き進む。それが稲見の傷を抉ることになっても。うん、こういうの好きです。

帯ではどんでん返しを謳っていますが、それほどでもないかな。稲見が気づいていなかったとしてもそこまでの驚きはなかったと思います。それよりも量刑ですが、言わばヒーローである稲見の望みがそのまま通ったという形でしょうか。筋の通った、人生を掛けた稲見の主張は実に自然で受け入れやすかったです。

ラスト、自らへの攻撃では捨てようとも思わなかった弁護士バッチを外そうとした御子柴。そんな彼を救ったのは一通の幼い手紙でした。果たして次に御子柴が救うのは誰なのか。個人的には事務員の洋子あたりかと思っているのですが。第4弾に早くも期待。とても楽しみです。

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