■北山猛邦

2016/07/10

『ダンガンロンパ霧切4』 北山猛邦

本格×ダンガンロンパの煽りは伊達じゃない。よくぞここまでダンガンロンパな世界観を壊さずにスピンオフが書けるものかと感心します。発売のたびに北山氏の株がぐんぐん上がるダンガンロンパ霧切、第4弾です。

1、2巻はまだ単独で読めましたが、3巻からはもう完全に続きものですね。組織から届いた12の挑戦状。うち6件は3巻で(ほぼ知らぬうちに)解決。残り6件を6人の仲間で分担します。そう、仲間が増えました。正直、前巻(武田幽霊屋敷の事件)の内容をほとんど覚えていないので3人の探偵が現れた時には「??????」だったわけですが、それでも読めます。大丈夫です。

そして、今回解決された事件は2つ。そのどちらも難易度は高くないです。そう、高くないんです。私にもわかったくらいですし。でも、霧切が向かった双生児能力開発研究所事件のコストは5億超なんですよね。ここの部分のハッタリが実にうまいです。敵が霧切&結のふたりだけなら犯人の目論見はうまくいったに違いない…かな?ふたりだけでも諦めなかったとは思いますが。

それにしてもラスト。果たしてどうなっちゃうんでしょうか。彼女の生存は疑ってませんが、どうピンチを切り抜けるのか…楽しみです。

そして、どうにも読めないリコルヌの思惑。ただでさえ、残りの3つの事件(リコルヌの分はおそらく描写もされずに終了したのでしょう)+霧切のピンチ+組織(龍造寺月下)との対決を次巻1冊で書ききるのは難しそうなのにリコルヌの件までとなると…あと3巻は必要でしょうか。まだまだ続くのは嬉しいけれど、待つのはつらい。おもしろいだけにつらい。贅沢な悩みです。

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2016/02/08

『オルゴーリェンヌ』 北山猛邦

2016年本ミス10位、このミス4位。『少年検閲官』の続編です。

最高でした

ああ、おもしろかった。作中、ミステリの存在意義を問うていたエノに、こういう素晴らしい作品があるからミステリ読みはやめられないんだと力説したい1冊。

難点は世界観が独特で馴染むのにかなりの時間を要することでしょうか。2段組み381頁の本作ですが、第三章終了(258頁)くらいまで戸惑っていた記憶があります。挫折する人も多かろう。でも、第四章から始まる怒涛の推理合戦が素晴らしいので、どうかもう少し頑張って。3つの殺人事件×3人の推理が読める後半はあっという間です。うち2人の推理はもちろん真実ではないので、かなり強引だったり、それはないわーってものもあります。でも、あくまでも前座だから!

私は最後の最後まで犯人わかりませんでした。意外な犯人なんだろうなとは思っていましたが。なにせ『犯人』のガジェット登場してますから。これで意外な人物が犯人じゃなかったら嘘です。でも、

ここまで意外な犯人だとは…!

ちょっと鳥肌立ちました。いいミステリと読んだときに得られる快感ってやつです。まさかあんなところに伏線が貼ってあったとは。世界観の理解が苦痛な前半、でもしっかり読んでおいて欲しい。まさかの展開です。とりあえず、前作『少年検閲官』から読むことを強くお薦めします。

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2015/08/14

『ダンガンロンパ霧切3』 北山猛邦

世界観の説明が不要なので物語が実にスムーズ。でも、それがまた物足りなかったりもするシリーズ第3弾。

結の元に現れたトリプルゼロ。結と自分はよく似ているという彼が差し出したのは白と黒、ふたつの封筒。白は委員会への招待状、黒は委員会からの挑戦状。結が手にしたのはもちろん黒。そして始まった12の挑戦、12の密室。1週間以内にすべての挑戦を退ける為に仲間を増やすことにした結と霧切さんの元に行方不明のトリプルゼロ、御鏡霊の情報がもたらされて…?な1冊。

表紙から察することも可能かと思われますが(ネタバレします)

まさかの
ショタ

ですよ。嬉しい限りです。それでも充分
御鏡くんはぶっ飛んでいてトリプルゼロは伊達じゃないってところを魅せつけてくれますので安心してください。まあ、あくまでこれはダンガンロンパ霧切なので、霧切さんに全ての事件を解決して欲しかった気もしますが、まだ彼女はそのレベルではないのでしょう。もちろん、彼女の謎解きだって鮮やかなものでしたよ。

それにしてもこのシリーズ、風呂敷広げ過ぎじゃないですかね。いや、とても楽しませてもらっているのですが。北山作品ナンバー1のシリーズだと思ってますが。それでも、委員会が中学生の霧切さんに倒せる敵に思えないんだよなあ。ダブルゼロクラスの探偵をボスにした中小組織ってことにして、「ふふふ、委員会がやられたようだな。しかし、あいつはダブルゼロクラスの中でも最弱」みたいなことをトリプルゼロに言わせて幕を閉じるみたいな終わりで良かったのではないでしょうか。だって、霧切さんまだ中学生よ?

とりあえず第4弾が楽しみ。あと、ダンロン×佐藤友哉ってなんですか!?

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2015/03/26

『ダンガンロンパ霧切2』 北山猛邦

『ダンガンロンパ霧切1』シリーズ続編。前作を北山作品のベストかもしれないとほめちぎったわけですが、本作も実におもしろかった。

謎解き部分はまあいいとして(13億の謎じゃない。現金10億が足枷になっちゃってるのが残念)ダンガンロンパ×ライアーゲームを思わせる探偵オークションが良い。ここからネタバレしますが、敵対するふたつのグループ、その資金額がイコールになってからの駆け引き、全額投入して万事休すかと思いきやどこから出てきたその100万円という実によく練られたライアーゲームに天晴です。

個人的にはダブルゼロのクズっぷりがたまらない。探偵は別に正義でなくて良いんですよ。そんなのは幻想です。探偵の在り方は探偵の数だけある。そんな絶望的な世界で霧切響子がどう成長し、どう組織に迫っていくかが本シリーズの読みどころですよね。

飽きさせることなく読み続けた2時間。表にでてきた黒幕。これからの展開がたのしみです。

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2015/02/05

『ダンガンロンパ霧切1』 北山猛邦 

大好きなダンガンロンパ、超高校級の探偵である霧切響子の中学生時代を描いた作品。

おもしろかった!!!

これまで私の北山ベストは『瑠璃城』なのですが、それを塗り替えたかもしれない。いや、どっちも好きですが。

とりあえず、探偵図書館と分類コードというどこか清涼院流水氏のJDCシリーズを思わせる設定がツボ。これだけであと100ページくらい書いて欲しいくらい好き。ゼロクラスの探偵はやく出てきてカモーン。

肝心のミステリも短い(実質、謎解きに関係したページって50ページくらいだったのはないかと推察)ですが、まとまっていて良いです。死体がバラバラだった時点でかの有名な『占星術殺人事件』を思い出したのは私だけではないはず。あらためて『占星術殺人事件』は偉大。本作とは関係ありませんが御手洗シリーズがドラマ化しますね。玉木宏と堂本光一とかぶっ飛んでますねとても楽しみです。

タイトルの通り『1』なので続きものですが、殺人事件の謎はしっかりと解決してくれたので安心。そして『2』に続くラスト、現れたダブルゼロ探偵。13億の謎。わくわくが止まりません。どうかこのクオリティのままでシリーズを続けて欲しいものです。霧切のキャラクタも違和感なく描かれていて、北山氏のこと見直しました。

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2013/03/11

『踊るジョーカー』 北山猛邦

引きこもりのニートだけれど推理力抜群の名探偵。坂木司を連想せずにはおれない設定の音野順シリーズ『踊るジョーカー』が本日のレビュー作。

収録されている謎は五つ。人が死ぬお話もそうでないお話もあるけれど、とりあえず「物理の北山」らしさはあまり見られないかな。表紙を飾る片山若子の柔らかい世界観がまさにぴったりの一冊で、推理の過程を楽しむといった読み方は相応しくないかも。

それならば、音野とその助手・白瀬の関係とか音野の内側=犯罪に対するスタンスやそれを解決できる自分の力をどう考えているのか…なんてのを読み解いて楽しもうかと思ったのだけれど。もしかしたら本人も考えていないのか気付いていないのか、あまり描写はない。それでも、流されているようにしか見えない音野が謎だったり犯罪だったりに真摯に向き合っていて、自分のできることをやろうとする優しい子だということはしっかり伝わってきました。

さて、この引きこもり二―ト探偵の未来は果たしてどんなものなのか、社会復帰(?)はできるのか、シリーズ続刊に期待です。

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2013/02/02

『猫柳十一弦の後悔』 北山猛邦


探偵という職業にステイタスがあり、大学に探偵助手学部なんて学部が存在する素敵世界が舞台の「猫柳十一弦シリーズ」を読みました。

北山氏と言えば「物理の北山」と呼ばれるほどの物理トリックフリーク(?)ですが、今回の…と言うかこの猫柳十一弦シリーズにおいて物理トリックは必要ありません。なんせ、この猫柳探偵、犯罪を○○○○○タイプの名探偵だから…ってことでネタバレ回避の伏字にしてみましたが意味あるでしょうか?

個人的な感想としては「とても中途半端な一冊」だと思っていて、驚くような物理トリックもなく、見立ても微妙、伏字にした猫柳探偵の特性も今回破られているし、レビュー冒頭に紹介した素敵な世界観の紹介も薄ければ全体的に文章(描写)も薄い…とあまり好印象ではなかったりします。せめてどの部分かに重点が置いてあれば少し違った印象になったかもしれませんが…もう、ラストで仄めかしてくれた恋愛描写が厚いのでも良いと思ったくらいです。っていうか、もっとわかり易く仄めかしてくれて良かったのにね。

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2009/01/05

『『クロック城』殺人事件』 北山猛邦

「クロック城」殺人事件 (講談社文庫 き 53-1) Book 「クロック城」殺人事件 (講談社文庫 き 53-1)

著者:北山 猛邦
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

現在、過去、未来

世界の終焉に拓かれる新しい道

メフィスト賞受賞作

消化すべく再読。私が所有しているのはノベルス版なのですが…文庫版表紙気持ち悪いですね売り上げ落ちませんか?

北山作品はその独特な世界観が売りですが、提供されるその世界が完成されていないような気がして実は苦手です。北山氏の脳内ではきっと美しい完成形が示されているのかと思いますが…行間読めない想像力欠如の私ではそこまで察することができません。ごめんなさい。

そんなわけで『クロック城』。現在、過去、未来、3つの時計が3つの時を刻む終焉の城が殺人事件の舞台。謎を時明かすは南深騎、<ゲシュタルトの欠片>を封じることのできる<真夜中の鍵>候補…ってすっかりファンタジー。

ミステリ的にはなかなか上質です。ロジック重視。犯行機会があるか犯行可能かどうか、それが犯人指摘の決め手であり、全てです。異なる時を刻む3つの時計と聞いただけで本格ファンはトリックを見破ってしまいそうですが、まぁご愛嬌ということで。こういう大掛かりなトリックは好きです。

でも、世界観が(まだ言うか。いや、それだけ残念だったってことです)。嵌まる人は嵌まる、大好きな人は大好きだと思います。私ももう少し完成形に近づくことができればきっと大好き。第2作目で『クロック城』の続きを、完成形に近づく道を拓いてくれていれば…と今でも思います。

そんなことを言って、北山作品では『瑠璃城』が一番好きなのですが。あの世界観は素晴らしいと思いました(ミステリ的には…ごにょごにょ)

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2007/06/11

『少年検閲官』 北山猛邦

少年検閲官 Book 少年検閲官

著者:北山 猛邦
販売元:東京創元社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

森に行ってはいけないよ。

森には恐ろしい『探偵』が居るんだ。

『探偵』に殺されたくなかったら、森に行ってはいけないよ。

この作品をどう評価したら良いかわからん。いろんな意味で、

北山猛邦氏らしい作品でした。

この言葉をどの方向性で受け取るかはアズユーライクで。

書物が追放された世界。何人も書物の類を所有してはならない。書物を隠し持っていることが判明すれば…焚書。それも家屋もろとも。

そんな書物の失われた世界=ミステリの失われた世界で、ミステリに焦がれる少年・クリス。クリスがミステリを求めて辿り着いた街で行われる『探偵』による殺戮。ミステリを知らない=殺人を知らない住民にとって、その殺戮は自然死と同義。ミステリとは?探偵とは?殺人とは?

うーむ。あらすじを追ってみましたが、やっぱり評価し難い。タイトルでもある少年検閲官が登場してからの物語の加速感は良し。やっぱり物語を動かすのは探偵なんだと実感。でもね、少年検閲官=名探偵登場までが序章だとするならば、3分の2が序章ではないですか!そんな長い序章読まされても!!

ミステリとは?探偵とは?といった哲学的なものに殆ど興味のない私。ミステリとは純粋なエンタテイメントだと想ってますので。序章が長すぎるおかげでエンタテイメント性に欠ける本作。

いきなりネタバレしますが、犯人である『探偵』が殺戮を行う理由は、失われた書物を再生させるため。書物に欠かせない“紙”を手に入れる為、不可解な十字架を描き続ける犯人。そんな、殺人を犯してまで手に入れたかった“紙”が自分の眼の前にある、自分が今まさに手にしていると思ったときに、若干背筋に冷たいものが奔りました。でも、でも、それだけなんだよなぁ。

父親の形見たるチョーカーがガジェットってな結末も、そのガジェットを前にしたクリスとエノの友情ってのも良かったんだけど、長すぎる序章がすべてを台無しに。冒頭で訴えた北山猛邦氏らしい作品ってのは、本当に云い得て妙だわ。北山氏の作品って、いつも思わせぶりなままラストまでゆくんだもの。

そうそう、北山氏=メフィスト賞繋がりで一言。いよいよミステリ・フロンティアから満を持して石崎幸二氏の作品が発売されますね!!何年ぶりだ、石崎氏!待った、待ったよ石崎氏!!もう、すんごい愉しみなんです。

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2006/04/02

『「ギロチン城」殺人事件』 北川猛邦

『ギロチン城』殺人事件 Book 『ギロチン城』殺人事件

著者:北山 猛邦
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

人形から送られた「help」の謎を解くために探偵たちが向かったのは『ギロチン城』。

『ギロチン城』で探偵たちを待ち受ける密室連続殺人事件とは?

北川猛邦が送る『城』シリーズ第四弾。

皆さんは大掛かりな物理トリックと小さな物理トリックどちらが好きですか?

最近読んだ中では東川篤哉氏の『館島』が大掛かりトリックに分類されますが、大掛かりトリックの第一人者といえば島田荘司氏の『斜め屋敷の犯罪』になるのでしょうか?館(城)そのものが物理トリックを成立させるためだけに建設されたというアレですが、私はこの大掛かりトリックというのが苦手です。

その存在自体に非常に嘘くさいものを感じてしまうのですね。えてして「金持ちの道楽」で片付けられてしまう大掛かりトリックですが、そこには「犯人が一生懸命考えました!」というミステリの醍醐味が失われてしまっているような気がして。

そう言いつつも綾辻行人氏の『館』シリーズは大好きだったりするのですが。

ここに存在する差は何なのでしょう?作者の筆力の差?そこに存在する大掛かりトリックの蓋然性を筆力でどれだけ納得させることが出来るか。

北川氏の作品を読むと、いつもその蓋然性に悩まされるのです。

(ここから激しくネタバレします。ここまではネタバレではないのかというツッコミは心の中にしまってくださいませ。ちなみに前作『アリス・ミラー城』の犯人にも触れます)さて、今回の『ギロチン城』にも叙述トリックが出てまいりましたね。

はっきり申し上げると、私は北川氏の仕掛ける叙述トリックが嫌いです。叙述トリックの醍醐味である「指摘されたときにハッとする感覚」「思わずページを遡ってしまう感覚」が無いのですね。非常にアンフェアに感じてしまうのです。

今回も「は?そんな記述隠してあったか?」と憤りながらページを遡りましたが、確認してもやっぱりアンフェア。巧妙ってどういう意味の言葉だっけ?と。

前作の『アリス・ミラー城』ではこの感覚が顕著で、アリスの存在は最初から記述しているにも関わらず、登場人物が意図的にアリスの存在を隠している。作品の中頃で「アリスが犯人だ!(アリスが逃げた!でしたか?)」と登場人物がはっきりと断言しているにも関わらず、そのあたりをすっかり無視しているのですね。

この『アリス・ミラー城』のアリス不在トリックには最初の最初の記述で気がついて、不在を認識しながら読み進めたので、私が受けたこの感覚は間違っていないはず。

とにかく、『アリス・ミラー城』から北川氏の仕掛ける叙述トリックに嫌悪感を感じてしまって仕方がないのです。ファンの方、申し訳ない。

ということで不満の残る一冊ではありましたが、北川氏の作品で私が常に高評価しているのはその設定と世界観です。『瑠璃城』なんて最高じゃないですか。今回の『ギロチン城』もその世界観には圧倒されました。

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