■汀こるもの

2013/07/09

『リッターあたりの致死率は』 汀こるもの

 

THANATOSシリーズと言えば、アクアリスト育成テキストかってくらい蘊蓄たっぷりなことで有名ですが、本作『リッターあたりの致死率は』はそのあたり控えめ…っていうか全部ちゃんと読めましたすごい!

起こる事件は殺人&誘拐。殺人の方は「そんなのあったっけ?」状態になること必至ですが、誘拐を解決するのに一役買うので忘れないであげてください。ただ、おもしろみには欠けるかも。特に真実の方。

誘拐事件に関してはまあ、妥当な終わり方ではないでしょうか。ユキちゃんがそんな…という驚きは特にないかな。驚いたのは真樹の方で…というか湊さんの方で、彼が次回作に登場するかどうかが今いちばんの関心事です。まぁ、死神を駒として使おうとするならばあのくらいの罰を受けるのは当然でしょうかね。

ところで、THANATOSシリーズでミステリが読みたいと言ったら、これも罰を受ける対象となるのでしょうか?

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2013/03/07

『完全犯罪研究部』 汀こるもの

推理小説研究部とは名ばかり、完全犯罪を研究し成し遂げようとする5人の高校生…と書いたところで気付いた。彼ら、完全犯罪する目指してないよね。むしろ過激派…ってくらいタイトル詐欺な『完全犯罪研究部』が本日のレビュー。

ミステリ…ではないかな。殺人事件は確かに起こっているけれど、その犯人を突き止めるために彼らが積極的に何かをしたわけでなし(「なりきり」は「何か」だったかもしれないけれど、犯人がその餌に喰いつくかどうかは賭けだったわけだし)犯人が余計なことをしなければまさにあちらの殺人が完全犯罪だったかもしれない…って、完全犯罪の定義は「犯罪が起こったことすら気付かれないこと」かな?その意味で彼らのしたことは完全犯罪でもなんでもないですね。

本作を分類するならば青春ものになるのかな。かなり厨ニ方向に傾いているけれど。姉を失った悲しみ(?)をうまく表現できない少女と自分を失くした少年と、そんなふたりを見守る仲間の物語…書いていて違うような気もしたけれど、それでもタイトルから連想する物語よりもこちらの説明の方が相応しい気がします。

そうそう、THANATOSシリーズの某キャラが登場していて再読を決意する効果がありましたわよ。

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2009/03/07

『フォークの先、希望の後』 汀こるもの

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著者:汀 こるもの
販売元:講談社
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日給5万円

ただし、死へのカウントダウンが始まる

THANATOSシリーズ第3弾

ミステリではない。うん、ミステリではない。最後の方に“名探偵”がなにか仰っていたような気もしますが…ミステリではない。でも、なかなか面白かったTHANATOSシリーズ第3弾『フォークの先、希望の後』が本日のメニューです。

正直「HOW TO アクアリスト」部分と国家一種の演説部分はナナメ読みも良いとこなので、本作のタイトル『フォークの先、希望の後』がどんな意味なのか、意味はあるのか、それすらも理解できておりません。本作の愉しみ方はミキちゃんの恋と高槻刑事の壊れっぷりにあると思います。

シリーズを重ねる毎に男前になっているような気のする高槻刑事。交番に発砲した精神異常者(?)を特殊警棒で倒し、彼方を優しくなだめる件は特に男前でございました。壊れっぷりは…正論は正しいとは限らないと思った箇所。正論は正論でしかなく、正論は時に人を縛り、人を傷つける。

そんな正論にオーバードーズで挑んだミキちゃん。それは恋の為せる技。真樹からオーバードーズの事実(=ミキちゃんの恋心)を告げられたときには度胆を抜かれました。アクアリストの恋心は総じて判り辛く偏るものなのか。少なくとも2/2だからな…彼方まで含めれば2/3なのか?彼方の恋心は真樹曰く「バレバレ」だそうなので。でも、恋心と下心はバレバレくらいの方が宜しいと思います。

ミキちゃんがかましたセクハラくらいね。なかなか難度高かったと思います。左手。

というわけで、『パラダイス・クローズド』を挟む込むような形で物語が進行した今回。彼方はレギュラメンバ入りしたのでしょうか?死へのカウントダウン開始。次回作が愉しみです。

でも、やっぱりミステリが読みたい。

あら、奇しくも前作『まごころを、君に』と同じ台詞で締めてしまいました。

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2008/12/17

『まごころを、君に』 汀こるもの

まごころを、君に THANATOS (講談社ノベルス) Book まごころを、君に THANATOS (講談社ノベルス)

著者:汀 こるもの
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真夏に起こったグッピー凍死事件を契機に

生まれて初めてできたオトモダチ

死神は友の命を奪わずにおられるか

『パラダイス・クローズド』に続いて読んでみましたTHANATOSシリーズ。嫌いじゃない決して嫌いじゃない。むしろ最近のメフィスト賞にしては読み易くて好感が持てる。でも…ミステリ?メフィスト賞って確かになんでも有りが売りだったけれど…基本ミステリだったんじゃないの?

読書中、3回ほど「あれ?間違って『HOW TO アクアリスト』とか買っちゃった?」と思った本作。今回のアクアリスト育成講座はグッピーです。前作同様、確かに伏線にはなっている、伏線にはなっているんだけれど。作品の骨子(ミステリ)があって、それを活かすために薀蓄を…というよりは薀蓄を活かすためにミステリテイストの作品を書いてみましたという感じ。

そして、このブロ愚はミステリテイストの作品に対して語ることは多くなく。綺麗にまとまっていたと思います。綺麗過ぎるて薄っぺらい。

というか、真樹は「名探偵」なのでしょうか?なんとなく私の名探偵像と違う。真樹が推理を展開しているのを読んだことがない。死神が誘発した死を警察署や裁判所で証言するのが名探偵の役割ではないでしょう?もちろん、ミステリを風刺すべく「名探偵名探偵」書いてるんだろうな、とは思うのですが。すごい違和感を感じるんですよね。

でも、シェイクスピアの引用は良かった。プロスペローが観客に赦しを乞う終幕が好きなのですが、その『テンペスト』は一番いらない引用だった気がする(苦笑)『ハムレット』の引用はどれも巧かったですよね、作品にマッチしていたと思います。作品にというより死神に。

そんなわけで、キャラ小説方面にアクセルを踏んだTHANATOSシリーズ。高槻刑事の良い人度が増してます。そして、死神に対する耐性も。高槻刑事が死神の生贄をなる日はいつなのか、その日が来たときに真樹は哀しむことができるのか。そんなことを意識しながら読むのなら、なかなか悪くないシリーズではないかと思う。

でも、やっぱりミステリが読みたい。

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2008/11/11

『パラダイス・クローズド』 汀こるもの

パラダイス・クローズド THANATOS (講談社ノベルス ミI- 1) Book パラダイス・クローズド THANATOS (講談社ノベルス ミI- 1)

著者:汀 こるもの
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本格に殴り込んで来た生意気な新人(by有栖川有栖)

美少年双子を引き連れて

第37回メフィスト賞受賞作

 消化すべく比較的新しいものから。有栖川有栖氏の紹介文を読んで期待でいっぱいだった本作。

メフィスト賞らしい一作でございました

ぶっ飛んでるキャラ設定やら、本格を愛していながらも斜に構えた態度とか。西尾維新以前か以後かって聞かれれば以後の作品だとは思いますが。

嵐の孤島、クローズドサークルで起こった密室殺人事件。これぞ本格!という舞台設定の中描かれているのは「彼は犯人ではないよ。だって使用人が犯人だなんて二十則違反だもの」みたいな、本格風刺。痺れます。そもそも、双子が探偵(&死神)だなんて、十戒に正面から喧嘩売ってるようなものではないですか(笑)

というわけで、「ノックスの十戒」「ヴァン・ダインの二十則」を一読した後に取り組むと楽しみが倍増するかもしれない本作。というか、本格ミステリを愛してきた人間なら絶対楽しめる一作。

作中の薀蓄に若干辟易しますが(当方ナナメ読み)まぁ、解決に全く無関係というわけでもないので、お好きな方はどうぞ。作者の汀こるもの氏の趣味を垣間見れます。コーラルをコラールと読み違えて、何度か千秋真一がタクトを振っている様が頭を過ぎったことは内緒。

個人的には探偵が○○拒否をしたときに、「このまま本当に作品終わったら面白いなぁ問題作」と思ってにやりとしました。国家一種、回収ご苦労。でも、犯人もまさか○○拒否されるとは思わなかっただろうなぁ。きっと自白がスムースに進むものと思われ。だって、本格ミステリの犯人は、自分が上位の存在であることを自慢したくて自慢したくて仕方が無いんだもの。ほら、本格風刺。

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