『震度0』 横山秀夫
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震度0 著者:横山 秀夫 |
大震災の朝、N県警を襲った激震。
警務課長の失踪は事故か事件か?
保身と野心が渦巻く県警幹部の密室劇がいまここに開幕。
“おもしろい本がどうしても読みたくなったときのストック”として大事に大事に暖めておいた横山秀夫氏の作品にとうとう手を付けてしまった…そんなに『暗黒館』ショックは根深いのか、自分。でも、
やっぱり最高です、横山作品。
横山作品にハズレなし。この確信がより一層強いものとなりました。本作『震度0』は、警務課長の失踪をトッピングにした警察内部のどろどろ権力闘争のお話です。こういうどろどろ野心劇は主に女性の得意とするところなのですが、なかなかやります男性陣。
この密室劇の主役は警視正6名。キャリア2名、準キャリ1名、ノンキャリ3名が繰り広げる駆け引き!裏切り!!足の引っ張り合い!!!嗚呼、なんて心地良い響きなんだ。ちなみに、私が心のどこかで応援してしまったのはコドモ部長=キャリアの冬木警視正です。
もう、警務課長(不憫・不破氏)の失踪そっちのけで、誰がこの権力闘争に勝利するのかに熱中してしまいました。選挙違反摘発?ソバージュの女?ノン!ノン!ノン!!もはや“失踪の真相”ではなく“闘争で勝ち残るためのツール”に化してしまった情報たち。情報をどう活かすか、どう操るか。6名の警視正たちの“遊び場”と化してしまったN県警。でも、そんな彼らを嘲笑うかのように常に流れるものがある…それはテレビです。
テレビで流れる阪神淡路大震災の情報。激震と云われるマグニチュード7。多くの死者を出した惨劇が彼らには…見えない。“情報”で遊んでいたつもりが、“情報”に遊ばれる彼ら。そして、“最も大切な情報”=被災し苦しむ人たちの今がすっぽり抜け落ちる。なんて哀れ。
そんな哀れな密室劇にも終わりが訪れる。終焉をプロデュースするのは権力闘争からも失踪劇からも中庸を取り続け、自らの職務を全うした1人の警視正。誰がカーテンコールのベルを鳴らしたのか…どうぞお楽しみに。
やっぱり最高、横山作品。読者を引き込む・読ませる力は『クライマーズ・ハイ』に匹敵するかも。でも、感動は無かった。あまりに哀れで滑稽で。“情報”は活かすもので踊らされるものではない。本当に大切なものは今しなくてはならないことは、すぐ側にあるんだよという教訓。
何度でも云いましょう、横山作品ハズレなし。
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