■佐々木譲

2017/03/09

『憂いなき街』 佐々木譲

道警シリーズ第7弾。シティジャズ開催中の札幌を舞台にした津久井の恋愛物語です。

(ネタバレします)
個人的には津久井は長正寺にすべて打ち明けて捜査から外れるべきor奈津美に直接ぶつかるべきだったんじゃないかと思います。相棒の滝本が空気を読んでくれましたし、結果的に(奈津美を外した)津久井の読みは当たっていたわけですが、やはりフェアじゃない部分はあったんじゃないかと。アリバイを隠そうとする奈津美を説得する役を佐伯に(秘密裏に)依頼するまではわかるんですが、自分の代わりに女たちのホテルを回させるのは少し違うような気がします。津久井も良くないことはわかっていたし、冷静な判断ができなかったのかもしれませんが。

事件については女同士のいざこざというオチは微妙ですが、ぐいぐい引き込まれたのは確か。冒頭の強盗事件で容疑者が捕まっていないこととかすっかり忘れていましたし。

佐伯と百合の関係も一歩進んだことですし、次回作ではいつも合コンに最後まで参加できない新宮になにか良いことが起こるように祈っておくことにします。

それにしても津久井のピアノ聴きたいな。

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2017/02/17

『人質』 佐々木譲

道警シリーズ第6弾。人質立てこもり事件が発生。

今回は全員がいぶし銀の活躍で少し派手さに欠けるのが残念。人質として囚われた百合の大活躍が読みたかった。(ここからネタバレします)主犯と従犯の関係を見抜き、真の人質と狙いを読み解いたわけですが、読者はそれを疾うに知っているので少しつまらなく感じてしまうのが残念でした。

それにしても人質になった男性、要求を突き付けられた父親、彼らが総じてダメダメで少し笑ってしまいました。

ラスト、ブラックバードで肩を並べて座るふたりに嫉妬した佐伯が可愛らしかったですね。

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2017/01/18

『密売人』 佐々木譲

道警シリーズ第5弾。

バラバラに思われた函館、釧路、小樽の事件のミッシングリンクからある男の密売を暴きだす1冊。グラックバードで行われる佐伯班の捜査会議がとても嬉しい。

(ここからネタバレします)米本親子を無事保護できるかよりも警察内部の裏切り者を見つけ出す展開にワクワクしました。今回のMVPは退職刑事たちですよね。津久井の言う「ええ。あのひとは、警官です」に相応しい男たちでした。そしてシガー・バーでのやりとり。三者三様の落としのテクニックと佐伯の意趣返し。とても良いシーンでした。

道警の腫れもの扱いだった4人がぞれぞれ新しいステージに進みそうなラスト。でも、彼らの根っこは佐伯班にあると確信しております。

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2017/01/14

『巡査の休日』 佐々木譲

道警シリーズ第4弾。

道警が特に忙しくなるよさこいの時期に重なるように発生したストーカー、白骨死体発見、連続ひったくり事件。それぞれの刑事が地道に、真面目に事件を追いかけることで最後にはしっかり片付く達成感のある読了。

やはり佐伯班の「チーム」としての活躍が読みたい気持ちがあるのだけれど、たまにはこうしてそれぞれが刑事としての力を底上げするかのような作品があっても良いのかも。ラスト、休日を謳歌する刑事…巡査たちの清々しいことったら。

しばらく読んでいないうちに道警シリーズも第7弾まで発売されているので追いかけたいと思います。小島のウェディングリストの最後の方に回された佐伯との関係も気になる。

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2009/04/20

『制服捜査』 佐々木譲

制服捜査 (新潮文庫) Book 制服捜査 (新潮文庫)

著者:佐々木 譲
販売元:新潮社
発売日:2008/12/20
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不祥事をめぐる玉突き人事のあおりで

駐在勤務に押し込まれた川久保

そこには、連綿と続く腐敗臭が漂っていて

道警シリーズ番外編とも云える本作『制服捜査』。佐々木氏との出会いは最近なので(遅)この名作の呼び声高い『制服捜査』も未読でした。やっぱり「このミス」2位は伊達じゃないですね。

強行班係から畑違いとも云える駐在所勤務へと人事発令された川久保。駐在に求められている役割は「町から被害者を出さないこと」ではなく「町から犯罪者を出さないこと」。犯罪者として囃し立てられ書き立てられることがなければ、人々は「この町は安全だ」と思ってくれる。思い込まされてしまう。けれど、そこにあるのは詐称でしょう?だって、犯罪者は出なくとも、被害者は間違いなく出ているのだから。

というわけで、川久保が暴く罪は5つ。これまでの“駐在さん”ならきっと見逃したような(それが故意なのか過失なのかは別として)事件ばかり。町から便利屋としての“駐在さん”が消えたことに戸惑い苛立ち皮肉を浴びせる人々に、新しくやってきた“警察官”としての川久保を慕い助けてくれる人々。複雑な人間関係のなかで、自分の仕事をしっかりやってみせる川久保。うん、職業人です。

個人的には「割れガラス」が好きです。「町が荒れるのは、最初は窓ガラス一枚からだ」という有力者。けれど、なにが窓ガラスなのかについては意見の相違があって。町に前科者が現れたことが窓ガラス?川久保には、窓ガラスはとうの昔に(川久保が赴任してくる前から)割られているように見えるのに。傷ついたひとりの少年すら守れないのに、町の平和を守ろうなんて笑わせる。そんな川久保の想いが透けて見えるかのような、ラストの意趣返し。

ラストの「仮装祭」で町の悪習を暴いて見せた川久保は、これからどんな駐在生活を送るのか。また読みたい気もするし、川久保が迎合していたら…なんて思うと読みたくない気もするし。名作でした。

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2009/04/18

『警官の紋章』 佐々木譲

警官の紋章 Book 警官の紋章

著者:佐々木 譲
販売元:角川春樹事務所
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道警最悪の1週間から2年

サミットを控えた道警に忍び寄る

その存在を揺るがしかねない疑惑とは?

最中ではありますが『笑う警官』『警察庁から来た男』に続く道警シリーズ第3弾です。JDCシリーズとは異なり(笑)もう読みたくて読みたくて仕方なかったんですよ!

第3弾は洞爺湖サミットを間近に控えた道警が舞台。実際、洞爺湖サミットあたりの札幌市内は、それはそれは仰々しい雰囲気に包まれておったものです。おじいちゃんと孫が交差点に立って「今日は道警以外のパトカー、何台見れるかな?」とか、警察署100mのところでひったくりが起きて、朝礼(?)中だった捜査員100人が「肩慣らしだ!」とばかりに署を飛び出したとか、笑い話ばかりが耳に聞こえてきましたが(笑)要人が居住していると思われるマンションの立ち番をしている警官の方にいつも「お疲れ様です」と思っておりました。

って、『警官の紋章』のお話。今回も佐伯サイド、津久井サイド、百合サイドという3つの視点で物語が形成されます。2年前に取り上げられた密輸業者摘発事件を再度追いかけることに決めた佐伯と、拳銃を所持したまま失踪した若手警官を追う津久井、ストーカー逮捕で評価を上げ、要人警護の応援に駆り出された百合。3人の視点はラストまで交わらないけれど、3人が(運命的に)その場に揃うことで、自然とはかられる意思疎通。それは2年前、最悪の1週間を乗り切った仲間たちだから。

正直、物足りない感じもしたのですが。今回は(『警察庁から来た男』もそうだったから“も”かな?)山場といいますが、このままではこの捜査を続けられないぜ!どうする俺?みたいな展開がなかったので。坦々と進む物語。蓄積された緊張がラストの場面で爆発する…ということもなく。失踪した若手警官を優しく迎える面々。

でも、その優しさには厳しさが内包されていて。佐伯をストーキングして(笑)咄嗟の場面で飛び出してきた新宮。怯える同僚を尻目に、片膝をつき両手で拳銃を構える津久井。その向こうには、新調した黒いスーツで同じく拳銃を構えた百合が。

うわぁ、佐伯班最高!

佐伯班なんて存在しないけれど。けれどあの場面、間違いなく彼等は佐伯班でした。2年前のリプレイ。

佐伯の用意した公判がどうなるかはわからないけれど。百合のリベンジが果たされなかった今回、第4弾ももちろんあるんですよね?もう、もの凄く愉しみです。映画も観る。

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2008/10/26

『警察庁から来た男』 佐々木譲

警察庁から来た男 (ハルキ文庫 さ 9-3) Book 警察庁から来た男 (ハルキ文庫 さ 9-3)

著者:佐々木 譲
販売元:角川春樹事務所
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道警を揺るがした“あの”事件から半年

警察庁からキャリアが襲来!?

所轄とキャリアが交差したとき、現れる真実とは?

『笑う警官』のあまりの面白さに、読了後そのまま本屋に直行し購入しました道警シリーズ第2弾『警察庁から来た男』。『笑う警官』は「事件は現場で起きてるんだ」よろしく、現場の刑事を活き活きと描いておりましたが…本作は「警察庁から来た」キャリアが物語に強引に踏み込んできます。

突然ですが、「警察庁と警視庁の違いって分かる?」とチャラい男のナンパをかわしたのは何のドラマだっただろうか?(この間15分)あっ、「交渉人」だすっきり。

というわけで、警察小説のキャリア=水○豊さんという固定概念に染まりつつある私。本作もキャリア様を脳内映像化するときは水○豊さんのお姿をお借りしました。私はカフェラテよりカフェモカ派です。

道警内の問題(不正・不祥事)を暴くという主題は前作『笑う警官』同様なのですが…本作は少しスピード不足だったような。結末まで真っ直ぐに道が伸びてるんですよね。もちろんそれは素晴らしいことで、結末まで道が続いていないような作品も世の中にはいっぱいあるのですが。けれども、時には脇道に逸れて欲しいし、裏道を通ってきた奴に追い抜かれたりして欲しい。『笑う警官』が素敵だっただけに、ちょっと我が儘を。

あとは…事件の目撃者があさーりと殺されてしまうのですが、その件が少し物足りない。新宮刑事はもう少し悲しみを押し出してくれても良かったのではないか、と。悲しくないなら悔しさを。この件に対する記述は、ちょっと不満…というか違和感が付き纏いました。

それにしても佐伯&小島はそういう仲だったんですかっ!?道警シリーズ第3弾で、このふたりの仲は進展しますか?wikiに掲載されている『警官の紋章』ってのは道警シリーズの第3弾ってことでおk?いつ出ますか?もうすぐ出ますか?2008年ってあと2ヶ月たらずで終わりますよ?

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2008/10/25

『笑う警官』 佐々木譲

笑う警官 (ハルキ文庫 さ 9-2) Book 笑う警官 (ハルキ文庫 さ 9-2)

著者:佐々木 譲
販売元:角川春樹事務所
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「うたう」、それは隠語で自白することを指す

うたった警官は仲間に白い目で見られ…

真実を語ることはそんなに悪いことなのか?

前から気になっておった佐々木譲氏。本屋で「道警シリーズ」とか書かれたPOPを見るたびに後ろ髪惹かれておったのですが、ついに手に取ってみました面白かったどうしてもっと早く読んでおかなかったんだろう後悔。

というわけで、大満足の一品。お膝元が舞台だったのも良し。読みながら「おっ、これはあそこのことね」「あれをこう表現しますか」「こんなとこないから(笑)」と読み方違う読み方違う!でも、北海道に住みながら道警裏金問題について殆ど知らなかったので(それはもうびっくりするくらい知らなかった)お勉強にもなりました有難うございます。

って、主題はそこじゃないから!始まりはアパートの一室で起こった婦人警官殺し。容疑者として挙がったのは身内…裏金問題について新聞社に「うたった」と目されていた警官。問答無用の射殺命令まで下り署内がヒートアップするなか、彼を信じる男がひとり。なんとか彼の無実を晴らそうと、真相を解き明かそうと、短い時間を駆け抜ける男たちの物語。

本作はミステリとして読むのではなく、プロフェッショナル集団の仕事ぶりと真実にじわりじわりと近づいてゆくその過程を愉しむべきかと。陰の捜査本部内に紛れ込んでいるスパイの存在も良いスパイスに。

そして、組織(世間)の向いている方向とは違っていても、正しいことをしていれば仲間がどんどん増えてゆく…というRPG的お約束も良いですね。もちろんRPGならば正義が勝つのですが、彼らは果たして勝てるのか。っていうか、彼らは自分たちを正義だと思っていないところが良いんです。「正義のため」だけでは走り続けられないですよね。彼らは自分たちを正義だと思っていないから…だからタイムリミットまで走っていられた。そんな風に感じます。

どうやら2009年秋に映画化の模様。キャスティングは…佐伯に大森○朋さんですか。ちょっとイメージと違う?大森さんは新聞記者のイメージ(って、それ作者違うから!)まぁ、一番のイメージ違いは津久井=宮迫なんですが。なんか「うたってない」とか言われても信用できないイメージ(笑)松雪○子さんはキレイなので大好き許す。

最後に。タイトルは「笑う警官」じゃなくて「うたう警官」に戻すべきだと思います。たとえ意味が解り難かって。読めば、解る。

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