『制服捜査』 佐々木譲
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制服捜査 (新潮文庫) 著者:佐々木 譲 |
不祥事をめぐる玉突き人事のあおりで
駐在勤務に押し込まれた川久保
そこには、連綿と続く腐敗臭が漂っていて
道警シリーズ番外編とも云える本作『制服捜査』。佐々木氏との出会いは最近なので(遅)この名作の呼び声高い『制服捜査』も未読でした。やっぱり「このミス」2位は伊達じゃないですね。
強行班係から畑違いとも云える駐在所勤務へと人事発令された川久保。駐在に求められている役割は「町から被害者を出さないこと」ではなく「町から犯罪者を出さないこと」。犯罪者として囃し立てられ書き立てられることがなければ、人々は「この町は安全だ」と思ってくれる。思い込まされてしまう。けれど、そこにあるのは詐称でしょう?だって、犯罪者は出なくとも、被害者は間違いなく出ているのだから。
というわけで、川久保が暴く罪は5つ。これまでの“駐在さん”ならきっと見逃したような(それが故意なのか過失なのかは別として)事件ばかり。町から便利屋としての“駐在さん”が消えたことに戸惑い苛立ち皮肉を浴びせる人々に、新しくやってきた“警察官”としての川久保を慕い助けてくれる人々。複雑な人間関係のなかで、自分の仕事をしっかりやってみせる川久保。うん、職業人です。
個人的には「割れガラス」が好きです。「町が荒れるのは、最初は窓ガラス一枚からだ」という有力者。けれど、なにが窓ガラスなのかについては意見の相違があって。町に前科者が現れたことが窓ガラス?川久保には、窓ガラスはとうの昔に(川久保が赴任してくる前から)割られているように見えるのに。傷ついたひとりの少年すら守れないのに、町の平和を守ろうなんて笑わせる。そんな川久保の想いが透けて見えるかのような、ラストの意趣返し。
ラストの「仮装祭」で町の悪習を暴いて見せた川久保は、これからどんな駐在生活を送るのか。また読みたい気もするし、川久保が迎合していたら…なんて思うと読みたくない気もするし。名作でした。
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