2009年1月15日 (木)

『誰が疑問符を付けたか?』 太田忠司

誰が疑問符を付けたか? Book 誰が疑問符を付けたか?

著者:太田 忠司
販売元:幻冬舎
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“鉄の女”と畏れられる京堂景子警部補の秘密

それは…ツンデレ?

主夫があざやかに解き明かす8つの疑問符

いま思えば景子さんのアレはツンデレだったんだなぁ…『ミステリなふたり』の発売って何年前ですか?ハードカバで出たのが2001年ですか。そのころには“ツンデレ”なんて言葉ありませんでしたね。ツンデレのはしりか?そんな8年ぶりの京堂夫妻シリーズ『誰が疑問符を付けたか?』が本日のメニューです。

警察署長すらも一瞥で退職に追い込み、抵抗した暴力団員をプロレスラー顔負けの技で行動不能にし、現場で彼女に睨まれれば刑事生命をも絶たれると噂される、愛知県警の“鉄の女”最強警部補・京堂景子。そんな彼女には大いなる秘密、唯一の弱点が。それはイラストレーターにして主夫、愛しの旦那様・京堂新太郎にメロメロ(古い)であるということ。

主夫・新太郎の作る家庭料理に舌鼓を打ちながら“鉄の仮面”を脱ぎ捨て、その日起こった不思議な事件を語る。それは死体といっしょに大量のぬいぐるみがぶら下げられた殺人事件であったり、死体にハマチが盛られていたり、死体が女装をしていたり。けれど、主夫・新太郎はそんなおかしな装飾に目を奪われたりしない。いつも新太郎は冷静沈着に解決への糸口を見つけ出す。それはなぜ?だって、新太郎の目はいつも景子(最強の妻)に向けられているから♥(ってのは冗談ですが、このふたりはラヴラヴです)

ミステリとしての難易度や捻りはそんなに高く(多く)ありません。一風変わった事件を取り揃えてはおりますが、小説として他作品と比較するならレベルはノーマルでしょうか。怪人とか少年少女探偵団とかは登場しないので。あくまでも景子のツンデレぶりとか、新太郎の良夫ぶりを楽しむ1冊かと。

個人的には「京堂警部補に知らせますか?」が好きかしら…ってツンデレ妻、登場しないですね。“鉄の女”唯一のウィークポイントが同僚とニアミス(ニアミスどころか捜査協力)というこのハラハラドキドキ感が良いです。ミステリとしてのまとまりも一番あったように思いますし。

ミステリといえば、本作のタイトル『誰が疑問符を付けたか?』は別に短篇のタイトルではないんですよね。収録されている8つの作品、すべての末尾に「?」が付いてはおりますが…どんな意図でこのタイトルを付けることになったのか知りたい。なにか伏線でもあるのだろうか?と勘ぐってしまう。ミステリスキーにとっては興味の惹かれる、なかなか美しいタイトルだと思います。

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2009年1月 7日 (水)

『予告探偵 木塚家の謎』 太田忠司

予告探偵―木塚家の謎 (C・NOVELS) Book 予告探偵―木塚家の謎 (C・NOVELS)

著者:太田 忠司
販売元:中央公論新社
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バカミス中のバカミス

あの予告探偵が帰ってきた!

KING OF バカミスとして大絶賛させていただきました(笑)『予告探偵 西郷家の謎』の続編です。天に届かんとするほどの徳と神のごとき英知を持った尊ぶべき人間・摩神尊が帰ってきました。折り返しの「著者のことば」が素敵。

ベタなくらい古典的なミステリがお好きな方
腰が抜けるくらいおバカな話でも許せる方
傲岸不遜で傍若無人な探偵に我慢できる方
ワトソン訳がとことん情けなくても大丈夫な方
どうぞ、この本を開いてください

って(笑)もちろん全てに合致する私は開かせていただきましたよ本作を。

前作のネタがあれなので(笑)二番煎じは通用しないとは思っておりましたが、比較的まともな作品がきて逆にびっくり。5つの短篇が収録されておるのですが、そこに少しだけ秘密が…って短篇の題名読み上げるだけで丸判りなのでネタバレにならないですよね、5人の木塚君が登場します。しかし、摩神尊はひとり。摩神尊とは何者なのか?が本作の主題です。

でもまぁもちろんご期待通り、まともな(論理的なと言い換えた方が良いだろうか)結末は用意されておりませんのでご安心を。ちなみに、収録されている5つの短篇=5つの謎(殺人事件)なのですが、こちらもまともな結末は用意されておりません。頁数の都合なのか、推理は非常お粗末です。素材自体は悪くないと思うのですが、全て摩神尊の思いつきで解決してみました…というか、警察がちょちょいと現場検証すれば判ってしまう程度の謎なんですよね。まさに傲岸不遜で傍若無人といった感じ。

なので、あくまでバカミスを読む優しい気持ちで本作を開いてあげてください。そうすれば、「それなりにまともな作品じゃないか」という方向で楽しめるのではないかと。

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2008年11月 9日 (日)

『甘栗と金貨とエルム』 太田忠司

甘栗と金貨とエルム Book 甘栗と金貨とエルム

著者:太田 忠司
販売元:角川書店
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「だ、か、ら、あんたがあたしのお母さんを探すのよ」

親父が残したのはボロイ探偵事務所と生意気な依頼人

高校生探偵・甘栗晃、最初の事件

「最初の事件」とか書いたわりに続編は出ておりません。出る予定があるのかも不明。でも、なかなか面白かったので是非。

太田忠司氏曰く、目指したのは「ロスマクではなくリューイン」とのこと…

ハードボイルド疎くてすみません

ロスマクが『さむけ』のロス・マクドナルドなのはなんとなく想像できるんですが…リューイン?ごめんなさいすぐにはピンと来ない私もまだまだね。

ということで、ハードボイルドについて殆ど無知な私にとって“ハードボイルド=煙草・酒・女・意味なしジョーク”って感じなので(笑)飲酒喫煙が法律で禁止されている高校生が主人公のハードボイルドってどんな感じなのだろう、と。

廃業確実の甘栗探偵事務所に持ち込まれた依頼は「母親探し」。依頼人は ブロンドの美女…ではなく、くそ生意気なガキ。依頼料はウイーン金貨一枚。ハードボイルド作品なので、「この謎を解かないと前には進めないぞ、げへへ」みたいな展開にはならず。むしろ歩けども喋れども話を聞けども、解決への見通しは立たず…みたいな展開です。

でも、最後にはちょっとしたどんでん返しも用意してくれていて。この程度のどんでん返しはハードボイルドのお約束なのでしょうか?ハードボイルドモノって○○誤認ネタが案外多いような気がする。「真相はずっと眼の前にぶら下がっていたのに、俺はここまでなにをしていたんだ」的自嘲が必要?

読み易い文体、暖かい雰囲気が太田氏らしい。甘栗探偵の次の事件も読みたいです。

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2008年10月28日 (火)

『予告探偵 西郷家の謎』 太田忠司

予告探偵―西郷家の謎 (C・NOVELS) Book 予告探偵―西郷家の謎 (C・NOVELS)

著者:太田 忠司
販売元:中央公論新社
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すべての事件の謎は我が解く

そう予告して、威風堂々乗り込んだ摩神尊

果たしてこの難攻不落のトリックを解き明かすことはできるのか?

噂に違わぬバカミスっぷりでございました(大爆笑)

読書Blogサーフィン中に「KING OF バカミス」として紹介されていた本作。「そうまで言われて読まずにはおれない」と息巻いて読んでみました。いやぁ、期待を裏切らないバカミスっぷりです。うっとり。

レビューを書こうにもネタバレになってしまうので、「バカミスです」としか言えない。ごめんなさい、各々で愉しんでみてください。でも、バカミスだと認識した上で読むことをお奨めします。前半は(ありがちな)ガッチガチ本作ミステリなので、そのノリでラスト30頁を読んだら、確実にやられます。

読了中、なんとなく『翼ある闇』を思い出したのですが、そんなに突飛な妄想でもなかった模様。探偵の奇人変人っぷりとか、ワトソンのドMっぷりなんかは麻耶作品に通じるところがあると思います(笑)そして、結末はいっしょだ。

とにかく、バカミスだと知った上でお読みいただきたいエンタメ作品。まさかの続編『予告探偵 木塚家の謎』もこのくらいバカミスなんでしょうか?でも、このネタ、一度っきりしか使えませんよね?しかも木塚さん家で事件って!?読まねば。

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2006年6月18日 (日)

『黄金蝶ひとり』 太田忠司

黄金蝶ひとり Book 黄金蝶ひとり

著者:太田 忠司
販売元:講談社
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両親が5度目の新婚旅行に行っている間、父方の祖父にお世話になることになった僕。

祖父は万能学を教え、犬たちと牧場で暮らす、ちょっと変わった人だったんだ。

その夏、僕が体験するとっても不思議な物語。

結局、例のブツってなんだったんですかね?

いきなりネタバレから失礼いたしました。

ミステリーランドもあらかた読み終わり、残すところ竹本健治氏の『闇のなかの赤い馬』と乙一氏の『銃とチョコレート』のみとなりました。ミステリーランドの良いところは、“少年少女のための”と銘打っているため、ファンタジーに対する許容範囲が広いということです。この『黄金蝶ひとり』もすっかりファンタジー。ファンタジーを許容できないと、上記の私のような感想になってしまいます。

いや、ストーリーとか、ミステリ部分は結構良かったのですが(叙述トリックとか)、例のブツが一体何だったのか?という最大のファンタジー部分がどうしても気になってしまって、どうにも落ち着かない読了。不思議は不思議のまま残しておくのもアリなんですが、ちょっとは解説とか回答とか欲しかったです。宇宙からの飛来物でも構わないんですがね。

あと、びっくりしたのが、いきなり頭の体操からストーリーが始まったこと!ヒトラーが地獄の門の前でいきなり問題を一方的に投げかけるくらいの衝撃がございました。レベルは小学生レベルなので、手を止めるまでも無いのですが、こういうお遊びってすごく好きです。高田崇史氏の「千波くんシリーズ」が読みたくなってしまいました。

そうそう、冒頭の“キミに挑戦”も遊び心いっぱいで良かったですね。本一冊使ったトリックって好きです。清涼院流水氏の『ジョーカー』あたりもそうですよね?

遊び心満載のミステリーランドらしい一冊。ただ、例のブツが一体何だったのか、とても気になるところです。あれなら戦争に勝てるよ…。

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2006年5月 3日 (水)

『月読』 太田忠司

月読(つくよみ) Book 月読(つくよみ)

著者:太田 忠司
販売元:文藝春秋
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死者の残した「月導」を読むのが月読の定め。

月読は月導を読むかのごとく起こった殺人事件を読むことができるのだろうか。

そして、失われた自らの過去を取り戻すことはできるのであろうか?

「月導」に「月読」、その設定に萌え。

いやぁ、こういう幻想的な世界観って好きです。死者がこの世に残す「月導」は、最後に強く想っていたことが具現化されたもの。しかし、その「月導」に残された想いを読むことができるのは選ばれし「月読」のみ。しかし、「月読」として生を受けたからといって幸せが待っているわけではなく…。

「月読」として生まれたため家族と引き離されることとなった朔夜と、親族を殺され朔夜のその不思議な力に頼るしかない刑事・河井。そして、自らの未来と出生に悩む若人たち。

口絵のイラストのせいか、皆皆様が美形に変換されて、幻想的な世界に拍車をかけております。

ミステリとしても、すべての事件がしっかりと回収されて、きちんとひとつに繋がっております。これが片手落ちになるようであったら興ざめなのですが、そこは太田氏。かなり厚めの本書ですが、それを感じさせない太田氏特有の作風で、満足のゆく一冊となっております。視点が章毎に入れ替わるのにも違和感を感じさせないので、無理なく読むことが出来ました。

まぁ、なによりもその世界感にうっとりなのですが。

太田氏の作品といえば「狩野俊介シリーズ」や「新宿少年探偵団シリーズ」のような低年齢層が主役のシリーズが有名ですが、本書のような作品を読むと上記のようなシリーズがあるからこそ流れるようなさらっとした作風が描けているのだと感じます。

また「月読」を主人公にした作品が読みたいですね。太田先生、是非シリーズ化をお願いいたします。

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