2008年9月 2日 (火)

『ST 桃太郎伝説殺人ファイル』 今野敏

ST桃太郎伝説殺人ファイル (講談社ノベルス コC- 22) Book ST桃太郎伝説殺人ファイル (講談社ノベルス コC- 22)

著者:今野 敏
販売元:講談社
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猿、雉、犬を従えて…もといST5人を従えて

百合根警部が向かった先は

桃太郎伝説の伝わる地、岡山

菊川さんって妻帯者だったんですねっ!!

翠とのラヴラブフラグはなんのために立ちっぱなしなんだろう。それがなによりも気になった本作『ST 桃太郎伝説殺人ファイル』が本日のメニューです。結局そのまま読んじゃいました。でも、本作は一転して読んで嬉しい良作です。

岡山県警からの要請を受けて桃太郎伝説の色濃く残る岡山県へと馳せ参じたSTの面々。今回も「取材費もらっちゃった」小説だったらどうしようかと危惧していたのですが、その必要はノーサンキューだったようです。桃太郎伝説(温羅とか吉備津彦とか)についてはこれまた某QEDで嫌って云うほど読まされたので(笑)読みとばしOKってくらいには詳しい私。本作を読みながら「このくらい簡単にさらっとまとめてくれれば良いのに…」とか呟いちゃったのは秘密の方向で。

本作はプロファイラー・青山が大活躍の一作。腐女子代表の私としては嬉しい一作。しっかし、青山が最後に○○しちゃうのにはびっくりしました。お姉さんが側に居てあげたい…って私、青山より年上?年下??

でも、本当に読み応えのある一作でした。ミッシングリンクが登場したり、『隠蔽捜査』を彷彿とさせる警察内部の泥沼合戦があったり。今回は桃太郎所縁の寺院や陰陽五行説が登場したので山吹さんの出番もあったし(笑)そういえば黒崎さんが喋りましたね!何巻ぶり??

って、そんなことよりも(酷っ!)冒頭の叫びですよ!なんのために菊川♥翠のフラグは立ってるんですかっ!?私はてっきり菊川さんは独身で、翠と恋仲になるものとばっかり思っていたのに…妻帯者なの!?しかも、あの表記は「夫婦仲は冷え切ってる」とも「仕事に夢中な駄目な俺をしっかり支えてくれる良き妻」とも取れるじゃないですか。いやぁ、おてて繋いで飛行機♥みたいな初心なふたりを暖かく見守るのが好きだったのに。某マエストロが出てきたときに餅焼いてたよね?絶対焼いてたよね??

はぁ、これからもSTから目が離せません(邪だな、おい!)とりあえず既刊のSTシリーズは読破してしまったようなので、新刊が出る日を待ち侘びたいと思います。

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2008年9月 1日 (月)

『ST 為朝伝説殺人ファイル』 今野敏

ST 為朝伝説殺人ファイル (講談社ノベルス) Book ST 為朝伝説殺人ファイル (講談社ノベルス)

著者:今野 敏
販売元:講談社
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ふたつの大島で起きたダイビング事故と為朝伝説との関係は?

警視庁科学捜査班-通称STが新たな謎に挑む

『果断 隠蔽捜査2』が山本周五郎賞と日本推理作家協会賞と…あとひとつはなんだっけ?とにかくトリプル受賞を果たしてからというもの、いろんな書店で見かける今野敏フェア。まじょ。のその時流に乗っかり(笑)手に取ったのがこの「ST」シリーズ。文庫化済の第1部第2部は失踪中に読了し、第3部とも云える『ST 為朝伝説殺人ファイル』が今日のメニューです。

このブロ愚で「ST」シリーズを扱うのは初めてなので、少しSTの面々をご紹介。多様化する犯罪に対応すべく、刑事の勘に科学捜査の力をドッキングすることを目的に設立されたのが警視庁科学捜査班-通称STでございます。そのSTの面々、兎にも角にも曲者揃い。

STのリーダーたる赤城左門は法医学の専門家。セクシーな無精髭を生やし、「漢たるもの一匹狼でなければならぬ」が持論にも関わらず、周りに人を集めてしまう女性(人間)恐怖症。そして、臨床心理の専門家にしてプロファイラー青山翔。男でも目を止めてしまうほどの美少年にして毒舌家…なのに秩序恐怖症。さらに、男なら目を止めずにはいられないSTの紅一点・結城翠。彼女が着る露出の激しい衣装は、閉所恐怖症の現れ。彼女は人間には聞こえないはずの犬笛すらも聞き取る奇跡の耳を持つ。そんな翠と共に“人間嘘発見器”と呼ばれる黒埼勇治。黒崎は「人間ガスクロマトグラフィー」の異名を持ち、どんな匂いも嗅ぎ分ける。いくつもの武術をマスターし、必要なこと以外は口を開かない。まさに日本の漢。そんな黒崎とは裏腹に、STのキャップたる百合根の話を唯一聞いてくれるのが、実家が曹洞宗の寺で自らも僧籍を持つ山吹才蔵。殺人事件の現場で彼が経を唱え始めれば、誰もが作業の手を止め、神妙な面持ちになる。

とまぁ、すごい行数使って紹介してみましたが…とりあえず解るのはこの「ST」シリーズはキャラ萌え小説だってことですキャラ萌え小説に見せかけた本格ミステリだってことです(ちょっと突飛だけどそう云えないこともないと思う…たぶん)

んで、今回の『為朝伝説殺人ファイル』なんですが…すっかり旅小説になっちゃってました。私、嫌いなんですよねぇ…「取材費が出たので行ってきました観光!もちろん、作品に還元させていただきますよ。ぐふぐふふ」的小説が。今回の『為朝伝説殺人ファイル』はかなりそんな匂いがしました。黒崎でなくても嗅ぎ分けられる程に!

為朝伝説の方は某QEDシリーズで慣らした私にとっては可愛らしいものです。まさにこれくらいがエッセンスよね。歴史薀蓄本にエッセンスとしてミステリ混ぜてみました、じゃ駄目よねやっぱり。

まぁ、腐女子としては今回も青山のプロファイリングが役に立って良かったです、はい。(えっ?ミステリ部分のレビューってこれだけで終わり!?)

とりあえず、手元に次巻の『桃太郎伝説殺人ファイル』があるのですが…このままの勢いで読んでしまおうか何か間に挟もうか悩み中です。だって、また同じような「取材費が出たので」小説だったら嫌だ。

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2008年4月19日 (土)

『果断 隠蔽捜査2』 今野敏

果断―隠蔽捜査2 Book 果断―隠蔽捜査2

著者:今野 敏
販売元:新潮社
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歩む道がキャリアの道でなくとも

自分の信じるものさえあれば、真っ直ぐ進むことができる

たとえそれが、混乱する現場の最中であっても

最高に愉しめました!

前作『隠蔽捜査』も良かったけれども、ちょっとだけ可愛くなった竜崎(そう思いません?)が最後まで愉しませてくれた素敵な一冊。もう、とにかくオススメしちゃう。

『隠蔽捜査』で家族の不祥事により左遷の道を選ばずにおれなかった竜崎。それは「東大以外は大学じゃない」と言い切り、キャリアの道を真っ直ぐに登ってきた竜崎の初めての挫折であったはずなのに。それでも竜崎の歩みは脇道に逸れることなく、自分の信念と合理性を信じ貫き、真っ直ぐとただ前へと。

竜崎の左遷先は因縁の大森署。署長としてただただ判を押すだけの非合理な仕事を繰り返す日々。そんな日々に一発、いや二発の弾丸が。署内で起こった飲食店立て籠もり事件と、妻の不調。混乱する立て籠もり事件現場で、指揮官としてひとつの決断、いや果断を下した竜崎。その果断によって人質は無事解放されたが…そこからが竜崎が足を踏み入れた獣道。苦難の始まりです。

とにかくもう、二度目の左遷決定おめでとう状態だった竜崎が下した果断には眼を見張るものがあります。物語後半のジェットコースター感は最高。頁を捲る手が止まりません。しかも、そんな竜崎を補佐すべく立ち回る大森署の面々がまた素敵なんですよ。能面副署長が破顔した瞬間なんて、ちょっと胸が熱くなりますよ。前作の問題児・戸高も良い仕事してくれましたし。SIT&SATのふたりも素敵、特にSITの下平が一言申し上げた瞬間なんて。

相変わらず伊丹の天然ずる賢さも光っておりましたが。そんな伊丹も方面本部長に一発食らわしてましたしね。あのシーンも好きです。副署長びっくりの判子押しながらトークなんて、『果断』の名シーンのひとつだと思っております。

名シーンといえば、竜崎が「何度目だナ○シカ」に感動したときのあの素直さったらなかったですね。息子ともうまくやれてるじゃないですか。娘にどのボタンを押せば風呂が炊き上がるのかを聞く竜崎も超めんこかったです。竜崎、絶対可愛さ増してるよ!

とにかく、竜崎がもの凄く良い方向に向かっていて嬉しかった&作品としてのクオリティも素晴らしかった一作。とにかくオススメしちゃう。ただ、『隠蔽捜査』を先に読まれることをオススメします。そうすると、竜崎の可愛さがわかるはず。どうでも良いんですが、竜崎は私の脳内で勝手に水○豊さんになります。『相棒』の見過ぎだってばよ!

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2007年12月27日 (木)

『隠蔽捜査』 今野敏

隠蔽捜査 Book 隠蔽捜査

著者:今野 敏
販売元:新潮社
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東大以外は大学じゃない。

国家公務員Ⅰ種試験に合格し、官僚として、キャリアとして、我が道をただひたすら進む竜崎に訪れる危機。

竜崎は自ら信じる道を進むことができるのか。それとも?

「このミス!2008」第4位にランクインした『果断』がとっても面白そうで、つい手に取ってしまった『隠蔽捜査』。少し前の自分なら面白いと思えなかったであろう警察小説ですが、横山秀夫に嵌まってからはこの手の作品が読みたくて読みたくて仕方が無い。とにかく読んで良かった『隠蔽捜査』。初っ端からお勧めです。

同期入庁のキャリアからも「変人」と噂される竜崎。自分がキャリアであることを強く意識し、家庭も家族も顧みることの無い彼を、最初は嫌な奴だと思ったんですよ。でも、読み進めるうちに「そうじゃない」と。彼には彼なりの理論がある。その理論が自分の保身や利益のためだけにあるのなら、ただの鼻につく奴なんですが…彼の理論はちょっと違うんですよね。自分がキャリアたるのは、正義を貫くがため。世の中にはキャリアにしかできないことがあり、地位が上がるにつれて増えてゆく権力が欲しい、なぜなら世を(警察組織)を正しい方向に導きたいから…って、いまどきこんな風に考える人間居ないってばさ。

そんなゴーイング・マイ・ウェイ官僚の前に立ちはだかるのが、警察の不祥事と家族の不祥事。警察組織を正しく導かんとする彼には、その不祥事を揉み消そうとする他のキャリアが許せない。不祥事を「揉み消しなんてしねぇで、開口一番に謝っちまおうぜ!」という彼の主張は、リスクを最小限に抑えることを目的とした「危機管理」なのですが…そんな風に腹を括れる人間はそうそう居ない。しかも、同じ理論で家族の不祥事も揉み消し(せっかく本作のタイトルが『隠蔽捜査』なんだから、隠蔽って言葉を使えば良いのに…)もしない彼。なぜなら、片方を揉み消してしまうことで、彼の正義の理論は破綻してしまうから。彼の意識はその破綻を許すことができないんですね。

信じる道を進めために、自ら後退することを望んだ、そんな男の物語がこの『隠蔽捜査』です。『果断』は竜崎が後退した先での事件だって言うんだから…『果断』を読まずに何を読む。幼なじみで憎しみの対象であった伊丹と和解(?)したことで、どんな変化が竜崎に訪れたのか。気になる。

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