■倉知淳

2016/03/18

『片桐大三郎とXYZの悲劇』 倉知淳

2016年本ミス2位、このミス7位。ドルリー・レーンの悲劇四部作へのオマージュにあふれた短編集。

近年の倉知作品から考えるとかなり骨太。しっかり本格してます。ドルリー・レーンの悲劇四部作を読んでおいた方が何倍も楽しめるはず。私も悲劇四部作は既読ですが、もう15年は前のことですのでほぼ忘れていると言っても過言ではなく、何倍も楽しめなかった口です。覚えていたのはレーンの耳が聞こえないことくらい。とほほ。

冬から始めて秋まで4つの章(短編)が収録されておりますが、「夏の章」の真相がとにかく胸糞悪いです。それを引きずったまま「秋の章」を読んだので、せっかくの趣向をまったく楽しめなかったのが個人的な反省点。インターバルを取れば良かった。もっとも論理的で綺麗だと思ったのは「春の章」でした。

本当に「夏の章」がトラウマ。これは悪い意味で真相忘れられない作品です。ラスト2行がとても重く、なんだか胸に刺さりました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016/02/28

『猫丸先輩の空論』 倉知淳

ブログ開始前に読んだ名作を再読中。

前作『猫丸先輩の推測』よりも飛躍幅が大きくて、まさに『空論』のタイトルが相応しい本作。個人的には「とむらい自動車」が一番納得いく作品。八木沢くんがまるで死んだかのように振る舞うのが猫丸先輩らしい。

「水のそとの何か」は冒頭に軽い叙述トリックがありますね。最後までトリック仕掛けたままいって欲しかったと叙述スキーは思います。ダイイングメッセージについてまとめられているので必読。

個人的に微妙なのは「な、なつのこ」ですね。犯人に責任とらせればいいと思うのは冷たいでしょうか。

猫丸先輩ものは『日曜の夜は出たくない』『過ぎ行く風はみどり色』が既読未レビューなので年内再読を目標にしたいものです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016/02/15

『猫丸先輩の推測』 倉知淳

ブログ開始前に読んだ名作の再読が今年の目標。本日は日常の謎モノの代表作『猫丸先輩の推測』です。

ノベルス版の発売が2002年。当時はまだ人が死ぬミステリが主流で、日常の謎モノは少なかったように記憶しております。今はもう逆転したと言っても過言にならないかな。

個人的ベストは何と言っても「失踪当時の肉球は」です。語り口が違うだけでああもハードボイルドになるとは。猫丸先輩の推測も好きです。むしろ、収録されている作品のなかでいちばん説得力というか真実味というか理論的であったと思います。ちくわにつられてヒノマルちゃんが見つかると良いけれど。

猫丸先輩がラジオで聞いたアイドルの傲慢にハッとさせられた「夜届く」も好き。あの観点で世を見ているからこそ猫丸先輩なのだと思わせる1作。

「カラスの動物園」の妄想劇場は読むのがキツかった。推測も正直微妙かなあ。そして、ねこまるたろうくんは売れないと思…ったけれど、某妖怪ゲームに似たような兄弟の人気キャラがいるので案外売れるのかもしれない()

猫丸先輩と言えば思い出さずにはおれない、唐沢なをきさんのイラストもいい。猫丸先輩の新作が読みたいものです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2015/01/17

『シュークリーム・パニック Wクリーム』 倉知淳

『シュークリーム・パニック 生チョコレート』の姉妹編。ようやくタイトルのシュークリームにまつわる話が収録されましたが、ミステリとしてもギャグとしてもくだらn…残念な一冊。

「名探偵南郷九条の失策 怪盗ジャスティスからの予告状」もネタの何番煎じかなんて関係なく、伏線の張られ方(描写、文章)がわかり易すぎて。明らかに一人称の視点で書かれてるじゃないですか。もう少し(もちろんアンフェアにならずに)三人称っぽい文章にしてくれたら。倉知氏ならそれができると思っていただけに少しショックでした。

とりあえず、分冊にして出す必要性はあったのでしょうか?

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2015/01/08

『シュークリーム・パニック 生チョコレート』 倉知淳

なぜこの表紙だったのか。というか、シュークリームがパニックするようなお話はひとつもなかったわけですが、姉妹編を読めば氷解するのでしょうか。しないような気がします。

収録されている作品は3編。どれもこれも普通、半年後に内容話してみろって言われても話せないような気がします。敢えて挙げるなら「現金強奪作戦!(但し現地集合)」が好み。「強運の男」は本当にただの強運の男だったのが残念。そこにいかさまがあって、男がどんな目的でこのゲーム(いかさま)を仕掛けてきているのかを探る方が絶対に面白かったと思う。

「夏の終わりと僕らの影と」は9割青春小説で読むのがとてもつらかったです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/12/27

『メフィスト 2009年1月号』

メフィスト 2009年 01月号 [雑誌] Book メフィスト 2009年 01月号 [雑誌]

販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

久しぶりにメフィスト買いました。西尾維新氏の『きみとぼくの壊れた世界』もんだい編が掲載された号を買ったのが最後かと思いますので…何年ぶりでしょうか少なくとも5年は経ってますね月日の流れるスピードが異常だ歳ですか?では、そんな浅いお付き合いしかしていないメフィストを今回購入した契機ですが、

40代のタタル&熊を拝みたかったからに相違ありません

でも、それだけじゃない。今回のメフィストは私のスキスキ作家さんが多くてにんまり。以下、連載以外で私が読了した作品(しかも読んだ順)のレビューです。

「QED~flumen~ 出雲大遷宮」 高田崇史
残念ながらタタルの嫁情報は入手できませんでしたが、それでもいろいろと無視できない情報が散りばめられておりました本作。まず、タタルたちが“あの事件”と呼ぶ9年前の事件。どうやらこの事件がQEDの終焉となる模様ですが…舞台は出雲ですか(出雲に足を踏み入れることはないようですが)なんか、ついに本丸に攻め込んだ感じですね。そして、その事件の鍵を握る(らしい)中島晴美…正直「誰それ?」状態だったのですが、『QED~flumen~ 九段坂の春』に登場した奈々の同級生だそうで。全く覚えておりませんでしたてっきりモブかと。そう思って『九段坂の春』再読中なのですが、やっぱりモブでしたし。そして、なによりもなによりも見逃せない情報が。熊、子連れ女性と結婚したんですか!?なんか熊っぽい選択ですね違和感なく受け止められました。子どもの名は「大地くん」だそうで。きっと終焉までには「大地くんの母親」も登場してくれると思うので(まさか既出ってことはないよね!?)その辺りにも注目しつつ残り3作のQEDを追いかけてゆきたいと思います。しかし、タタルってば狐憑きからは卒業したようで大人になりましたね。

「薬剤師とヤクザ医師の長い夜」 椹野道流
QEDトリビュートとして登場した本作。椹野道流氏と聞いてもピンとこなかったのですが、ミチルンと聞いて「あぁ!」高田崇史氏のエッセイでお馴染みのミチルンじゃないですか。さて、そんなミチルンの「伊月崇」と本家QEDの「桑原崇」というW崇でお送りする「薬剤師とヤクザ医師の長い夜」。タタルが若干別人ですが、トリビュートだし挿絵のタタルが異常に男前だったので成績は「優」。あの環境下で出雲大社あたりの薀蓄を語り出したら本物のタタルだったんですけれど(笑)でも、本作ではお目にかかれない漢方薬局勤務のタタルが垣間見れてやっぱり満足でした。これを契機にミチルンの作品にも手を伸ばしてみようと思います。ティーンズからだけでなく、講談社ノベルスからも「鬼籍通覧(伊月崇)シリーズ」が出ているようですし。そういえば、「薬剤師」と「ヤクザ医師」が「やくざいし」でかかってますね。いま変換してみて始めて気がつきました(駄目な仔)。

「零崎人識の人間関係 無桐伊織との関係」 西尾維新
零崎シリーズラストを飾る『零崎人識の人間関係』。ノベルス化したときに一気に読むべきか…と一瞬だけ悩みましたがそれも一瞬。読んで良かった崩子ちゃん可愛いよハァハァ。勝手に『人間関係』は長編だと思っていたのですが、『零崎曲識の人間人間』と同様に短篇をいくつかまとめる形式なんですね。wikiによると「匂宮出夢との関係」「無桐伊織との関係」「零崎双識との関係」「戯言遣いとの関係」とのこと。これでふたつ目が発表されたことになるのですね。俄然「零崎双識」と「戯言遣い」が気になるところですが…どっちか書き下ろしにしないと販売戦略上マイナスでしょうから、ってそんなこと私が気にするところじゃないかそれよりもなによりも崩子ちゃん可愛いよハァハァ。「無桐伊織との関係」とは言いつつも主役は戯言遣いの抱き枕=闇口崩子ちゃんと、その存在自体が主役=哀川潤の両者かと。死神の最期の願いを叶えるべく闇口衆の拠点たる大厄島に乗り込んだ4人。4人の前に立ち塞がるは生涯無敗結晶皇帝(凄いネーミング)。「かけっこ」であり「鬼ごっこ」でもある大厄ゲームの詳細は省きますが、崩子ちゃんと伊織ちゃんの戦いは良かったですねキュンキュンします。やっぱり戯言シリーズは女の子が可愛い。女の子が涙流しながら頑張っている様を読むのは嬉しい…って私はどんな変態だ。人識の人間関係については4篇で1作だと思いますので、それはノベルス化したときにたっぷりじっくり語りたいと思います。戯言シリーズの後日談とも言える本作、はやく全部通して読みたい!

「密室殺人ゲーム2.0 Q5 三つの閂」 歌野晶午
『密室殺人ゲーム大手飛車取り』の第2弾である本作。その5問目です。前作をべた褒めしました私ですが、本作もその遊び心はそのままに出題レベルもそのままに、とにかく嬉しいはやくノベルス化して欲しいこれまでの4問も読みたい!今回のお題は雪密室。雪密室に対する登場人物たちのツッコミ(「積雪の条件が整うまで、ひたすら何年も待ちますか?中略。だったら雪の密室トリックなぞ使わず、別の方法でさっさと殺しますよ」)とか互いへの罵倒とか…あぁ、気持ち良い。殺人現場の情景も美しいですよね。処女雪に聳え立つ透明ボックス…まさに非日常的非現実的ファンタジーですよ。ボックスが自作ってところがミステリ的には残念ですが、その頑張りには涙です。前作はラストに蛇足感ありましたが、本作はどんなラストでもってゲームを終わらせるのでしょうか。それも楽しみです。

「隙魔の如き覗くもの」 三津田信三
長篇だけかと思っていたら短篇でも美味しくいただけるんですね刀城言耶シリーズ。今回の怪異は隙間から現在過去未来、心の隙間に付け入る幻を見せる隙魔。隙魔が隙間に見せるは小学校校長が鬼に追われる幻…けれど、その校長が虐殺されたと知っては?刀城言耶シリーズらしいアリバイ崩しは健在。納得のゆく結末に思わずにんまり。動機を蔑ろにし(頁数の関係やもしれませんが)殺害機会の点だけで犯人指摘するその美しさにうっとりです。

「答えのない絵本」 麻耶雄嵩
メル久しぶり!というか麻耶雄嵩氏久しぶり!新刊というものをここ数年拝見しておりませんが…久しぶりの新作がこんなバカミスだなんて(笑)ロジックではこうなるのかもしれませんが、こんなのが認められるわけないじゃないですか!?衝撃のラストへあなたを誘うって本当だよ!是非読んでください。ラスト直前まではバッキバキの本格です。可能ならばラスト直前で自分なりの犯人を見付け、そこでメフィストを閉じていただけたら。

「嘘つき紳士」 北山猛邦
ミステリというよりはセンチメンタル…かと思いきやなんとも後味の悪い感じ=私の好み作品きました。ハートウォーミングな結末が待っているに違いないと思っていただけに、この裏切られた感が堪らないですね。『キョーコ』はどんな気持ちであんなピュアなメールを打っていたのだろうその心の闇を覗きたい。でも、TOKYOにそんな力があるかどうかは…疑問。

「トーキョー語り」 辻村深月
新刊2冊放置してメフィスト短篇から読ませていただきましたが…やっぱり高校生くらいの女の子の心情を描くのが巧いですなぁ。なにか劇的な出来事が起こるでもなく、劇的な出来事を起こすでもなく。私たちの身にも起こりそうな起こっていたような日常を切り取っているはずなのに、なんとなくキラキラ。本作には一美というキャラクタが登場するのですが、まぁ居ますねこういう悪い女。少なくとも私の中には居る。そして、そんな一美(私)にしてみたら主人公のさくらは鼻につきますよ。篤志の「イライラする」件はまさに。だけど、そこはトーキョーじゃないから知らないふりは出来ないから、だからいっしょに過ごすしかないの。そして、せっかくいっしょの時を過ごすなら、楽しいほうが良いに決まってるじゃない。そんな当たり前のことを当たり前に描いた作品だと思う。だから、特に特質すべき点はありませんの。

「Aカップの男たち」 倉知淳
倉知淳氏久しぶり!と思ったらそんなバカ作品とは(笑)最近男性用ブラジャーが話題になってますが、倉知淳氏がさっそく作品に取り入れてきました。作品は一応ミステリ風味ですが、それよりもブラジャーの件が印象強くって特に感慨はございません。それよりもゴ○ゴサイドから叱られませんか?スナイパーがブラジャーって(笑)

だんだんレビューが短くなくなるテキトーになるのはご愛嬌ということで。この他にも法月綸太郎氏のグリフィンシリーズの連載も始まったのですが…連載もの読んじゃうと次のメフィストも欲しくなるなるからなぁどうしようか悩み中。でもグリフィンシリーズはなかなか面白かったので、絶対読みたくなるんだと思います。
  

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2008/04/20

『星降り山荘の殺人』 倉知淳

星降り山荘の殺人 (講談社文庫) Book 星降り山荘の殺人 (講談社文庫)

著者:倉知 淳
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

雪に閉ざされた山荘で起こる殺人事件

事件の起こったコテージに残された1筋の足跡

そして…ミステリーサークル

倉知淳氏の作品の中で、最も本格、最も好きな作品です。猫丸先輩も好きだけど、やっぱり「騙されたっ!あぁ、騙されちゃった!!」ってごろんごろんした作品というのは忘れられないものです。

というわけで、倉知氏にしては珍しい(?)バッキバキの本格ミステリが本作『星降り山荘の殺人』です。私が所有しているのはノベルス版なのですが、最終頁の最新巻お知らせには『笑わない数学者』や『コズミック』、新宿少年探偵団シリーズなんかが名を連ねております…講談社ノベルス全盛期じゃないですかっ!?これだけでも、その“本格度合”が解ろうってもんです(嘘です)

ますは、本格ミステリに必須のクローズドサークルですよ、皆様。奇しくもアフィリの帯が“真夏のミステリーズ”となっておりますが(笑)本作は閉ざされた雪の山荘ものですので悪しからず。んでもって、雪の山荘ものとセットと云っても過言ではない“足跡の問題”も当然登場します。ほら、ワクワクしてきたでしょ?そして、謎のミステリーサークルまでも登場。こういう奇天烈な現象がミステリに絡んでくると、肝心の結末をも奇天烈なものになりがちですが(笑)本作はその点もしっかりと克服してくれているのが嬉しい。

んでもって、ここからばっちりネタバレしますが、実は本作には叙述トリックまでもが仕掛けられております。これがね、巧いんですよ。シーン転換の枕に作者からの注釈(?)が入っているのですが(「本編の探偵役が登場する」とか「重要な伏線がいくつか張られているからである」とか)この注釈にすっかり騙された口ですね、私は。だって、まさか、

探偵役だと思わせといて、実は犯人ってどんだけっ!?

真相が指摘された瞬間にゾクゾクッときましたよ。しかも、直前に提示された真相がダミーだと読者に思わせといてですよ?ダミー真相はダミー真相でも違う方向へのダミーだっていうんだからっ!(読んだ人なら解ってくれるはず。このダミー連呼を)すっかり杉下くんといっしょにダミー真相を信じておりましたとも。真相は二転しましたが、心の中での一転を加えると三転したって感じです。

倉知氏の作品の中ではこれがベストだと本気で思います。真正面から「本格」に挑んだ本作という紹介文は嘘じゃない。本格ミステリスキーの方に是非読んで頂きたい一作です。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2006/06/09

『壷中の天国』 倉知淳

壷中の天国 Book 壷中の天国

著者:倉知 淳
販売元:角川書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

長閑な地方都市で突如として起こった連続殺人事件。

殺人現場に残された謎の怪文書の意味するところは?

そして、被害者たちを結ぶミッシング・リンクとは?

この『壷中の天国』のミステリでは無い部分を省くと、おそらく5分の1くらいになるのではないでしょうか?それほどミステリとしての要素が薄いです。

残りの5分の4については

電波とオタクとゴシップで埋め尽くされております。

文章は倉知氏らしく読み易いのだけれど、それに騙され続けるにも限度がございます…。「すべて伏線で、ラストにはビシッ!と回収してくれるに違いないわ!!」と期待と欠伸を噛み締めながら読んだのですが、あくまでも電波とオタクとゴシップでしかありませんでした…。残念。

登場人物は皆さん、魅力的なのですがね。ただ、ゴシップの対象として魅力的なだけであって、推理小説の登場人物としてはちょっと…。だって、ミステリの部分なんて5分の1なんだもの。探偵役(?)の推理も「で?」ってなもんで、絶対真面目に調査している警察が1ヵ月近くもかかって犯人を検挙できないはずがない。警察の動向がさっぱりと描かれておりませんのでわかりませんが、きっと集団昼寝を繰り返していたに違いない。

あと、ミッシング・リンクもちょっとね。電波を受信する異常者の心中は私には理解できませんでした…。というか、あれが殺害の理由なら、もっともっと死体が増えているはずだもの。いまや、あんなもの世の中のどこにでも溢れ還っておりますよ。

というわけで、倉知氏の作品の中で一番合わない作品でございました。残念。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/05/28

『幻獣遁走曲』 倉知淳

幻獣遁走曲 Book 幻獣遁走曲

著者:倉知 淳
販売元:東京創元社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

今日も我らが猫丸先輩はアルバイトに勤しむ。

そこで遭遇する不可解な事件を、あっという間に解決できるのはそう猫丸先輩しかいないのだ!

たたかえ たたかえ 猫丸先輩。

名探偵といえば、奇人変人ナルシスト人に厳しく自分に甘く…とにかく人間としてどうよ?というキャラクタが多い中、その最たる存在として君臨するのが我らが猫丸先輩です。

どう見ても30過ぎのおっさんには見えない童顔に、くりくりおめめ。名は体を表すの如く、猫のように愛らしいその容姿に騙されてはいけません!30歳過ぎても定職を持たず、フリーアルバイターとしておもしろアルバイトにのみ精を出し、「どうやって生活しているのさ?」という質問には「後輩にたかって…」と回答するのが満点に違いないという名探偵が猫丸先輩です。

猫丸先輩が解決するのは“日常の謎”。シリーズ当初は殺人事件も扱っていたように記憶しておりますが(『過ぎ行く風はみどり色』ってそうでしたよね?叙述トリックばかりが鮮明で、肝心の物語はすっかり忘れてしまいました)最近では専ら後輩持込みの謎ばかりを(飯代を対価として)解決しております。この『幻獣遁走曲』では「猫丸先輩のアルバイト探偵ノート」の副題通り、アルバイト先で遭遇したちょっとした謎を猫丸先輩が解決してみせるという手法です。

さて、5つのアルバイトを今作でやってのけた猫丸先輩。私の好みは「寝ていてください」でしょうか。(はい。ここから「寝ていてください」のネタバレを致します。ご注意)この作品で猫丸先輩が勤しむアルバイトは「抜き」です。製薬会社が新しく開発した薬のテストのために、ボランティアを雇って薬を飲ませ血液を採取するというもの。バイト自体は薬を飲む→採血→寝る→薬を飲むのリピートなので、難しい仕事では無いのですが、自分が飲んでいる薬がどんな薬なのか全く知らされないというところに、このアルバイトの危険性があります。自然と薬の副作用で死に至り、それが闇のうちに抹殺された…なんて噂も出てくるわけで。この「寝ていてください」の中でも採血に行ったまま帰ってこなかったボランティアの謎が提示されるわけです。すったもんだの会話のあとに猫丸先輩が示した解答は善意の解答。彼は死んだわけでも闇に葬られたわけでもなく、バイト期間が終了したから帰っただけであるというのが猫丸先輩の解答なのですが、それって本当?と思ってしまいました。猫丸先輩のロジックに曇りは無いのですが、根拠も薄いのですね。猫丸先輩は周りの人間を安心させるためにこういった“善意の解答”を提示することがあります。私は猫丸先輩の口は悪いけど中身は優しいとことが好きだったりするのですが…。

だらだらと書いたわりに、よくわからない文章になってますね。反省。

とにかく、奇人変人名探偵の中でも一捻り効いた探偵ものが読みたいという方は是非猫丸先輩シリーズをお読みくださいませ。

| | コメント (2) | トラックバック (1)

2006/04/16

『ほうかご探偵隊』 倉知淳

ほうかご探偵隊 Book ほうかご探偵隊

著者:倉知 淳
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

ついに僕が不用物連続消失事件の第4の被害者に!

クラスの要らないものばかりを盗んでいるのは誰なのか?

ほうかご探偵隊が真相に挑む。

やっぱり倉知氏の作品に唐沢なをき氏のイラストは合うなぁ…ゴールキーパーの彼の惚けた顔なんか最高です!

と、いきなり本編とは関係の無い感想で申し訳。

倉知氏のミステリーランドは大人用と少年少女用に二つオチが用意されていて、なかなか楽しめました。ちょっと猟奇的な大人用と円満解決の少年少女用。ひねくれた大人代表の私としては大人用のオチの方が好きです。だってミステリだもん。

さて、今回の探偵役であります龍之介くんはやっぱり○○先輩の○っ子(先輩が隠れていない辺り伏字ではないな)なのでしょうか?もしそうなら、どんなひねくれた大人になってしまうのか、お姉さんは心配です。

特に決まった仕事はしてないみたいだけど…って主に後輩にタカって生きてるのだよ。いや、私も○○先輩好きですよぉ。まるで猫のように愛くるしいおめめをした先輩が。

さて、今回の作品で妙に納得の面白い解釈がひとつありました。怪人二十面相は変装した姿を目撃してもらえるまで、じっとじーっと待ってなくてはならない…というもの。可愛いよね、とっても!

「びっくりするだろうなぁ。むふふ。」なんて独り言を呟きながら物陰に隠れて何時間も待ち続ける怪人二十面相。可愛すぎる。

怪盗は前から好きですが、もっと怪盗が好きになっちゃいました!いや、奇想天外なカッコした怪盗ばかりじゃないですが。

| | コメント (0) | トラックバック (0)