2008年4月20日 (日)

『星降り山荘の殺人』 倉知淳

星降り山荘の殺人 (講談社文庫) Book 星降り山荘の殺人 (講談社文庫)

著者:倉知 淳
販売元:講談社
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雪に閉ざされた山荘で起こる殺人事件

事件の起こったコテージに残された1筋の足跡

そして…ミステリーサークル

倉知淳氏の作品の中で、最も本格、最も好きな作品です。猫丸先輩も好きだけど、やっぱり「騙されたっ!あぁ、騙されちゃった!!」ってごろんごろんした作品というのは忘れられないものです。

というわけで、倉知氏にしては珍しい(?)バッキバキの本格ミステリが本作『星降り山荘の殺人』です。私が所有しているのはノベルス版なのですが、最終頁の最新巻お知らせには『笑わない数学者』や『コズミック』、新宿少年探偵団シリーズなんかが名を連ねております…講談社ノベルス全盛期じゃないですかっ!?これだけでも、その“本格度合”が解ろうってもんです(嘘です)

ますは、本格ミステリに必須のクローズドサークルですよ、皆様。奇しくもアフィリの帯が“真夏のミステリーズ”となっておりますが(笑)本作は閉ざされた雪の山荘ものですので悪しからず。んでもって、雪の山荘ものとセットと云っても過言ではない“足跡の問題”も当然登場します。ほら、ワクワクしてきたでしょ?そして、謎のミステリーサークルまでも登場。こういう奇天烈な現象がミステリに絡んでくると、肝心の結末をも奇天烈なものになりがちですが(笑)本作はその点もしっかりと克服してくれているのが嬉しい。

んでもって、ここからばっちりネタバレしますが、実は本作には叙述トリックまでもが仕掛けられております。これがね、巧いんですよ。シーン転換の枕に作者からの注釈(?)が入っているのですが(「本編の探偵役が登場する」とか「重要な伏線がいくつか張られているからである」とか)この注釈にすっかり騙された口ですね、私は。だって、まさか、

探偵役だと思わせといて、実は犯人ってどんだけっ!?

真相が指摘された瞬間にゾクゾクッときましたよ。しかも、直前に提示された真相がダミーだと読者に思わせといてですよ?ダミー真相はダミー真相でも違う方向へのダミーだっていうんだからっ!(読んだ人なら解ってくれるはず。このダミー連呼を)すっかり杉下くんといっしょにダミー真相を信じておりましたとも。真相は二転しましたが、心の中での一転を加えると三転したって感じです。

倉知氏の作品の中ではこれがベストだと本気で思います。真正面から「本格」に挑んだ本作という紹介文は嘘じゃない。本格ミステリスキーの方に是非読んで頂きたい一作です。

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2006年6月 9日 (金)

『壷中の天国』 倉知淳

壷中の天国 Book 壷中の天国

著者:倉知 淳
販売元:角川書店
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長閑な地方都市で突如として起こった連続殺人事件。

殺人現場に残された謎の怪文書の意味するところは?

そして、被害者たちを結ぶミッシング・リンクとは?

この『壷中の天国』のミステリでは無い部分を省くと、おそらく5分の1くらいになるのではないでしょうか?それほどミステリとしての要素が薄いです。

残りの5分の4については

電波とオタクとゴシップで埋め尽くされております。

文章は倉知氏らしく読み易いのだけれど、それに騙され続けるにも限度がございます…。「すべて伏線で、ラストにはビシッ!と回収してくれるに違いないわ!!」と期待と欠伸を噛み締めながら読んだのですが、あくまでも電波とオタクとゴシップでしかありませんでした…。残念。

登場人物は皆さん、魅力的なのですがね。ただ、ゴシップの対象として魅力的なだけであって、推理小説の登場人物としてはちょっと…。だって、ミステリの部分なんて5分の1なんだもの。探偵役(?)の推理も「で?」ってなもんで、絶対真面目に調査している警察が1ヵ月近くもかかって犯人を検挙できないはずがない。警察の動向がさっぱりと描かれておりませんのでわかりませんが、きっと集団昼寝を繰り返していたに違いない。

あと、ミッシング・リンクもちょっとね。電波を受信する異常者の心中は私には理解できませんでした…。というか、あれが殺害の理由なら、もっともっと死体が増えているはずだもの。いまや、あんなもの世の中のどこにでも溢れ還っておりますよ。

というわけで、倉知氏の作品の中で一番合わない作品でございました。残念。

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2006年5月28日 (日)

『幻獣遁走曲』 倉知淳

幻獣遁走曲 Book 幻獣遁走曲

著者:倉知 淳
販売元:東京創元社
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今日も我らが猫丸先輩はアルバイトに勤しむ。

そこで遭遇する不可解な事件を、あっという間に解決できるのはそう猫丸先輩しかいないのだ!

たたかえ たたかえ 猫丸先輩。

名探偵といえば、奇人変人ナルシスト人に厳しく自分に甘く…とにかく人間としてどうよ?というキャラクタが多い中、その最たる存在として君臨するのが我らが猫丸先輩です。

どう見ても30過ぎのおっさんには見えない童顔に、くりくりおめめ。名は体を表すの如く、猫のように愛らしいその容姿に騙されてはいけません!30歳過ぎても定職を持たず、フリーアルバイターとしておもしろアルバイトにのみ精を出し、「どうやって生活しているのさ?」という質問には「後輩にたかって…」と回答するのが満点に違いないという名探偵が猫丸先輩です。

猫丸先輩が解決するのは“日常の謎”。シリーズ当初は殺人事件も扱っていたように記憶しておりますが(『過ぎ行く風はみどり色』ってそうでしたよね?叙述トリックばかりが鮮明で、肝心の物語はすっかり忘れてしまいました)最近では専ら後輩持込みの謎ばかりを(飯代を対価として)解決しております。この『幻獣遁走曲』では「猫丸先輩のアルバイト探偵ノート」の副題通り、アルバイト先で遭遇したちょっとした謎を猫丸先輩が解決してみせるという手法です。

さて、5つのアルバイトを今作でやってのけた猫丸先輩。私の好みは「寝ていてください」でしょうか。(はい。ここから「寝ていてください」のネタバレを致します。ご注意)この作品で猫丸先輩が勤しむアルバイトは「抜き」です。製薬会社が新しく開発した薬のテストのために、ボランティアを雇って薬を飲ませ血液を採取するというもの。バイト自体は薬を飲む→採血→寝る→薬を飲むのリピートなので、難しい仕事では無いのですが、自分が飲んでいる薬がどんな薬なのか全く知らされないというところに、このアルバイトの危険性があります。自然と薬の副作用で死に至り、それが闇のうちに抹殺された…なんて噂も出てくるわけで。この「寝ていてください」の中でも採血に行ったまま帰ってこなかったボランティアの謎が提示されるわけです。すったもんだの会話のあとに猫丸先輩が示した解答は善意の解答。彼は死んだわけでも闇に葬られたわけでもなく、バイト期間が終了したから帰っただけであるというのが猫丸先輩の解答なのですが、それって本当?と思ってしまいました。猫丸先輩のロジックに曇りは無いのですが、根拠も薄いのですね。猫丸先輩は周りの人間を安心させるためにこういった“善意の解答”を提示することがあります。私は猫丸先輩の口は悪いけど中身は優しいとことが好きだったりするのですが…。

だらだらと書いたわりに、よくわからない文章になってますね。反省。

とにかく、奇人変人名探偵の中でも一捻り効いた探偵ものが読みたいという方は是非猫丸先輩シリーズをお読みくださいませ。

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2006年4月16日 (日)

『ほうかご探偵隊』 倉知淳

ほうかご探偵隊 Book ほうかご探偵隊

著者:倉知 淳
販売元:講談社
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ついに僕が不用物連続消失事件の第4の被害者に!

クラスの要らないものばかりを盗んでいるのは誰なのか?

ほうかご探偵隊が真相に挑む。

やっぱり倉知氏の作品に唐沢なをき氏のイラストは合うなぁ…ゴールキーパーの彼の惚けた顔なんか最高です!

と、いきなり本編とは関係の無い感想で申し訳。

倉知氏のミステリーランドは大人用と少年少女用に二つオチが用意されていて、なかなか楽しめました。ちょっと猟奇的な大人用と円満解決の少年少女用。ひねくれた大人代表の私としては大人用のオチの方が好きです。だってミステリだもん。

さて、今回の探偵役であります龍之介くんはやっぱり○○先輩の○っ子(先輩が隠れていない辺り伏字ではないな)なのでしょうか?もしそうなら、どんなひねくれた大人になってしまうのか、お姉さんは心配です。

特に決まった仕事はしてないみたいだけど…って主に後輩にタカって生きてるのだよ。いや、私も○○先輩好きですよぉ。まるで猫のように愛くるしいおめめをした先輩が。

さて、今回の作品で妙に納得の面白い解釈がひとつありました。怪人二十面相は変装した姿を目撃してもらえるまで、じっとじーっと待ってなくてはならない…というもの。可愛いよね、とっても!

「びっくりするだろうなぁ。むふふ。」なんて独り言を呟きながら物陰に隠れて何時間も待ち続ける怪人二十面相。可愛すぎる。

怪盗は前から好きですが、もっと怪盗が好きになっちゃいました!いや、奇想天外なカッコした怪盗ばかりじゃないですが。

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