■霧舎巧

2017/07/08

『新本格もどき』 霧舎巧

綾辻行人、法月綸太郎、安孫子武丸に有栖川有栖など新本格の有名作品を“もどいた”連作短編集。やはり本歌を知った上でにやにやしながら読むのが楽しい。

個人的ベストは館モノとしても十分、登場人物たちにデジャブを感じる「三、四、五角館の殺人」でしょうか。○○トリックの「ニ、三の悲劇」も好き。吉田さんがいきなりナベつかみで話しだす「人形は密室で推理する」も本歌を知っているか知らないかでにやにや度は相当変わってきますね。「13人目の看護師」のぶっ飛んだ感じも。

そして、ラストで明かされる吉田さんの正体はあのシリーズをもどいたものでした。さんざん名探偵を気取って(名乗って)おきながら、最終的に謎を解くのは別の人。あれ?霧舎作品に似たような名探偵がいたような…(って、2人いるのが問題だ)。ああ、開かずの間シリーズの新作が読みたい。

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2016/09/30

『推理は一日二時間まで』 霧舎巧

霧舎巧の新刊が出ると聞いてとても楽しみにしていたのですが、ただただ残念な読了です。

レンタルスペース「秘密基地」で起こる日常の謎を愉快な利用者たちと解決する短編集なのですが、個性的()なキャラクタたちに最後まで馴染めませんでした。会話中心に物語が進んでいくのですが、つまらない小ネタが入ってくるのでテンポは悪いし、分かりにくい。それでも謎の方におもしろみがあればまだ読めるのですが、正直ひとつもおもしろいと思う謎はありませんでした。

最後の謎であり、タイトル『推理は一日二時間まで』の元にもなっている高左右くんの正体も個人的には微妙で、もっと魅力的な結末を期待していました。というか、高左右くんの活躍が中途半端なんですよね。彼が○○だとしても、「秘密基地」の面々が右往左往している横で名探偵気取って謎を解けたはずなんです。そうしないと高左右くんという存在を作った意味がない。それなのにいつもヒントを出す程度の登場しかしないのでオチのカタルシスがないんですよね。

どこを褒めたらいいかわからない、期待していただけにとても残念な1冊でした。やはりガチガチの本格ミステリを読みたい。霧舎巧は今の時代にそれができる貴重な作家のひとりだと思っています。あと、霧舎学園シリーズをなんとか終わらせて欲しいです。

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2013/03/27

『一月は合格祈願×恋愛成就=日常の謎』 霧舎巧

書店で「まさか未だ続いていたとは…」と呟いてしまった私立霧舎学園ミステリ白書、今月の主題は「日常の謎」です。

が、私は「いつ日常の謎が提示されるんだろう」と思っていたんですよね、最後まで。そして、あとがきで各章に小さな日常の謎を潜ませた連作短編集を気取っているみたいなことが書かれていて吃驚。どこに謎があったのだろう…各章でひとつずつ謎が提示されていたということは8つの謎があったってこと?嘘だろ?とまあ、割と本気で思いましたとも。

言われてみれば確かにお賽銭が消えたりといった事件はあったかもしれませんが、探偵が「推理する」という場面がなかったように思うんですよね。観察者(キャラクタ)が状況を確認しただけでなにが起こったのかは明白じゃないですか。どこに謎があったというのか。

キャラクタと言えば大団円に向けて新キャラ(高天原マヤ)が登場しましたが、これまで登場した既存キャラだけでもう誰が誰だか状態なのでお腹いっぱいです。これが毎月発売の大河ノベルだったなら多少登場キャラクタが多くても許されたのかもしれませんが…四月が出たのは何年前だっけ?そして三月はいつ出るのかな…あまり期待しないでいようと思います。そうすれば傑作に出逢えるかもしれないからね!

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2009/12/27

『十一月は天使が舞い降りた見立て殺人』 霧舎巧

十一月は天使が舞い降りた見立て殺人 私立霧舎学園ミステリ白書 (講談社ノベルス) Book 十一月は天使が舞い降りた見立て殺人 私立霧舎学園ミステリ白書 (講談社ノベルス)

著者:霧舎 巧
販売元:講談社
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突然落下してきた臼はさるかに合戦への見立て?

文化祭目前、またもや事件に巻き込まれるふたり

女が謎を紡ぎ、男が謎を解く-霧舎学園シリーズ最新刊

なんというか、超久々のレビューがこの作品(シリーズ)ってのもどうかと思うのですが…ただいま。

とりあえず、御託は並べずにレビュー始めます。っていうか、

で?

っていう出来だったので、あまり書くこともないのですが。いや、もしかしたら『十二月』を読んだら化けるのかもしれませんが…あまり期待はしておりません。

えーっと、書くことないとか云いながら、ツッコミたいことは山程。とりあえず、あとがきからツッコんでおきますか…いきなり引用です。

これまで『私立霧舎学園ミステリ白書』シリーズを読んだことがない方は、どうぞこの作品から読み始めてください。(中略)このあとがきを読んでいるシリーズ未読の方がいらっしゃいましたら、あなたはラッキーです。

って、おい!?過去シリーズのネタバレ(?)てんこもり、過去シリーズのちょい役てんこもりで、既読読者すら置いてけ堀にした癖に未読読者なんて付いて来れるわけあるまい!!
なんだろう、霧舎氏のこの自信はどこから来るのだろう。しかも、

作中のある人物が別の意味を持って行動していたことに気づかれるでしょう。

って、あの「百合」のことじゃないよね?そんな自信満々に云うようなことじゃないと思うのですが。

その他ツッコミどころとしては八重ちゃんのイギリス留学とか…ネタバレ配慮?でも、本当に未読読者が『十一月』から読み始めて『四月』を読んだら…ある意味トリックが成立するかもしれませんね、盲点でした。

あとは保先輩ね。今回はちょっと活躍しましたね。でも、(これは保先輩だけじゃないけど)

その推理が正解かどうか未だ判らないよね!

ミステリなのに…いや、もう既にこのシリーズはミステリではないのかもしれん。最後の最後にどんどん情報出てくるし、かと思えば推理に必要なデータがグレーどころか「僕、真っ黒です!」って主張してるし。やっぱり久しぶりに読んだミステリがコレって…失敗だったかもしれません。

とりあえず、今回の「あかずの扉」シリーズとのリンクは鴻巣玄次でしょうか?これって『虚無』ですよね?「あかずの扉」で『虚無』について語ったシーンなんてあったっけ?あちらもしばらく読んでないからなぁ…っていうか新刊は未だですか?

とりあえず、最終的な評価は『十二月』を読んだ上で!って、もうかなり毒吐いているような気もしますが。

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2009/01/24

『ドッペルゲンガー宮』 霧舎巧

ドッペルゲンガー宮―“あかずの扉”研究会流氷館へ (講談社文庫) Book ドッペルゲンガー宮―“あかずの扉”研究会流氷館へ (講談社文庫)

著者:霧舎 巧
販売元:講談社
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≪あかずの扉≫研究会へようこそ

この研究会では≪あかずの扉≫の真相を、歴史を、真贋を

調査し、壊さずに開けてみせます

そこからなにが飛び出すかは…おたのしみに

消化すべく再読。まだ半分にも到達していないんですかさくさく読み進めているような気がしたのは錯覚か…受賞作レビュ。

メフィスト受賞作の中でも新本格の色合いが特に強い、霧舎巧氏の≪あかずの扉≫シリーズが本日のメニュー。とんと新作が発表されておりませんが…あと2~3作は続きます設定も決まってます、みたいなことを霧舎氏が仰った(書いた)ものを読んだことがあるような気がするのですが。このトリアタマの捏造でしょうか。

なんてったって、このトリアタマは『ドッペルゲンガー宮』の印象も捏造してましたから。

あれ?こんなに読み難かったっけ?

あぁ、毒吐いたまた毒吐いちゃった。でも、「名探偵、皆を集めてさてと云い」の前に棄却した意見(推理)の再登場率高すぎる。しかも、文章が下…むにゃむにゃ…なので、その推理が棄却されたのかグレーのまま維持されたのかよーわからんのですよ。

いろんな要素詰め込みましたミステリ愛!は充分に感じるんですけれど。館モノ、モチーフに『そして誰もいなくなった』、W名探偵にお馬鹿なワトソン。双子トリックに入れ替わり、毒殺刺殺絞殺のオンパレード。動機も異常。主だったミステリ要素は全て収められていると云っても過言ではないかと…それらが喧嘩しないとは限りませんが。

館に仕掛けられたトリックはかなり大胆ですよね。なんてたって『斜め屋敷の犯罪』に出てくる「流氷館」と同じ名前を持つ館ですしね!!そして、そのトリックを解いたのはジョーマエさん…この≪あかずの扉≫シリーズは登場人物多くってしんどいんですけれど、それぞれにしっかりと役割が振られていて要らない人間がいない。そのあたりに霧舎氏の信念を感じます。あっ、でも集められた10人の方は誰が誰だかさっぱりわからなかったので…捨て駒感満載。ニンゲンガカケテナイ。

そんな私はカケル♥ユイの恋愛模様が楽しみで楽しみで。2番目同士の恋、素直になれないふたりが可愛いですね。

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2007/06/14

『十月は二人三脚の消去法推理』 霧舎巧

十月は二人三脚の消去法推理 私立霧舎学園ミステリ白書 Book 十月は二人三脚の消去法推理 私立霧舎学園ミステリ白書

著者:霧舎 巧
販売元:講談社
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“晴れの特異日”に行われるは…

体育祭?それとも殺人?

レギュラメンバ勢揃いの十月編。ようやく登場。

講談社ノベルス6月の新刊は事前準備バッチリ☆の「霧舎学園シリーズ」十月編。どんと来~い!超常現象!!

まずは恒例となりつつある“おまけ”紹介から。今回は霧舎学園体育祭プログラム(ついにフルカラーでは無くなったか…)と体育祭実行委員である琴葉の名刺。いつものツッコミからゆきますか?

この名刺、栞以外にどう使えっちゅーねん。

嗚呼、すっきり。この名刺がどれだけ事件解決に関わるのかと思ったら…

さっぱり。

嗚呼、すっきり。最近「ライアーゲーム」にゾッコンな私は、カードを見ると側面にキズが付いていないか確かめる癖ができました。そんな仕様にはなっていないようで一安心(なにが?ねぇ、なにが?)

さて、十月のミステリテーマは“消去法推理”とのことですが…

どこに消去法推理があったよ??

あれ?私、30頁くらい読み飛ばした?あれれ??消去法と云えば、神・ホームズ曰く「全ての不可能を消去して、最後に残ったものが如何に奇妙なことであっても、それが真実となる」ですので、どんな奇天烈な結末もどんと来~い!と覚悟してたのに…ワクワク損だ。ワクワク詐欺だ。

まぁ、霧舎氏お得意の読者を煙に巻こうと物語まで煙に巻いてしまう作戦が功を奏したと云うことで。アリガトウゴザイマス。

さて、十月はこれまた「あかずの扉シリーズ」とのリンクが少なくって。「あかずの扉シリーズ」の時間経過を飛び越してしまった?(でも、カケル&ユイのラヴ話舞台はクリスマスだったような)とりあえず、保少年がご存知の大学生が

英国に行く

らしいので、次の「あかずの扉シリーズ」舞台はイギリスでしょうか?ホームズ様とのコラボでしょうか?た、愉しみです(←きっと妄想に終わる)

というわけで、まったくレビューになってませんが、消去法推理というタイトルに惹かれて手に取ると痛い目をみると思います(悪だね、貴女)。あっ、おかえりなさい○○ちゃん。

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2007/05/28

『九月は謎×謎修学旅行で暗号解読』 霧舎巧

九月は謎×謎修学旅行で暗号解読 Book 九月は謎×謎修学旅行で暗号解読

著者:霧舎 巧
販売元:講談社
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秋の京都へ修学旅行。

最高のシュチュエーションなのに、琴葉たちは暗号解読に夢中。

代わってくれないか!?と本気で思った霧舎学園シリーズ折り返し作品。

上記の内容紹介に客観性が無いのは秘密。まぁ、当ブロ愚の内容紹介ほど不明瞭かつ不親切な紹介文も無いのですが(たまにネタバレもするし)。その割りに、いつも必死で考えてます管理人。

さて、6月に控えた『十月は二人三脚の消去法推理』発売までに既刊作品をおさらいしておこうという目論みは、無事達成。は、初めてじゃないでしょうか?目論み通りにコトが進んだのって。間に「ライアーゲーム #7」感想を挟んでますけれども。管理人、いま「ライアーゲーム」に夢中だから。

しかし、過去レビュー振り返ってみると、愚痴とかネタとかふんだんに盛り込んでるので毎回妙に長いですね。このレビューを愉しく読んでいただけている方って、極少だと思うのですが。だってこんなマイナシリーズ。「あかずの扉シリーズ」っていうならまだしも…。

ということで、十月編と「あかずの扉シリーズ」とのリンクは、なるさん登場。(ここからネタバレします。大胆にネタバレします。いきなり大文字でネタバレしてます)

まぁ、似非なるさんなんですけれども!!

しかも、なるさん違いだけでなく、性別誤認トリックまで仕掛けてきましたか。でも、この性別誤認トリック、読者に対してのみ仕掛けられてるんですよね?まさか作中の登場人物(琴葉や棚彦)まで引っかかっていたわけじゃないよね?(まぁ、琴葉なら天然でひっかかっていそうですけれど)似非なるさん=女性という告白をしたときに、登場人物たちが特に驚いていなかったようなので。

そして、作中に登場する暗号地図が超マニアック!!

あんな新本格ミステリに限った用語を散らばめた地図(ネタ)を十全に楽しめる人間がどれだけ居るってよ?

ただでさえマイナなシリーズなのに、さらに門戸を狭めてどうするんだ、霧舎氏。かくいう私だって、全部が全部理解できたわけではありません。有栖川有栖、島田荘司、綾辻行人あたりならクリアできましたが、途中からは琴葉と同様の反応しかできませんでした。新本格、深い。

さて、恒例となりつつありますおまけ紹介。今回は暗号そのものとして作中に登場するプリクラ(古っ!?)が付録となっております。9分割のプリクラのうち、1枚違うプリクラが混じっている…まぁ、じっくり見てから作品に挑む読者なんて、そうそう居ないわな(かくいう私もそのひとり)。そして、そのプリクラの“裏”にもしっかりと仕掛けが。

作中で犯人特定のきめ手となった泥付き指紋がしっかりプリントされております!

うわぁ、芸が細かい。そこまで確認しないよ、みんな。このシリーズの馬鹿馬鹿しいまでのこだわりは好きです。評価できると思います。

で、肝心のミステリ(暗号解読)ですが、なんかもうごちゃごちゃです。登場人物の台詞にこのごちゃごちゃ具合を的確に示す台詞がありますので、引用。

「犯人は≪棋譜の暗号≫と思わせて、実は≪麻雀の暗号≫を我々に仕掛けていた-と思わせておいて、やっぱり将棋の駒で、最終的に明日香ちゃんの監禁場所を示していたんだ」

この台詞、一読で内容把握できる人は理解力に長けていると思います。「思わせておいて」の登場が2回…、何回読者に思わせておくつもりなんでしょう?

屋敷に仕掛けられていた十二支の暗号も肩透かし気味でしたし。サソリが回転するってのは素敵でしたが…この“回転”というキーワード、作中作『倉崎財閥の財宝』のどこに暗示されていたかどなたか教えてください。

しかし、霧舎氏のあとがきによれば、本作はあかずの扉シリーズのトリック(新刊)をぶち壊して(ねじ込んで)完成させた作品だとのこと…

あかずの扉シリーズで出版してくれよぉ!!

読者(私)は待っているのです。あかずの扉シリーズの新刊を。ユイとカケルの恋物語を。夢に終わった『アポトーシス荘』…合掌。

というわけで、あかずの扉シリーズも再読しなくちゃ!という気分になってきました。今回も有言実行といきたいところです…どうかな?

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2007/05/26

『八月は一夜限りの心霊探偵』 霧舎巧

八月は一夜限りの心霊探偵―私立霧舎学園ミステリ白書 Book 八月は一夜限りの心霊探偵―私立霧舎学園ミステリ白書

著者:霧舎 巧
販売元:講談社
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夏休みにいつものメンバと伊豆旅行を決行した琴葉。

当然事件がお出迎え。

八月のテーマはサイキック・ディテクティブ!

今週はまさに霧舎学園強化週間ですね。毎日更新毎日レビュー。前半かなり放置プレイだっため、頑張っております管理人。

さて、既刊の霧舎学園シリーズの中で個人的にベストだと思い込んでいるのが、この『八月』だったりします。作中で保少年が棚彦にしかける推理ゲームも上質で、1冊でふたつの謎が楽しめるという、おいしい一作。

しかも、もうお約束となりました“おまけ”もふたつ用意されております。ひとつは云うまでもなく、巻頭に収録されております琴葉のグラビアでございます。

いやぁ、よくやるよ、ホント。

西尾維新だって、ここまで無茶なことはやりません。ミステリと銘打たれた作品で、ここまでぶっ飛んでるのは初めてです。『ヤングマグナム』ってなんすか?タイトルに、なんとなくいやらしさを感じてしまう自分が厭です。

そして、もうひとつのおまけは本自体に仕掛けられております。最初は作中でも登場している“カバーは八月なのに、中身のタイトルが五月”って仕掛けかと思ったんですよ。でも、そんな確信犯的誤植は出版界的にタブーだろうと。カバーを外してそんな確認をしていた私が、ふと感じたのは…やけにこの本重たくない??これです。ふたつ目のおまけはこれでした。作中のトリックにも関連しているこのおまけ。

いやぁ、よくやるよ、ホント(2回目)

というか、こんなことも可能なんですね。講談社で決めたノベルスの型ってものがあるだろうに。でも、今回のおまけは実用的(というか作中としっかりリンクしていて)良かったです。栞にしかならないおまけはいらない…。

さて、内容について書かねば。八月は(他の月と比べてという但し書きが付くが)ミステリとして無理が無い。しかも、タイトルとの激しい乖離も無い。琴葉ママ&ひろみが仕掛ける叙述トリックも、左右が入れ替わるトンネルトリックも、殺人犯を突き止める過程にも、無理が無い。ちゃんと伏線の回収されてゆくミステリは好きです。霧舎作品特有のまわりくどさは相変わらずですけれど。

そして、ラブコメ部分。いやぁ、本当に琴葉が嫌いです。なぜあの場面で中込椎奈に肝試しのパートナー役を譲る?なんだ、本命(彼女)の余裕か?行動が終始貫徹してないんですよ。突き放してみたり、飛びつき抱きしめてみたり。そんなかけひきいらんっちゅーの。本当に苛々させてくれてありがとう。

そんな琴葉に対し、棚彦の株は急上昇。「あかずの扉シリーズ」リンクとして登場してくれた咲さんの不吉な予言を具現化するために、棚彦がとった行動…いいねぇ。しかし、咲さんの予言では「死んでいるようにみえた」らしいのですが、巻頭グラビアの笑顔を見るに死を前にした(?)笑顔には見えないっす。元気ハツラツです。だからこそ、棚彦の行動がイレギュラー(死を回避させた)だという証明になるのかもしれませんが。まぁ、咲さんの予言ですから(あかずの扉読者にはきっとわかってもらえると思う)。

そうそう、この『八月』は『七月』と2冊同時発売(しかも、クリアケース付の限定版まで発売され、プレミアもついているという奇跡)だったんですよね。霧舎氏、全盛期でしたもんねぇ。そんな勇敢な霧舎氏をまた見たいものです。

では、次回は九月編…ではなく、「ライアーゲーム#7」感想でお逢いしましょう!あぁ、待ち望んだよ土曜日!!

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2007/05/25

『七月は織姫と彦星の交換殺人』 霧舎巧

七月は織姫と彦星の交換殺人―私立霧舎学園ミステリ白書 Book 七月は織姫と彦星の交換殺人―私立霧舎学園ミステリ白書

著者:霧舎 巧
販売元:講談社
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-天漢霧立上棚幡乃雲衣能瓢袖鴨-

笹乙女委員会より送られてきた短冊。これに好きな人の名前を書いて吊るせば…ふたりは結ばれる。

そんな短冊が交換殺人のチケット代わりに?

毎日更新、霧舎学園シリーズレビューでございます。もうそろそろ飽きてきためんどくさくなってきた愉しめなくなってきた危ない危ない、オブラートに包むこともできなくなってきました。

さて、七月編のテーマは交換殺人でございます。ミステリのジャンルとしては結構好きな部類に入るのですが(大嫌いな共犯モノとはちょっと違う)、解り辛い=筆者の力量が問われるジャンルでもございます。

結論から云わせていただきますと…

よくわからなかったよ、霧舎氏!

交換殺人云々が登場するのは、物語が3分の2近く進んでからなんだもの。タイトルをよく確認せずに(『七月』という部分のみ確認して本棚から抜き取った)読み始めた+ストーリーもすっぽり頭から抜け落ちておりました故、霧舎はなにが書きたいんだ?といぶかしむこと数回。なんだか、霧舎学園シリーズのタイトルって、似てないものまね師がまず名乗ってから芸をやるような感覚に陥らせますね。

さて、今回は『五月』で勃発したエミューのボーカル・ナオキ=幼馴染みのナヨくん?という問題に決着が付きましたね。まぁ、違うことはみんな感づいておったわけですが。しかし、ナオキは琴葉のどこが好きなんですかね?ナオキの元にも届いた≪笹乙女委員会≫の短冊。明かされた(短冊に書かれていた)のは好きな女性の名字のみ…もちろん羽月なわけですが…

まさか、羽月倫子虹川警察署長が好きだなんてオチじゃなかろうね??

普通にありそうで、怖くなってきました。まぁ、好きな人=琴葉パパ=モーホー決定!てなオチじゃなければ、もうどうでも良いです。

さて、七月編と「あかずの扉シリーズ」のリンクですが、『ラグナロク洞』に登場した早乙女教授が登場してきましたね。彼、殺人犯した後に『ラグナロク洞』に馳せ参じたわけですか…そんな記述『ラグナロク洞』にあったかしら?もうちょっとキャパの大きい脳が欲しいよ、本当に。

そうそう、七月編のおまけは≪笹乙女委員会≫から送られてきた短冊(和紙製)なわけですが、今回も栞以上の使い道が思い浮かびませんでした。どなたか、斬新な使い道を教えてください。

というわけで、霧舎学園シリーズも残すところ2冊。『八月』は結構好きだったような気がする。『九月』は厚いので、どうしようか迷い中なんですよねぇ。

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2007/05/24

『六月はイニシャルトークDE連続誘拐』 霧舎巧

六月はイニシャルトークDE連続誘拐―私立霧舎学園ミステリ白書 Book 六月はイニシャルトークDE連続誘拐―私立霧舎学園ミステリ白書

著者:霧舎 巧
販売元:講談社
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各月で趣きの異なる事件に遭遇する星の下に生まれた男女。

今月の事件は誘拐事件。しかも、誘拐されるのは本人たち!?

霧舎巧が贈るラブコメ×本格ミステリシリーズ、第3弾。

六月のタイトルも最高に恥ずかしい感じで、どうもありがとうございます。霧舎学園シリーズ第3弾、六月編です。

本作はミステリの出来はともかくとして(えっ?)凝った趣向(おまけ)に唸らされた一作。上記アフィリエイトでは帯カバーが外されており、仕掛け丸出しなのが不憫です(そう思うなら、貴女も書かなきゃ良いのに…)

そして、「あかずの扉シリーズ」とのリンクが激しい一作。この作品は『カレイドスコープ島』(「あかずの扉シリーズ」第2作)を読んでないと、おもしろさ8割減だと思います。「あかずの扉シリーズ」ファンとしては嬉しい限りなのですが。

まずは、お馴染みエロじじいの再登場。(ここからネタバレしてます…って、ここまでのレビューにネタバレが含まれていないと言い張るのか、自分。『カレイドスコープ島』のネタバレもあるかも…)じじいの助平度合は『カレイドスコープ』をお読みの方なら重々承知かと思いますが、あのエロさが犯人の不在を隠す“隠れ蓑”として利用されるとはっ!!『カレイドスコープ』を読んだ人ほど、月島幻斎ならやりかねん!とその罠にひっかかってしまうかも(私もその一人でございます)。

そして、高飛車女医も再登場。私は高飛車女医も憎めなくって好きなんですがね。好きと云えば、高飛車女医は後動さんラヴだと思っているのは私だけ?まぁ、後動さんにはちゃんとした彼女がいるし…絶対に報われない恋。高飛車、已む無し?(って、このセンテンスはまったく「霧舎学園シリーズ」に関係ないやね?)

ところで、今回は「あかずの扉シリーズ」とのリンクを織り込み過ぎて、肝心のミステリ部分が弱いったらないですね!!ラストの数十ページで無理矢理終息させた感満載。犯行に至った動機(相続的なもの)なんて、読者に一切提示されてませんもの。そして、棚彦が琴葉が囚われた場所を特定するきっかけとなった“O戸町”の読みの件ですが、真犯人ってその近辺に住んでるんですよね?近隣の町の読み方(しかも特異な)知らないってことあるだろうか…少なくとも、同じ県内にある町の読み方くらい知ってないとおかしいと思う(のは、本州に住んでないからでしょうか?まぁ、私も北海道にあるすべての市町村を空で云えたりはしませんが)

そして、ラブコメ部分も本作は弱い!錯乱の余り“父親の前でキス”はしましたが…特筆すべきはそのくらい?まぁ、棚彦が父親公認彼氏になった…ってことで、一歩前進?まぁ、今回も琴葉には苛つかせていただけて、嬉しい限りです。彼氏が他の女性からメモ用紙を借りたくらいで苛々してたら、男女交際なんてできませんぜ?

そうそう、『五月』のレビューで“五月号と「あかずの扉シリーズ」のリンクってなんだったんだろう?”と書いた私ですが、保少年の警視庁へのハッキング行為がリンクだったんですねぇ…解り辛っ!!六月は保少年の活躍が殆ど無くって、お姉さんは寂しいです。あのとんちんかん推理が好きなの。

このレビューを読んでもお解かりの通り、本作を愉しむ為には『カレイドスコープ島』の読了が必須な一作。まぁ、「あかずの扉シリーズ」を読まずにいきなりこちらから入る読者は少ないだろうと思いますが(なんてったって、あの表紙このタイトルですから)。それでは、『七月』レビューでまたお逢いしましょう。

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