2009年4月19日 (日)

「名探偵の掟 #1」感想

名探偵の掟 (講談社文庫) Book 名探偵の掟 (講談社文庫)

著者:東野 圭吾
販売元:講談社
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期待しかしていない新ドラマ「名探偵の掟」。原作が好きで好きで大好きで、松田翔太くんも好きな私が期待しないわけがなく。しかも「TRICK」枠だし。

あれ?ちょっとコメディ色弱い??

逆にミステリ色が濃いわけでもなく。なんか中途半端に混ぜ合わせてみました感たっぷり。いや、まだ#1だしね見極めには早い。私がこの『名探偵の掟』に期待するのは「9割コメディ1割ミステリ」なのです。

ミステリをとことん、馬鹿にして欲しい(笑)

えっ?ミステリって未だこんな馬鹿みたいなこと本気でやってんの?みたいな。ドSだな、自分。

とりあえず、順々にツッコミ入れておきましょうか。

えっ?なにあの謎の部屋

大河原警部(キム兄)曰く「楽屋」とのことですが。天下一と警部のシークレット・トークをどう表現するのか、『名探偵の掟』の見所はここにあると云っても過言ではないシーンですが、これをああいう形で部屋化しましたか。#1は最初ですからね、若干説明が長かったように思いますが…

「密室はトリックの王様」って(笑)

腹痛い。現実世界でこんなこと云っている人(推理作家と読者以外で)居たらお目にかかりたい。しかし、その密室トリックを解決に導く契機があの親子と見紛うカップルってどうなの?「雪(の愛)は重たいんだよ」って(笑)ちなみに、あの心張り棒の置き方おかしくないっすかね?体当たりであの心張り棒が外れたならば階段(?)に登っちゃうわけないと思うんですが。まぁ、密室トリックを気にしている視聴者なんて居ないだろうし良いや。

あと、#1の見せ場は「名探偵、皆を集めて「さて」と云い」の

まさかの二択!ただの二択!!

実際のところ、バンバン死者が出たがために最終的に二択、という場面はミステリ界に往々にして存在するんですけれども。やっぱりモチベーションさがってるんですね名探偵。しかもその二択が美女(未亡人)と醜女だったりすると、その確立は最早50/50ではございません。最初にブッキングできなかった醜女はどうやって連れてきたんでしょうか?(あっ!醜女の正体がバレる)

とりあえず、今回は松田翔太くんの可愛さに免じて赦しますが(なにをだ)もっとコメディ色強めてください。うーん、見せ方の問題だと思うんですよね。もっと「うわぁ、こんな馬鹿みたいな(密室)宣言やりたくねぇ」ってゴネてください。そのゴネの中にミステリへの風刺を込めてください。って、難しい注文ですね。だって、視聴者にある程度の知識がないと風刺が風刺になりませんので。

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2009年3月16日 (月)

『名探偵の掟』 東野圭吾

名探偵の掟 (講談社文庫) Book 名探偵の掟 (講談社文庫)

著者:東野 圭吾
販売元:講談社
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「犯人は貴方だ!」なんて宣言、

どうして皆を集めて云わなくちゃならないんでしょうかね?

名探偵も辛いんです

「ライアーゲーム」で私の心を鷲掴みにした松田翔太くんが、「TRICK」枠で、東野圭吾氏の名著『名探偵の掟』をドラマ化するって…

期待するなって云うほうが無理!!

もの凄い愉しみで愉しみで、思わず再々々々読しちゃいました。でも、何度読んでも面白い、風刺とエスプリが効いてます。

収録されているのは14の短篇(プロローグやらなんやらも含めて)。これってミステリ大好きな私にとっては、最早「お約束」との云えるトリックやネタばかりなのですが…普段ミステリを読まない方が読むと、どんな感想になるんでしょうか?風刺が風刺にならないのかしら?

そんな意味で「アンフェアの見本」はこれから初めてミステリの扉を叩こうという方にとっては鬼門。作中で天下一が申し上げている通り、

「今回のトリックは、一部の例外を除くと、たった一種類しかない。つまりこのトリックを使った記念すべき第一作以降の作品は、すべて盗作だという言い方だってできるのです」

という言葉通り。私はその「記念すべき第一作」をネタバレなしで読めたことをいまでも至福と考えていて、読書人生長いですがあの衝撃を超えた経験をしたことがない。だから、この「アンフェアの見本」で「へぇ、そういうトリックもあるんだ~」という余計な予備知識をミステリ入門希望の方に持っていただくのはしのびないのです。ミステリにどっぷり浸かる予定のない方には充分にお薦めできる内容となっておるのですが。

そんなわけで、個人的ベストを選ぶならば「トリックの正体」でしょうか(笑)「アンフェアの見本」といい、やっぱり私は叙述トリックが好きなんだなぁ。この「トリックの正体」は「明らかにお前…○だろっ!!」と犯人にツッコミを入れたくなる登場人物たちの葛藤が描かれた素敵作。これをドラマ化するときはどうするんでしょう?もの凄いおっさんを敢えてぶつけてきてくれたら本望です。

あとは密室アレルギーの天下一も素敵。「密室宣言」に現れる雪密室には秘密があって、『毒笑小説』に詳しいので、お好きな方は是非どうぞ。

あぁ、どんなドラマになるんだろう…もの凄い愉しみです。毎話毎話レビューしちゃおうかしら。ちなみの公式サイトはこちらです。

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2009年1月17日 (土)

『さいえんす?』 東野圭吾

さいえんす? (角川文庫) Book さいえんす? (角川文庫)

著者:東野 圭吾
販売元:角川書店
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理系作家・東野圭吾が

理系視点で綴る

理系エッセイ集

『ちゃれんじ?』を念頭に置いて読み始めたので、意外とまじめなことが書いてあって(失礼)びっくりした覚えのあるエッセイ集、『さいえんす?』が本日のメニューです。通勤本としてちょいすしたのですが、行って帰ってこいで読めてしまった。

『さいえんす?』はタイトルからも判るとおり、東野氏が雑誌などに投稿した理系エッセイを集めた1冊。どのテーマも簡潔にまとめられているので読み易いです。1エッセイ1分くらいで読めるのではないかしら?(1分は言い過ぎ?3分?カップラーメン?)でも、そんな親切設計の本作でも…どうしても読むのが苦痛だった1篇が。

その名も「堀内はヘボなのか?」というプロ野球・巨人軍について書かれたエッセイなのですが(本作は2005年発行でございます)、数字がね数字が踊っているわけですよ!得失点差や防御率を用いてデータ分析を試みているのですが、私が野球に興味ないことを差し引いても読めない苦痛だ!「超理系殺人事件」を思い出した…やっぱり私は生粋の文系だ、うん。

なので、「理系はメリットか」には「YES」と答えます。

そうそう、本作で一番グッときた一文は「滅びるものは滅びるままに」の

あなたのDNAが保存されていて、人類滅亡後に何者かによって、あなたのクローンが復活させられたとする。
彼あるいは彼女は、果たして幸せだろうか。

ですね。絶滅種を復活させるべきか否か、について書かれたエッセイですが、最後のこの一文にゾクッとしました。凄い説得力のある一文。凄い。

そして、「本は誰が作っているのか」。読書が唯一の趣味で読書が大好きで人生の10分の1くらいの時間は読書に費やしている私にとっては、切実な問題です。このエッセイも最後の一文が重い。

図書館やブックオフを利用することを、まかり間違っても「賢い生活術だ」と思ってもらいたくない。そう考えることは、出版業界を支えている購買読者たちへの、とんでもない侮辱である。

薄給なので読みたい本全てを新刊で買うことはできませんが、それでも出来る限り頑張ります。だからどうか、本よ絶滅しないで。

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2008年9月 5日 (金)

『超・殺人事件』 東野圭吾

超・殺人事件―推理作家の苦悩 (新潮文庫) Book 超・殺人事件―推理作家の苦悩 (新潮文庫)

著者:東野 圭吾
販売元:新潮社
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直木賞作家・東野圭吾が

日本推理作家協会除名覚悟で挑んだ(笑)

超問題作!!

私のショヒョックスがいつも酷評モードとは限りません(笑)

「何度目だ、ナウ○カ」ばりに、通勤のお供として重宝しております東野圭吾氏のブラックユーモア系。本日のメニュー『超・殺人事件』です。

個人的に大好きなのが「超理系殺人事件」。“この小説が肌に合わない方は読み飛ばして下さい”なんて潔さに惚れる。しかも、それが伏線となり、ラストに回収される手法と云ったら貴方!さらに惚れる。あっ、超文系の私はもちろんあっさり読み飛ばしです。半分どころか1割も理解できない。

「超犯人当て小説殺人事件」も好き。これは、ミステリとしても秀逸ですよね。2度美味しくいただけます。ラストのブラック加減が秀逸。

あとは…過剰なブラックユーモア(○笑小説系の)を求めると、ちょっと期待はずれですよね、本作。なんだろう、ミステリとユーモアは両立し得ないというか。対極にあると思うんですよ。ミステリスキーはミステリミステリした重厚な作品を求める傾向があって、その呪縛から逃れることができないというか。同じミステリとユーモアの両立を目指した作品であっても、東川篤哉氏や石崎幸二氏の作品を読むのとは少し違うというか。巧く表現できなくてすみません。

とにかく、私のショヒョックスは酷評モードに合わせられていることが多いですが、たまにはおべんちゃらモードも使わないと壊れるかしら?あとは京極作品をぶち込んでおいたので、そろそろあらすじが出来上がってるかもしれないな、とか(笑)

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2008年4月16日 (水)

『赤い指』 東野圭吾

赤い指 Book 赤い指

著者:東野 圭吾
販売元:講談社
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ねぇ、お化粧ごっこしようよ

認知症の母の指 真っ赤に染まった赤い指

すべてを詳らかにする赤い指

「遅っ!?貴女、それでも自称・加賀刑事スキー?」というお声が四方八方から聞こえてきそうな本日のレビュー。「図書館予約待ち800人にすっかり萎えて、そのまま忘れてました」なんて、口が裂けても云えない。

帯には直木賞受賞第一作とか書いてありますね…私はもう何年加賀刑事を放ったらかしにしてしまったのでしょうか?こんな家族想いの加賀刑事をっ!くぅぅぅぅ、もう本気で惚れました。加賀刑事、一生ついてゆきます。だから、中村○介さんあたりでドラマ化しませんか?(えっ?ってか、自己認識してるより中村○介さん好きね貴女)

本作は加賀刑事モノお馴染みの“犯人冷や汗たらたら加賀刑事がその鋭い眼差しでぐんぐん迫ってくるよー”モノです(どんなモンやねん)犯人からしたら怖いですよ。自分の思考が見事にトレースされて晒されるんですから。しかも、犯人が認識していない真実まで攫えて披露されちゃうんですから。怖いですよ~。

というわけで、加賀刑事だから見抜けた真相を私如きが見抜けたわけがございません。当然、パパといっしょにびっくりです。この仕掛けって、本筋(ミステリ)とは関係がない読者サービス(というか、警鐘?)なので、見抜けなくてもオッケーだとは思うのですが。ついでに申し上げると、事件としての難易度は大して難しくないので、加賀刑事がいなくてもこの事件自体は終息を迎えたでしょうね。1日か2日、エンドが伸びただけで。

しかし、捜査一課から加賀刑事への信認は厚いですねぇ…有望株じゃないですか。昔は加賀刑事モノ=ヒロインとの恋愛モノだったはずが、バレリーナとの恋愛がおじゃんになってから、そっち方面のお話は一切聞こえてきませんね。こんなに優秀で有望な男が居るのに…署の女性はなにをやっているのでしょうか?(余計なお世話だ)

そして、ラストの“父と子の約束”には胸がキュンとしました。将棋の件なんて、眼にうっすらと。ただ“切れる”だけじゃない、“優しさ”まで備えた加賀刑事…ほらっ、ここに優良物件があるわよっ!(だから余計なお世話だ)次回作では、独りになってしまった加賀刑事に素敵な恋が訪れることを期待しております。

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2007年4月 9日 (月)

『たぶん最後の御挨拶』 東野圭吾

たぶん最後の御挨拶 Book たぶん最後の御挨拶

著者:東野 圭吾
販売元:文藝春秋
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文学賞落選記録15回、作家生活苦節20年。

晴れて直木賞作家に輝いた東野圭吾、最後のエッセイ集。

本当に最後?たぶん…最後ですよね?

東野圭吾氏のエッセイは好きです。『あの頃ぼくらはアホでした』『ちゃれんじ?』については、爆笑させていただきまして。“読者を泣かせることよりも、笑わせるほうが難しい”とは東野氏の談ですが、ご尤も。笑える読書が東野氏のエッセイ引退により、またひとつ消えてしまうのが残念でございます。

とは云いつつも、氏のエッセイにキレが無くなってきているのは確かなんですよねぇ。『さいえんす?』『夢はトリノをかけめぐる』は、ごめんなさい、あまり楽しめませんでした。そんな中での最後の御挨拶。もちろん期待は高まります。

本エッセイ集では東野氏の年譜から始まり(『あの頃~』に掲載された逸話がほとんどで…妙に宣伝が挿入されるのが気になりました)、自作紹介に(東野氏の公式HP←いつのまにやら閉鎖?してしまった、で拝見したことがあるような)映画化秘話など、これまで未収録だったものを最後にまとめた一冊。

やっぱり初期(2000年以前)に書かれたエッセイの方がおもしろい?

自作紹介は東野氏の作品を振り返るのに、かなり役立ちそうです。読み落としている作品もあるなぁ…と自分でもびっくり。因みに、私の個人的東野作品ベスト3は『秘密』『トキオ』『あの頃ぼくらは~』と、ミステリじゃないやんか!!

東野氏の会社員時代の逸話もいくつか披露されていたのですが…噂の大事件(らしい)はついに明かされぬままエッセイ界からは卒業。いつ披露してくれるかと、待ち望んでおったのですが、お眼にかかる機会は無さそうです。残念。

でも、エッセイは封印し、本業の小説書きに専念されるとのこと。私としては『どちらかが彼女を殺した』『私が彼を殺した』に続く、『あなたが彼を殺した』の出版を願って。名探偵シリーズの『名探偵の使命』も読みたい!東野氏、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

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2007年1月28日 (日)

『使命と魂のリミット』 東野圭吾

使命と魂のリミット Book 使命と魂のリミット

著者:東野 圭吾
販売元:新潮社
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最愛の父を失ったあの日。

あの日から拭い去れないでいる恩師と母への疑惑。

その疑いは今日のオペで晴れるのか?それとも深まるのか?

最愛の加賀刑事モノ『赤い指』を飛び越えて、東野圭吾氏最新刊『使命と魂のリミット』レビューです。『赤い指』の図書館予約件数は900件…完全に出遅れました。発売から半年以上経過しているのに、件数が増えることはあっても減ることはない。私が加賀刑事に再会できるのはいつの日か…。

というわけで、最新作です。『チーム・バチスタの栄光』(まだ読めていない!)以降、医療モノへの関心が随分高まってきたように思う最近の出版界。そこに巨匠の域に達した東野圭吾氏が殴り込みです。東野ブランドには絶大なる信頼を寄せている私。本作も…

無難にまとめてきました!

って、これは褒め言葉でもあり、褒め言葉ではない。根底に流れる安心感はさすが東野氏…といったところですが、その安心感がどうも医療現場(ないしは手術室)の臨場感を消してしまっているように感じたのは私だけでしょうか?

本作は、自分の父を殺したのではないか?という疑いを恩師に抱く研修医・夕紀と、恋人を殺された恨みを抱える男・譲治の思惑が、手術室でぶつかるお話。(ここから数行、ネタバレします)その日、手術室で恩師への疑惑を完全に晴らす夕紀と、個人的な復讐のために見ず知らずの人間を巻き込むことができなかった譲治。描かれるすべてが予定調和的で、スリリングやサスペンスといった要素をうまく感じ取れなかったのが残念。

譲治の方は良いんです。人は前に、未来に向かって歩み続けることしかできないのだから。でも、夕紀の方はどうでしょう?この結末が大団円なのはよくわかっているつもりです。でもね、ミステリ好きとしてはもう少し捻りを加えて欲しかった!!あそこまで疑わせて疑わせて疑わせて、でもやっぱり勘違いでした!じゃ、物足りない!違う結末を読ませることも容易だっただけに、そこに着地しなかった(させなかった)歯痒さを感じてしまう。

大団円に落ち着かせなくてはならないことが巨匠の使命ならば、東野氏にはそんなものにはなって欲しくなかった。『秘密』や『容疑者Xの献身』で魅せた“やりきれないながらも救われた感”を、この作品でも描いて欲しかった…というのが個人的な感想。

東野氏の作品を読んで「無難」と思ってしまうことはままありますが、無難を越える作品こそが心に残るのだと改めて思います。ハイペースで新刊を私たちに届けてくれる東野氏に、これからも期待を込めて。

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2006年6月24日 (土)

『夢はトリノをかけめぐる』 東野圭吾

夢はトリノをかけめぐる Book 夢はトリノをかけめぐる

著者:東野 圭吾
販売元:光文社
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根っからの冬季五輪好き作家・東野圭吾が現地トリノから送る観戦記。

直木賞パワーで日本選手団にメダルを呼び込むことができるのか?

東野圭吾氏のエッセイは好きです。一番笑かしてもらったのは『ちゃれんじ?』ですね。『ちゃれんじ?』で描かれていたカーリング体験記をこの『夢トリ』(←勝手に略す)でも思い出さして笑わせてもらいました。ちなみに、『さいえんす』というエッセイも御座いますので、ぜひ皆様どうぞ☆(東野氏に代わって宣伝)

さて、イナバウアー旋風が巻き起こりましたトリノ五輪。私は冬季種目ではフィギュアがいっとぅ好きです。でも、こんな風に書くと「どうせイナバウアー効果でしょ?」とか云われかねないのが悔しい。私が愛して止まないフィギュア選手はアメリカのミシェル・クワン選手。トリノでは直前に出場辞退してしまって、その記事をyahooで知ったときの私の荒れようといったらすごかったです。だって、ソルトレイクで惜しくも金メダルを逃し、エキシビジョンで涙を流しながら舞うクワン選手が忘れられないのですもの。キレイなだけでなく、心になにかを残すスケーティングができるのはクワン選手だけです。好きです。

日本選手では荒川選手より村主選手の方が好き。『夢トリ』で東野氏も語られておりますが、あの感極まったぜ!という表情の好き嫌いははっきりとわかれることと思いますが、あの流れるような優雅なスケーティングはクワン選手に通ずるものがあります。本当に“passion”という言葉に相応しい滑り。コーエン選手も好きですが、彼女の滑りからはクワンや村主から感じられる“passion”を感じられないのですね。技術の素晴らしさ、キレイさばかりに目を奪われてしまって。

と、なぜか『夢トリ』のレビューではなく、自らのフィギュア好きを熱く語ってしまっておりました。『夢トリ』は『ちゃれんじ?』のようなユーモアの混じったエッセイではなく、あくまでも観戦記なので、ちょっと物足りないんですもの。まぁ、自身のスポーツ体験記ならまだしも、選手が一生懸命競技している様をユーモアで邪魔するわけにはいかないので、仕方無いことなのですが…。ちょっと物足りなかったのは事実です。夢吉もよくわからなかったし…。

この『夢トリ』のテーマは「オリンピックはメダルを獲ることだけがすべてなのか」という一言に尽きます。サッカードイツ大会で、日本はすでに予選敗退しておりますが、私は日本代表として参戦している以上、なんらかの結果を残して帰ってくるべきだと考えております。それが代表選手になれなかった人、夜な夜な眠い目擦りながらテレビの前で応援してくれた人たちへの、せめてもの礼だと思います。その結果とはメダルでなくてもかまいません。でも、観ている人たち、応援してくれている人たちをがっかりさせるような試合だけはして欲しくない。「こんな朝早くに起きたのに、あんな散々な試合を観せられた」なんて思いだけはさせないような、堂々とした闘いぶりをみせてほしい。

メダルにこだわる風潮を生み出したのは、間違いなくマスコミですよね。メダルを獲れば、荒川選手のように一躍時の人になることができます。でも、それって本当に必要なことですか?頑張っている姿って、絶対に伝わってくるはず。少なくとも、ソルトレイクのクワン選手に私は感動を貰いました。結果は銅メダルだったけれども、それ以上のなにかを彼女から貰いました。でも、ドラマやCMにバンバン出演する荒川選手からなんの感動も得ることはできません。

感動が得たくて人々はスポーツを観戦するのだと私は思います。メダルは頑張った選手個人に与えられるものであって、国に与えられるものではないでしょ?私たちはメダルが欲しいのではなくて、感動が欲しいのでしょ?少なくとも、私はそう思います。

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2006年6月16日 (金)

『さまよう刃』 東野圭吾

さまよう刃 Book さまよう刃

著者:東野 圭吾
販売元:朝日新聞社
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少年たちに蹂躙され殺害された娘の復讐に手を染める父親。

遺族による復讐殺人に世間では賛否が大きく分かれ、警察内部にも密かに父親を支持する刑事たちが現れる。

裁く権利は一体誰にあるのか?

さわりだけ読んで寝てしまおう…とおやすみ前の歯磨きをしながら読み始めた『さまよう刃』。結局そのまま3時間、一気に読み切ってしまいました。

すごい惹きこまれる一作。

父親は娘の復讐を果たすことができるのか、それとも罪を犯した少年が逃げ切ることとなるのか。父親も少年も追わなくてはならない警察と、事件をセンセーショナルに取り扱うマスコミ。とにかくどこを切っても金太郎飴ではありませんが、どこを取っても面白い。

この作品の主題はやはり少年犯罪。少年法に守られ、殺人を犯しても罰せられるどころか守られる立場の少年。被害者の親族が望むのは加害者が更生することなどではなく、加害者が一生悔い悩んでゆくことなのに…。重たいテーマですね。

こういったオープンな場で発言すべきことではないのですが、個人的にこの『さまよう刃』を読んでいて、私が常に応援していたのは被害者の父親です。復讐が完結すれば良いと本気で思っていました。もちろん、父親に裁く権利など無く、彼が犯しているのも犯罪に他ならないのですが。あんな性根の腐った少年どもなぞ死んでしまえば良いと本気で感じました。自分の犯した罪を自覚もできず、隠せば良い逃げれば良いだなんて、幼稚園児のすることではないですか。幼稚園児が体だけ大人になって、女を力で捻じ伏せ、少年であるという理由だけで守られる世の中。そんな世の中くそくらえです。

少年法について勉強したことなぞ無く、テレビから得る断片的な情報や『さまよう刃』を読んで考えただけの甘っちょろい思考でしかありませんが、本気でそう考えました。犯罪者は裁かれなくてはならない。これはどんなミステリを読んだってそう感じます。探偵が犯人を逃がしてしまう作品なんて言語道断です。今回の『さまよう刃』に登場した父親のように、止むに止まれぬ理由で犯罪に手を染めた犯罪者もいるかもしれない。でも、やはり理由など関係なく、起こった事柄を一つの事実として捉えるべきだと思います。だから、父親には復讐を果たしたあとに、しっかり裁かれて欲しかった。

今回は激情型のレビューで、推敲もせずに一気にupします。あとで読んで後悔するかもしれないけれど、リアルな感想を記事にすることも必要かな、と。

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2006年6月10日 (土)

『同級生』 東野圭吾

同級生 Book 同級生

著者:東野 圭吾
販売元:講談社
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俺の子を身籠ったまま死んでいった彼女。

俺の出来ることは彼女の死を心から悲しんでいるふりをすることだけ。

そして、俺のとった軽率な行動が次の事件を生む。

東野圭吾氏の学園ものといえば、江戸川乱歩賞を受賞した『放課後』ですが、『放課後』よりはこちらの『同級生』の方が私好み。

東野圭吾氏のデビュー頃の作品を読んでいていつも感じるのは「丁寧に描かれているなぁ」ということ。動機とかトリックとか心の描写まで、ものすごく丁寧な仕事してますよね。現在の東野氏の作品は匠の技と云いますか、グレーはあくまでもグレーの色彩として残すように描かれていますが、この頃は白か黒かはっきりせい!という感じ。どちらの作風も好きなのですけれど。なんてったって、東野ブランド。

『同級生』で描かれているトリックも非常に丁寧に伏線が張られているので、判り易いものとなっております。ちょっと物足りないけれど、探偵の登場しない学園ものならばアリです。

それよりも『同級生』を紹介する上で特筆するべき点は、登場人物の心の動きでしょうか。なぜその事件は起こってしまったのか?その裏に潜んでいる心の葛藤とはどんなものだったのか。単一ではない心の動きが、滑稽には感じられない程度にうまく描写されています。

ミステリミステリした作品は苦手だけど、ちょっと読んでみたい気分なのという方は是非『同級生』を手にとってみてください。

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