■麻耶雄嵩

2017/05/05

『名探偵 木更津悠也』 麻耶雄嵩

空前の麻耶ブーム襲来につき再読。『貴族探偵』毎週見てます。改変せず、御前様を装置としての名探偵のまま描写してくれたことに感謝です。

個人的にはこの木更津シリーズは麻耶作品のなかで最も一般受けすると思っているシリーズです。新書も文庫も絶版ですけど() 『弦チェレ』なる新刊が木更津シリーズらしいのでこの機に重版(復刊?)しましょう。

“一見”ステレオタイプな名探偵と助手ものです。“一見”なんですけどね。詳しい事情を知りたい方は『翼ある闇』を読んでください。後悔はさせません。個人的な麻耶ベストはいまだに『翼ある闇』ですね。あの衝撃と言ったら。って、随分と脱線しましたが(ここからネタバレします)私はずっと推理力が香月>>>木更津であることを木更津は気付いていないと思っていたのですが、本作収録の「時間外返却」でそうでもないような記述がありましたね。イタズラで死体を増やした人物にチクリと一言。

これは面白くなってきたぞ

推理力だけが探偵を名探偵たらしめるわけではないことは作中で何度も記述されています。振る舞いやプライド、信念、矜持、いろんな要素が名探偵には必要なのです。その意味で木更津は歴とした名探偵なのですが…その彼がどんな気持ちでヒントをもらい、どんな気持ちで自分が最初に真相に到達したかのように振る舞い、どんな気持ちでミステリでよくある“助手を馬鹿にする名探偵”の台詞を吐いているのでしょう。ああ、想像するだけで楽しい。これだから麻耶作品はたまらない。『弦チェレ』も楽しみです。

そうそう、本作収録作のなかの個人的ベストは「禁区」です。

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2017/04/03

『さよなら神様』 麻耶雄嵩

『神様ゲーム』の続編。

神様の「犯人は○○だよ」から始まり、ご神託が正しいかどうか=鈴木が本当に神様かどうかを検証していく短編集です。結局あやふやなまま(犯人として検挙されないまま)終わるケースが多く、鈴木の正体も分からずじまい。神様…いや、作者の掌の上です。

個人的ベストは「ダムからの遠い道」でしょうか。(ややネタバレしてます)淳が○○の車に乗ってすべてを悟るシーンが巧いです。「バレンタイン昔語り」も嫌いじゃない。もう良いよってくらい伏線繰り返してましたしね。

それにしても○○トリックはラストのどんでん返しに使うのかと思っていましたが、中盤でさらっと明かしてきましたね。思い返してみれば麻耶作品は最後に驚かせて…って感じじゃないですね。中盤で一度ひっくり返して、そこから胸糞展開に突き進んでいくタイプ(褒めてます)

神様は一体なにをしたかったんでしょうかね。まさに神のみぞ知るですが、戯れに恋でもしたかったんでしょうか。さよならされちゃいましたけど。

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2014/03/19

『Mystery Seller』


とっておきの謎、売ります。
がコンセプトのALL書き下ろしアンソロジー。

個人的には有栖川の「四分間では短すぎる」がベスト。某古典名作の本歌取り、もう単純に「うまいなあ、さすが有栖川だなあ」という感嘆ですよ。そして、作家アリスと火村がやっても成立しそうなお話だけれど、学生アリスたちが年代ものの下宿で膝を突き合わせてやるからこその味がある作品だなとも思ったり。

米澤穂信の「柘榴」も好き好き。ただ、ミステリでは無いような気がするのだけれど…このアンソロ、他にもミステリ?と首を傾げたくなる作品があるのだけれど(島田荘司とか島田荘司とか)ミステリをどう定義しているのだろうか。どこかに提示してくれればより親切なのに。

麻耶の「無くした御守」は素なのか素じゃないのかとても気になりますが、そこを投げっぱなしにしてこその麻耶だなあ、と。

そして何より、作家ごとの著作リストがもう親切でたまらない。このリストだけでも価値のある、そんな一冊かと。

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2013/12/14

『メルカトルと美袋のための殺人』 麻耶雄嵩

長編に向かない探偵とはよく言ったものだ。『夏と冬の奏鳴曲』ではラスト数ページで現れ、意味深な言葉を投げつけてくれたメルカトル鮎の向いているのだろう短編集。確かにサクサクと進む展開はストレスフリー。まあ、美袋のストレスはフリーどころか振りきれてしまっているのだけれど。

収録されているのは7編。正直、抜きん出て優れた作品はないと思う。個人的な好みは「小人間居為不善」かな。どれもメルカトルらしく小気味悪い作品なわけですが、これが一番胸糞悪い気がする。いや、「彷徨える美袋」も負けてない。

論理の美しさでは「化粧した男の冒険」でしょうか。これも小気味悪いよね。いや、小気味悪くない作品はないのだけれど。メルが捜査に乗り出すその動機が素晴らしいですね(棒

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2013/12/04

『夏と冬の奏鳴曲』 麻耶雄嵩


なんじゃこりゃあ!!??????

ですよね、本当。ここまで投げっ放しで、真相は読者の皆様が展開()くださいなミステリを久しぶりに読みました。さすが初期の麻耶雄嵩。いや、今も麻耶は麻耶ですけれども。

真宮和音という女優の魅力に取りつかれた若人たちの20年ぶりの再会の旅に同行することになった烏有と桐璃。和音島という彼らがかつて共同生活を送った島で、起こったのは和音を偲ぶフィルム「春と秋の奏鳴曲」の上映会…ではなく、首なし死体から始まる連続殺人事件。しかも、真宮和音という女優には何か秘密があり、彼らはそれを隠しているような…?というバリバリの孤島ものですが、とりあえず、銘探偵は不在です。最後の数ページにしか登場しません。さすがメルカトル()

そして、ここから思い切りネタバレしますが、

すべて、烏有の人生すらも首謀者によって操られたものってことでよろしいか?

真宮和音という少女が存在せず、尚美と同一人物である(彼らは尚美の中に和音を魅い出していた)という私の仮定は半分くらい当たっていたわけですが、さらにその上、和音の復活という奇跡を信じて「春と秋の奏鳴曲」のままに人ひとりの人生をどうこうしようとするとはなんというかまあ、狂ってますよね()

ついに見つからなかった「黙示録」、それはきっと彼らが和音島に戻ってからの一週間について規定されていたのだと思うのだけれど、烏有が起こしてしまった殺人によってすべて狂ってしまった…のでしょうか。それとも、烏有の行動までもが予想通りなのでしょうか。だって、烏有は桐璃を正しく?選んでいるのですから。

とりあえず、「うゆうさん」と「うゆーさん」、ふたりの桐璃に関してどんな風に入れ替わりが行われたのか、とか。これまでふたりの桐璃はどんな生活を送って来たのか、とか。片方の桐璃は本当になにも知らされないままだったのか、とかとかとか。明かされてないことが多すぎる、かつ、ここに書いてあることも私の想像でしかないので正しいかどうかわからないのだけれど、もう一回読もうとは思えないのが麻耶らしいところ。

とりあえず、問題作であることに変わりは有りません。だって、解決編のないミステリだぜ?700ページ読んできてこれじゃ、怒られちゃうよ!!!!!

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2013/04/03

『メルカトルかく語りき』 麻耶雄嵩

銘探偵、それは記念碑的に価値のある名探偵。自らをそう讃えるメルカトル鮎の前に並べられた五つの事件。果たして銘探偵はそれらをどのように解決するのか…を楽しむのがミステリを読み際の楽しみ方のひとつですが、本作はそうはいきません。なんせ、

解決しませんからね(笑)

いや、解決します。解決しますとも。ただ、その解決が納得のいくものであるかどうかは別問題です。「論理的であること=納得できる」が成り立たない、まさに銘探偵の所業。

個人的には「九州旅行」と「密室荘」が好きかな。「九州旅行」は唯一ミステリとして成り立っているし(笑)「密室荘」とかもう、シリーズものの探偵がやることとは思えません。普通ならメルカトル違いの叙述トリックを疑うところですが、冒頭でセメント頼んでるしなあ…と思ってたらきちんと不条理なまま終わらせてくれましたとも。っていうか、これを出版しようってのが凄いよね。

どうか、これからミステリを勉強(?)するぞという若人が手に取りませんように。

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2013/02/12

『隻眼の少女』 麻耶雄嵩

このミス2011、4位の本作ですが…読むのにかなり苦戦しました。

スガル様信仰の残る集落、スガル様の後継者を狙って次々と起こる首斬り殺人、水干を纏った隻眼の名探偵…これでもかってくらい魅力的な要素が詰まっているわけですが、描写があまりにも淡々とし過ぎていて物語に入り込むことができませんでした。

本当に次々と事件が起こるんですよ。そして、そこに潜む不確定な要素を名探偵である『隻眼の少女』が暴いていくわけですが…なんか地味なんですよね。暴かれる内容も地味というか、地味であるからこそ名探偵と呼ばれる人種でなければ気付けなかったと言い替えられるのだとおもうのですが、「ああ、そうだったのか!」という驚きが小さい。

それは衝撃のラストも同じで、満を持して犯人登場!というよりは唐突感の方が強いです。意外な犯人モノってのは納得感があるかどうかなんですよね。そういえばそういう描写あったよね!って膝を叩きたくなるやられた感があるかどうかなんですが、私個人は本作からそういう感想は抱けなかったのです。「そういうことね、ふーん」っていうさ。

麻耶作品であるという認識=ハードルがそうさせてしまったのかもしれませんが、個人的には微妙な読了となりました。

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2013/01/22

『貴族探偵』 麻耶雄嵩


貴族探偵というタイトルから「気障な金持ちぼっちゃまが道楽で探偵をするお話でしょ?」との推測を持って読み始めた本作。その推測はあながち間違いではなかったけれど、本作に登場するおぼっちゃまはさらにその上を行っておりました。

まさか召使に全部推理させるとは…!

さすが麻耶、その発想はなかった。本作には5つの殺人が収められているのだけれど、ミステリとしてはどれもこれもシンプル。大掛かりなトリックもなく、探偵(正確には召使だけれど)が脚で捜査し犯人を追い詰めるなんていう展開もなく、シンプルとしか言いようのない謎が並びます。

第3話、「こうもり」を除いては。

いや、「こうもり」だってそんなに仰々しいトリックを使っているわけではないのです。トリックとしてはありがちというかアンフェアというか。でも、「アンフェアだ!」と読者に言わせない工夫が作中に為されているんですよね。そして、それがすごい。どんな工夫なのかを書いてしまうと楽しみが半減どころか2/3はなくなってしまうので書きませんが、私はその工夫に気付いた瞬間「ええええええ!?」と声を上げてページを遡りましたとも。

最後まで御前様の素性がわからないのが残念ですが、それはきっと蛇足と言うものでしょう。

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2008/12/27

『メフィスト 2009年1月号』

メフィスト 2009年 01月号 [雑誌] Book メフィスト 2009年 01月号 [雑誌]

販売元:講談社
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久しぶりにメフィスト買いました。西尾維新氏の『きみとぼくの壊れた世界』もんだい編が掲載された号を買ったのが最後かと思いますので…何年ぶりでしょうか少なくとも5年は経ってますね月日の流れるスピードが異常だ歳ですか?では、そんな浅いお付き合いしかしていないメフィストを今回購入した契機ですが、

40代のタタル&熊を拝みたかったからに相違ありません

でも、それだけじゃない。今回のメフィストは私のスキスキ作家さんが多くてにんまり。以下、連載以外で私が読了した作品(しかも読んだ順)のレビューです。

「QED~flumen~ 出雲大遷宮」 高田崇史
残念ながらタタルの嫁情報は入手できませんでしたが、それでもいろいろと無視できない情報が散りばめられておりました本作。まず、タタルたちが“あの事件”と呼ぶ9年前の事件。どうやらこの事件がQEDの終焉となる模様ですが…舞台は出雲ですか(出雲に足を踏み入れることはないようですが)なんか、ついに本丸に攻め込んだ感じですね。そして、その事件の鍵を握る(らしい)中島晴美…正直「誰それ?」状態だったのですが、『QED~flumen~ 九段坂の春』に登場した奈々の同級生だそうで。全く覚えておりませんでしたてっきりモブかと。そう思って『九段坂の春』再読中なのですが、やっぱりモブでしたし。そして、なによりもなによりも見逃せない情報が。熊、子連れ女性と結婚したんですか!?なんか熊っぽい選択ですね違和感なく受け止められました。子どもの名は「大地くん」だそうで。きっと終焉までには「大地くんの母親」も登場してくれると思うので(まさか既出ってことはないよね!?)その辺りにも注目しつつ残り3作のQEDを追いかけてゆきたいと思います。しかし、タタルってば狐憑きからは卒業したようで大人になりましたね。

「薬剤師とヤクザ医師の長い夜」 椹野道流
QEDトリビュートとして登場した本作。椹野道流氏と聞いてもピンとこなかったのですが、ミチルンと聞いて「あぁ!」高田崇史氏のエッセイでお馴染みのミチルンじゃないですか。さて、そんなミチルンの「伊月崇」と本家QEDの「桑原崇」というW崇でお送りする「薬剤師とヤクザ医師の長い夜」。タタルが若干別人ですが、トリビュートだし挿絵のタタルが異常に男前だったので成績は「優」。あの環境下で出雲大社あたりの薀蓄を語り出したら本物のタタルだったんですけれど(笑)でも、本作ではお目にかかれない漢方薬局勤務のタタルが垣間見れてやっぱり満足でした。これを契機にミチルンの作品にも手を伸ばしてみようと思います。ティーンズからだけでなく、講談社ノベルスからも「鬼籍通覧(伊月崇)シリーズ」が出ているようですし。そういえば、「薬剤師」と「ヤクザ医師」が「やくざいし」でかかってますね。いま変換してみて始めて気がつきました(駄目な仔)。

「零崎人識の人間関係 無桐伊織との関係」 西尾維新
零崎シリーズラストを飾る『零崎人識の人間関係』。ノベルス化したときに一気に読むべきか…と一瞬だけ悩みましたがそれも一瞬。読んで良かった崩子ちゃん可愛いよハァハァ。勝手に『人間関係』は長編だと思っていたのですが、『零崎曲識の人間人間』と同様に短篇をいくつかまとめる形式なんですね。wikiによると「匂宮出夢との関係」「無桐伊織との関係」「零崎双識との関係」「戯言遣いとの関係」とのこと。これでふたつ目が発表されたことになるのですね。俄然「零崎双識」と「戯言遣い」が気になるところですが…どっちか書き下ろしにしないと販売戦略上マイナスでしょうから、ってそんなこと私が気にするところじゃないかそれよりもなによりも崩子ちゃん可愛いよハァハァ。「無桐伊織との関係」とは言いつつも主役は戯言遣いの抱き枕=闇口崩子ちゃんと、その存在自体が主役=哀川潤の両者かと。死神の最期の願いを叶えるべく闇口衆の拠点たる大厄島に乗り込んだ4人。4人の前に立ち塞がるは生涯無敗結晶皇帝(凄いネーミング)。「かけっこ」であり「鬼ごっこ」でもある大厄ゲームの詳細は省きますが、崩子ちゃんと伊織ちゃんの戦いは良かったですねキュンキュンします。やっぱり戯言シリーズは女の子が可愛い。女の子が涙流しながら頑張っている様を読むのは嬉しい…って私はどんな変態だ。人識の人間関係については4篇で1作だと思いますので、それはノベルス化したときにたっぷりじっくり語りたいと思います。戯言シリーズの後日談とも言える本作、はやく全部通して読みたい!

「密室殺人ゲーム2.0 Q5 三つの閂」 歌野晶午
『密室殺人ゲーム大手飛車取り』の第2弾である本作。その5問目です。前作をべた褒めしました私ですが、本作もその遊び心はそのままに出題レベルもそのままに、とにかく嬉しいはやくノベルス化して欲しいこれまでの4問も読みたい!今回のお題は雪密室。雪密室に対する登場人物たちのツッコミ(「積雪の条件が整うまで、ひたすら何年も待ちますか?中略。だったら雪の密室トリックなぞ使わず、別の方法でさっさと殺しますよ」)とか互いへの罵倒とか…あぁ、気持ち良い。殺人現場の情景も美しいですよね。処女雪に聳え立つ透明ボックス…まさに非日常的非現実的ファンタジーですよ。ボックスが自作ってところがミステリ的には残念ですが、その頑張りには涙です。前作はラストに蛇足感ありましたが、本作はどんなラストでもってゲームを終わらせるのでしょうか。それも楽しみです。

「隙魔の如き覗くもの」 三津田信三
長篇だけかと思っていたら短篇でも美味しくいただけるんですね刀城言耶シリーズ。今回の怪異は隙間から現在過去未来、心の隙間に付け入る幻を見せる隙魔。隙魔が隙間に見せるは小学校校長が鬼に追われる幻…けれど、その校長が虐殺されたと知っては?刀城言耶シリーズらしいアリバイ崩しは健在。納得のゆく結末に思わずにんまり。動機を蔑ろにし(頁数の関係やもしれませんが)殺害機会の点だけで犯人指摘するその美しさにうっとりです。

「答えのない絵本」 麻耶雄嵩
メル久しぶり!というか麻耶雄嵩氏久しぶり!新刊というものをここ数年拝見しておりませんが…久しぶりの新作がこんなバカミスだなんて(笑)ロジックではこうなるのかもしれませんが、こんなのが認められるわけないじゃないですか!?衝撃のラストへあなたを誘うって本当だよ!是非読んでください。ラスト直前まではバッキバキの本格です。可能ならばラスト直前で自分なりの犯人を見付け、そこでメフィストを閉じていただけたら。

「嘘つき紳士」 北山猛邦
ミステリというよりはセンチメンタル…かと思いきやなんとも後味の悪い感じ=私の好み作品きました。ハートウォーミングな結末が待っているに違いないと思っていただけに、この裏切られた感が堪らないですね。『キョーコ』はどんな気持ちであんなピュアなメールを打っていたのだろうその心の闇を覗きたい。でも、TOKYOにそんな力があるかどうかは…疑問。

「トーキョー語り」 辻村深月
新刊2冊放置してメフィスト短篇から読ませていただきましたが…やっぱり高校生くらいの女の子の心情を描くのが巧いですなぁ。なにか劇的な出来事が起こるでもなく、劇的な出来事を起こすでもなく。私たちの身にも起こりそうな起こっていたような日常を切り取っているはずなのに、なんとなくキラキラ。本作には一美というキャラクタが登場するのですが、まぁ居ますねこういう悪い女。少なくとも私の中には居る。そして、そんな一美(私)にしてみたら主人公のさくらは鼻につきますよ。篤志の「イライラする」件はまさに。だけど、そこはトーキョーじゃないから知らないふりは出来ないから、だからいっしょに過ごすしかないの。そして、せっかくいっしょの時を過ごすなら、楽しいほうが良いに決まってるじゃない。そんな当たり前のことを当たり前に描いた作品だと思う。だから、特に特質すべき点はありませんの。

「Aカップの男たち」 倉知淳
倉知淳氏久しぶり!と思ったらそんなバカ作品とは(笑)最近男性用ブラジャーが話題になってますが、倉知淳氏がさっそく作品に取り入れてきました。作品は一応ミステリ風味ですが、それよりもブラジャーの件が印象強くって特に感慨はございません。それよりもゴ○ゴサイドから叱られませんか?スナイパーがブラジャーって(笑)

だんだんレビューが短くなくなるテキトーになるのはご愛嬌ということで。この他にも法月綸太郎氏のグリフィンシリーズの連載も始まったのですが…連載もの読んじゃうと次のメフィストも欲しくなるなるからなぁどうしようか悩み中。でもグリフィンシリーズはなかなか面白かったので、絶対読みたくなるんだと思います。
  

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2008/05/24

『あいにくの雨で』 麻耶雄嵩

塔へと続く一筋の足跡

裏切り者へと続く仕組まれた道筋

「俺たち親友だろ」

久しぶりに読んだ本格ミステリ。やっぱり私はミステリ畑で育った人間だと実感。ミステリ小説は人間が書けてない?上等です。でも、本作は

殺人事件よりもクリークの活動に興味を覚えてしまった

なんて本末転倒な心意気。いやぁ、私もクリークの一員になりたいです。クリークとは(高校)生徒会運営をスムースに執り行うべく設置された調査機関(スパイ)の名称なんですが…

そんな発展した生徒会が有ってたまるものか

少なくとも我が母校には無かったはず…無かったよね?会長?(私信)都会の高校ならいざ知らず、ど田舎の高校で謀略戦を繰り返してどうする。井の中の蛙状態に陥ること必至。まぁ、ミステリ小説は人間が書けてなくてなんぼですから。

というわけで、本作『あいにくの雨で』は高校生が主人公(探偵)。高校生が殺人事件に首を突っ込む契機と云えば、もちろん“友情”しかないわけで。本作の主題は“友情”と“裏切り”、そして“孤独”かと。

親友の周りで次々と起こる殺人事件。悩み苦しみ痩せ衰える親友を救うべく、立ち上がる主人公。けれど、主人公の前には問題が山積みで。そして、死体も山積みで。真相に近づく度に増えてゆく死体。高校生たる主人公の生活に、土足で踏み込んで来る侵入者=裏切り者。

麻耶作品らしい舞台の切り替えにあたふたしていると、ラストの急展開っぷりに付いてゆけなくなる。本作は冒頭で(メインの)密室トリックが明かされるという斬新な手法を取っているので、トリックに頭を悩ませる必要は無いのですけれども。あまりにも死体の数が多過ぎて、あまりにも人の死があっさりし過ぎていて、あまりにも登場人物全員が救われなくて。あまりにも麻耶作品。

犯人は誰か…なんてあまりにも些事。むしろ「こいつが犯人じゃなかったらビビる」的展開。けれど、ミステリを読んだという実感を十二分に得ることのできた良書。麻耶祭が始まりそうな予感。

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