■東川篤哉

2016/11/25

『魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?』 東川篤哉

東川作品らしい1作。魔法という裏技は使われているものの、犯人逮捕の決め手(罠)はしっかりと練られておりミステリスキーでも十分に楽しめる作品。

しかし作りが軽いんですよ。その軽さ(読みやすさ)が東川作品の売りであり良さでもあるんですが、初期作品くらいの堅さが好みです。マリィと小山田のやりとりが伏線になったり、小ネタが隠されていないわけではないですが、やはり意味のない掛け合いが多いと個人的には思います。

1話15分~30分くらいで読めるので、ちょっとした空き時間に読むには最適かもしれません。頭の体操にも。

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2014/03/14

『ここに死体を捨てないでください!』 東川篤哉

読み飛ばしていた烏賊川市シリーズ第5弾をようやく。

先日までやっていたドラマ「私の嫌いな探偵」、今季一番じゃないかってくらい良かったですね!ゴーリキー演じる管理人さんがガチミステリヲタで、あることないこと妄想してむちゃくちゃな推理を展開する様がミステリスキーあるあるでたまりませんでした。他の東川作品をいじってみたり、紅葉&船越が出てみたり、鵜飼さんが格好良すぎたり…突っ込みどころ満載で早くもシリーズ化して欲しいと思えるほどの良ドラマでした。

そんなわけで、映画化するなら本作が良いかもしれない『ここに死体を捨てないでください!』ですが、とりあえず香織&鉄男の馬鹿っぷりが酷い()死体運搬に関するあれこれがとにかく有り得ないわけですが…なぜか許せてしまうのがこの烏賊川市シリーズの恐ろしいところ。許せるどころかちょっと愛らしいとさえ思ってしまったわい。

ミステリ的には「最初の夜、轟音が響き渡った筈では?」から「いくらなんでも跡が残るに決まっているだろう」まで突っ込みどころ満載ですが、それでもなんとか成立している…のか?このゆるさも烏賊川市シリーズってことで、ひとつ。

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2013/09/21

『中途半端な密室』 東川篤哉


東川篤哉のデビュー作を含む初期短編集。ユーモアたっぷりな独特な語り口はデビュー時には既に確立されており、安心の東川クオリティ。むしろ、ユーモアの量と質が適度で、最近の作品もだらだらさせずにこのくらいで納めてくれたら…と思ったり思わなかったり。

個人的なベストはK島を望むS島で起こった殺人事件を題材にした「南の島の殺人」。叙述トリックに分類しても良いと思うのだがどうだろう。なにより、名探偵(?)が解決に至るそのアプローチの方法が類を見ないかと。秀逸。

「十年の密室・十分の消失」はバカミスかな。離れの小屋が消えるトリックは館モノかと思ったのだけれど(館が180°回転して違う場所に案内された)そちらの方がまだマシだと思える出来だと思いませんか?

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2013/03/18

『謎解きはディナーのあとで 2』 東川篤哉


大人気シリーズ第2弾、謎も毒舌もさらにライトになった感じかと。

6話収録されてますが、正直あまり記憶に残らないというか…トリックが秀逸であるとか、お嬢様と執事の掛け合いがたまらないとか、そういうお話がない。だからと言ってバカミスとも言い難い…帽子の使い方だけはどうかと思ったけれど。雪密室のトリックもどうかと思ったけれど。あれ?バカミスか?

あ、でも、「ウケる~」にくすっとしたかな。ウケる~。

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2013/02/10

『謎解きはディナーのあとで』 東川篤哉

いまさら感漂ってますがいまさら読みました。ベストセラーと呼んで差し障りないでしょう『謎解きはディナーのあとで』。

ドラマは観ていたのですが…尺を延ばす為に追加された要素がことごとく要らないものであったと原作を読んで改めて思いましたとも。本作の魅力は執事・影山の毒舌(謎を前にして興奮→つい地が出ちゃうってことでよろしいか?)と安楽椅子探偵っぷりだと思うのですが、ドラマは後者の良さを完全に放棄しちゃってましたよね。現場に足を運んで捜査(推理)してたら、それもう普通のミステリと変わらないじゃんっていう。

安楽椅子モノの良いところ(であり悪いところ)は謎が至ってシンプルなところ。収録されている事件は六つですが、どれもシンプルでスマートでした。ありがちな論理の飛躍もメタもほぼ気になりませんでしたし。消去法が容易なように登場人物が少ないのはご愛敬ってことで。

続編も出ている本シリーズですが、影山と麗子のラブ展開ってのはやっぱり用意されているんでしょうかね?この作品に限ってはあくまでもお嬢様と執事なふたりが良いなあと個人的には思います。

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2013/02/06

『はやく名探偵になりたい』 東川篤哉


烏賊川市シリーズ第6弾、5つのいかがわしい依頼を解決する短編集です。

表紙を見て「シリーズキャラクタこんなにいたっけ?全く覚えてないよー!!」と思ったのも当然、シリーズキャラクタは前列のふたりだけで、残りの皆様は犯人の方だったり重要キャラクタだったりします…が、よく考えなくてもこれってものすごいネタバレですよね。

個人的には「藤枝邸の完全なる密室」が好きかな。倒叙なので犯人が誰かは明白(というか、語り手が犯人か)ですが、この犯人が「密室の謎が破られなければ自分は捕まらない!」と思っているところがもう堪らないわけです。重度のミステリヲタですね。この発想、嫌いじゃないです。そんな犯人がなぜ犯人と指摘されるに至ったか…はお読みいただくとして、こういうユーモアたっぷりのミステリが東川ミステリだったよなあ、と改めて。

どうやら私は烏賊川市シリーズ第5弾『ここに死体を捨てないでください!』を読み飛ばしているようなので、近いうちにまた、鵜飼&戸村のふたりの活躍を読めそうな気が致します。

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2008/11/02

『もう誘拐なんてしない』 東川篤哉

もう誘拐なんてしない Book もう誘拐なんてしない

著者:東川 篤哉
販売元:文藝春秋
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ひょんなことからヤクザの娘を誘拐することに

この狂言誘拐は成功するのか?

そして、ヘタレ大学生と女子高生の未来は?

「烏賊川市シリーズ」でも「鯉ヶ窪学園探偵部シリーズ」でもない、きっとシリーズ化には至らないであろう『もう誘拐なんてしない』が本日のレビュー作品です。

狂言誘拐かつドタバタユーモア作品といえば、貫井徳郎氏の『悪党たちは千里を走る』を思い出さずにはおれないのですが、本作は『悪党~』を2割…いや3割くらい面白くなくした感じです(ってずいぶん毒吐いたな)

狂言誘拐ものの面白さは「狂言誘拐の成功」→「仲間の裏切り」→「裏切った仲間を成敗してくれる!」だと思うのですが、本作は「狂言誘拐の成功」→「仲間の裏切り」→「どこからともなく他殺死体がっ!!」なんですよね。いやぁ、いまだかつて死体が登場してこんなに驚いた作品があっただろうかいやない。「ミステリだと思って読んでたのに死体が出てこないどころか事件すら起きない」ってのも驚きますが、今回はミステリだと思ってなかったので。

しかし、本作の帯はなかなか挑戦的です。引用。

「騙されたと思って、この本を冒頭30ページまで読んでみてください(立ち読みでOK)。」

続きが気になって最後まで読まずにはおれないでしょう…みたいなことが書かれているのですが、昨晩20ページまで読んだところで寝てしまってごめんなさい。でも、そこまで引き込まれる出だしではないと思う、よ?

というわけで、相当量の毒吐きましたが、東川篤哉氏らしいユーモアに溢れた一作。狂言誘拐に何の意味もないところとか、東川作品らしくて好きです。ミステリとしても(ミステリだと思ってなかったので度胆を抜かれましたが)なかなか上質だと思います。(ミステリだと思ってなかったので)さらっと読み飛ばしていた部分にいくつか伏線張られてたかと思うと悔しい。

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2008/04/15

『交換殺人には向かない夜』 東川篤哉

交換殺人には向かない夜 (カッパノベルス) Book 交換殺人には向かない夜 (カッパノベルス)

著者:東川 篤哉
販売元:光文社
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烏賊川市に事務所を構えるいかがわしい探偵・鵜飼杜夫

今日もいかがわしい依頼をいかがわしく調査

その先にあったいかがしい真実とは?

この作品、ミステリ的にはかなり優秀だと思うのですが、その優秀さが伝わってこないのは作品に流れるいかがわしい雰囲気の所為なのでしょうか?ユーモアミステリとして独自の路線を貫く東川篤哉氏の『交換殺人には向かない夜』が本日のメニューです。

タイトルからも丸解り、本作の主題は“交換殺人”でございます。交換殺人モノの描き方といえば、①犯人側による“いかにして交換殺人を成立させるか”か、②捜査側による“いかにして交換殺人を立証するか”のどちらかなのですが、本作の優秀なところはメイントリックがそのどちらでも無いことなんですよね。

本作で描かれる死体は3つ。探偵役を努める鵜飼杜夫が遭遇した白骨死体、探偵弟子を努める戸村流平が遭遇したスコップ殴打死体、そしてへっぽこ刑事が遭遇した女性刺殺死体。烏賊川市を見舞った歴史的大雪の夜、現れた3つの死体が見事にリンクするんですが…侮れませんよ、本作は。

ただ、その侮れなさは東川氏によるユーモア(ジョーク?駄洒落?スベリっぱなしの漫才?)の嵐によってかなり薄まります。何度読んでも慣れないこの感じ。ユーモアミステリは決して嫌いではないのですが、ここまで畳み掛けんでも…といつ読んでも思う。もっと小出し小出しに、エッセンス的に披露できんのか、と。もう、地の文すべてがユーモアなんですよ。苦手な方はとことん駄目、途中で読めなくなるのでは無いかと心配してしまうほどの量でございます。

それでも、本作はラストに優秀などんでん返しが待っておりますので、最後まで挫折せずに読んでいただきたい、と。私はこの作品好きです。いつものように「探偵・鵜飼杜夫は必要なのか?」という議論は横に置いておいて。今回はちょっと素敵な女性が登場したりするので(和泉刑事、好きです)さらに影が薄くなってるなんて、本当のことは置いておいて。

ミステリスキーな方なら、ユーモアの先に待つ結末にきっと膝を叩いてくださると思っております。是非、召し上がれ。

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2006/10/09

『殺意は必ず三度ある』 東川篤哉

殺意は必ず三度ある

Book 殺意は必ず三度ある

著者:東川 篤哉
販売元:実業之日本社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

鯉ヶ窪学園探偵部が誇る三馬鹿トリオ…ならぬ“三馬鹿”ないしは“馬鹿トリオ”が繰り広げる推理合戦の先に見える真相とは?

ユーモアミステリの新鋭として頭角を現しつつある東川篤哉氏、待望の新刊。

真相にタッチ、犯人をアウト。

読書の秋ですね。北海道は秋を通り越して冬めいて来ましたが。ス、ストーブ着けてもいいですか?

さて、東川篤哉氏の新刊は「烏賊川市シリーズ」ではなく、久しぶりの「鯉ヶ窪学園探偵部シリーズ」。実は私、こちらのシリーズの方が好きだったりします。探偵部が誇る三馬鹿トリオのテンポが良いですよね。「ポン!ポン!!ポン!!!三球三振、バッターアウト!」という感じで。

さて、この「鯉ヶ窪学園探偵部シリーズ」は“三人寄れば文殊の知恵”よろしく、ひとりひとりの(推理)能力は平々凡々だけれども、三馬鹿揃えば…やっぱり平々凡々という、なんとも救いようのないシリーズです。惜しいところまではゆくけれども、いつも探偵役をラストで誰かに掻っ攫われてしまう悲しい三人衆。

ミステリのトリックとしては、なかなかおもしろいトリックだったと思います。犯人当てを楽しむ趣向として描かれている作品ではないし、叙述トリックもそんなにびっくりするようなものではないし。トリックを魅せたい作品だったのだ、と。本格のルールである「文中に虚偽の事実を織り交ぜてはならない。ただし、登場人物たちが錯覚している場合は除く」をうまいこと利用していたと思います。ただ、衝撃度が少ない。東川氏の作品はいつもそうだ。惜しい。

ユーモア本格ミステリ作家として、既に一地位を確立しつつある東川氏ですが、この作風は疲れませんかね?ブログという媒体で文章を披露するようになって改めて感じたのですが、常におもしろいことを織り交ぜよう!という姿勢は本当に大変。独りよがりになってはならないし、じゃあ万人を惹きつけるユーモアってなんなんだい?と。事実描写をただツラツラと書く方が、よっぽど簡単ですよね。お疲れ様です、東川氏。

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2006/04/29

『密室に向かって撃て!』 東川篤哉

密室に向かって撃て! (光文社文庫 ひ 12-2) Book 密室に向かって撃て! (光文社文庫 ひ 12-2)

著者:東川 篤哉
販売元:光文社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

烏賊川市のはずれ、鳥ノ岬で起こった連続銃殺事件。

衆人密室の中起こった殺人に、家賃滞納探偵が挑む。

烏賊川市シリーズ第二弾。

読むのに3日もかかってしまった。この薄さのミステリに3日…この経過日数に何かを感じ取っていただけたら。

第二作目にしてこのユーモアの数。東川氏はもう自分のスタイルを確立されたのですね。でも、そんなにいらないよ!というのが私の個人的な意見。

登場人物の台詞だけでなく、地の分でも繰り返されるジョーク。ちょっとうんざり。3日もかかってしまった原因はここにあります。だって、捜査が遅々として進まないんだもの。ユーモアはもちろんですが、本格として読ませてください、じっくりと。

本格部分は名探偵が皆を集めてなんとやら…を実践していてニヤリ。その謎解きにも納得でニヤリ。でもねぇ、そこに到達するまでが長かった。

キャラ小説としての烏賊川市シリーズにそこまでのめり込めない私としては、ちょっと辛いのです。キャラ萌えできたら、きっと至福の時なのでしょうね。きっと。

東川氏の作品を読むと、石崎幸二氏の作品が読みたいなぁと思います。石崎氏のミステリフロンティアの予告が出て早○年。一体いつ発行になるのでしょうか。お願いします、東京創元社さん…。

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