2008年1月16日 (水)

『密室キングダム』 柄刀一

密室キングダム Book 密室キングダム

著者:柄刀 一
販売元:光文社
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密室×密室×密室。三重密室の先にあるのは天才奇術師の死。

壇上のメフィストの死をファンファーレに、始まった密室展覧会。

貴方はこの密室から這い出ることができるか?

「すわっ、また逃亡か?」と皆様お思いだったことでしょう。漸く2008年最初のレビューをお送りすることができます。それもこれもこの『密室キングダム』のお陰。なんですか?あれですか?『密室キングダム』には

睡眠薬かなにかが盛られておったのですか??

ただでさえ厚い本作。ほう、923頁ですか…1日100頁読んだって9日間かかる計算…人が殺せますね。密室大好きっ子の私としては「どすこい!超常現象!!(by TRICK)」の構えで挑んだはずだったのですが、図解なし解説の物理トリックに頭を使ったり、事件発生時の登場人物アリバイ整理に気を取られているうちに、夢の世界にどっぷり居住していたわけです。

個人的趣向として、謎が出揃って“謎の品評会”みたいな状態になってしまってから、探偵役がズイっと登場して、それらを一刀両断する…みたいな手法のミステリが好きなので、本作のように事件が起こるたびにチマチマと謎解きされるとモチベーションが下がるんですよ。そうやってチマチマやることで、犯人のランク付けも下がるというか。「あぁ、結局すぐに解決されちゃうようなトリックなわけね」みたいな。まぁ、900頁超の作品で一刀両断解決方式を取ると、「えっ?そんな事件(トリック)あったっけ?」「えっ?そんな怪しい描写あったっけ?」的な読者(私が筆頭)が出るに違いないので、致し方無いといえば致し方無いのですが。

しかも本作には睡眠薬が盛られてるしね…(ぼそり)

あと、もうちょっと図解を含めた親切設計にして欲しかったですね。特に密室モノには欠かせない鍵の関係をすっきりさせて欲しかった。ぶっちゃけ、「鍵が掛かっている」ことしか解らない箇所もいくつかありました。まぁ、私の文章読解力&知識不足なのでしょうが。

でも、柄刀一氏がここまで密室にこだわった作品を書いたという事実には「Bravo!」の一言。密室を主題にした900頁超の作品が今という時代に出た、ということがなによりも嬉しい。

なので、ノックスの十戎“犯人は作品の冒頭から登場していなくてはならない”に若干抵触しそうな件については眼をつぶりたいと思います。

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2006年6月12日 (月)

『連殺魔方陣』 柄刀一

連殺魔方陣 Book 連殺魔方陣

著者:柄刀 一
販売元:祥伝社
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IQ190の天才・天地龍之介が招待された亀村家で起こる連続毒殺事件。

毒殺の機会は誰にも無い様に見える中、発見される予告状。

魔方陣に魅せられた犯人を龍之介は止めることができるのか?

魔方陣って好きです。

取っつき難そうに見えて、ルールさえ知ってしまえばどんな大きさの魔方陣だって簡単に解くことができるんですもの。もちろん本作で紹介されているような素数魔方陣なんてものには適用できませんが。無秩序に見えるものにもれっきとしたルールがある。ミステリ的思考ですね。

さて、この「龍之介シリーズ」は他に『殺意は砂糖の右側に』しか読んだことないのですが、柄刀氏の講演会に参加した際に氏が魔方陣について熱く語っていらっしゃったことを思い出し、いきなり手に取った次第です。実は『殺意は~』を読んだときに龍之介の引っ込み思案なところが気に食わなくって、以降読むのを避けていたシリーズだったのですが…。ほら、私のよく読むミステリの名探偵って、俺が俺がのナルシストな方ばかりなものですから。

最近ミステリと数学の融合が妙に多い気がします。数学もミステリも「真実はいつもひとつ!」(byコナン)なところがマッチングするのでしょうか?私は数学大嫌いでしたが、やっぱり長々と数式を解いて、「これだっ!」っていう解に辿り着いたときは気持ち良かったものです。ミステリに登場する探偵の方々も、トリックを解いたときには同じような気持ちになるのでしょうか?でも、数学とミステリの違いはそこに犯罪者の悪意と被害者の悲しみがありますからね。いや、数学にも出題者の悪意が存分に潜んでおりますが…。

この『連殺魔方陣』では犯人が予告状を効果的なものにするために、えらい苦労をされている模様ですが(この程度ならネタバレにならないですよね?)最近この手の苦労する犯人像を想像すると笑いが込み上げてくるようになりました。犯人にとっては犯行を隠すための必然かつ必死の行動なのですが。例えば犯行現場を誤認させるために死体を担いで雪の中を後進してゆく犯人とか、屋根の上で煙突に首を突っ込み、中にいる人間に重たい何かをぶつけて殺害しようとする犯人とか(さぁ、誰の書いたミステリだか当ててみよう!)客観的視点に立つと面白い。駄目だな、ミステリを邪に読むようになっちゃぁ…。

魔方陣に興味がある方は是非、本書を手にとってみてください。神秘の配列にきっと驚かされるはずです!

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2006年3月18日 (土)

柄刀一氏にお会いして来ました

今日はくすみ書房の主催する「ソクラテスのカフェ本談義」というのに独り潜入し、特別ゲストである柄刀一氏の講演を聴いてまいりました。

勝手に開催していた柄刀一フェアはこの日のためだったんですね。

会場であるカフェにはおよそ30人くらいの参加者が狭い店内にひしめきあっておりました。時間ギリギリに到着したものですから、当然良い席は取れず、隅っこのほうで縮こまって聴講。

くすみ書房の店長と柄刀氏の対談形式で行われたのですが、店長が柄刀氏のプロフィールを誤る誤る。

「柄刀さんは45歳で…」「47歳です」

「東区にお住まい…」「厚別区です」

「奥様は…」「独身です」

といった感じ。ちゃんと調べとけよ、店長!

さて、最初は柄刀氏のペンネームの由来から。音で聞いたら普通だけど、字で読むときに変わったものにしたかったと柄刀氏。自身の好きなディクスン・カーを捩って、ペンネームの中にカーを入れたという徹底ぶり。ふむふむ。

あとは処女作『3000年の密室』が出版されるまでの経緯なんかを話してくださったのですが、そこに島田荘司やら鮎川哲也やら有栖川有栖やら、ミステリ好きにはたまらないビックネームが登場するわけです。もうこれだけで行って良かったというもの。

でも、参加者の大半はミステリは読まないであろうおじさんおばさんだったので、果たして彼等は楽しめたのだろうか。少なくとも私は楽しめましたのよ、柄刀氏。

あとね、笑っちゃうのがひとつ。参加者からの質問というコーナーで「柄刀さんが子どものころ読んだ本はどんな本ですか?」という問いが。柄刀氏は「ホームズとかルパンとか一般的なミステリですよ」と答えていらっしゃたのですが、なにを思ったのか店長が「ルパンってそんなに前からありましたっけ?」と言ったわけです。

モンキーパンチじゃねぇよ!ルブランだよ!

と心の中で超高速ツッコミをさせていただきました。

その後、現在ミステリが若干下火になってきていることとか、本格ミステリと新本格ミステリの定義を柄刀氏なりの言葉で話してくださいました。アツい。ミステリ好きにはたまらない時でございました。

しっかりと自前の本にもサインをいただきまして、もう思い残すことはないといった感じです。

7月に新刊が発売になるそうです。4月までに原稿をあげなくてはならないとか。頑張ってください!柄刀先生。

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『4000年のアリバイ回廊』 柄刀一

4000年のアリバイ回廊 Book 4000年のアリバイ回廊

著者:柄刀 一
販売元:光文社
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4000年の時を越え発見された“高千穂ポンペイ”。

火山灰で覆われた集落が現在に語りかけるものは何なのか。

現代の殺人事件と歴史の謎を絡めたミステリ。

柄刀一氏フェア第二作目です。といっても今日でフェアは終わりになる予定ですが。当初の予定では、『400年の遺言-龍遠寺庭園の死』まで読む予定だったんですが。読書ペース落ちましたね。

この『4000年のアリバイ回廊』は再読だったのですが、前回読んだのが高校生のときだったので、ミステリの内容もまったく覚えておらず、初読の気持ちで挑めました。

やはり現代の殺人事件より、歴史ミステリの方に興味が。現代の殺人事件はいわゆるアリバイもの。陸海空いずれの時刻表も掲載されているのですが、こんな時刻表をじっくり読む読者なんているのだろうか…。しかもトリックには時刻表関係ないときてるし。雰囲気を味わうってやつですか。

時刻表トリックといえば西村京太郎氏ですが、私の両親は読書=西村京太郎というステレオ人間なので、実家には西村氏のノベルスがびっしりあります。そんな同じテイストの作品ばっかり読んでも…と思うのですが、両親には言えない。

閑話休題。

歴史のミステリに関しては先が読めるといいますか、かなり推理し易いです。なぜ専門家が雁首そろえて、もっと早くその結論に達しないのか謎。まぁ、歴史学者というのは総じて頭が堅いものですから。私の師事した教授もそうでした。

『3000年の密室』に比べると現代の殺人事件との区切りがあやふやで、さっきまで歴史(遺跡)の話をしていたのに、あっという間にアリバイ確認ですか?という唐突感は否めません。

しかし、殺人者の独白には充分ミスリードの茶目っ気がありますので、楽しめるのではないかと。

『400年の遺言-龍遠寺庭園の死』はフェア終了後にでもゆっくり取り掛かりたいと思います。

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2006年3月16日 (木)

『3000年の密室』 柄刀一

3000年の密室 Book 3000年の密室

著者:柄刀 一
販売元:光文社
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3000年という長い旅路を終えた、縄文人ミイラ・サイモン。

サイモンは何者かに殺害されており、しかも発見されたのは内側から意図的に塞がれた密室だった。

柄刀一デビュー作にして、歴史ミステリの金字塔。

とある理由から柄刀一氏フェアを開催しております。

柄刀一氏の『3000年の密室』を最初に読んだのは高校生のとき。日曜版の新聞に記載された本の紹介コーナーで興味を持ち、図書館でハードカバー版を借りて読みました。

高校生の頃の私は、この本に登場する天才プログラマ・佐々木晃くんに萌え。理系not文系の典型である私は、佐々木くんの言っていることもよくわかりませんでしたが、そこからあふれ出す理系パワーにノックアウト。

この『3000年の密室』は歴史ミステリであり、理系ミステリでもある。絶妙なバランスのとれた傑作です。柄刀氏の作品の中では、この処女作が一番好きです。

サイモンが発見された洞窟がいかにして密室となったか、というトリックが最高なんですね。普通のミステリでこれをやられると、なんてご都合主義的な…と感じてしまうところなんですが、そこで行われた殺人が3000年前のものであるという、この作品の味を最大に活かしたトリックとなっております。

生涯忘れられないトリックのひとつ。

再読してみると、地の文にいきなり重要な情報が紛れ込んでいたりと、アレ?と思わせる記述も少なくありませんでしたが(知っているからこそ気付く記述と言いましょうか)それはデビュー作ということで、ね。

現在とある理由から柄刀一氏フェアを開催中ですので、次は『4000年のアリバイ回廊』を。いきなり1000年も増えちゃってますね。『3000年の密室』はそのトリックの素晴らしさから忘れられない一作ではありますが、『4000年~』はもうすっかり内容を忘れてしまっているので、初読の気持ちで挑みます。

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