2008年5月14日 (水)

『ひらいたトランプ』 アガサ・クリスティ

ひらいたトランプ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) Book ひらいたトランプ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

著者:アガサ クリスティー
販売元:早川書房
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ブリッジを終えたとき、シャイタナ氏は死んでいた

パーティの参加者は全部で8名

その役割は…4名の探偵と4名の犯罪者

「洋モノが読みたい」(んまっ!)と思い立ち、既にカオスと化している本棚から最初に救出された洋モノがこの『ひらいたトランプ』でした。先日再読した篠田真由美『angels 天使たちの長い夜』でこの作品について触れていたので、これも何かの巡り合わせだろうとそのまま読書に入ったのですが…やっぱりクリスティは最高だ。

まずはクリスティから読者に対する挑戦文。

これは例のエルキュール・ポアロの自慢の手柄話である。しかし彼の親友ヘイスティングズ大尉は、ポアロから、この話を手紙で知らされ、非常に単調だと思った。
読者のみなさんは、果たしてどちらの意見に軍配をあげるであろうか。

ですよ。もちろん私は前者(ポアロ)に軍配を上げるわけですけれども。ヘイスティングズが云うように終盤までは単調な事件なんですが…単調だからってつまらないとは限らない。それは作中で取り扱われるブリッジについてもそう。私はブリッジの経験も無いしルールすら知らないけれども、知らないからと云って作品そのものを楽しめないとは限らない。うん、クリスティ(と訳者)の筆力ですね。

あっ、この挑戦文にはちょっとした叙述トリックも含まれておりますね!

そして終盤、単調から脱却した物語は二転三転。4人の容疑者のうち誰が犯人なのか、読者はわからなくなる。ポアロが執拗に迫っていた人物が犯人とは限らない。最も怪しいと思っていた人物が犯人とは限らない。もちろん最も怪しくないと思っていた人物が犯人だなんて…そんなことをクリスティがするとでも?

とにかく満足な一冊。『アクロイド殺し』がクリスティのベストだという個人的意見は変わらないけれど、『ひらいたトランプ』も大好きです。

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2006年2月15日 (水)

『そして誰もいなくなった』 アガサ・クリスティ

そして誰もいなくなった Book そして誰もいなくなった

著者:アガサ クリスティー
販売元:早川書房
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インディアン島に集められた10人の男女。マザーグースの通りに発生する殺人事件。

そして最期には誰もいなくなる…。

果たしてこの殺人計画を立てたのは誰なのか?

『アクロイド殺し』に並ぶクリスティの名作。あとひとつは『オリエント急行の殺人』だと思いますが、『オリエント~』については私は否定的でございます。

この『そして誰もいなくなった』についても『アクロイド殺し』と同様に、ミステリ界に与えた影響が大きいという点が評価されます。

綾辻行人氏の『十角館の殺人』だって、この作品がなければ生まれなかったかもしれない。

クリスティはそのチャレンジ精神と執筆スピードによって“ミステリの女王”にまで上り詰めました。

古典ミステリの作家の中では、私はクリスティが一番好きです。

まだミステリは初心者で、どんな作品を読んだら良いのかわからないとお思いの方は、是非手にとってみてください。

さて、本編とは関係ないところで気になった点があります。

私が所有しているのはアフィリで表示しているクリスティ文庫版ではなくて、赤い背表紙で御馴染みのハヤカワミステリ版ですが、この解説で各務三郎氏が次のように述べています。以下、解説より抜粋。

『そして誰もいなくなった』では、読者にとって信憑性のある描写を意図的に避けている。この手法が『アクロイド殺し』で失敗し、『そして誰もいなくなった』で成功したのは…(以下省略)

何事ですか!?

私の大好きな『アクロイド殺し』がここではアンフェアだと否定されているわけですが、まぁそこに目くじらを立てるのは止めましょうか。

ただ、『アクロイド殺し』に比べて『そして誰もいなくなった』の方がキレイにまとめられているのは確かです。

それはクリスティが用意したインディアン島という舞台設定と、巧みなマザーグースの演出によるものだと感じます。

薦められて『アクロイド殺し』読んでみたけど、アンフェアでやってられないよ!という貴方。是非とも次は『そして誰もいなくなった』をお読みくださいませ。

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『アクロイド殺し』 アガサ・クリスティ

アクロイド殺し Book アクロイド殺し

著者:アガサ クリスティー
販売元:早川書房
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村の名士・アクロイド氏が殺害された。

灰色の脳細胞ポアロがこの謎に挑む。

フェアかアンフェアか論争を巻き起こした不朽の名作。

フェアです。

いきなりの宣誓。私はバリバリのフェア論者でございます。

私がこの『アクロイド殺し』を読んだのは中学生のとき。この有名な結末のネタバレ被害には遭わずに読むことができました。

純粋な気持ちでこの本を読むことができたことを、私は神に感謝しています。

今でもあのときの興奮を忘れることができずに、「好きな本3冊」なんかを選ぶ場面では必ずこの本をチョイスするようにしています。あとは「ミステリ初心者に薦める一冊」とかいう場面もこの本。

結末を知らずにこの本を読めることの幸せを感じて欲しいんですよ。

そこの中学生、いますぐ読みなさい(笑)

たとえアンフェア論者であっても、この『アクロイド殺し』が発表されたことで生まれた名作がいくつもあったことは認めざるを得ないと思います。

その意味でもこの作品は素晴らしいのです。

結末の特異性からこの本については内容について触れることはできませんが、読んで損をしない貴重な一冊です。

騙されたと思って是非お読みください。

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