■森博嗣

2017/02/27

『トーマの心臓』 森博嗣

森博嗣が敬愛する萩尾望都の作品をノベライズした本作。原作は未読。勝手にミステリ読みをしましたが(トーマは本当に自殺なのか、トーマの死にユーリはどのように関わっているのか、やけに幼いエーリクの出生に秘密はないのか、エーリクとトーマは本当に他人の空似なのか)深読みする必要のない、青春群像小説でした。

タイトルの『トーマの心臓』が意味深ですよね。死んだトーマの心臓を移植されたエーリクが何らかの目的でもって学園にやってきたのかと思いました。全然違いましたけど。

原作から大きく外れてはいないけれど、やはり森ワールドになっているようなのでぜひ原作も読んでみたいです。オスカーは脇役なんですって?

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2009/03/29

『銀河不動産の超越』 森博嗣

銀河不動産の超越 Book 銀河不動産の超越

著者:森 博嗣
販売元:文藝春秋
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この銀河不動産という会社はどんなところですか?

うちの大学から行くようなところではない

悪いことは言わない、ここだけはやめておけ

森博嗣引退カウントダウンは15ですが、地味にまだ読めていない作品は15以上あって。そんな読めていなかった(というか、あまり話題にならなかったので出版されたこともよう知らなかった)1作が『銀河不動産の超越』です。

帯の「“省エネ青年”の運命がある日、一変!」を確認し、あら?小市民に続き古典部新作?と思ったのは内緒。でも、森博嗣版古典部は省エネをモットーとしておきながら厄介事についつい首を突っ込んでしまう…こともなく、本当に省エネでした。奇人変人を寄せ付ける力はお持ちのようですが。

個人的には「銀河不動産の忌避」のサブワーキングの件が好きです。議長選出とか素晴らしいセンス。森博嗣引退が急に寂しくなる瞬間。でも、やっぱり登美子さんと結婚とか子作りとか強引過ぎると思うんだ。あの部屋に奇人変人が一時的に集まるのはわかる、でも登美子さんの一件は次元が違うと思うんだ。

というわけで、森博嗣的素敵センテンスを愉しむ1冊で、内容を吟味して愉しむ1冊ではないでしょう。往年の森ファンならきっと愉しめる、でも本作から森博嗣に入る人には向かない「えっ?これってジョーク?」状態かも。

ミニチュアの件は…うん、そういうこともあるかもね。

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2009/01/30

『探偵伯爵と僕』 森博嗣

夏休み

次々と消えてゆく友達と新しい出逢い

はじめての冒険

なぜか密林のアフィリが非表示だったので、今日はセブンアンドワイのアフィリにしてみました。1500円以上送料無料なのはどちらも共通ですが、密林はメール便の確率が高いのが玉に瑕。なので、本はあまり密林では買わなかったりする。

って、レビューしなさいよ貴女。

今日のメニューはミステリーランドとして配本された森博嗣『探偵伯爵と僕』。個人的ミステリーランドベスト3に入る1作。ちなみに残りの2作は『いつか、ふたりは二匹』『ラインの虜囚』ですね。『怪盗グリフィン、絶体絶命』も捨てがたいのですが。

「かつて子どもだったあなたと少年少女のための」と銘打たれたこのミステリーランドには時々まったく少年少女のために書かれていない作品が紛れ込んでいるのですが(笑)森先生がここまで少年少女のための作品が書けるとは思ってませんでした。森先生の文章は綺麗だけれど、解かり易さに軸足が置かれているとは思っていなかったので。むしろ、付いてこれる奴だけ付いて来いのスパルタだから。

だから、まるで本当に、主人公たる新太くんが夏休みの日記(宿題)として物語を綴っていると言われたら信じてしまいそうな文章に嬉しい誤算。心なしか漢字が少なかった気がするのは木の精?

そして、なによりも誰よりも、伯爵について。再読の今回、私は伯爵がどんな人間でどんな立場でなにを目標としているか知っているから。だから、恥ずかしながらラストで眼を潤ませてしまった。犯人を追い詰めた伯爵が一体なにを思ってその手を強めたのか、その手を弱めたのか。初読よりも再読の方が数段良いと感じた箇所。

そして、最後におまけ的に明かされる○○トリック。別に読者を騙そうと用意されたものでは無いから、トリックとは呼べないかもしれないけれど。けれど、それを明かされたとき本気でゾクッとしたし、森先生は凄いと心底思った。きっと、正しく物語を紡いでいたら伯爵の言う「人間の醜さ」「社会の未熟さ」が全面に押し出された、少年少女のためとは言えないような物語が出来ていたと思うから。確かにそれはいつかは知らなくてはならないことだけど。けれど、もう少しモラトリアムを…だって、今は夏休みなんだもの。森先生がそう言っているように感じた。

ミステリーランド版(新書版)の山田章博氏の挿絵が好きだったので、文庫版には挿入されていなくて残念。そうそう、チャフラフスカさんは東京オリンピックで活躍した体操選手ってことでOKなのでしょうか?

探偵伯爵と僕 (ミステリーランド) Book 探偵伯爵と僕 (ミステリーランド)

著者:森 博嗣
販売元:講談社
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2008/09/13

『工学部・水柿助教授の解脱』 森博嗣

工学部・水柿助教授の解脱 Book 工学部・水柿助教授の解脱

著者:森 博嗣
販売元:幻冬舎
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元助教授作家、突然の断筆宣言

その真相が知りたければ…

これを読め!!

実は昨日までにお届けしたレビューの全ては、先週のうちに書き終わっていたものでした。そして、この『工学部・水柿助教授の解脱』は正真正銘本日書いたレビューでございます。ということで…

読むのに1週間かかった○作

○にはお好きな文字を入れてくだされば。昨日、2時間の長風呂に入らなければきっとまだ読み終わっていなかったと思う。というか、一生読み終わらなかったと思う。作中にもありましたが、読者を怒らせる小説ってのは難しいですね。だって、読むの止めるもん普通。

というわけで、帯に書かれている「断筆・引退宣言の真相がここに!?」はJAROモノ(嘘・大げさ・紛らわしい)です。あぁ、「?」だけは合っているかもしれないなぁ。

とにかく眠くなる。履歴書の特技欄には「いつ、どこでも寝られる」と書くようにしている私ですが(本当です)それにしたって1頁読みきれずに寝てしまった本は初めてかもしれない。本を開いて、一度も頁を捲ることなく、そのまま本を閉じる…読了までに288日かかるね!

とりあえず、森先生水柿助教授の元に一生かかっても使い切れないくらいの大金があることだけは解りました。超微力ながら私もそのお手伝いができたことを嬉しく思います。でもね、森先生にそんな気はないことは解っているんだけど、自慢なんかじゃなく本当に使い切れなくて困ってるんだと思うんだけど、わざわざ出版物にそんなこと書かなくても良いじゃん?って思っちゃいますよね。

水柿助教授と須摩子さんの語らいは面白いです。真似しようと思ったって真似できない。そんな唯一無二があるから、読むのに1週間かかった○作でも最後まで読めたんだと(読み終わるまでお風呂から出ちゃいけないんだから作戦は決行されましたが)思います。もう水柿シリーズも出ないだろうしね。

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2008/09/08

『目薬αで殺菌します』 森博嗣

目薬αで殺菌します (講談社ノベルス モF- 43) Book 目薬αで殺菌します (講談社ノベルス モF- 43)

著者:森 博嗣
販売元:講談社
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劇物が混入した目薬

そのパッケージにはαの文字

これも天才の仕掛けた実験?

C大三人衆がいつの間にか四人衆に!?

「雨宮って誰ね?」と思いながら読み始めた本作『目薬αで殺菌します』。読了まで結局思い出せませんでした。そして、過去作を読み返してみるつもりもない。だって、このGシリーズにC大メンバ必要ない。

C大メンバとは関係ないところで事件が起こって(ときどき事件すら起こらなかったりする)C大メンバとは関係ないところで完結するのが定番になりつつあるGシリーズ。今回は加部谷ちゃんが死体を発見したりして、「定番返上か!?」と思わせる部分もございましたが…完結(解決)はC大メンバとは関係ないところで行われ、しかもなにも完結していないという。

天才との距離は少し縮まったように思いますが。これまで天才を垣間見ることができたのは犀川&萌絵(ときどき保呂草様♥)に限られておりましたが、このふたりが終に達観し距離を置くようになった代わりに、赤柳さんが一気に追い上げてまいりました。最後に赤柳さんがうっすら嗤ったような気がする!!

そんな赤柳さんが掴んだ情報に往年の森ファンには見逃せない情報が混じっておりましたね!島田文子女史、復活おめでとう!!C大雨宮は最後まで(そして今でも)思い出せなくとも、島田文子女史はお名前を眼にした瞬間に通電しました。やっぱり彼女、まだ天才の傍に仕えていらっしゃるのでしょうか?お姿を拝見できなかったのが残念ですが…って、ログハウスの女が島田女史ってことないですよね??

本作、ナナメ読みなので(おいっ!)結末よくわかってないのが正直なところなんですが、悩みを抱えたOLがログハウスの女の人格を真似て統合させた…ってことでよろしいのでしょうか?ログハウスの女は実在していたんですよね?いつからか消え去り、OLがふたりの役目を果たすようになったってことで合ってます?少なくとも加部谷ちゃんが出逢ったときにはその一人二役は完成していたってことで。ディティールが割りとはっきりしているので、全くの空想であの人格が生まれたとは思えないんだ。

まぁ、ミステリの結末よりも海月くんがこれからどうするのかの方が気になるので良いんですけれども。海月くんは一体どんな闇を抱えているのでしょうか?「僕には関わらないほうがいい」って、海月くん=天才が野に放ったウォーカロン説!?他にも犀川先生の弟説とか流れてますが、全く読めない海月くん。読めるような記述を私が発見できないと言った方が正しいのかもしれませんが。なんせ、森作品ですから。

とりあえず、次回作は『ゾラ・一撃・さようなら』のノベルス化でお茶を濁すようですね。というか、MORI LOG ACADEMY「次の第8弾は、1年以上さきになる見込み」って書いてある!?1年後までC大三人衆が四人衆になったことを覚えている自信がありません。また冒頭でC大三人衆が四人衆に!?って叫ぶ自分が見えます。嫌だわ予知能力?

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2008/05/23

『ZOKU』 森博嗣

ZOKU Book ZOKU

著者:森 博嗣
販売元:光文社
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意味なき悪戯に命をかける“ZOKU”と

ZOKUの企てを阻止すべく動く“TAI”

さぁ、より仕様も無いのはどっちだ?

あれ?こんな中身の無い作品でしたっけ?

『ゾラ・一撃・さようなら』をてっきり「ZOKU」シリーズの続編だと思っておった私は、『ZOKU』と『ZOKUDAM』を再読しようと手配をしていたわけで。『ゾラ』が続編でないことを知っても、手元に残った2冊をそのまま返却するのは勿体無いと思ってしまった私は、根っからの貧乏性なわけで。とりあえず再読してみた私の脳裏に真っ先に浮かんだのが冒頭の呟き(の割りにフォントがでかい)なわけで。

トリアタマの私はラストに用意された仕掛けしか覚えておらず。あの仕掛けはなかなか好きだったので、『ZOKU』には好印象を持っていたのですが…今は森作品特有の意味なし(ジョーク)にお付き合いできる心の余裕が無いみたいです、私。

というわけで、もう書くことが無くなってしまった。そうねぇ…ロミ・品川は私の中で“外見=各務亜樹良 中身=香具山紫子7割+瀬在丸紅子3割”って感じなんですが、皆様いかがですか?しこさんのノリと、紅子さんの女王様を足し合わせるとあんな感じになるのではないかと…まぁ、どうでも良いのですが。

ただ、意味のないことに精力を傾けるという姿勢は凄く好きです。でも、精力を傾けた瞬間にそこには意味が生じてしまっていますよね。あら、矛盾。人間は自分の行為に何らかの(重大な)意味を持たせようとする生き物だから、本当に無意味な行為を取ることはできない。でも、生きるという行為そのものが無意味なのでは?

そんなことをほんの少しだけ(10秒くらい?)考えさせられた一作。この10秒こそ無意味な10秒であったのかもしれませんね。とりあえず、本作を読むのに費やした数時間が無意味で無かったことを祈りつつ。

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2008/05/16

『ゾラ・一撃・さようなら』 森博嗣

ゾラ・一撃・さようなら Book ゾラ・一撃・さようなら

著者:森 博嗣
販売元:集英社
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「探していただきたいものは、古い美術品です」

突如現れた美女からのオファー

これを受けなきゃ…ハードボイルドじゃない

是非ともシリーズ化していただきたい一作

デイヴィッド・ハンドラーのホーギーシリーズを読んでいるかのような錯覚に陥ったハードボイルドな一作。森博嗣のこんな作品が読みたかったの!という夢が叶った一作。シリーズ化は無理だってわかっていても(森先生、長編はあと15作しか書かないって断言してるし)願わずにいられない一作。それが本作『ゾラ・一撃・さようなら』でございます。

主人公は頚城悦夫、その職業は探偵。薄暗いBarで怪しげな美女と待ち合わせ。そして美女が求めるは…“天使の演習”

キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!

エンジェル・マヌーヴァですよ、エンジェル・マヌーヴァ。“天使の演習”という文字を眼が捉えた瞬間、いろんな可能性が頭の中を過ぎる過ぎる。まずは主人公の頚城悦夫=愛しの保呂草さん♥を疑ったね。そして時代考証へ。「『魔剣天翔』から『捩れ屋敷の利鈍』の間か?」とか「もしや保呂草さんってば『捩れ屋敷』の後、さんざん堪能して売り飛ばした?」とか「まさか『魔剣天翔』の前ってことは無いよね!?」とか。煩悩煩悩。

とにかく“天使の演習”と聞いて、ピクっとしてしまう方にお読みいただきたい一作。そして、ハードボイルドがお好きな方も。正直申し上げると結末に目新しいものはなく、先は読めちゃいます。でも、結末以外が素晴らしい。まさに森節炸裂。

そうそう、『夏のレプリカ』に登場したあのお方もさりげなーく登場しておりましたね。あの衝撃のラストの後、彼がどんな生活を送っていたのか。それを少しだけ窺い知ることができるかと。きっと、この物語の後も同じような先に引き取られ、同じような生活を送っているのでしょう。書き取ってくれる人が居ないから、すべては彼の中で風化して。

物語が閉じられた後、保呂草さん並みに女ったらしな主人公(えっ?)の隣に座るのは誰なのか。女が切れないから良い男なのか、良い男だから女が切れないのか。誰にも打ち明けられない秘密を持った男に惹かれてしまうのが女の性ってやつですか?でも、女だって「A secret makes a woman woman」ですのよ(by 名探偵コナン)

私は「内容が無いのがハードボイルドの証明」だと考えている節があるので、この“全く内容について触れないレビュー”こそ私がこの作品をハードボイルドだと思った証拠かと(すみません、言い訳です)でも、最近読んだ森作品(講談社ノベルスまで含めて)の中で最も好みな一作でした。

ところで、講談社ノベルス『カクレカラクリ』のあとはXシリーズでなくGシリーズなんですよね?『目薬αで殺菌して』って、一体どんな作品?

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2008/04/24

『もえない』 森博嗣

もえない―Incombustibles Book もえない―Incombustibles

著者:森 博嗣
販売元:角川書店
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自殺したクラスメイト

彼は単なるクラスメイトだったのに

何故?僕はこんなにも彼の死が気になるのだろう?

森先生の出版ペースにすっかり付いてゆけなくなりつつあります。この『もえない』もすっかりチェックを漏らしてまして。まぁ講談社ノベルスしかチェックできない、ざるチェックなんですけどね、元々。

本作は自殺したクラスメイトの死の真相を追う…というミステリ作品なのですが、いつの間にかミステリの主題が入れ替わるという「???????」作品で驚き。正直、そんな驚き方は要らなかったのですが…っていうのは、ラストの急展開に付いてゆけなかった駄目読者の毒吐きなんですけれどね。っていうか、本当にミステリ?という疑問が読書中に何度頭を過ぎったことか。

続々出てくる“いかにも怪しい”人間は、続々捨てられゆくし。結末がどう転んでも良き様にふわふわしちゃっているのは、連載という発表形態の所為なのでしょうか?でも、森先生は一気に書きますよね、作品。読者を煙に巻く森戦法は健在ですが、今回は煙が出過ぎて真っ白になっちゃった感じです。装丁のピンボケ具合が作品のピンボケ具合を表現していると云い換えても良いかと。

入口のミステリと出口のミステリ、どちらも魅力を持っているはずなのに。その間が巧く繋がっていないから、迷路で迷った感に襲われる読了後。本作は装丁が一番素敵だったかも…残念。

そういえば、ラストで辻褄合わない箇所ありましたよね?自殺した順番の件で。夢の世界に片足突っ込んでいた私のウッドフェアリーですかね?

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2008/01/20

『キラレ×キラレ』 森博嗣

キラレ×キラレ (講談社ノベルス (モF-39)) Book キラレ×キラレ (講談社ノベルス (モF-39))

著者:森 博嗣
販売元:講談社
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満員電車に出没する連続切り裂き魔

30代の女性ばかりを狙うその手口

被害者の女性たちにミッシングリンクはあるのか?

森博嗣待望の新シリーズ第2弾

『タカイ×タカイ』のレビューを書いていて、ふと「そういえば『キラレ×キラレ』のレビュー書いてないじゃん!」と思い立ち、早速再読&レビュー。当ブロ愚は森博嗣と有栖川有栖に特化したブロ愚なのに(この両者のレビューでお褒めの言葉を頂くことが多いので嬉しい、という意)うっかりしておりました。

さて、本作は満員電車で起こった連続切り裂き事件が主題となっております。私は徒歩5分通勤派なので(それって“派”なのか?)満員電車というものに縁が無いのですが、“鮨詰め”とはよく言ったものです。現代では鮨だってあんなにギュウギュウに詰め込まれないわよ…ギュウギュウに詰まった鮨が食べたい(機械で酢飯がギュウギュウという意味では無い、勿論)。

今回も椙田氏の経営方針の所為で(笑)まったく仕事の無い小川&真鍋の両者が、鷹知氏の要請を受けて調査に乗り出す(小川嬢の前職に関係する御仁からの依頼という縁もあるが)体で事件は動きます。被害者が増えゆくなか、小川&鷹知のコンビが見つけたささやかな手掛かり、取っ掛かり。「一見関係の無さそうな事象の中に、解明への道標は隠れているものだよ」とかなんとか、どこぞの名探偵が仰っていたと思いますが(心当たりが多すぎて、“こいつだ!”と指摘できない)今回もまさにそのケース、ビンゴでございました。

ようやく見つけた手掛かりに縋り付く二人。でも、犯人の方が一枚上手、キーパーソンたる人物が殺されるという事件が起こって。まぁ、結局のところキーパーソンでもなんでも無かったんですが(真相に辿り着けるということは、そういうことでしょ?)。とにかく殺人事件まで起こってしまって、ついに危機感を感じ始める小川嬢。そんな小川嬢を救うべく真鍋が取り出したのが

愛用カッタマットで作った自作プロテクタ〜(ドラ○もん風)

個人的には良い案だと思うんですけどね。カッタマットプロテクタ。しかし、そのプロテクタが活かされた場面というのが最悪でしたね。いきなり犯人が小川嬢の前で自供を始めたときには、なにが起こったかと眼を疑いましたよ。えぇぇぇぇぇ、探偵サイドが犯人を特定できてないってのに、解答編始めるってかっ!?これはもうミステリではない。残念なことに。

本作は椙田氏の登場も殆どありませんでしたし(小川嬢宅で家庭料理を頂く椙田氏は可愛い。彼の周りには初々しく家庭料理なぞを披露してくれる女は居なかったはずだから)、ミステリとしても成り立っておりません。しかも、西之園女史も登場しちゃうし…可哀想な一作でございました。

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2008/01/18

『タカイ×タカイ』 森博嗣

タカイ×タカイ (講談社ノベルス モF- 41) Book タカイ×タカイ (講談社ノベルス モF- 41)

著者:森 博嗣
販売元:講談社
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地上15mのポールの上に、突如として現れた他殺死体

なぜ死体は遙か高みに昇らねばならなかったのか?

さぁ、森博嗣によるマジックショウを御覧あれ

講談社ノベルススキーにとっては一番美味しい月かもしれない1月。高田崇史氏に続いての登場は森博嗣氏Xシリーズ第3弾でございます。

有名マジシャン宅の上空に突如として現れた他殺死体。「なぜ死体は高所に現れねばならなかったのか?」「その方法は?」「そして、犯人は誰なのか?」が3大主題かと。森博嗣氏によってこれまでに発表された各シリーズに、それぞれ一貫したテーマを当てはめるならば「S&M=天才」「V=愛憎劇」「G=未知との遭遇」だと勝手に思っている私は、本作を読んで「X=正常と異常の狭間」なのかな、と思ったり思わなかったり。

さて、新シリーズ開幕当初から私が危惧しておりました「某西之園女史の介入」が本作では顕著に。個人的には、

西之園女史と遭遇することを極端に恐れる椙田氏

なんかは、超萌えポイントであったりするのですが。ただ、西之園女史が登場するとシリーズキャラクタである真鍋&小川&鷹知が霞むんですよね。犯人特定の契機となった4人のディスカッションでも真壁&小川&鷹知の3人がタッグを組んでも、西之園女史に及ばない感が蔓延しておりましたし。「正常と異常の狭間」がシリーズテーマならば(あくまでも個人的解釈です)そこに天才が介入してはならないのですよ。なぜなら、天才とは正常であり異常だから。そんな観点を超越したところに居るのが天才であって、俗世の3人(真鍋&小川&鷹知)と交わってはならないんですよね。キャラクタだけでなく、シリーズ自体が霞んでしまう。まぁ、「西之園女史の登場はもうご遠慮願いたい」という個人的主張を通すために、無理に理論付けしてみただけなんですが。

ミステリとしては「犯人は誰なのか?」が巧いこと煙に巻かれてて良かったと思います。読者それぞれに解答が有るのでは?ただ、真実はいつもひとつなんですが(笑)

そうそう、本作は森博嗣氏の大好きなマジシャンモノ(笑)ですが、ラストに颯爽と現れた鷲津伸輔は既出のキャラクタですか?マジシャンモノといえばS&Mシリーズの『幻惑の死と使途』ですが、『しとしと』で登場した弟子の誰かが鷲津なんでしょうね(未確認です)。犀川先生もご存知の様子でしたし。

やっぱり、どう考えても西之園女史の物語だった本作。いや、

西之園女史との邂逅がこの世の終わりと同義の椙田氏

には、キュンキュン☆なんですが(何度だって云おう)。ところで、椙田氏のデートのお相手ってやっぱり各務女史ですよね?また二人でなにかやらかす予定なんでしょうか…そちらのお仕事のこともちょっとだけで構わないので(新聞記事としてチラッと記述するとか)表記してくださると椙田スキーの私にとっては地上15mのポールの上へ昇る想いです。

ところで、次回以降の発刊予定『カクレカラクリ』って、あの『カクレカラクリ』ですか?

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