書籍・雑誌

2017/09/22

『教場2』 長岡弘樹

前作と同様の趣向。だた、読了後に後味が悪いとは思わなかったのは最後の話が爽やか(良い話)なのと全体的にマイルドになっているからですね。巧いこと隠して生きてきたはずの負の部分をああも見透かされるというのはさぞ背筋が冷たくなることでしょうが。

個人的ベストは「敬慕」かな。女の嫌な部分がよく書かれていました。好き。あとは桐沢の話し方とか在り方がなんとなく好きです。

ミステリ好きとしては講義の形で書かれる捜査テクニックが気になって仕方がない。厳しい訓練は嫌ですが、座学だけなら1日体験入校したい。即効で風間教官に追い出されそうですが。

現役時代も凄腕だったという風間教官。彼はどんな事件に関わり、どう捜査をし、どう犯人と対峙したのか。ぜひ風間刑事の物語が読みたい。そして今はなぜ警察学校にいるのか。いつか読めるのでしょうか。

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2017/09/12

『つれづれ、北野坂探偵舎 心理描写が足りてない』 河野裕

アニメ「サクラダリセット」視てます。1クール目はかなり厳しかったですが、2クール目15話くらいからの怒涛の展開は素晴らしいです。伏線しかない。脱落しなくて本当に良かった。

そんな「サクラダリセット」のCMで興味が湧いたので読んでみた本作。幽霊が視える編集者(左)と幽霊を追い求める作家のコンビものです。シリーズ第1弾は連作短編集と言えなくもない作りの長編で、各章でしっかり伏線張られています。伏線大好き。伏線が綺麗に回収される快感が欲しくてミステリを読んでいると言っても過言ではない。

そんな伏線だらけの中に編集者と作家の独特なやりとりが挟まってくるわけですが、これがなかなか洒落ていておもしろい。好き嫌いは分かれると思います。個人的には大好物です。パスティーシュもウエイトレスにしておくには惜しい人物なので、そのうち何者なのか明かされると思います楽しみ。

編集者の目的はつまるところ作家に物語を書かせることだと思いますが、作家の目的は未だ掴めませんね。なぜ「紫色の指先」を追いかけているのか。何巻くらいで明らかになるのでしょう。気になります。

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2017/09/10

『バチカン奇跡調査官 闇の黄金』 藤木稟

奇跡調査官シリーズ第3弾。

第1弾は平賀、第2弾はロベルトの物語でしたが第3弾はまさしく平賀&ロベルトの物語でした。平賀は科学的な分野から、ロベルトは暗号(古文書)の分野から奇跡にアプローチし謎を解く。どちらかに極端に偏ることなくまさにバディという感じでした。

凍死の謎だけはどうかと思いましたが。

表紙のジュリア司祭に関しては言葉で分かりあうことは100%無理でしょうね。育ち方、生き方、考え方そのすべてが違う。言葉も通じているかのようで通じていないのでしょう。そんな彼とどんな決着をつけるのか今から楽しみです。それにしても組織が大きすぎる。

ミステリ好きなので事件が起こり、それを追いかける展開はもちろん嬉しいのですが、がっつり奇跡調査という作品も読みたい。短編の方が望んでいる形に近いのでしょうか。短編を読むのも楽しみです。

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2017/09/07

『長い長い殺人』 宮部みゆき

登場人物の財布を語り部に保険金殺人事件を追う異色のミステリ。

語り部が財布であるがゆえに視ることができないもどかしさだったり、財布に小物や大切なものを入れる人が多いことを活かした描写があったりと物語の肝以外の部分も楽しめた。財布は購入者(選んでくれた人)を大切にする傾向があるようです(笑)

最終的にどんな物証で彼らの罪が暴かれるのかと期待して読んだが(ここからネタバレします)結局は罠に嵌った共犯者の供述からとは。犯罪に関わる人数は少なければ少ない方が良い派なので、殺人を専門に請け負う(立場の違う)共犯者がいたのは少し残念。でも、叔母さんを嘘で呼び出した人物がいることを考えると共犯者の存在は中盤から明らかだったんですよね。

皆がつらい作品だが、叔母を亡くした少年がやはり一番気にかかった。大人が信じられなくなりそうで。エピローグが彼をケアするために書かれていてとても良かった。

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2017/09/03

『そして、何も残らない』 森晶麿

廃校になった中学校で3年前の仲間の死の真相を追う青春ミステリ。森晶麿は初読。

『そして誰もいなくなった』のオマージュであることを考えると連続殺人の真相と意図が読めてくる。ミステリの趣向として悪くないのだが、登場人物たちの話し方や地の文が厨二臭くて少し引いてしまった。

全体的に少しずつ惜しいという感じ。(ここからネタバレします)全員のアリバイ的に連続殺人の成立必須条件が内山の介入なんだけれど、登場人物ほど読者は内山があの場にいると信じていなかったはず。だって内山が呼び出されるがまま現われて、彼らを殺害して回る必要性がない。とすると次に考えるのが彼らの中の何人かが結託している可能性なのだけれど、状況によって行動チームがコロコロと変わっているので結局アリバイなしの人物がいなくなり全員が結託していることがバレバレになってしまう。内山の介入をもっと信じ込ませるか、完全にアリバイなしの人物をひとり作っておくべきだったと思う。というか、最初の毒殺の時点で妹がもっと疑われていないとおかしい。趣向がとても良かったのでもっと作り込んで欲しかったです。

ちなみに、罪を犯した人物は作中で裁かれるべきが個人的なポリシーなのでラストも残念でした。

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2017/08/30

『戦場のコックたち』 深緑野分

このミス2016第2位。評判がとても良いので期待していたのですが、戦争の描写が想像していたよりもかなりヘビーで腰が引けてしまいあまり楽しませんでした。残念です。

ミステリが弱かったのも楽しめなかった一因かと。戦場でコックたちが謎を解き明かすというあらすじ説明は決して誤ってはいないのですが、この作品のメインはやはり戦場の描写、そこで生きて死んでいく兵士たちの描写なんですよね。ミステリは彼らを描くトッピングなんです。でも私はそのトッピングを一番楽しみにしているのでやはり物足りなさが残ります。

それでも「戦いの終わり」で明かされた彼の正体、その伏線の張り方はミステリ的でしたね。こういうのは大好きです。誰が夫婦を殺したか、が謎となる「ミソサザイと鷲」も(犯人は明らかでしたが)楽しめました。

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2017/08/25

『バチカン奇跡調査官 サタンの裁き』 藤木稟

バチカン奇跡調査官シリーズ第2弾。平賀の活躍メインだった第1弾から一転、今回はどこをとってもロベルトです。

バディと言いながらも調査は個人主義なふたりですが互いに信頼し、認め合っていることがよくわかる作品に仕上がっていました。冷静なロベルト視点を読んで彼に何か思惑があることはわかっていても、平賀視点の彼は危うく恐ろしかったですね。自分の過去、そこに潜むサタンと向き合ったロベルトによるロベルトのための1冊でした。

第1弾よりもスケールは劣りますが(むしろ大きすぎた)しっかりまとまっているとも言え、個人的にはこちらの方が好みです。わかりやすい敵も現われ、奇跡の調査と敵の思惑(攻撃?)とのふたつの柱でこれから物語が盛り上がっていくのを期待します。

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2017/08/22

『十二大戦』 西尾維新

アニメ化の前に。十二支をモチーフにしたバトルロイヤルノベルです。

キャラカタログの側面が強いですが、これだけ魅力的なカタログなら十分。それぞれの能力が伏線として効いていて無駄なキャラがいないこともすごいです。逆打ちで死んでいくので誰が優勝するのか丸わかりなのが残念でしょうか。そんな彼も、皆が彼にデジャブを感じるという伏線がありましたね。

個人的には丑と寅の物語がちょう好みでした。というか、アニメ化したら丑×寅絶対追いかけるわ(キリッ

中村光のキャラデザも良いですね。兎とか兎とか兎とか。cvは岡本信彦か…合いますね!午が緑川光とかちょっともったいないすぐ死ぬし。個人的に戌は安元さんで再生されてたんですが主催者老人役。チョーさん出演嬉しい。とにかくアニメが楽しみです。とってもアニメ映えすると思います。

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2017/08/16

『狩人の悪夢』 有栖川有栖

作家アリスシリーズ最新長編。

アリスが懇意にするホラー作家の自宅に招待され、そこで死体の第一発見者となるという定番パターン。(ここからネタバレします)ラスト、火村の鬼気迫る狩りは素晴らしかったですね。ここまで熱くなる火村は珍しいような気がしました。そして、最終的に犯人の心に刺さったアリスの「作家として」の言葉。バディものであることを強く感じた1作でした。

タイトルの通り「悪夢」がテーマなので遂に火村の悪夢が明らかになるかと少しだけ、すこーしだけ期待しましたがもちろん何もわかりませんでした。ですが、エピローグで火村の悪夢に踏み込もうとするアリスの言葉、ふたりのやりとりを読んでいて火村の過去は明らかにならぬままシリーズが終わるかもしれないと感じました。アリスにとって大切なのは火村がこちら側で踏みとどまることであって、火村の過去を知ることじゃないんですよね。興味はあると思います。踏みとどめるために火村の過去を暴くことが必要ならするでしょう。でも、平時なら(火村が安定しているなら)それを穿り返そうとはしないのがアリスなんですよね。

文化の日に嬉しい予定が入ったので、次回作はその様子からお願いします。事件に巻き込まれるのは予定がすっかり終わったあとにしてください…ね?

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2017/08/12

『ダンガンロンパ霧切 5』 北山猛邦

大好きダンガンロンパ霧切シリーズ第5弾。4巻のレビューで残りの3つの事件+霧切のピンチ+組織(龍造寺月下)との対決を次巻1冊で書ききるのは難しそうと書いたのですが、しっかり書ききってくれました。ちょっと小粒でしたが。

一番大きな扱いは主人公である結の事件。久しぶりに“物理の北山”を思い出して嬉しくなりました。かなり大掛かりなトリックですが見取り図のおかげで推理しやすい。難易度は低め。それよりもBARと博物館のトリックが蓋然性に乏しすぎやしませんかね。成功する確率の方が低いと思うのですがいったいいくらのトリックだったんだろう。

霧切のピンチと龍造寺との対決はあっさり終わってしまいましたね。リコルヌ有能すぎ…るので敵にまわるのは勘弁してください。4、5巻での暗躍はルールを守ろうと思ってとの談ですが、その様子から6つどころか12全部をひとりで解決できただろうリコに霧切&結だけで対峙するのは心許無さすぎますね。不比等おじいちゃんに期待。

あと2巻くらいで終わりでしょうか。早く読みたい。早く読まないとこれまでの物語を忘れてしまう(笑)今回、協力してくれている探偵たちのパーソナルな部分と状況がすっかり頭から抜けてしまっていてかなり困ったので、次巻からはあらすじかキャラクタ一覧があると本当に助かります。これから読む方は3~5巻一気読み推奨です。

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