書籍・雑誌

2017/03/23

『QED~flumen~月夜見』 高田崇史

QEDシリーズ最新刊。一応シリーズは完結していますが、こうしてまたタタル一行の旅にお供できるのは嬉しいです。

今回のテーマは月読命、そして事件は手鞠唄になぞらえた連続殺人事件というミステリ好きが泣いて喜びそうな展開ですが、いつもの通りタタル一行とは関係ないところでどんどん事件は起こり、関係ないところで勝手に終わっていきます。いいんです、最近のQEDに求めているものはそういうことではないので(多少強がってます)

タタルさんの蘊蓄はいつもより読みやすかったですね。相変わらず奈々ちゃんの何気ない一言で天啓を受けてましたが、今回はちょっと台詞くさくて何気なくなかったような(笑)

そしてQED最大の読みどころ、タタルさんと奈々ちゃんの関係ですが、今回ホテル側のナイスな計らいにより同室になりかけましたが…なんということでしょう。奈々ちゃんだけ別行動になったときにこうなりそうな予感はしたけれど。なんなら新幹線の時点でホテルには行けないだろうと思っていたけれど。それでもやっぱり残念です。はやくプロポーズが見たい。見たい。

またタタル一行と旅をして、プロポーズが拝める日が来ることを切に願っております。

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2017/03/21

『凍る炎 アナザーフェイス5』 堂場瞬一

アナザーフェイスシリーズ第5弾。

ICカードで出入りが管理された研究施設で密室殺人が発生!?という本格ファンが泣いて喜びそうなスタートを切った本作ですが、その後密室がクローズアップされることはありませんでしたよ。

前作『消失者』同様、事件がどんどんとスケールアップしていくのですが個人的にはひとつの事件にどっぷり腰を据えて取り組んでもらいたいです。事件に振り回されるだけ振り回されて、大友が活躍しているようでしていないモヤモヤした展開…

を、吹き飛ばすかのようなラスト

一体大友になにが起こったというのか。劉の電話を止めたことが100%関係していると思いますが、例えば劉が大友の殺害をキャンセルしなかったとして劉が拘束されている今、律義に依頼をこなそうとしますかね。ゴルゴ13かな?

とりあえず次回作が気になる。せっかく大友が本格復帰を決めたのに、なかったことになりそう。とにかく次巻です。

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2017/03/18

『鍵のない夢を見る』 辻村深月

直木賞受賞作。

作風(必ずしもミステリではないという意味)が大きく変わってご無沙汰になっていた辻村作品ですが、読むとやはりおもしろい。この短編集は共感力が強かった。「わかる」「いるいる」連発の「痛い」「勘違い」をした人々を描いた短編集。

個人的ベストは「君本家の誘拐」。出産後の母親がなにを考え、どう感じているかを知りたければこれを読めと声を大にして言いたいくらい共感しました。あの母親は私か。子どもが愛おしいという感情と、ひとりの時間が欲しい、ゆっくり眠りたい、泣かないで静かにしていて欲しいという願望と、望み叶った時の罪悪感や恐怖と極度の疲労と。たった数分の間に相反する感情がメーターMAXまで上り詰めるあの複雑な精神状態がとても正しく描かれています。他の作品はともかく、私はあの母親を笑えないですね。

あとは「石蕗南地区の放火」も良かった。主人公の女性が最後まで、作品が終わった後も勘違いし続けて生きるだろうことがよく伝わってきます。

今年は自宅で積読している辻村作品もしっかり読みたいです。

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2017/03/14

『消失者 アナザーフェイス4』 堂場瞬一

アナザーフェイスシリーズ第4弾。

ひったくりから殺人、そして二課の登場と物語がどんどんとスケールアップした本作。とりあえず一課と二課は仲良くやろう。

お馴染みメンバーの安定したやりとりの中に不安因子がふたつできましたね。指導官の変更と息子の親離れ。後継者である後山参事官は個人的にとても好きなタイプ。茶道を捨て警察官になったいきさつや、問題があるという家庭のこと、これからの絡みが気になります。息子の親離れは当たり前のこととはいえ、大友を縛るストッパーがひとつ外れることを意味するので物語に大きく影響しそうですよね。今回もほとんど家に帰らず、息子の世話もせず、事件に没頭していましたし。

ただ、今回お馴染みのメンバーに関するシーンのなかで一番スカッとしたのは新聞記者が水をぶっかけられるシーンです(笑) ああでなくては新聞記者などやってられないのかもしれませんが、本当に性格悪いですよね。

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2017/03/09

『憂いなき街』 佐々木譲

道警シリーズ第7弾。シティジャズ開催中の札幌を舞台にした津久井の恋愛物語です。

(ネタバレします)
個人的には津久井は長正寺にすべて打ち明けて捜査から外れるべきor奈津美に直接ぶつかるべきだったんじゃないかと思います。相棒の滝本が空気を読んでくれましたし、結果的に(奈津美を外した)津久井の読みは当たっていたわけですが、やはりフェアじゃない部分はあったんじゃないかと。アリバイを隠そうとする奈津美を説得する役を佐伯に(秘密裏に)依頼するまではわかるんですが、自分の代わりに女たちのホテルを回させるのは少し違うような気がします。津久井も良くないことはわかっていたし、冷静な判断ができなかったのかもしれませんが。

事件については女同士のいざこざというオチは微妙ですが、ぐいぐい引き込まれたのは確か。冒頭の強盗事件で容疑者が捕まっていないこととかすっかり忘れていましたし。

佐伯と百合の関係も一歩進んだことですし、次回作ではいつも合コンに最後まで参加できない新宮になにか良いことが起こるように祈っておくことにします。

それにしても津久井のピアノ聴きたいな。

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2017/03/05

『リボルバー・リリー』 長浦京

第19回大藪春彦賞を受賞したばかりの本作。2017年このミス6位。

女スパイが暗躍する『ジョーカー・ゲーム』のような物語を想像していたのだけれど、リボルバー片手に関東大震災直後の帝都で撃って撃って撃ちまくる冒険アクション小説でした。なんとなく雰囲気が井上尚登の『T.R.Y』に似ているような気がします。

基本的に追手が迫ってくる、百合の超人的なスパイ(殺人)の才能で切り抜ける、逃げる、追手が迫ってくるのループです。軍とやくざの目的が気になると言えば気になりますが、特に驚きの真相が待っているわけではありません。読みどころは守られるだけだった少年が自分で考え成長していく様でしょうか。

期待していたもの(スパイが知略を巡らす話)と違ったのもありますが、あまりのめり込めませんでした。百合SUGEEEEE百合TUEEEEEなお話。いつか映像化しそうな気がします。

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2017/02/28

『潮騒のアニマ』 川瀬七緒

法医昆虫学シリーズ第5弾。今回はミイラ化した死体から聞こえない虫の声を聞くお話。

マンネリと言えばマンネリだけれど、安定したおもしろさです。最初は相手にされなかった赤掘がどんどんと認められていく水戸黄門的?な部分も良い。あとは決して文章を脳で映像化してはいけないところもきっと良いところ。

なにより赤掘・岩楯コンビの信頼感ですけどね。今回はコンビの登場が多かった。お馴染みの赤掘・岩楯、赤掘・大吉の他に岩楯と若手刑事、あとは赤掘・沖田でしょうか。最後の赤掘・沖田が最強で誰も彼らを止められません。考えていないようで考えているふたり。ラストのあたりで沖田先生が赤掘の腕を掴んだときは少しドキリとしました。

事件そのものが胸糞悪いのもいつもの通りでしょうか。家族の件も含め被害者に救いがない。被害者が選んだ(選ばされた)死に場所にちょっと民俗学のテイストが入っていて某シリーズの蘊蓄薬剤師などを思い出しました。彼ならごみ箱からアレを見つけてから30ページ分くらい喋るはず。

マンネリが悪いとは言わないけれど、少しテイストが違うものも読んでみたいと思いました。叙述トリック…は法医昆虫学とは相容れなさそうですね。

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2017/02/27

『トーマの心臓』 森博嗣

森博嗣が敬愛する萩尾望都の作品をノベライズした本作。原作は未読。勝手にミステリ読みをしましたが(トーマは本当に自殺なのか、トーマの死にユーリはどのように関わっているのか、やけに幼いエーリクの出生に秘密はないのか、エーリクとトーマは本当に他人の空似なのか)深読みする必要のない、青春群像小説でした。

タイトルの『トーマの心臓』が意味深ですよね。死んだトーマの心臓を移植されたエーリクが何らかの目的でもって学園にやってきたのかと思いました。全然違いましたけど。

原作から大きく外れてはいないけれど、やはり森ワールドになっているようなのでぜひ原作も読んでみたいです。オスカーは脇役なんですって?

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2017/02/22

『第四の壁 アナザーフェイス3』 堂場瞬一


アナザーフェイスシリーズ第3弾。

舞台上で発生した殺人事件。そして脚本をなぞる様に事件は進み…とこれまでのシリーズとは毛色の違う、まるで本格ミステリのような筋書き。ただ、あくまで警察小説なのでロジックで犯人を追い詰めたりはしません。そのちくはぐさが個人的にはマイナスかな。

かつでの仲間たちが被害者であり容疑者であるため、客観性を保てずふらふらとする大友に引きずられるように物語もふらふらしていて残念でした。大友が個を取り払って(役者になって)探偵を演じきるか、あくまでも刑事として骨太に捜査してくれれば良かったのですが…って先のセンテンスと同じこと書いてますね。

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2017/02/17

『人質』 佐々木譲

道警シリーズ第6弾。人質立てこもり事件が発生。

今回は全員がいぶし銀の活躍で少し派手さに欠けるのが残念。人質として囚われた百合の大活躍が読みたかった。(ここからネタバレします)主犯と従犯の関係を見抜き、真の人質と狙いを読み解いたわけですが、読者はそれを疾うに知っているので少しつまらなく感じてしまうのが残念でした。

それにしても人質になった男性、要求を突き付けられた父親、彼らが総じてダメダメで少し笑ってしまいました。

ラスト、ブラックバードで肩を並べて座るふたりに嫉妬した佐伯が可愛らしかったですね。

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