書籍・雑誌

2017/07/27

『ヒポクラテスの誓い』 中山七里

大好き法医学教室モノの連作短編集。北川景子でドラマ化したようですね。光崎教授に柴田恭平はイメージよりかなり渋い。

真琴の成長物語として読むも良し、連作短編らしく通しのどんでん返しを楽しむも良し。(ここからネタバレします)個人的には津久場先生への思い入れが少なかったので登場人物ほど驚けなかった印象。まさかあの人が…とさせたいならもう少し津久場先生の出番があっても良かったのも。もっと善人感強めで良かった。でも変に教室外の人を絡ませるとまとまりが悪くなりそうですね。ちなみにドラマでは古谷一行が演じている模様。うーん、ちょっと悪そう(笑)

個人的ベストは「母と娘」でしょうか。代理~はまたか…という感じですが作中に流れる薄暗い空気が好きです。

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2017/07/24

『ひとり吹奏楽部 ハルチカ番外篇』 初野晴

カイユ、芹澤、マレン、成島の4人にフォーカスしたハルチカシリーズ番外編。『惑星カロン』のレビューで次回作はキャラクタ掘り下げの短編集だと読みました。物語的にはまたもや足踏みですが~などと書きましたが、3年生引退から新入生入学までおよそ半年間ぶんの物語を一気に、深めに読ませてもらいました。とても面白かった。

個人的ベストは芹澤×片桐の「風変わりな再会の集い」が好きです。ふたりのやりとりがいい。決して友人になれるとは思わないけれど、少し遠いところから聞き耳を立てるなら芹澤さんは最高におもしろいです。ちょっとした謎(再会の集い)の出来も一番良かったですよね。

成島×???の表題作「ひとり吹奏楽部」も良い。リアリストは芹澤かと思ってました、すみません。それぞれの物語が少しずつ繋がっているニヤリ感が良いのですが、意外と近くにいる???と成島がいつか出会えますように。

3年の夏が終わればハルチカも終わってしまうことはわかるのですが、やはり彼らがどこにどうやって着地するのかを早く知りたいです。そして草壁先生の過去も。そう言えばハルチカは最初三角関係のお話でしたっけね。

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2017/07/18

『白い家の殺人』 歌野晶午

信濃譲二シリーズ第2弾。先日読んだばかりの霧舎巧『新本格もどき』でもどかれていたので再読してみました。

雪の山荘、シャンデリアから逆さ吊りされた死体、不可能な毒殺と新本格ミステリらしいガジェットてんこもりです。初出は1989年講談社ノベルス。これだけでどんな作品かわかっていただけると思いますが(ここからネタバレします)事件を難解にしている要素すべてが偶然に起因するので個人的には萎えます。

犯罪にアクシデントは付きものです。入念に準備、計画された犯行がたったひとつのアクシデントから狂いだし、最後には解決への糸口に繋がるのはミステリのセオリーですが、ここまで連続する偶然は作者の意図が丸見えかと。ただ、密室講義でよくある「偶然(アクシデントで)密室になってしまったもの」の代表的な形が読みたければこの作品を推すのがよいかと思います。

あとは前妻の関与を否定するのが彼女たちの申告のみというのも探偵としてぬるいように感じました。

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2017/07/11

『祈りの幕が下りる時』 東野圭吾

映画化が発表されたばかりの加賀恭一郎シリーズ。ついに加賀の母親の失踪について明かされました。もっと劇的な何かが加賀家に起こったのだと思っていましたが、その別れは静かに起こったようです。

そしてその静かで淡々とした感じは事件の捜査でも。驚きの真実が一気に明かされる…!という展開はなく、いや、確かに事件関係者の人生は驚きに値するのですが、じわじわゆっくりと明らかになる真実に驚くよりも読まされる一冊になっています。

個人的にはかつてのような本格ミステリっぽい加賀恭一郎シリーズ(ないしは東野作品)が好きなのですが、加賀の人生に一区切りついた今、シリーズが終わってしまうのか別の形に変化するのか気になります。日本橋を離れ捜査一課に復帰することになったので、以前のような活躍を読める下地は揃ったと期待しても良いのでしょうか。

それにしても、読んでいる間ずっと加賀が阿部寛でした。阿部寛が凄いのか、東野圭吾が凄いのか。

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2017/07/08

『新本格もどき』 霧舎巧

綾辻行人、法月綸太郎、安孫子武丸に有栖川有栖など新本格の有名作品を“もどいた”連作短編集。やはり本歌を知った上でにやにやしながら読むのが楽しい。

個人的ベストは館モノとしても十分、登場人物たちにデジャブを感じる「三、四、五角館の殺人」でしょうか。○○トリックの「ニ、三の悲劇」も好き。吉田さんがいきなりナベつかみで話しだす「人形は密室で推理する」も本歌を知っているか知らないかでにやにや度は相当変わってきますね。「13人目の看護師」のぶっ飛んだ感じも。

そして、ラストで明かされる吉田さんの正体はあのシリーズをもどいたものでした。さんざん名探偵を気取って(名乗って)おきながら、最終的に謎を解くのは別の人。あれ?霧舎作品に似たような名探偵がいたような…(って、2人いるのが問題だ)。ああ、開かずの間シリーズの新作が読みたい。

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2017/06/27

『ある閉ざされた雪の山荘で』 東野圭吾

再読…のはず。ノベルス版あらすじで「一度限りの大技」と豪語するほど大胆なトリックものなのにまったく覚えていなかった。残念というかお得な頭というか。

大好き雪の山荘ものですがその設定の作り方が実に特殊です。なぜなら実際には雪なんて降ってない!あくまでも雪の山荘に閉じ込められたという体の芝居(の練習)である、外部と連絡を取った者はオーディションの合格を取り消すという心理的なクローズドサークルですね。

犯人の目星は探偵役と同じくらいに付きましたが、そのあとのどんでん返しまでは想像していませんでした。ラスト後、この芝居を描ききった能力を活かして演劇のシナリオを書いたら良いと思う。ちなみに冒頭からネタバレ全開のサービス精神が個人的に大好きです。

90年代前半、新本格ブーム真っ最中の講談社ノベルスらしい1冊。現在の東野圭吾にこれを書いてくれと頼んでも書けないのではないかと思う。とても好き。

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2017/06/26

『99%の誘拐』 岡嶋二人

タイトル通り誘拐モノのスピード感とスリリング感を味わえる名作。誘拐された側と誘拐する側のふたつの視点が楽しめます。

が、この作品のすごいところはもっと違うところにあるんですよね。初版は1988年なのですが、作中で最先端のコンピュータ技術がバンバン使われているのです。2017年に生きる我々にとっては当たり前(あるいは少し古い)の技術ですが、1988年当時の読者はこれを読んでどう感じたのかが気になります。あり得ない、遠い未来の技術だと思ったでしょうか。生活レベルになったのはやはり95年のWindows95以降だと思うので。

読み物である以上、最終的に犯罪者は裁かれるべきが信条ですが慎吾の心情もわからなくはないので復讐の成功おめでとうは言いたい。でもやはり犯罪は犯罪なので美談のように終わるのはどうかな。

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2017/06/22

『ノッキンオン・ロックドドア』 青崎有吾

不可能専門探偵と不可解専門探偵がタッグを組んだ探偵事務所「ノッキンオン・ロックドドア」が舞台の連作短編集。かなり変わった事務所名は、インターホンを設置せずノックの音でどんな人物(依頼人)がやってきたのかを推理することから名づけられました。運送業のおじさん可哀想。

作品はどれもさっくり読めますが、トリックに趣向が凝らしてあってなかなかにおもしろいです。一見して不可解事件かと思いきや、調べが進むにつれ不可能事件に様変わりするなど見事。個人的ベストはズッコケたくなる「ダイヤルWを廻せ!」でしょうか。推理ゲームから始まる「十円玉が少なすぎる」も好き。

倒理の首元に潜む過去の事件と因縁が気になりますが、それは年内に発売が決定している第2弾に期待ですね。

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2017/05/27

『夕暮れ密室』 村崎友

横溝正史ミステリ大賞落選作だが、綾辻行人と北村薫のプッシュで単行本化した本作。本ミス2016第14位。

タイトル通り密室ものです。密室トリックそのものは悪くなかったです。○○○な密室ってやつですね。それよりも、犯行時の犯人の行動原理(思考過程)がさっぱり理解できない。(ここからネタバレします)そもそもなぜシャワールームに死体を運んだのか。いや、一応説明はあるのですが星川のように川に突き落とすのではダメだったのでしょうか。ついでに言えば犯行は犯人の家で行われたわけですが、高校生の女の子が夜に出歩くとして行く先を家族に告げていない可能性はいかほどか。このあたり密室を作るためだけに犯人が行動しているように思えてならないですね。しかもその密室は○○の産物だし。

青春パートもあまり共感できなかったです。被害者がなぜ崇拝に近いレベルで男子に好かれているのか、冒頭の彼女の生存パートだけでは理解できませんでした。そういえば、陸上部女子の告白がなにかの伏線かと思っていたのですが、そんなことはありませんでしたね。

7章久保田くんのバカミス推理は「奇跡が起こった」だけで具体的(物理的)にどんなことがシャワールームで起こったのかを一切説明しようとしないところが清々しくて好きです(笑)キャラクタたちといっしょにずっこけました。

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2017/05/22

『犯人に告ぐ2 闇の蜃気楼』 雫井脩介

誘拐をテーマにした『犯人に告ぐ』シリーズ第2弾。

誘拐を外国のようにビジネスとして行い、「(今年を)日本における誘拐ビジネス元年」にしようと考える犯人グループ。緻密に計算され、用心されたその計画は成功するかに思えたのですが…。犯人側に感情移入するように書かれているので、正直なところ誘拐の成功が見たかったような気もします。最後も切ないです。RIPされちゃいましたから。

振り込め詐欺、誘拐、警察の捜査、身代金の受け渡しと物語は大きく動いているのに、「淡々と」という形容詞がぴったりくる作品です。実は『犯人に告ぐ』の感想でも似たようなことを書いているのでそれが作風なのかもしれませんが、もっとスピード感が欲しい。丁寧な描写は嬉しいのですが、とにかく先が読みたいときもある。

あとは人間関係やキャラクタの個性などが前作を読んでいる前提なのが少しストレスになりました。前作から期間も空いていますし、詳細に覚えていられる人ばかりではないので。前作ではああだったこうだったと言われてもそんなことあったっけ?と思うばかりでした。

それにしても淡野くんは何者。続きがあります!と宣言されたかのようなラスト。第3弾が待たれます。

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