書籍・雑誌

2018/06/18

『マスカレード・ナイト』 東野圭吾

『マスカレード・ホテル』『マスカレード・イヴ』に続くマスカレードシリーズ第3弾。『ホテル』の映画化も決まりシリーズがどんどん進むかと思いましたが、本作ラストの展開は雲行き怪しいですね。

ホテル・コルテシアで行われるマスカレードナイト(仮装パーティ)に殺人事件の犯人が訪れるとの密告状が。再びホテルスタッフに化ける警察の面々。果たして犯人は誰なのか。密告者の真意は?という探偵小説のような作品。

警察の捜査よりも尚美(コンシェルジュ)の元に舞い込む無茶な依頼の方が気になるのは『ホテル』から変わらずです。こんなめちゃくちゃな要求をしてくる客いないでしょ……とは思いますが、事実は小説より奇なりですからね。

犯人の○○トリックについては読者は自分の目で確認することができないので保留で。それにしても○○○○○○○○作戦に巻き込まれたときはびっくりしただろうなあ。それを利用して自分の立場(嘘)を固めたのはお見事でした。

個人的には氏原さんが嫌な人すぎて絶対に事件に絡んでくる(自分の職場で犯行に及ぼうとしている)のかと思ったのですが、頭が固いだけで普通によい人でした。

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2018/06/04

『猫と幽霊と日曜日の革命 サクラダリセット1』 河野裕

サクラダリセットシリーズ第1弾。

アニメ全話視聴済みです。アニメは前半(1クール目)は本当に観るのがつらくて何度切ろうかと考えましたが、すべてが繋がっていく16話以降の展開が最高で1週間が本当に楽しみでした。それまでの15話を信じて観てきて良かったと心から思いましたね。そんなわけで、苦しみの先に最高の結末が待っているサクラダリセットです。

この1作だけでも伏線が綺麗に回収される爽快感はきちんと味わえます。交通事故に遭った猫を助けたいという依頼。その依頼に隠された意図、思惑。時間を巻き戻すリセットを使ったことで変わってしまった世界。誰のどんな行動で世界は変わったのか。分かりづらいところもありますが、しっかり読めば大丈夫。逆に言うとしっかり読まないと最後まで???かも。

このサクラダリセットシリーズの素晴らしいところは、この1作目からシリーズ通しての伏線が張られているところ。すべての登場人物に意味があるし、すべての能力に意味がある。シリーズをどこに着地させるか、しっかり計算されて書かれている1作目はとても安心感があります。リアルタイムで読んでいた人は思わせぶりすぎてイライラしたかもしれませんが。まさにアニメ15話まで。そんなところまで再現してくれていたなんて。

尚、脳内cvはすべてアニメに準拠。とても合っていたと思います。

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2018/06/02

『掟上今日子の推薦文』 西尾維新

忘却探偵シリーズ第2弾。今回は額縁匠の老人・和久井翁を中心とした3編を収録。

驚いたのは今日子さんのパートナーが厄介さんじゃないこと。ドラマによる叙述トリック。親切さんも厄介さんに負けず劣らず良い人ですが、ドラマから入った私はやはり厄介さん推し。

今回はタイトルの回収が秀逸ですね。もっとも信頼のおける人物からの推薦文。あれを聞かされて断れる人間はいないはず。個人的には「推定する今日子さん」で和久井翁が親切さんを警備担当に選んだ理由にもグッときましたが。

ちなみに原作とドラマでは事件の結末(犯人)が異なっていますが、私は原作の方がシンプルで好きです。ドラマは少しお涙ちょうだい風だったので。

最後に本作で明かされた今日子さんの過去に繋がるヒント。
・剥井くん(天才)が見抜いた今日子さんの正体は白い猫
猫と言えば某シリーズの某キャラクタを思い出さずにはおれませんねえ。

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2018/05/25

『真実の10メートル手前』 米澤穂信

『さよなら妖精』に登場した太刀洗万里が主役の短編集。『王とサーカス』未読ですが、どちらから先に読んでも平気とのことで読んでみました。記者という立場から真摯に、それでいて独特なアプローチで事件に切り込んでいく様は好感が持てました。なにより読みやすい。

個人的ベストは「ナイフを失われた思い出の中に」でしょうか。公開された手記から読み取れる情報量がすごい。冷静な文章に見え隠れする少年の葛藤、揺れ動く心模様が素晴らしいです。

次点は「正義感」でしょうか。あの一言は犯人はもちろん、読者にとっても衝撃でした。

本当にどれもおもしろい。『王とサーカス』を読むのがより楽しみになりました。

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2018/05/21

『掟上今日子の備忘録』 西尾維新

ドラマが大好きだった忘却探偵シリーズの第1弾。記憶が1日しかもたず、今日しかない今日子さんがキングオブ不運・隠館厄介からの依頼で事件に取り組む連作短編集です。

『備忘録』の軸は須永昼兵衛にまつわる依頼ですが、今日子さん(厄介)の登場から紺藤さんへの顔つなぎ、そして須永昼兵衛へ…という流れが実にスムースです。そして随所に描かれる今日子さんの可愛らしさ。ドラマ先行なのでどうしても脳内はガッキー&岡田くんで再生されます。美男美女。ドラマは今日子さんの記憶は毎回リセットされてしまうにも関わらず、巧妙&絶妙にふたりの関係が進展する作りになっていて本当に最高でした。連想ゲームですが「アンナチュラル」も実に楽しませていただきました。

さて、本作について書くときに触れずにおれないのが今日子さんの正体と過去。本作で登場したヒントの中で重要そうなものは
・今日子さんは記憶を失くす前に海外にいた(紺藤さんと会ったことがある)
・ただ、年齢の計算が会わないような気がする
・ちなみに今日子さんは今25歳(表紙カバーの左腕)
このくらいでしょうか。私はわりと今日子さん=某シリーズの某キャラクタ説を信じているのでその正体が明かされる日を楽しみにしております。

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2018/05/05

『賛美せよ、と成功は言った』 石持浅海

碓氷優佳シリーズ第5弾。『わたしたちが少女と呼ばれていた頃』にも登場した小春が再登場。優佳に対して複雑な思いを抱く人物につき、前作は読んでおいた方が良いかも?

<著者のことば>によると本作は優佳でも犯人でもない第三者、立会人目線で描くことに重点を置いた作品とのこと。(ここからややネタバレします)確かに優佳と黒幕、ふたりの探り合いは見事だったけれど、それを称賛強めでこと細かに解説されると少し萎えます。しかも言った(仕掛けた)そばから解き明かしていくので奥行きがない。攻撃がもっと後から効いてくる方が感嘆も驚きもあって楽しめるのではないかと感じました。

個人的には優佳の夫が今しあわせなのかどうかが知りたいですね。

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2018/04/18

『ブルーローズは眠らない』 市川憂人

『ジェリーフィッシュは凍らない』に続くシリーズ2作目。私たちの住む世界とは少し異なる、独自の科学が発達した世界で起こる殺人事件を描いています。今回のテーマは青いバラ。

青いバラの花言葉はかつて「不可能」でしたが、今は「夢は叶う」「不可能を可能にする」といったものに変更されていますね。個人的にはもっと青くなって欲しいと思っているのですが、本作はその真っ青なバラが遺伝子操作によって生まれた世界が舞台です。

登場人物は『ジュリーフィッシュ』の関係そのままに。前作に触れる記述も多いです。個人的には多すぎると感じたくらい。もちろんネタバレにはならないように配慮されていると思いますが、本作から入ってきた人には不親切かと感じました。

(ここからネタバレします)今回は密室、叙述、時間とトリック盛りだくさんですが、それ故に物足りなさを感じました。肝のトリックはどれだろう。時間とするならば成功だったと思いますが、密室だったとするならば不満が残ります。これは個人的な好みの問題ですが、共犯モノが苦手なので。だって何でもできちゃうじゃない。あとは犯行現場を誤認させるための移動が多すぎ=リスクが高すぎると思うのです。

最初の(過去の)事件における犯人の動機も弱いと感じました。青いバラには人を狂わすだけの魅力があるという証左かもしれませんが。

かなり厳しいレビューとなりましたが物語には一気に引き込まれあっという間の読了でした。年内発行予定のシリーズ第3弾も楽しみです。

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2018/03/09

『去年の冬、きみと別れ』 中村文則

映画公開前に。

純文学寄りのミステリという位置づけなのだろうか。とても読みやすく一気読みしてしまいました。

真相への興味はもちろん、木原坂に取材を申し込むふたりの人物、物語の(意図的な)ゆれ、思惑など楽しむポイントたくさんでした。(ここからネタバレします)事件を追うふたりの人物、一人は依頼を受け取材をしているライターですが、もう一人は事件の真犯人その人でした。しかも真犯人=取材依頼をした編集者という構図。その目的は物語として事件を本にし、真相を獄中の木原坂(仮名)に叩きつけてやりたいというもの。自分は恋人を木原坂に見殺しにされた、だから復讐として木原坂が愛する姉を見殺しにさせてやった。今も尚、自分が姉を見殺しにしたと知らない木原坂に効果的にそれを知らせてやりたい。このあたりの機微は純文学に寄っていますね。

個人的には真相が明らかになる瞬間がじわりじわりと穏やかな感じだったので、強い衝撃とともに知りたかったという我儘があります。

ラストのイニシャルの趣向は理解できているつもりですが、もう一捻りあったりするのでしょうか?

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2018/03/04

『仮面病棟』 知念実希人

評価が高いのも頷ける、とてもスピード感のある一冊でした。

ピエロの仮面をした男が深夜の病院に侵入。この病院に逃げ込んだのは偶然だと主張するわりに何かを探している様子のピエロ、通報を極端に嫌がる院長、身元不明の入院患者たち、病院の規模にそぐわない手術室などワクワクする展開てんこもりです。

登場人物が少ないため事件の真相は比較的推理しやすいです。しかし、真相がわかったからと言っておもしろさが半減することはありません。どうなるんだろう…だけで最後まで読み切れます。

大団円になりがちなエピローグも殺伐としていて救いがありません。個人的にはとても好きです。

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2018/02/28

『ステップファザー・ステップ』 宮部みゆき

宮部みゆき初期の名作。再読は20年ぶりくらい。いつの間にか表紙が荒川さんになっていた。双子かわいい。

3人の関係性についてあり得ないと断じてしまうのは野暮というもの。個人的には「ロンリー・ハート」で拗ねたお父さんに共感できる。214Pの子どもから「嫌いになった?」と聞かれる件については本当にいいこと書いてあるのでぜひ読んでください。

さらっと読めるミステリが詰まっているわけですが、最大の謎はやはり双子の両親ですよね。一体どこにいるのか。本当にふたりは(別々に)駆け落ちしたのか。本当に生きているのか。最後に父さんから電話がありましたが、あれを全面的に信じることはできません。双子とは関係ないところで事件に巻き込まれている可能性もありますしね。というか、両親がただ駆け落ちしただけなら(柳瀬の)おじいちゃんの調べが済んでいると思うんだよなあ。

続編も発表されているようですが、それが刊行されることはないと宮部自身がコメントしているとのこと。残念ですがまだ諦めていませんよ。

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