書籍・雑誌

2017/04/23

『いまさら翼といわれても』 米澤穂信

古典部シリーズ最新短編集。

奉太郎の過去を扱った二編「鏡には映らない」と「長い休日」がとてもとても良かった。奉太郎をヒーローだという彼女の「会って話したら、嫌いになるでしょ?」が最高。

「箱の中の欠落」は動機が語られないところが良いですね。冒頭の伏線もとても自然で良いです。そしてラーメンが美味しそう。

「わたしたちの伝説の一冊」と「いまさら翼といわれても」は青春すぎて眩しい。表題作は翼の前の言葉が「いまさら」なのが辛く苦しいですね。いままで捨ててきたもの諦めてきたものが詰まっています。悩める彼女たちに幸あらんことを願うのでなるべく早く続編を。

それにしても奉太郎のお姉ちゃんは一体何者なんでしょうかね。私、いつも気になります。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017/04/17

『陽気なギャングは三つ数えろ』 伊坂幸太郎

9年ぶりシリーズ新刊に歓喜。

軽快で痛快な4人のやりとりが大好きです。脳内キャスティングは映画の4人なのですが本当にぴったりだと思います。何年かぶりに見たい。

今回は久遠の活躍が多めでしょうか。巻き込まれの原因作ったのも久遠ですが。成瀬は課長らしく地味にいい仕事します。雪子はまとう空気が美人。成瀬とそれっぽい関係だったはずですが、今回はまったくそういう描写がありませんでしたね。あとがきのしれっと変更した部分のひとつでしょうか。語り(視点)で一番楽しませてくれるのは響野だと思っているのですが、演説は4分も聞けば十分です。

個人的に好きなシーンは振り込み詐欺と藁の中から藁でしょうか。アルファベット3文字も好き。

ラストの展開に少し物足りなさを感じましたが、それでもやっぱりおもしろい。よたび彼らが事件に巻き込まれることを祈るばかりです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017/04/15

『刑事の絆 警視庁追跡捜査係』 堂場瞬一

警視庁追跡捜査係シリーズにして『凍る炎 アナザーフェイス5』直後から物語が始まるコラボ作です。

大友はなぜ撃たれたのか、撃ったのは誰なのか。沖田と西川が犯人に迫る過程で大友が扱った過去の事件や私生活を暴いていくわけですが、それがなかなかおもしろい。なんだかアナザーフェイスシリーズを読むより大友のことがわかる1冊なような気がします。

犯人(真相)については予想通りでしたね。あの電話の件はあからさまでしたものね。

個人的には読んだばかりの『交錯』の内容がかなり物語に絡んできたのが驚きでした。『交錯』が2010年、本作が2013年出版ですが、いつかこの設定を使おうと温めておいたのでしょうか。『交錯』→『凍る炎』→『刑事の絆』の順で読んだ人で『凍る炎』の段階で彼らの正体に思い至った人はいるのかな。とにかくキャラの把握のためでしたが『交錯』を読んでおいて良かったです。

沖田と西川はすっかり仲良くなってましたね。いつか『交錯』と『刑事の絆』の間の物語も読みたいと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017/04/07

『交錯 警視庁追跡捜査係』 堂場瞬一

追跡捜査係シリーズ第1弾。『凍る炎 アナザーフェイス5』 の続きはこちらの『刑事の絆』になると知り、シリーズキャラクタを知る目的で読んでみました。

行き詰った捜査を別の視点で見直すために存在する追跡捜査係。その係に所属する犬猿の仲、沖田と西川が本作のW主人公です。無差別殺傷事件と貴金属店強盗事件が次第に交錯し、沖田と西川の関係も交錯する。静と動、冷静と情熱の間()、なかなかよいコンビネーションです。

(ネタバレします)個人的には無差別殺傷事件の犯人を刺して逃亡した男が西川と懇意にしていた青年だったというのは都合が良すぎるような気がしましたが、それもまた物語でしょうか。いや、絶対に彼だと思ってましたけどね。そうじゃないと作中で彼の失踪に触れる意味がない。

続いては『刑事の絆』を読む予定ですが、シリーズも5弾まで進みふたりの距離はどこまで近づいているのか。楽しみです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017/04/03

『さよなら神様』 麻耶雄嵩

『神様ゲーム』の続編。

神様の「犯人は○○だよ」から始まり、ご神託が正しいかどうか=鈴木が本当に神様かどうかを検証していく短編集です。結局あやふやなまま(犯人として検挙されないまま)終わるケースが多く、鈴木の正体も分からずじまい。神様…いや、作者の掌の上です。

個人的ベストは「ダムからの遠い道」でしょうか。(ややネタバレしてます)淳が○○の車に乗ってすべてを悟るシーンが巧いです。「バレンタイン昔語り」も嫌いじゃない。もう良いよってくらい伏線繰り返してましたしね。

それにしても○○トリックはラストのどんでん返しに使うのかと思っていましたが、中盤でさらっと明かしてきましたね。思い返してみれば麻耶作品は最後に驚かせて…って感じじゃないですね。中盤で一度ひっくり返して、そこから胸糞展開に突き進んでいくタイプ(褒めてます)

神様は一体なにをしたかったんでしょうかね。まさに神のみぞ知るですが、戯れに恋でもしたかったんでしょうか。さよならされちゃいましたけど。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017/03/29

『名探偵の証明 蜜柑花子の栄光』 市川哲也

名探偵の証明シリーズ第3弾にして完結編です。

蜜柑の信者と名乗る者から突き付けられた挑戦状。それは6日で日本全国に散らばる4つの未解決事件を解くこと。解かなければ人質の死が待つという過酷な状況で蜜柑はその力を発揮できるのか?という内容。

(ここからネタバレします)個人的には簡単すぎて拍子抜けした3つ目の事件が罠になっていたときはブチ上がりました(恋風)が、全体的には微妙というか蜜柑と恋の対決って必要ですかね?スタンスの異なる名探偵の対決がこのシリーズのメインテーマなのはわかるのですが、正直どちらにも魅力を感じないんですよね。もっとステレオタイプな(屋敷さんみたいな)名探偵でいいのに。

一番好きな事件は4つ目ですね。とにかく推理小説的でミステリを読み慣れている人ほど簡単に解けたのではないでしょうか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017/03/23

『QED~flumen~月夜見』 高田崇史

QEDシリーズ最新刊。一応シリーズは完結していますが、こうしてまたタタル一行の旅にお供できるのは嬉しいです。

今回のテーマは月読命、そして事件は手鞠唄になぞらえた連続殺人事件というミステリ好きが泣いて喜びそうな展開ですが、いつもの通りタタル一行とは関係ないところでどんどん事件は起こり、関係ないところで勝手に終わっていきます。いいんです、最近のQEDに求めているものはそういうことではないので(多少強がってます)

タタルさんの蘊蓄はいつもより読みやすかったですね。相変わらず奈々ちゃんの何気ない一言で天啓を受けてましたが、今回はちょっと台詞くさくて何気なくなかったような(笑)

そしてQED最大の読みどころ、タタルさんと奈々ちゃんの関係ですが、今回ホテル側のナイスな計らいにより同室になりかけましたが…なんということでしょう。奈々ちゃんだけ別行動になったときにこうなりそうな予感はしたけれど。なんなら新幹線の時点でホテルには行けないだろうと思っていたけれど。それでもやっぱり残念です。はやくプロポーズが見たい。見たい。

またタタル一行と旅をして、プロポーズが拝める日が来ることを切に願っております。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017/03/21

『凍る炎 アナザーフェイス5』 堂場瞬一

アナザーフェイスシリーズ第5弾。

ICカードで出入りが管理された研究施設で密室殺人が発生!?という本格ファンが泣いて喜びそうなスタートを切った本作ですが、その後密室がクローズアップされることはありませんでしたよ。

前作『消失者』同様、事件がどんどんとスケールアップしていくのですが個人的にはひとつの事件にどっぷり腰を据えて取り組んでもらいたいです。事件に振り回されるだけ振り回されて、大友が活躍しているようでしていないモヤモヤした展開…

を、吹き飛ばすかのようなラスト

一体大友になにが起こったというのか。劉の電話を止めたことが100%関係していると思いますが、例えば劉が大友の殺害をキャンセルしなかったとして劉が拘束されている今、律義に依頼をこなそうとしますかね。ゴルゴ13かな?

とりあえず次回作が気になる。せっかく大友が本格復帰を決めたのに、なかったことになりそう。とにかく次巻です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017/03/18

『鍵のない夢を見る』 辻村深月

直木賞受賞作。

作風(必ずしもミステリではないという意味)が大きく変わってご無沙汰になっていた辻村作品ですが、読むとやはりおもしろい。この短編集は共感力が強かった。「わかる」「いるいる」連発の「痛い」「勘違い」をした人々を描いた短編集。

個人的ベストは「君本家の誘拐」。出産後の母親がなにを考え、どう感じているかを知りたければこれを読めと声を大にして言いたいくらい共感しました。あの母親は私か。子どもが愛おしいという感情と、ひとりの時間が欲しい、ゆっくり眠りたい、泣かないで静かにしていて欲しいという願望と、望み叶った時の罪悪感や恐怖と極度の疲労と。たった数分の間に相反する感情がメーターMAXまで上り詰めるあの複雑な精神状態がとても正しく描かれています。他の作品はともかく、私はあの母親を笑えないですね。

あとは「石蕗南地区の放火」も良かった。主人公の女性が最後まで、作品が終わった後も勘違いし続けて生きるだろうことがよく伝わってきます。

今年は自宅で積読している辻村作品もしっかり読みたいです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017/03/14

『消失者 アナザーフェイス4』 堂場瞬一

アナザーフェイスシリーズ第4弾。

ひったくりから殺人、そして二課の登場と物語がどんどんとスケールアップした本作。とりあえず一課と二課は仲良くやろう。

お馴染みメンバーの安定したやりとりの中に不安因子がふたつできましたね。指導官の変更と息子の親離れ。後継者である後山参事官は個人的にとても好きなタイプ。茶道を捨て警察官になったいきさつや、問題があるという家庭のこと、これからの絡みが気になります。息子の親離れは当たり前のこととはいえ、大友を縛るストッパーがひとつ外れることを意味するので物語に大きく影響しそうですよね。今回もほとんど家に帰らず、息子の世話もせず、事件に没頭していましたし。

ただ、今回お馴染みのメンバーに関するシーンのなかで一番スカッとしたのは新聞記者が水をぶっかけられるシーンです(笑) ああでなくては新聞記者などやってられないのかもしれませんが、本当に性格悪いですよね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧