書籍・雑誌

2018/08/15

『盤上の向日葵』 柚月裕子

ラスト5行…!

ミステリと将棋、私の好きなものふたつが融合した作品とあって読むのをとても楽しみにしていた1作。

ミステリ的には刑事モノに分類されるでしょうか。どんでん返しはなく、足で稼ぎきっちりと真相に迫っていくタイプです。個人的には元奨である佐野でないと気付けないような何かが欲しかったですね。

将棋パートは上条桂介の物語。小学生までの桂介は全力応援。東明と付き合いだしてからは…やっぱりあのとき父親を捨てて奨励会に行って欲しかった。小学6年生にできる決断じゃなくても。人生にはいくつかの岐路があって、彼はそこで自らの足で悪い方に進んでいる。手離しで擁護はできません。だからってラスト5行…。まあ真実を語ったとしてそれを信じてもらえるかどうか、信じてもらえたとしても罪には問われますからね。最期の勝負、あの終わり方、そこにやってきた刑事ふたり。向日葵が見えてしまったら飛び込むしかなかったのでしょう。

読んでいて棋譜が欲しくてたまりませんでしたが、読ませたいのは真剣勝負の勢いや空気であってリアルな将棋の進行じゃないと自分に言い聞かせました。読み終わった今ならもう少し盤面の把握ができるような気がするのでもう一回読んできます。

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2018/08/12

『パラレルワールド・ラブストーリー 』 東野圭吾

映画化の前に。

親友、恋人、3人の関係が異なるふたつの世界(パラレルワールド)が真実を探ることでひとつに収束し、記憶の改変が行われていたことを知る。次に知りたくなるのは何故?の部分だが、この重要な要素が100%恋愛によるものなので個人的には微妙な気持ちに。親友も、研究者としての未来も、すべてを捨て去るほど魅力的な女性だったかしら?

って、最初からラブストーリーだって銘打ってましたね。私が悪かったようです。

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2018/07/30

『ミステリなふたり』 太田忠司

1●年ぶりの再読。本格のエッセンスを込めながらも気軽に短時間で読める短編集。安楽椅子探偵モノに分類するのが適当でしょうか。守秘義務とかいろいろあるんですが、法月さんちもやってることですしね。

個人的なベストはやはり書きおろしの「ミステリなふたり happy lucky Mix」ですね。○○トリック大好き。

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2018/07/28

『R.P.G.』 宮部みゆき

妙に先の展開が読めると思っていたら再読でした。15年ぶりくらい。

あとがきにもあるように地の文に虚偽があるのでミステリ的にフェアとは言えませんが、おもしろいからまあいいかと言いたくなる一冊。ただ、取り調べが始まる前、登場人物の気負いというか「やってやる感」からなにか仕掛けるつもりなんだろうな→偽りの○○○○へと連想しやすいのも難かもしれません。

あんなことをされたら誰が犯人でも怒るでしょう。それでも殺人はいけません。

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2018/07/25

『少年と少女と正しさを巡る物語 サクラダリセット7』 河野裕

シリーズ最終巻。サクラダに能力を残すため少年少女たちが疾走する物語。

これまでの伏線をこれでもか、これでもかと回収して大満足の一冊。一人として必要のなかった人物がいない。シリーズ第1弾からしっかりと構想が練られ、ぶれることなく、しっかりと終わりを迎えられることの素晴らしさと難しさよ。

「交渉」の相手が彼だったことがとても良いですね。心情に、感情に訴えかける。表面的な(薄い付き合いの人間が感じる)ケイは浦地正宗によく似ていますが、ケイと深く関わった者はみな知っています。彼がとても優しい人間だと。その差が良く出たアプローチだったと思います。

サクラダに能力が必要かどうか。ここでもケイを動かしたのは理屈じゃなくて感情でした。ケイはサクラダの能力が好きだ。だからなくなって欲しくない。それを認めてからの彼はとても強かったと思います。岡絵里が憧れていた頃とは違う強さですが。

読みやすく、まとまりもあり、ちょっと考えさせられる。とても良い読書経験でした。

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2018/07/24

『少年と少女と、 サクラダリセット6』 河野裕

シリーズ第6弾。サクラダから能力が消えるまでの物語。

ついに相麻菫の目的が明らかに。自分が彼女と同じ能力を持っていたとして、とてもじゃないけれど同じことができるとは思えません。それが例え好きで好きでたまらない男の子のためであっても。私はアニメが先なのですが、シャワールームでの告白のシーンは本当に衝撃的でした。ここまで観てきて(読んできて)心から良かったと思ったシーンでした。

私はやっぱり相麻菫が好きだなあ。

それでもケイは春埼を選ぶのですね。切ない。

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2018/07/19

『片手の楽園 サクラダリセット5』 河野裕

シリーズ第5弾。夢の中でワンハンド・エデンを作ってしまった少女のお話。

個人的にとっても評価に困るお話。急にファンタジーに振れて頭がついていかないのもそうですが、歪んだ片手の楽園は本当に是正されたのでしょうか?ミチルが片桐穂乃歌の自覚を取り戻し、片桐穂乃歌として夢の中で生きるのはもちろん良いです。夢の中でしか生きられないふたりが友だちになり、隣り合って笑いあうのも良い。でも、その状態って長く続きませんよね? 野良猫屋敷のお爺さんの病状は良いとは言えない。はっきりそう書かれています。友だちを再び失ったときに片桐穂乃歌がどうなってしまうのか。喪失感かたまた安易な楽園を作り上げてしまうのでは? そんなことを考えた本作でした。

というか、現実世界ではどうあっても手に入れられないだろううシナリオNO.407を簡単に手に入れるためだけの世界に見えてしまって…。

シナリオを読むことで知った咲良田の成り立ち、ラスボスとの対峙などこれからの物語に重要すぎる要素がいくつか出てきて胸がときめきますね。

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2018/07/17

『掟上今日子の挑戦状』 西尾維新

忘却探偵シリーズ第3弾。今回の今日子さんの相棒は刑事さん(警察)たちですが、かなり良いように使われちゃってます。今日子さん最強。

本作には3編収録されているのですが、それぞれで今日子さんによるアリバイ講義、密室講義、暗号講義が行われておりミステリ好きに嬉しい内容となっています。本当に初期の西尾維新を読んでいるようでニヤニヤしてしまう。個人的ベストは密室講義でしょうか。講義の内容も、作中で使われたトリックも良かったです。○が入れ替わってたら別人だと思うよなあ。

本作で明かされた今日子さんの過去に繋がるヒントは、
・生年月日は覚えていない(公称は25歳)
・Wifiは知らない
・(刑事さんが考えるに)記憶が更新されていないのは数年?もしかしたら10年?15年?ということも
25歳という情報は『備忘録』でも出てきていましたが、生年月日を覚えていないというのは解せませんね。出生からある程度までの記憶は保持しているはずなので、自分の誕生日くらい認識していて当然だと思うのですが。

というか、今日子さんて自分が誰かってことも忘れてるんでしたっけ?隠しているわけじゃなくて。

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2018/07/09

『さよならがまだ喉につかえていた サクラダリセット4』 河野裕

シリーズ第4弾。これまで描かれてきた物語と物語の隙間を埋める短編集。

相麻菫の死をケイがどう乗り越え…てはいないので、どう折り合いをつけたか。宇川さんとの出会い。春崎とリセットに起こった変化などなど。これまでの物語、これからの物語、彼らの選択、彼らの言葉がどういった考えや決意に裏打ちされているのかを理解する1冊。

物語はこれから佳境を迎えるので、ハブ・ア・ブレイクなのでしょう。リアルタイムで追いかけていた方はもどかしかっただろうなあw

ある日の春崎さんはお見舞い編が好きですね。U研の依頼を受けるか否かを考える春崎は可愛らしいです。そして春崎の変化を明らかにするよいSSだったと思います。

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2018/07/08

『機械仕掛けの選択 サクラダリセット3』 河野裕

シリーズ第3弾。浅井ケイと春埼美空、相麻菫の出会いの物語。

ずっと謎のままだった「相麻菫という少女はどんな少女だったのだろう」という疑問は解決するけれど、今度は「相麻菫は自分の命を投げ出して何がしたかったのだろう」という疑問が湧きでてくる。続きが読みたくなるナイス演出。私はアニメを観たので答えを知っているのだけれど、未来を知っていても自らの命を投げ出す選択はなかなかできるものじゃない。それができてしまう自分だから相麻菫は自分をアンドロイドだと言うのだけれど、あんなにも強く人を愛せる彼女がどうしてアンドロイドと言えるだろうか。

浅井ケイから春埼美空、春埼美空から浅井ケイ、そして相麻菫から浅井ケイ。三者三様の恋愛感情が言語化されているけれど、はっきり言ってどれもよくわからないw

とりあえず、智樹が美しく届けてくれた言葉は胸に響きました。

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