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2017/03/18

『鍵のない夢を見る』 辻村深月

直木賞受賞作。

作風(必ずしもミステリではないという意味)が大きく変わってご無沙汰になっていた辻村作品ですが、読むとやはりおもしろい。この短編集は共感力が強かった。「わかる」「いるいる」連発の「痛い」「勘違い」をした人々を描いた短編集。

個人的ベストは「君本家の誘拐」。出産後の母親がなにを考え、どう感じているかを知りたければこれを読めと声を大にして言いたいくらい共感しました。あの母親は私か。子どもが愛おしいという感情と、ひとりの時間が欲しい、ゆっくり眠りたい、泣かないで静かにしていて欲しいという願望と、望み叶った時の罪悪感や恐怖と極度の疲労と。たった数分の間に相反する感情がメーターMAXまで上り詰めるあの複雑な精神状態がとても正しく描かれています。他の作品はともかく、私はあの母親を笑えないですね。

あとは「石蕗南地区の放火」も良かった。主人公の女性が最後まで、作品が終わった後も勘違いし続けて生きるだろうことがよく伝わってきます。

今年は自宅で積読している辻村作品もしっかり読みたいです。

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