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2017/02/28

『潮騒のアニマ』 川瀬七緒

法医昆虫学シリーズ第5弾。今回はミイラ化した死体から聞こえない虫の声を聞くお話。

マンネリと言えばマンネリだけれど、安定したおもしろさです。最初は相手にされなかった赤掘がどんどんと認められていく水戸黄門的?な部分も良い。あとは決して文章を脳で映像化してはいけないところもきっと良いところ。

なにより赤掘・岩楯コンビの信頼感ですけどね。今回はコンビの登場が多かった。お馴染みの赤掘・岩楯、赤掘・大吉の他に岩楯と若手刑事、あとは赤掘・沖田でしょうか。最後の赤掘・沖田が最強で誰も彼らを止められません。考えていないようで考えているふたり。ラストのあたりで沖田先生が赤掘の腕を掴んだときは少しドキリとしました。

事件そのものが胸糞悪いのもいつもの通りでしょうか。家族の件も含め被害者に救いがない。被害者が選んだ(選ばされた)死に場所にちょっと民俗学のテイストが入っていて某シリーズの蘊蓄薬剤師などを思い出しました。彼ならごみ箱からアレを見つけてから30ページ分くらい喋るはず。

マンネリが悪いとは言わないけれど、少しテイストが違うものも読んでみたいと思いました。叙述トリック…は法医昆虫学とは相容れなさそうですね。

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2017/02/27

『トーマの心臓』 森博嗣

森博嗣が敬愛する萩尾望都の作品をノベライズした本作。原作は未読。勝手にミステリ読みをしましたが(トーマは本当に自殺なのか、トーマの死にユーリはどのように関わっているのか、やけに幼いエーリクの出生に秘密はないのか、エーリクとトーマは本当に他人の空似なのか)深読みする必要のない、青春群像小説でした。

タイトルの『トーマの心臓』が意味深ですよね。死んだトーマの心臓を移植されたエーリクが何らかの目的でもって学園にやってきたのかと思いました。全然違いましたけど。

原作から大きく外れてはいないけれど、やはり森ワールドになっているようなのでぜひ原作も読んでみたいです。オスカーは脇役なんですって?

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2017/02/22

『第四の壁 アナザーフェイス3』 堂場瞬一


アナザーフェイスシリーズ第3弾。

舞台上で発生した殺人事件。そして脚本をなぞる様に事件は進み…とこれまでのシリーズとは毛色の違う、まるで本格ミステリのような筋書き。ただ、あくまで警察小説なのでロジックで犯人を追い詰めたりはしません。そのちくはぐさが個人的にはマイナスかな。

かつでの仲間たちが被害者であり容疑者であるため、客観性を保てずふらふらとする大友に引きずられるように物語もふらふらしていて残念でした。大友が個を取り払って(役者になって)探偵を演じきるか、あくまでも刑事として骨太に捜査してくれれば良かったのですが…って先のセンテンスと同じこと書いてますね。

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2017/02/17

『人質』 佐々木譲

道警シリーズ第6弾。人質立てこもり事件が発生。

今回は全員がいぶし銀の活躍で少し派手さに欠けるのが残念。人質として囚われた百合の大活躍が読みたかった。(ここからネタバレします)主犯と従犯の関係を見抜き、真の人質と狙いを読み解いたわけですが、読者はそれを疾うに知っているので少しつまらなく感じてしまうのが残念でした。

それにしても人質になった男性、要求を突き付けられた父親、彼らが総じてダメダメで少し笑ってしまいました。

ラスト、ブラックバードで肩を並べて座るふたりに嫉妬した佐伯が可愛らしかったですね。

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2017/02/08

『敗者の嘘 アナザーフェイス2』 堂場瞬一

『アナザーフェイス』シリーズ第2弾。

容疑者の自殺、犯人とは思えない女弁護士の自首、拉致とてんこもりな1冊。そして(ここからネタバレします)結果的に警察内部の不正を暴くことになるのですが、その内容が黒い。黒すぎる。警察小説においてこの手のテーマはよくありますが、ここまで組織的であくどいのはなかなか読めません。だって警察が指示して女性を拉致(死亡もあり得た)ですよ。

結局、自殺した容疑者が真犯人だったので真面目に…とは言いません、きっと真面目に捜査していただろうから。なので、正しく捜査に当たれば真犯人に辿り着けたのに。残念です。

本作では柴にプラスして大友に心強い仲間が。例の新聞記者も出てきましたね。おそらくレギュラー化していると思うので、シリーズ続刊を読むのがいまから楽しみです。

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2017/02/01

『アナザーフェイス』 堂場瞬一

アナザーフェイスシリーズ第1弾。人の心に入り込むのがうまい、シングルファザー刑事が主人公。ドラマ化済みのようですが見ていないので脳内変換は西島秀俊でした。

事件は誘拐。誘拐ものは大好きです。個人的に後味が悪いのが好きなのですが、この作品はなかなかです。(ここからネタバレします)被害者少年の父親が筋書きを書いた言わば黒幕だったわけですが、大友の言うとおり本当の(血の繋がり云々ではなく心の繋がった)親子であれば息子を誘拐事件の道具にするなんて発想、絶対に出てきません。切羽詰まった状況でも、頭がそれしかないと思っても、怪我などしないと確約があっても、どうしたって決断できません。作中で父親が家族のためだと言い訳していましたが、言い訳にもなっていません。そもそも1社だけ融資を返してどうなるものでもないと思うんですよね。何度誘拐を起こすつもりだったのでしょう。

個人的には生意気な女記者がもう少し絡んでくるかと思ったんですが、シリーズ続刊で再登場したり、再婚相手候補になったりするんでしょうか。消極的な期待を寄せておきます。

すらすら読めておもしろかったです。地道な捜査が光る警察小説らしさと、大胆な真相が両立した1冊でした。

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