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2016/11/28

『去就 隠蔽捜査6』 今野敏

隠蔽捜査シリーズ第8弾。

大森署管内で発生したストーカーによる女性連れ去り事件。行方不明の女性は以前、ストーカー被害を大森署に相談していた。ストーカーという犯罪に対して警察ができるベストな対応とは、事件が起こった今すべきこととは、事件の真相はどんなものなのか。警察官僚として、合理的に、やるべきことをやるべきときに。そろそろ『去就』が気になる竜崎が事件を解決へと導く。

(ネタバレします)
ストーカー事件の方にもちょっとした発想の転換劇がありますが、本作の読みどころはきっと特別監察ですよね。弓削(悪意を持って呼び捨て)ムカつきますね。竜崎のように「小者には腹も立たない」と言える境地には私はまだ立てません。でも、新たに竜崎シンパとなったふたりの隊長が良い証言してくれました。それもまた、竜崎自身は自分は当たり前のことをやっただけなのに、と思ってそうですが。あと、伊丹にきちんとありがとうが言えた竜崎も良かったですね。戸高をとにかく信頼する竜崎も良かった。弓削以外は良いところばかりですね。

竜崎家の雰囲気もとてもよくなりましたよね。妻である冴子は登場時からあんな強キャラでしたっけ?すっかり竜崎を掌でコロコロしています。

そろそろ異動がありそうな展開ですが、どうやら栄転になる模様。現場で指揮を執る竜崎がまだ見たいような気もしますが、官僚のパワーゲームを制する竜崎もまた見てみたい。あ、伊丹の異動フラグも立ってるので伊丹の後任で竜崎刑事部長ってのも有りかも。

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2016/11/26

『疾風ロンド』 東野圭吾

映画化を機に。『白銀ジャック』シリーズの第2弾という位置づけで良いのでしょうか。今回雪山に埋められたのは未認可の生物兵器。裏表紙には長編ミステリと書かれていますがミステリはほぼなし、エンタテイメントコメディです。

読めばわかるので特にレビューすることもないのですが、雪山を疾走するシーンなどは実に映像化向きなので読むよりも観る方が楽しめるかもしれません。極秘裏に捜索を任された情けない研究者(兼 父親)にはイライラされっぱなしですが、それも阿部寛ならいい感じに演じてくれるかもしれないですね。予告はとてもおもしろそうでした。

まさに手軽に読める方の東野作品です。シリーズ第3弾『雪煙チェイス』が今月末に発売予定ですね。そちらも楽しみです。

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2016/11/25

『魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?』 東川篤哉

東川作品らしい1作。魔法という裏技は使われているものの、犯人逮捕の決め手(罠)はしっかりと練られておりミステリスキーでも十分に楽しめる作品。

しかし作りが軽いんですよ。その軽さ(読みやすさ)が東川作品の売りであり良さでもあるんですが、初期作品くらいの堅さが好みです。マリィと小山田のやりとりが伏線になったり、小ネタが隠されていないわけではないですが、やはり意味のない掛け合いが多いと個人的には思います。

1話15分~30分くらいで読めるので、ちょっとした空き時間に読むには最適かもしれません。頭の体操にも。

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2016/11/21

『背徳のぐるりよざ』 古野まほろ

 

文庫化の際に改題しているようなのでふたつ並べてみました。九条キヨ好き。

シリーズ第2弾ですが、時系列としては『セーラー服と黙示録』より前です。フーダニットの島津今日子、ハウダニットの古野みづき、ホワイダニットの葉月茉莉衣がそれぞれの持ち味で殺人事件を解決する女学校モノですが、今回は春期合宿と題して学園を飛び出します。そして待ちうけるのは落ち武者伝説、隠れキリシタン、正直者の村にクローズドサークル。ミステリ的ガジェットてんこもりですね。

正直、村の因習・因縁・因果の説明が続く前半は読むのがキツイです。語り口はもちろんいつもの古野ワールド。けれど、この部分が後半の謎解きの肝になってくるので頑張って読んでいただきたい。(ここからネタバレします)まあ十戒が改変(作中の言葉を借りるならコピーミス)されていることだけ察すればあとは…むにゃむにゃむにゃ。

そして三人娘の推理ですが、個人的にホワイダニット(動機論)がもっとも楽しめました。スタートということもあり推理の鍵となる事実が語られるのでその後の筋道というか展開が開ける感じがしてとても好きです。みづきの出番は少し少なかったかな。今日子のフーダニットは魅せ方というか罠の張り方が良かったですね。ただ指摘するだけではつまらない。正直村の皆さんが一斉に立ち上がったところが好きです。

とりあえず、飯塚くんの出番がもっと欲しかったのと、焙煎の尼の正体が最大の驚きポイントだということをここに記しておきます。

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2016/11/15

『探偵・日暮旅人の贈り物』 山口幸三郎

日暮旅人シリーズ第4弾にして第一部完結作。

過去3作に散りばめてきた伏線を丁寧に回収して卒なくまとめてきたという印象。個人的にはもっと黒・旅人でも良かった。まあ、冒頭でさんざん「愛」「愛」言ってたし、落とし所はここしかなかったでしょうね。

(シリーズ肝の部分のネタバレします)黒幕である雪路パパを引きずり降ろせなかったわけですがこれで旅人の復讐は終わりなのでしょうか。誘拐実行犯(白石)と両親殺害実行犯(熊谷)を警察に引き渡し、真相を知ることができたからこれで良し? それとも第二部に続くのでしょうか。個人的にはとことんやってもらって、ユキジの物語にもきちんと幕引きをしてもらいたいのですが。

それにしてもテイちゃん。今回も、どこまでも気丈だったテイちゃんですが、遊園地での彼女の心の中がどんなものだったのか想像するのは難しいです。嬉しくてしあわせな気持ちだけ100%にしてあげられたらいいのに。旅人とテイちゃんに幸多からんことを。

シリーズ第一部、とても引き込まれました。よい読書でした。

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2016/11/10

『樽』 F・W・クロフツ

電子書籍にて。私が読んだのは訳者が田村隆一となっていたので1962年の角川版でしょうか。

港で盗まれた樽の中から発見された女性の扼殺死体。盗んだ男が犯人かと思われたが、男は自分も騙され指示されただけだと手紙を見せる。男の言うことは本当か。なぜ死体は樽に入れられ運ばれたのか。そもそも死体の女性は誰なのか。地道な捜査により明らかになる真実と犯人の緻密な計算がラストで集約される古典ミステリの名作。

アリバイ崩しもののとして紹介されることの多い本作ですが、アリバイ崩しが始まるのは物語の2/3が過ぎてから。それまでは警察の地道な捜査がとても丁寧に描かれ、容疑者が逮捕されるわけですが…まだまだ中盤、そこから物語は大きく展開します。

(ネタバレします)個人的には犯人がなぜ賭けの話を知っていたかが鍵だと思っていたのですが、偶然にもその場所(店内)にいたというオチでした。そこだけは都合が良すぎるだろうと思いますが、その他は実によく練られており描写も細かく丁寧です。名作はいつ読んでも名作だと改めて実感する1作です。

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2016/11/05

『殺意の構図 探偵の依頼人』 深木章子

2015年本ミス9位。放火殺人の冤罪事件を中心に、一族に続く不審死の真相と関係者に渦巻く疑心疑念を丁寧に描いた作品。エッセンスに少しばかりのどんでん返しもあり。

犯人と疑われた人物が次の章では無関係とわかり、ころころと物語が転がっていく様がおもしろく一気読み。次第に容疑者が狭まっていくので冤罪事件の構図だけは綺麗に描けましたが、(ネタバレします)毒殺事件の犯人に第一章で読者に対してしっかりいいひとアピールをした○○○を持ってくるのがうまいです。個人的には○○を守るためにという動機よりは正義の履行とかすっかり馬鹿にされた恨みの方が納得できるのですが、ミステリで動機の話はやめましょう。毒の入手経路の伏線がしっかり(自然に)入っていてとても良かったです。

そしてエピローグ。明かされた探偵の素性が個人的にはツボです。これはいい。思わずプロローグを読み返しました。改めて読むと探偵の心情がすっと心に入ってきます。読了後はプロローグに戻ることをお薦めしたいです。

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2016/11/03

『探偵・日暮旅人の忘れ物』 山口幸三郎

ユキジやテイの過去に触れつつ、旅人の抱える闇の部分をクロースアップしたシリーズ第3弾。やはり日常の謎より旅人の過去派の私です。

今回は旅人が「なぜ誘拐されたのか」が明らかになりましたね。(ネタバレします)実行犯は刑事の白石ですが、それを指示した黒幕は誰なのか。素直に読めばユキジの父親ですが果たして。

あとがきによれば次巻に旅人の物語がひとつの結末を迎えるとのこと。楽しみで楽しみで仕方がありませんね。個人的には旅人には復讐を完遂して欲しいところですが、旅人はもう独りではないので悩ましいところですね。真相が明らかになるのはもちろん、すべてを終えたあとの旅人の決断と、それを周りの人たちがどう受け止めるかが気になります。視覚以外の感覚が目覚めるのかどうかもね。

しかし、リーズが続いているので旅人が死んだり消えたり捕まったりするわけではないとわかっているのは少し寂しいですね(笑)

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