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2016/10/02

『頼子のために』 法月綸太郎


『一の悲劇』
ドラマ化から法月綸太郎ブームが来てます。十余年ぶりの再読。ドラマはとても楽しく観ました。前評判より綸太郎がしっかり変人で良かった。謎のミステリ好き家政婦とか、法月家のテーブルがまるで麻雀卓とか、昼ドラ的愛憎パート長すぎるもっと長谷川博巳を映せとか、そもそも何が『一の悲劇』なのか視聴者はわからないよなあとか突っ込みどころは多々ありましたが、丁寧に作られていて良かったと思います。納得いかないのは久能刑事を無能化したことくらいかな。

さて、本日のレビューは法月綸太郎初期の名作『頼子のために』です。物語は愛娘である頼子を殺された父親の手記から始まり、復讐、そして自殺未遂で手記は幕を閉じます。そして、その手記の内容に疑問を持ち捜査に乗り出したのが綸太郎ですが(ここからネタバレします)綸太郎が手記に疑問を持った→手記は事実ではない→何のために手記は書かれたのかを考えていくと真実に到達できるのでしょう。手記の大きな目的は頼子を妊娠させたのが柊であると誤認させるため。では、父親であり復讐者でもある彼がそんなダミーを用意し殺さなくてはならなかったのは何故なのか。誰かを庇うため?彼が殺人を犯してでも庇いたかった相手とは?素晴らしいですね。

27年前の作品なので個人情報の概念がガバガバなのは多少気になります(笑)

個人的には14年前の事件の真相、頼子はなぜ車道に飛び出したのかが胸に刺さります。こうなってしまう前にそれぞれが胸に秘めた苦悩と誤解を解きあう方法はなかったのでしょうか。

最後の綸太郎の決断は私は否定的ですが、倫太郎らしいなとも思います。

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