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2016/09/13

『聖女の毒杯』 井上真偽

奇跡を証明するため考えられるすべての可能性(トリック)を否定するという趣向の『その可能性はすでに考えた』シリーズ第2弾。

今回は飛び石毒殺の謎ですが、前作に比べるとややスケールダウンか(前作がぶっ飛びすぎという可能性もあるが)。まあ、すべての可能性を検討し否定するという趣旨にはこのくらいの事件の方が相応しいと思いますが。

言いがかりレベルの可能性であっても論理的に否定しなければならないという業を背負った上苙ですが、今回は弟子も頑張りました。ベーシックな可能性は弟子がコツコツと否定し、ややアクロバティックなものは師匠である上苙が解決していましたね。格の違い。

それにしても船上でのやりとりは必要でしたでしょうか。(ネタバレします)殺○の犯人を登場させるのはあの場が必要だったのだと思いますが、もっと違う人間関係で描けなかったのか。読みづらい個所や分かりにくい設定が入ってくる割に効果が薄いと感じるので、やや疑問ですね。

そして真相ですが…正直大したことないですよね。いや、真相は大したことなくても良いのです。ただ「その可能性はすでに考えた」とまで言い、奇跡を証明しようとしているなら、このレベルの真相をすくに看破できなくてどうすると思ってしまうわけです。奇跡が絡むと視野狭窄になるというのはフーリンの談ですが、まさしくですね。事件は地味でもいいのです。むしろすべての可能性を作中で提示して欲しいので、このくらいの事件の方がいいのです。でも、上苙が奇跡を宣言した後に明かされる真相はそれなりのものであって欲しいと私は思います。

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