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2016/06/07

『その可能性はすでに考えた』 井上真偽

発売当時、各所で絶賛されていた本作。『恋と禁忌の述語論理』に登場した青髪・紅いチェスターコートの探偵上苙丞が再登場です。

奇蹟がこの世に存在することを証明するため、すべてのトリックが不成立であることを立証するという趣向の本作。今回立証に挑んだのは、カルト宗教団体が集団自殺を計った際に起こった奇跡(推定)。この事件がまた本格ミステリらしい、大仰でぶっ飛んでて簡単に言えばあり得ない事件なのがとても嬉しいです。好き。

事件がぶっ飛んでるので仮説もまたぶっ飛んでます。(ここからネタバレします)死体も空を飛びます。でも、ひとつひとつの仮説はバカミスでも、ラスト、宿敵が指摘した論理は正統派です。ラスト前までに探偵が論破(証明)したトリックは3つ。その証明同士に矛盾が認められた場合、どちらかの証明は失敗していると言え、同時にその仮説は事実となるという論法。いいですね、素晴らしいです。この完璧なロジックに探偵がどう立ち向かったのかは作中で。

なにが真実だったのか、ラストに探偵が辿り着いた仮説が真実だったのかはわかりませんが(破綻はしてなくても無理は多かったと思う)鮮やかなロジックに満足の1作。すべての可能性を作中で語るのは無理として、文庫化の際には報告書の目次を挿入してくれたら嬉しい。一体どれだけの可能性を考えたのか。それらはどれだけ奇天烈なものだったのか。気になります。

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