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2016/06/17

『鍵の掛かった男』 有栖川有栖

ようやく読めた作家アリスシリーズ長編。2016年本ミス7位、このミス8位です。

本作読了で現在出版されている作家アリスシリーズはコンプリートです。その上で、これまで発表された作品のなかで最もアリスが活躍したお話だと言いたい。鍵の掛かった男、その過去のおおよそをアリスひとりが解き明かしました。拍手。今回はアリスと火村を意図的に対照的な存在として書いてますよね。静のアリス、動の火村。実際に各地に移動し、聞き込みをしたのはアリスですが、私はやっぱりアリスが静だと思います。静のアリスだから聞くことのできた話がたくさんあったと思うんですよね。

それでもやはり言わせて欲しい。男の過去を追うことに重点が置かれミステリらしい展開が少なかったのは残念。火村がホテルに到着し、チョコレートの件を指摘し他殺説(ミステリ)にぐいと近づいた加速感は良かったです。火村が動だと思う根拠はここですね。

あと、アリスの単独行動が多くてアリスと火村のやりとりが少なかったのも物足りなさを感じる一因ですね。アリスと火村の気の置けない会話がとても好きです。今回、笑わずにはおれなかったのは400pの火村のこんな一言。(事件の真相に触れています。ネタバレ注意) 「ヤッホー、パパだよ。嘘だと思うならDNA鑑定しよう」とかどんな調子で言ったのか。斎藤火村のバリトンで是非。

うーん、おもしろかったんだけど、もっとミステリミステリしている作品が読みたい。密室とか。『鍵の掛かった男』なんて、密室が次々に登場しアリスによる密室講義が始まってもおかしくないようなタイトルだと思いません?

それにしても意外と探偵もやれるアリスが最も近しい男に掛かった鍵を開けるのはいつなんでしょうかね。

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