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2016/06/26

『アンと青春』 坂木司

ベストセラーとなった『和菓子のアン』に続くシリーズ第2弾。デパ地下の和菓子屋さん「みつ屋」にやってくる人々が抱える謎と和菓子の物語。

個人的には少し残念な読了です。収録されている作品は5つなのですが、どれもこれも謎の方向性がマイナスで後ろ暗いんですよね。(ネタバレします)嫁姑問題や放射能といったテーマはこの作品の可愛らしいしい優しい感じと合わない気がします。和菓子だと思って食べたら中に詰まっていたのは辛子だった…みたいな読了感。

そして、一番気になったのがとにかく卑屈なアンちゃん。『アンと青春』というタイトルなので悩んだり苦しんだりを繰り返しつつ前に進むという作りになっているのはわかります。わかりますが、アンちゃんて結局前に進めたんでしたっけ?アンちゃん自身は成長してます。251pで椿店長が褒めたように。でも、アンちゃんは周りからの評価が欲しいのではなくて、自分が納得して認める自分になりたかったのでは?自己肯定感を得たかったのではなかったのでしょうか。その意味でアンちゃんは現状維持だと思うのですが。

そして、私は前作『和菓子のアン』の感想でアンちゃんに恋話がなかったのが良かったと書いたのですが、フラグが立ってしまいましたね。アンちゃんの成長=魅力が増したということなのだと思うのですが、恋はエッセンスとして匂わせる程度にしてあくまでもサクセスストーリーであって欲しかったという私の我儘です。坂木司の恋愛物語は好きなんですけどね。『シンデレラ・ティース』が大好きなんです。

和菓子の蘊蓄、食べ物の描写は素晴らしいです。表紙の和菓子もとにかく美味しそう。食べたい。なのでミステリ部分がとにかく残念です。フラグが立ったままということは続きが読めるということだと思いますが、第1弾のような感じに軌道修正してくれるといいなと願います。

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