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2016/06/20

『11枚のとらんぷ』 泡坂妻夫

泡坂妻夫の代表作と言えば『しあわせの書』か本作かで迷うところですが、前者が大掛かりなトリックを用いた人体消失マジックなら、本作は熟練の技が光るテーブルマジックでしょうか。

公民館で開かれたマジックショウの間に起きた殺人事件。被害者の周りには作中作「11枚のとらんぷ」に因んだ品物が並べられていた。果たして犯人の意図は?犯人は一体誰なのか?という作品です。

注目すべきはやはり作中作「11枚のとらんぷ」ですね。どの作品も奇術を題材にしたショートショートとして優秀です。個人的には叙述トリックとも言える「新会員のために」とユーモアたっぷりの「赤い電話機」がお気に入り。

そしてこの作中作が殺人事件を解き明かす伏線としてたっぷり機能するというのだから嬉しくなっちゃいますね。どうして犯人は死体の周りに異様な装飾をしなくてはならなかったのかについてもしっかり説明されていて良い。痒いところに手が届いてます。

唯一の難点は奇術を文字で読んで頭で理解する(映像化する)のは結構疲れる点でしょうか。目で見て騙されるのはあんなにも簡単なのに。読了後にはきっと奇術が見たくなりますよ。

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