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2016/05/30

『マスカレード・イブ』 東野圭吾

マスカレード・シリーズ第2弾にして、『マスカレード・ホテル』前日譚。

収録されている作品は4編。前作で協力関係になり恋人となったふたり(ホテルのフロントクラーク山岸尚美と、警視庁捜査一課の新田浩介)がそれぞれ単独で2編ずつを担当。表題作であり新田編でもある「マスカレード・イブ」は○○殺人をメイントリックにしたミステリらしいミステリです。ふたりが知らぬ間に協力し合っているところも憎い趣向ですね。

ただ、『ホテル』の感想にも書いたのですが、殺人事件よりもなによりもホテルで起こるトラブルや交錯する人間関係の方がおもしろいんですよね。ホテル編だけでどんどんシリーズ化してもらいたいくらい。

「それぞれの仮面」でチェックアウトした女性に一言物申せずにおれなかった尚美ですが、あれから経験を積んだ今の彼女がどう対応するのか少し気になります。堪えるかな。なんとなく同じようなことを言ってしまうような気がします。

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2016/05/28

『怪しい店』 有栖川有栖

(怪しい)店を舞台にした作品をまとめた短編集。ドラマ化された「ショーウィンドウを砕く」も収録されています。ドラマはhulu配信作も含めてとても楽しく拝見しました。火村のサイコパス設定はどうかと思いましたが、斎藤工さんのバリトンが素晴らしかったので大満足です。作家アリスはドラマ化に相応しい作品がまだまだたくさんあるのでぜひ続編を。

さて、本作の収録作は5篇。ミステリの完成度では「古物の魔」がベストでしょうか。明らかに怪しい容疑者と鉄壁のアリバイ、犯行現場の違和感に監視カメラの謎。それらが見事に解き明かされていたと思います。

表題作「怪しい店」はあやしい店NO.1ですが、個人的には冒頭の<エルシー>にまつわる謎の方が好きです。最後のICレコーダーに関する推理は少し文章がまわりくどかったかも?作中アリスの気持ちになりました。

「潮騒理髪店」はシチュエーションも提示された謎も素晴らしかったですが、火村が導き出した真相が微妙。それだけ追い詰められていたのかもしれませんが。まだDNA説の方が納得できます。

改めて有栖川作品は読みやすい。作中で人畜無害を評されたアリスのやわらかく優しいところが表現されている作品が多いように感じました。火村とアリスの変わらないやりとりもいい。作家アリスもので未読なのは『鍵の掛かった男』だけなのですが、もっともっと読みたいです。

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2016/05/23

『シャーロック・ノート 学園裁判と密室の謎』 円居挽

『キングレオの冒険』と世界観を同じくする作品。サブタイに学園裁判と書かれているのでダンガンロンパ的な作品かと思い、確かに第一章の「学園裁判と名探偵」にはそういう側面もあったのですが、思ったよりも学園ものじゃないというかまさかの続くです。

個人的には第一章には大満足です。星覧仕合は始まるまでどんなものかイメージできなかったのですが、始まってしまえば双龍会です。口八丁手八丁、嘘を吐いてでもギャラリーに自分の主張を認めさせればいい。まさしく双龍会。それまでに得られた情報から得られたオチ…というか真実だったわけですが、それも良かった。円居流の舌戦、大好きです。

第二章からは学園を離れ、主人公である成のパーソナルな部分に踏み込んでいくわけですが、(ネタバレします)成が経験した家族や街の住人がごっそり入れ替わってしまうなんて出来事は実行可能なのかどうか。まず疑うのは成の記憶障害ですが…本作では結論は出ないんですよねえ。歯がゆい。第三章で記憶を操った男が出てくるのは何かのヒントなのか。気になります。

気になると言えば古野まほろでも読んだぞ探偵養成学校と、JDCに良く似た日本探偵公社ですね。九哭将(ナインテイラーズ)や十格官(デカロゴス)と言った設定は個人的に大好きです。もっと読みたいもっと知りたい。設定集が欲しいくらいです。

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2016/05/19

『最後の証人』 柚月裕子

柚月裕子は初読。表紙、タイトルからもわかるように法廷もの。私の大好きな法廷ものです。

「罪はまっとうに裁かれるべきだ」がモットーのヤメ検弁護士が主人公。はっきり言えばよくある設定ですがちょっとした叙述トリックもあり、最後の証人の登場によるどんでん返しもあり、ミステリとしてとてもおもしろかったです。

(ここからネタバレします)ちょっとした叙述トリックとはもちろ被害者と被告人の誤認のことです。高瀬光治による一人称で語られる島津への殺意と殺人計画。これを読んで被害者は島津と思うのがまあ普通ですが、ちょっと描写があからさまというか、隠そう隠そうという意識が強かったのでかなり早い段階でこのトリックは見抜けました。それでも、裁判をどうひっくり返すのか=最後の証人はわからないままでしたが。

もしかしたら佐方が検察を辞めた原因が7年前の交通事故なのかしら…なんてことも考えましたが違いましたね。冒頭で米崎に来た(検察を辞めた)のは12年ぶりって記述がありましたね。間違いなく読んだはずなんですけどね…あはは。

作中の至る所に家族の在り方とか生き方が描かれています。子どもを亡くしたら…の気持ちはわかりたくないけどわかる。でも罪はまっとうに裁かれなくてはいけないんですね。とてもよい2時間弱の読書でした。シリーズ続刊にも期待。

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2016/05/18

『誰がロバート・プレンティスを殺したか』

twitterでTLに流れてきた1冊。

毒殺事件の解決を依頼する手紙から始まり、現場写真、遺留品、事件を報道する新聞などを網羅した「捜査ファイル」から事件の犯人を暴くという趣向の1冊です。出版は1983年。

推理小説では事件現場の見取り図やダイイングメッセージなどがイラスト化され挿入されていますが、本作ではその本物が添付されています。

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こんな感じ。プレミアが付いているので私は地元の図書館で借りたのですが、誰も証拠品を袋から出していないのかとても綺麗な状態でした。もちろん私も出せませんでした(笑)

事件解決の鍵となる○○も発売当初は付いていたのでしょうか。だったらブラボーですね。

ミステリとしてもおもしろかったです。○○○が犯人のパターンですが、なぜ○○○はその行動に出なくてはならなかったのか。一度無罪となって二度と裁けない存在になりたかったわけですがその理由がポイントですね。

こういう趣向の本は大好きなので現代で出して欲しいです。活躍されているミステリ作家監修だと尚嬉しい。もちろん買います。

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2016/05/16

『池魚の殃 鬼籍通覧』 椹野道流

何年かぶりの鬼籍通覧シリーズ。いつもレビューで(親愛を込めて)法医学教室オカルトファイルなんて呼んでますが、今回はオカルトじゃないよ!

オカルトじゃないけど殺人事件も起こってないよ!

法医学のメスが事件を解決に導く展開が好きなのですが、今回も法医学関係ないところで事件解決してしまいましたね。ミイラを解剖する展開は新しかったですが。それでも犯人に辿り着こうとするなかに法医学的アプローチがあったので満足です。

伊月とミチルが拉致監禁されるシーンからのスタートは手に汗にぎりました。なぜ犯人はそのような事件を起こしたのか。犯人と、その目的を探るホワイダニットですが(ネタバレします)

事件起こす必要ありましたかね?

ミチルに直接問いかけて彼女の存在を思い出してもらうのではダメだったのでしょうか?手が込んでいるだけでなく、犯罪を犯す必要があったとは到底思えない。ミチルに彼女の追体験をしてもらって何になるんだろう。責めたいわけでないのなら尚更。犯人の行動意図がわからず四章は???でした。それまでが良かっただけに残念です。

レビューを振り返ってみたところ『亡羊の嘆』のレビューが飛んでいるので近々に再読したいと思います。なんだか辛口レビューになってしまいましたが大好きなシリーズなので。新刊も待っています。

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2016/05/12

『惑星カロン』 初野晴

アニメに続き映画化も決まったハルチカシリーズ第5弾。

シリーズ当初のももたろうorブレーメンの音楽隊のような、仲間が増え目標に向かっていく展開が好きなので最近の足踏み状態は少し残念。でも、草壁先生の過去が少し明らかになったのは良かった。恩師か恋人…恩師をあくまで山辺富士彦だとするならば亡くなったのは恋人ですよね。草壁先生が恋人の死に絶望し、公演をすっぽかすとは思えないのですがきっとまだ明かされていない情報があるのでしょう。シリーズ続刊に期待。

物語的ベストは表題作「惑星カロン」として、キャラクタ読みベストは芹澤&山辺の運動会にも遠足にも参加できなかったコンビがいい味出してる「ヴァルプルギスの夜」でしょうか。芹澤さんがピアノを叩き鳴らしたシーンが好きです。

最もミステリっぽかったのは「理由ありの旧校舎」ですが、スウェーデンのヤバいお土産と言えばアレしかありませんよね。物語としては全開事件からもう一段階オチがありましたが、そちらはおまけでしょうか。もちろん日野原さん伝説のおまけです。本当にむちゃくちゃな元生徒会長ですこと。

なにかで読んだ初野氏のインタビューで次回作はキャラクタ掘り下げの短編集だと読みました。物語的にはまたもや足踏みですが、なんだかんだでやはり楽しみです。

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2016/05/06

『シアター!2』 有川浩


『シアター!』
からの流れで読みました。このまま『シアター!3』も読みたいところですが(ry

前作が劇団の話だとするならば、2は劇団員のお話。シアターフラッグのメンバーひとりひとりにスポットを当てて各人を掘り下げているわけですが…やっぱり絡んできますよね恋愛。だって有川浩だもの。

司も入れて11人の小劇団で複数の恋愛が進行していることを「らしい」と頷くべきか「多すぎるだろ」と突っ込むべきか悩むところですが、個人的にはゆかりと小宮山のetude:03が好みです。あれはいい。小宮山が男前すぎる。

そして前作では千歳を天女のように扱っていた巧ですが、すっかり牧子にお熱の様子。いや、牧子の頑張りが報われた以外の何物でもないわけですが。兄弟の三角関係も読みたかったような残念なような。

ただ、私としては『シアター!』シリーズに恋愛要素はそれほど求めていないのです。あくまでも七転び八起きしながら借金返済のため一致団結していくサクセスストーリーだと思っているので。十分に射程圏内(返済可能)だけれど予期せぬ問題が起こったら…というフラグがビンビンに立ったまま以下続刊!して早5年。『シアター!3』が読みたいです。

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2016/05/03

『シアター!』 有川浩

今年の重点目標である既読未レビュー作品の再読です。本当は『シアター3』が出て、完結してから再読したかったんですけどね。

借金の肩代わりの条件として小劇団「シアターフラッグ」が呑んだのは2年間で劇団の収益からこの300万を返せ。 できない場合は劇団を潰せという約束。この過酷かつ無謀なチェレンジに個性的で魅力的なキャラクタたちが挑むサクセスストーリー。

春川兄弟と千歳の三角関係もうっすらありますが、やはりサクセスストーリーと紹介するのが妥当でしょうね。兄あるいは親になった気持ちで素直に彼らを応援したい。個人的には冒頭、小学生巧がようやく淘汰されない道へと歩き出したあたりの描写(司目線)が涙腺決壊ポイントなんですが早すぎでしょうか。

千秋楽の事故は残念でしたが、単純なサクセスストーリーも簡単には終わらせてくれないところが有川浩でしょうか。そして、本当に簡単には終わってない…完結編のシアター3はいつ読めますか?2も読めば3も読みたくなるのが必定!でもこの世に存在しない!ジレンマですがもちろんこの流れで2も読みます。

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2016/05/01

『オレたちバブル入行組』 池井戸潤

いまさら感ありありですが、半沢直樹シリーズ原作第1弾。

ドラマは観ていないので「どうやって倍返しするんだろう」のハラハラドキドキを純粋に楽しめました。勧善懲悪な結末にすっきり。メールで「花」と名乗ったところで○○が行員名簿チェックしたらバレるんじゃ…とミステリヲタっぽく心配してみましたが、特にそういう展開にはなりませんでした(笑)

この台本に演技力のある役者を集めてしっかりドラマ化すれば流行るだろうと納得。いや、それらを揃えることが何より難しいんだと思いますが。機会があればドラマも観たいです。

過去に銀行に勤めていたことがあるので、融資の稟議書を書いたり、融資部と喧嘩したり()、督促状を配達証明で出したりという描写が個人的にあるあるでした。国税の方々は来てすぐに上司と個室に入ってしまうので多くは知りませんが、行内検査で翌日の資料づくりにてんやわんやするのもまたリアルです。

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