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2016/04/28

『むかし僕が死んだ家』 東野圭吾

読み逃していた初期東野作品の名作。

幼少期の記憶をなくした女性が己の欠落を埋めるために謎の屋敷を訪れ、そこに封印された過去と記憶を取り戻すお話。屋敷のあちらこちらに散りばめられた日記や手紙をもとにゆっくりと真相に近づいていくそのさじ加減が絶妙。ふたりの登場人物とともに、昔この屋敷でなにが起こったのかを考え、同時に真相に到達できる。装飾された他殺体も暗号も名探偵も登場しないけれど、謎解きはできる。これぞ推理小説といった作品。とてもおもしろかった。

東野圭吾は比較的読んでいる方なのだけれど、こうして読み逃がした作品に名作が残っているととても得した気持ちになりますね。

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2016/04/22

『ダンガンロンパ十神 (上) 世界征服未遂常習犯』 佐藤友哉

佐藤友哉からは『クリスマス・テロル』を機に離れていたのですが、ダンガンロンパが好きで、北山猛邦の『ダンガンロンパ霧切』がかなりおもしろいので読みました。

やっぱりダメなものはダメだ…。

どうして本家ダンガンロンパキャラを差し置いて鏡家サーガキャラが幅を利かせるのか。ラストにソニア、左右田と肩を並べて登場とかどういうことだ。鏡家サーガをまったく知らない人は置いてけぼり…って、知らない人はラストまで到達できないだろうな。『ダンガンロンパ霧切』を期待して読んだ(読む)方は本当にがっかりすると思います。

そもそも白夜様が偉そうにふん反り返っているだけで全く活躍してない…ってのはむしろ白夜様っぽいのか?どこに魅力を見い出したら良いのかわかりません。『十神一族最大最悪の事件』?件と牛?それとも本家キャラのちょっとした掛け合いでしょうか。衛星通信で江ノ島や腐川と話したあたりは楽しかったかも。でもそのくらいかな。そのくらいですね。

(中)(下)と続きますが化けてくれるかな。せめてキャラクタの活躍度は白夜様>ダンロン本家キャラ>>>>>>>>>鏡家サーガにしていただきたいものです。

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2016/04/17

『黒龍荘の惨劇』 岡田秀文

『伊藤博文邸の怪事件』に続く月輪シリーズ第2弾。

名探偵と助手、わらべ歌になぞらえた連続殺人事件、驚くべき真相と本格ミステリ好きが泣いて喜びそうな設定てんこもりなのになぜか盛り上がらず、読了に時間がかかってしまった1作。『伊藤博文邸~』の感想でも同じようなこと(終始盛り上がりに欠ける)が書いてあるので、私とは合わないのでしょうか。確かにおもしろかったんですが。

最も残念に思ったのが(ネタバレします)探偵が真相に辿り着いた先に警察が待機していたこと。事件が起こる前もしくは事件の途中で犯人を指摘できるのが探偵だとするならば、今回は最後まで事件が起こってしまったため月輪を名探偵と呼ぶのは正しくないのかもしれませんね。それでも、だとしても、物語の世界くらいは(名)探偵>警察であって欲しい。敢えて警察を無能に書く必要はないですけどね。どちらも魅力的に描きつつ(時には協力しつつ)警察に先んじて探偵が真相に到達して欲しい。少なくとも私はそう思ってミステリを読んでいるんですよ…。

無茶はあったかもしれませんが(物語上)瑕疵はなかったと思う驚きの真相。上記のようなことをクリアして、もっと「おお…!」と言わせて欲しかったというのが素直な感想。既に発表されている第3弾も楽しみです。

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2016/04/12

『崩れる 結婚にまつわる八つの風景』 貫井徳郎

推理小説という意味のミステリではなく、ホラー・サスペンス寄りのミステリ短編集。テーマは結婚。

個人的ベストは「誘われる」。オチは読めてしまったものの、最も推理小説的ミステリに近かったように思う。次点は「腐れる」。やはり最後の数行でにやりとできる作品が好きだ。

私が女性だからか、女性視点で書かれた作品の方が楽しめた。男性視点、特に「怯える」はその行動原理がまったく理解できないうえに、ラストもそこまで胸糞悪くないのでこの短編集のなかでも少し異質だろうか。貫井氏本人は「憑かれる」が一段落ちると評しているのだけれど、それはとてもよく理解できる。

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2016/04/08

『夢幻花』 東野圭吾

黄色いアサガオが咲き、ひとりの老人が殺された。複雑に絡み合う人間関係と謎の中心で咲く黄色いアサガオ。禁断の花にはどんな秘密が隠されているのか。

3時間弱で読了。ぐいぐい読ませる展開はさすが東野圭吾です。でも、ラストが綺麗にまとまりすぎというか物足りないと思ってしまうのはわがままでしょうか。(ネタバレします)そもそも黄色いアサガオに幻覚作用があるというのは創作ですよね?「アサガオの中には強い幻覚作用(毒性)があるものがある」という事実と「滅びるものには理由がある」という作中でも登場した考え方を掛け合わせて「黄色いアサガオが滅びたのは強い幻覚作用により政府が生育を禁止したからだ」という推測を作り上げたようですが。その推測が正しいかどうかはともかくとして、読者が知り得ない未知の毒薬とかノックスの十戒…は冗談としても都合が良すぎる気がして。物語としてはうまく機能しているんですけどね。

そもそも黄色いアサガオの秘密を知ってしまった(流出させてしまった)責任を果たすために代々黄色いアサガオの情報を集め監視している一家があるという設定が微妙。政府が生育を禁止したり、自白剤として使用するために内務省が秘密裏に栽培していたりと散々スケールの大きいことを言っておきながら、その使用を阻止しようとするのは個人の力っていうのが。せめてどこかの省庁が組織立ってやってくれていたら…それはそれでおかしいんですけどね。

広げた風呂敷がとても綺麗に小さくなってしまって、もっと「なんなんだこれは…」って言いたくなるくらい大胆な畳み方で良いのにと思った作品でした。

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2016/04/03

『皇帝のかぎ煙草入れ』 ジョン・ディクスン・カー

電子書籍にて。訳者が宇野利泰なので私が読んだのは講談社文庫版でしょうか。

翻訳モノのなかでカーは断トツに読みやすいと思っております。本作も数時間で読了。もちろんおもしろいというのが一番の理由ですが。

大胆なトリックを打ち破るポイントが実にシンプルでスマートなのがいいですよね。そして(ネタバレします)それが読書前からずっと、堂々と読者の脳内に居座り続けているのがまたいい。なんと秀逸なタイトル。これがあるから、読者は鍵となる「かぎ煙草入れ」という言葉が出てきても、それを自然なこととして読み流しちゃうんですよね。素晴らしいです。

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2016/04/02

『三幕の殺人』 アガサ・クリスティ

電子書籍で読了。訳者が赤冬子となっていたので私が読んだのは角川文庫版でしょうか。

ニコチンによる3つの毒殺事件。同一犯による連続殺人であればそこには共通の(連なった)動機があるのが筋というものだが…。ポワロを震撼させた驚きの、そして身勝手な動機とは。

などとあらすじを書いてみましたが(以降すべてネタバレしてます)第一幕の「リハーサルだから誰でも良かった」というのは個人的には微妙。ただのサイコパスじゃないですか。そして、三幕の「めくらまし」もサイコパスの所業。原因たる妻を殺そうとするならまだしもね。

とりあえず、クリスティだから素人探偵3人の誰かが犯人だろ…と読者に思われちゃうのがこの作品の最大の難点かと(笑)このトリックの親戚にクリスティ名作であるアレがありますが、アレはネタバレなしに読めると一生しあわせでいられるのでタイトルは言わないようにします。とにかく、アレと比べると何段か落ちるのが残念ですよね。

あと、執事に化けていたという突っ込みポイントは…名優に敬意を表しておくべきでしょうか。

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