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2016/02/29

『どちらかが彼女を殺した』 東野圭吾

ブログ開始前に読んだミステリの名作再読中。

加賀恭一郎シリーズ第3弾にして、フーダニットの名作。なにせ最後まで読んでも犯人名が書いてない。「なんとなく」や「そうだと思った」が通用しない、ミステリースキーに対する挑戦状な1作です。

『どちらかが』のタイトル通り、2択です。彼女を殺したのは男か女か。それだけのシンプルな問題なのに考えれば考えるほど男の犯行とも、女の犯行とも、はたまた妹(彼女)の自殺とも思えてしまう不思議。最後の鍵は○○○ですが、文庫verでは直接的な表現がないので少し論理的に思考する必要があります。加賀が○○○の○を見せてくれないということは…。

文庫版は袋とじ解説がありますが、なにも知らずにノベルス版を買った人は驚いたでしょうね。ノベルス初版が1996年6月、今ほどインターネットが普及していなかったのでネタバレ検索するわけにもいかず、身近な人にミステリスキーがいなければ独りで悶々としなくてはならないとか苦痛ですね。

同じ趣向の『私が彼を殺した』は3択ですが、こちらも大好きな作品なので近々再読してレビューしたいと思います。

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2016/02/28

『猫丸先輩の空論』 倉知淳

ブログ開始前に読んだ名作を再読中。

前作『猫丸先輩の推測』よりも飛躍幅が大きくて、まさに『空論』のタイトルが相応しい本作。個人的には「とむらい自動車」が一番納得いく作品。八木沢くんがまるで死んだかのように振る舞うのが猫丸先輩らしい。

「水のそとの何か」は冒頭に軽い叙述トリックがありますね。最後までトリック仕掛けたままいって欲しかったと叙述スキーは思います。ダイイングメッセージについてまとめられているので必読。

個人的に微妙なのは「な、なつのこ」ですね。犯人に責任とらせればいいと思うのは冷たいでしょうか。

猫丸先輩ものは『日曜の夜は出たくない』『過ぎ行く風はみどり色』が既読未レビューなので年内再読を目標にしたいものです。

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2016/02/27

『名探偵の証明』 市川哲也

第23回鮎川哲也賞受賞、本ミス2014第17位の本作は表紙から想像するよりもずっとずっと本格ミステリでした。

かつて名探偵だった男と、今まさに名探偵たる少女。新旧名探偵が携帯の電波すら届かない山荘で密室殺人事件に挑む本作。とりあえず、老いによる推理力の低下に悩む名探偵とか新しい。これがシリーズ探偵だと切ない以外の言葉が出ませんがね。

事件そのものはシンプルですし、その解決もシンプルです。(ここからネタバレします)事件の真相はふたつ。用意された真相と、それを利用した真の真相と。そのどちらもがよくあるパターンで、定番ならこっち、驚きの真相を謳うならこっち…という感じですぐに到達することが可能。でも、物足りなさを感じないのは老いた名探偵が諦めることなく掴み取ったものだからでしょうか。ハードボイルドこじらせちゃってる感じの屋敷探偵の語り口、好きです。そして、そんなかつての名探偵に憧れて、命をもらったとまで言う蜜柑も好き。名探偵が多いと作品に華がでますね。

シリーズものとして第2弾が出てますが、本作のラスト、その生死がunknownなのが気になります。生きて、ひっそりと探偵していて欲しいですが果たして。

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2016/02/15

『猫丸先輩の推測』 倉知淳

ブログ開始前に読んだ名作の再読が今年の目標。本日は日常の謎モノの代表作『猫丸先輩の推測』です。

ノベルス版の発売が2002年。当時はまだ人が死ぬミステリが主流で、日常の謎モノは少なかったように記憶しております。今はもう逆転したと言っても過言にならないかな。

個人的ベストは何と言っても「失踪当時の肉球は」です。語り口が違うだけでああもハードボイルドになるとは。猫丸先輩の推測も好きです。むしろ、収録されている作品のなかでいちばん説得力というか真実味というか理論的であったと思います。ちくわにつられてヒノマルちゃんが見つかると良いけれど。

猫丸先輩がラジオで聞いたアイドルの傲慢にハッとさせられた「夜届く」も好き。あの観点で世を見ているからこそ猫丸先輩なのだと思わせる1作。

「カラスの動物園」の妄想劇場は読むのがキツかった。推測も正直微妙かなあ。そして、ねこまるたろうくんは売れないと思…ったけれど、某妖怪ゲームに似たような兄弟の人気キャラがいるので案外売れるのかもしれない()

猫丸先輩と言えば思い出さずにはおれない、唐沢なをきさんのイラストもいい。猫丸先輩の新作が読みたいものです。

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2016/02/13

『高原のフーダニット』 有栖川有栖

ドラマに触発されて長らく未読だった本作をついに。作家アリスシリーズは『怪しい店』『鍵の掛かった男』も未読です。

中編3作が収録されておりますが、「ミステリ夢十夜」は異色というかファンサービスと感じましたがいかがでしょう。火村とアリスとシリーズお馴染みのキャラクタたちが舞台上でコント(演劇)を繰り広げている脳内変換で読みました。火村はやるとなったら真面目に演技しそうですが、やるとなるまでに粘り強い交渉と駆け引きが必要…というかやりませんよねやっぱり。

残る2編は個人的に惹かれるところはなく。「オノコロ島ラプソディ」の嘘に関する部分はアンフェアというかバカミス一歩手前というか。個人的にはかなり微妙。「高原のフーダニット」もタイトルにまでなっているフーダニット部分が弱いというか(ここからネタバレします)女性だから○を持っていて当然という部分には同意しかねますね。身だしなみに気を使う女性だとしても、家から歩ける範囲をバードウォッチングするのに○を持っている可能性はそう高くないと女性だから思います。

とりあえず、野上刑事の株がぐんぐん上がった1作。

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2016/02/08

『オルゴーリェンヌ』 北山猛邦

2016年本ミス10位、このミス4位。『少年検閲官』の続編です。

最高でした

ああ、おもしろかった。作中、ミステリの存在意義を問うていたエノに、こういう素晴らしい作品があるからミステリ読みはやめられないんだと力説したい1冊。

難点は世界観が独特で馴染むのにかなりの時間を要することでしょうか。2段組み381頁の本作ですが、第三章終了(258頁)くらいまで戸惑っていた記憶があります。挫折する人も多かろう。でも、第四章から始まる怒涛の推理合戦が素晴らしいので、どうかもう少し頑張って。3つの殺人事件×3人の推理が読める後半はあっという間です。うち2人の推理はもちろん真実ではないので、かなり強引だったり、それはないわーってものもあります。でも、あくまでも前座だから!

私は最後の最後まで犯人わかりませんでした。意外な犯人なんだろうなとは思っていましたが。なにせ『犯人』のガジェット登場してますから。これで意外な人物が犯人じゃなかったら嘘です。でも、

ここまで意外な犯人だとは…!

ちょっと鳥肌立ちました。いいミステリと読んだときに得られる快感ってやつです。まさかあんなところに伏線が貼ってあったとは。世界観の理解が苦痛な前半、でもしっかり読んでおいて欲しい。まさかの展開です。とりあえず、前作『少年検閲官』から読むことを強くお薦めします。

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