« 2015年12月 | トップページ | 2016年2月 »

2016/01/28

『キングレオの冒険』 円居挽

城坂論語、再び

と思ったら、次から次へと知った名が登場してにやり。龍樹山風(落花の父親)が双龍会の龍師ではなく、JDCみたいな探偵公社の理事に納まっているという素晴らしい設定のルヴォワールのパラレルにしてシャーロックホームズへのオマージュ作品集。

とりあえず、論語が黒幕ってしっくりくるわぁ()

双龍会がなく、論語が生きることに飽き飽きしたら犯罪を唆すくらいはするでしょうよ。飽くまでも唆すってところが論語らしくてとても好きです。そして論語と対峙するのはキングレオこと天親獅子丸と天親大河。あら、知った苗字が出て来ましたね。あちらは寅と豹でしたが。

というわけで、ルヴォワールシリーズを読んでいた方が3倍くらい楽しめると思う本作。キングレオ単体ならば「なんたらの紐」が好み。「あれがかの○○○○外しだ」って、引用なのにネタバレだから伏字にしてみましたが、とにかくミステリ読みなら一度は遭遇してみたいシーン。書き下ろしの「悩虚堂の偏屈家」は双龍会を彷彿とさせる二転三転の斬り合いで大満足でした。論理も綺麗だったと思います。

とりあえず、他の面子にも登場してもらってシリーズ続編が読みたい。流とかこの世界観でもうまく生きていけそうに思うのだけれど、麻雀のシーンに出てきませんでしたね。一応論語が高校生の設定(過去)だからかしら。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016/01/23

『雪密室』 法月綸太郎

今年はブログを始める前に読んだ新本格の定番を再読していきたいと思っています。

本作はタイトル通り、いかにして『雪密室』は作られたのか…が鍵になる作品。ですが(ネタバレします)共犯者が多すぎる。厳密には従犯者ですが。個人的に共犯の存在はリスクが跳ね上がるうえに、犯人側が取り得る選択肢の幅が爆発的に広がってしまうので好きではないです。今回は望んで共犯者になったわけでないという体でしたが。

冒頭に仕組まれた叙述トリックにはにやり。こういうのは大好きです。

綸太郎の母親についての記述があるのもこの作品…と個人的メモ。

作家アリスがドラマ化しましたが、綸太郎シリーズもドラマ化できそうですよね。連続ドラマは原作の数的に(ry ですが、2時間ドラマならどうだろう。綸太郎の登場遅めの作品が多いのがネックかもしれませんが。でも、警視庁のお偉いさんを身内に持つ作家…って浅見光彦かな。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016/01/14

『白い兎が逃げる』 有栖川有栖

ドラマ化にともない未レビュー作品を再読中。シャングリラ十字軍が登場するようなので本作収録の「地下室の処刑」も映像するかもしれませんね(『暗い宿』収録の「異形の客」は確定)

収録されているのは中短編4作ですが、際立った名作はない印象。ただ、「不在の証明」や表題作「白い兎が逃げる」のような新たな発見、証言で事件の様相ががらりと変わる様を読むのは好きです。まあ、せっかくの双子ならもっと凝ったやつが読みたい(そんなときは『マジックミラー』

「比類のない神々しいような瞬間」はとにかくタイトルが好きです。でも、犯人を追いこむ○○の○○って偶然ですよね…。それがなかったら犯人のアリバイを崩せなかった可能性はいかほどか。すこし消化不良です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016/01/10

『ノックス・マシン』 法月綸太郎


「本格(ミステリを主題にした)」S
Fを4作収録した短編集。このミス2014第1位だけれど、誰が読んでもたのしめる作品じゃない。なぜに第1位。

私はノックスの十戒が大好きなので「ノックス・マシン」はとてもたのしめました。唐突と言わざるを得ない第5項はなぜ生まれたのか…を風刺を利かせて描いてみた作品。いいです。こういうの好きです。

続く「引き立て役倶楽部の陰謀」もおもしろい。アガサ・クリスティも『アクロイド殺し』『そして誰もいなくなった』もどれもこれも大好きなのでにやにやしながら読んでました。ワトソン爺がもうね。でも、この作品は少なくとも上記2作を読んでないと心からたのしめないのがマイナスですね。というか、この『ノックス・マシン』自体がある程度(古典)ミステリに精通していること前提で書かれているので、年末のランキングものだからと読んだ人は置いてけ堀でしょう。

尚、残る2作は微妙。「バベルの牢獄」はやりたいことはわかるのですが、読了後にそれで?って言いたくなる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016/01/07

『朱色の研究』 有栖川有栖

朱色を物語の柱に据えた作家アリスシリーズ長編。ドラマ化を祝って未レビュー作品を再読中。

火村とアリスがマンションの一室に呼びだされ、死体を発見。マンションまでの道すがらにすれ違った重要参考人の証言をもとにエレベータのトリックを解くまでのスピード感が好き。ですが、(ネタバレします)捜査の枠外に出るために一旦疑われて捕まってみるとかどんな推理小説…と思ったら推理小説だった。理解はできますがよく考えなくても意味不明な行動ですよね。夕陽に唆されてしまったと言えばそれまでですが。

動機についても微妙です。突発的な殺人だと言うなら理解できますが、一応計画殺人(の中の突発殺人)なので。

それでも、火村の悪夢に触れるシーンや、殺人者を裁くということを火村がどう考えているのかが語られるシーン、そして火村とアリスの掛け合いなど長編でなくてはなかなか描写しづらいシーンが多いのでとても重要な作品だと思います。ドラマのトレーラーで「人を殺したいと思ったことがあるか」と火村に尋ねる女子大生が映っているのでこの作品もドラマ化されるのでしょうか。たのしみです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016/01/04

『46番目の密室』 有栖川有栖

祝ドラマ化

ということで、未レビュー作品を再読。まずは作家アリスシリーズ第1弾『46番目の密室』。初登場作品とは思えないほど火村のパーソナリティがしっかりしています。1992年出版ということは24年前!?ですが、最近の作品に登場する火村と性格も口調もそう変わらず違和感ないです。すごい。そして、火村の犯罪に対するスタンスも本人の口から明確に語られているので、それを押さえておく上でも重要な作品。とりあえず、美しいかどうかは火村にとっては些事だと思います(と、ドラマ開始前から一番不安なことをぶっ込んでみる)

密室トリックに関してはあとがきで作者本人が述べているように、地味です。(ネタバレします)目撃者がいるとあっさり破綻する程度のものです。だから、さあ読め!これが有栖川有栖の密室だ!という作品ではないです。反対に、これも作者自身が述べていることですが、密室のトリックがわかったから犯人がわかるというものでもなく、トリックを使用可能だった者から犯人を特定する一手はあくまでも(足跡の)ロジックという、これが有栖川有栖のロジックだ!という作品になってます。この安定安心のスタイルがとにかく嬉しい。

とりあえず、天上の推理小説の一歩たる46番目の密室がどんなトリックだったのか私、気になります。そして、動機はあれじゃないとダメだったのだろうか。

ドラマのキービジュアルが漫画版『46番目の密室』表紙のそれなので、ドラマでも本作やるのでしょうか。雪降る軽井沢ロケ、今ならやれますね。たのしみです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016/01/02

『虹の歯ブラシ 上木らいち発散』 早坂吝

2016年本ミス11位。『○○○○○○○○殺人事件』で話題をさらった上木らいちシリーズ第2弾ですが、

またもやバカミスでした \(^o^)/

いいです、バカミスもまたミステリの醍醐味です。趣向としては虹色の援交ライフ、各色に仕掛けられた叙述トリック、さて貴方にとっての虹は何色?ということになるのですが、各色を構成する物語がね。「紫」「藍」までは普通の本格ミステリです。悪くないです。このレベルが7色揃ったら言うこと無しです。しかし「青」でいきなり頭を鈍器で殴られる思いをすることに。バカミス要素の半分は「青」にあると言っても過言ではない。残る「緑」「黄」は消化試合的な感じですが、「黄」は個人的に嫌いじゃない。そして意味不明な「橙」と問題の「赤」。

この「赤」で各色でばら撒いてきた伏線(ご丁寧に太字になってます)を回収しつつ、上木らいちの正体に迫るわけですが、個人的には良い意味での「お遊び」だと思ってますがどうでしょう。人によってはこの「赤」がこの作品の根幹だと思うのですが、趣向は理解しつつ私はそこまで感心できなかったのであくまでも「お遊び」として受け取りました。

途中でも書きましたが、「紫」「青」レベルのミステリを揃えてらいちの虹色生活を書いてくれた方が個人的には好みだったかな。「橙」と「赤」を書きかえるだけでまだその余地が残されているところが本作の底力かと。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016/01/01

『赤い博物館』 大山誠一郎

2016年本ミス6位、このミス19位の本作。警察庁管轄下で起こった事件の証拠品を保管する通称『赤い博物館』で、証拠品の整理をしつつ未解決事件を捜査するふたりの刑事の物語。

推理やトリックにやや強引なところが多いが、その大胆な発想転換が必要だからこそ未解決事件なのだと思えば納得できるか。いちばん綺麗にまとまっていた「死が共犯者を別つまで」か「炎」が個人的ベスト。どちらも発想の転換から事件の様相がぐるりと入れ変わる様が鮮やか。

反対に、あまり好きになれないのが「死に至る問い」。もちろん犯人の思惑は理解できる。どうしても○○○○○をしたかったという部分は。ただ、そのために人をひとり殺してしまう異常性とそもそも○が繋がってない=だから自分は○○しないという破綻した論理に気持ち悪さを感じる。

キャリアでありながら『赤い博物館』という閑職に8年間も甘んじている雪女にどんな過去があるのか。大山作品らしく明かされないままラストを迎えたので続編に期待したい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2015年12月 | トップページ | 2016年2月 »