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2015/12/25

『桜闇』 篠田真由美

鋭意再読中の建築探偵シリーズ初の短編集です。二重螺旋四部作を収録していることに触れるべきだと思うのですが、どうしても「君の名は空の色」についてから書きたい。

「君の名は空の色」は蒼と深春の出会いを描いた作品。『原罪の庭』で蒼として生きることを選んだ少年の前に現れたのは毛むくじゃらのまるで熊のような男。京介、神代の3人での生活に深春が加わっただけで、心を乱し、また殻の中に逆戻りしてしまった蒼。そんな蒼が初めて深春の名を呼んだときのエピソードがたまりません。

蒼がかわいくてかわいくて

抱き締めるように掴んだ腕、そこにどんな想いを込めたのかと思ったら泣けてきます。その直前の、まるで夜驚症のような症状の中で京介に感情と暴言をぶつける蒼でも泣いてしまうんですが、そちらはもうつらくてつらくて。蒼もそんなことを京介に言いたいわけではないだろうに、言わずにはおれないんだろうなあと思ったら。『原罪の庭』と合わせて読んでいただきたい作品です。

その他の収録作の中では「塔の中の姫君」が好きでしょうか。絶交宣言をしておきながらも京介の真意を知りあっさりと許してしまう深春の懐の深さと、絶交なんて大したことではないように振舞っておきながら気にし過ぎの京介と。建築探偵シリーズらしいやりとり。

ところで、表題作「桜闇」で京介の○○○を描く必要はあったんですかねえ?愛すること、その重要性を説くだけでは不足だったのでしょうか。解せぬ。

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