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2015/08/30

『ホリデー・イン』 坂木司

『ワーキング・ホリデー』 『ウインター・ホリデー』からスピンオフ作品集。ヤマトの前ではすっかり子どもになってしまう進を読むのが好きなので、ふたりがいっしょに登場しないのは少し物足りないけれど、やっぱり良いキャラそろってておもしろい。すば抜けてジャスミン。

個人的には進とジャスミンが店の前で出会うシーンの描写が好き。生意気な進の視点からも、やさしいジャスミンの視点からも。わかったようなことを言うジャスミンに反発したくて、それが最後の一押しになったんだとしたら。進はしっかり男の子ですとも。

雪夜も嫌いじゃない。でも、関わりたくはないタイプ。ちょっと遠くから…舞台の客席の位置から観ていたい。役者ですよね。そんな役者な雪夜が「ジャスミンの残像」のラストでジャスミンにかけた言葉はいい。

知らなかったのですが映画化されてるんですね。正直観たい。キャスティングはどうかと思うけど。脳内キャスティングと全然違う。脚の綺麗なゴリ。なにより雪夜の綾野剛はちょっと…(綾野剛嫌いじゃないです。試写会で『天空の蜂』観てきましたが綾野剛、最高でした。でも雪夜じゃない)

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2015/08/29

『PSYCHO-PASS サイコパス/ゼロ 名前のない怪物』 高羽彩

アニメ本編にて鍵となる事件にも関わらず、思わせぶりに触れられるだけで多くは語られなかった過去の物語。思った以上に作品としてまとまっている上に、伏線(なぜ狡噛がマキシマの名を知っているのか、写真を持っているのか等)もしっかり張られていてとても良かった。

佐々山という人物に関してはあまり好感を持てなかったし、本編で言われていたほど突飛な人物だとも思わなかったけれど、それは佐々山の内面も小説内で描かれていたからだろうか。ギノさんほどではないにしろ、狡噛ですらも執行官とうまくやれなかったなんて朱ちゃんはどれだけ異端で最強なのか。

個人的には佐々山の死体を発見して狡噛がどう反応し、どう絶望したのか。そこまで読ませて欲しかったかな。あとは藤間を密かに捕縛したあと、シビュラと藤間のやりとりとか。

とりあえず、サイコパスまた見たい。1期の前半が最高。

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2015/08/25

『人魚とミノタウロス』 氷川透

氷川透再読まつり開催中。

氷川透の高校時代の親友、生田瞬を訪ねた病院内で焼死体が発見された。死体が発見された面接室を使用していたのは生田だが、身元がわからない死体なら別人を疑わなければ本格じゃない。そんなメタな思想に隠して、親友の生存を信じて事件の謎を解くことにした氷川。そして、病院内で第2の事件が発生。果たしてふたつの事件に関係はあるのか?という1冊。

可能性を蓋然性で否定せずテーブルに残しておき、論理で木っ端微塵にしていく様は見事です。ただ、氷川の推理が見事なだけに、犯行が杜撰で偶然に頼り過ぎ、まさに小説的な出来過ぎな展開なのが気になります。受付の監視が厳しいという描写を何度も入れておきながら、肝心なところ(犯人の出入り)は見てないってどういうことなの。消毒アルコールをかけられ、火を付けられた○○が声を出せなかったのはまだしも、部屋を出て助けを求めなかったのは何故なの。そもそも、犯人の行動が素早過ぎる。1秒も無駄にできない…にも関わらずトイレには行く。本来ならば証拠が山ほど残りそうな事件に見えて仕様がないのです。

でも、論理は本当に見事。これだけは自信を持って言える。

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2015/08/20

『今出川ルヴォワール』 円居挽

権々会と達也の過去がメインのルヴォワールシリーズ第3弾。権々会は映像で魅たい。

個性的過ぎるキャラクタたちに好きと言う感情で順位を付けるなら論語≧落花>流>>>>撫子≧達也だと改めて気付いた本作。達也の過去、興味ないとは言わないけれど少しくどく感じてしまったのも事実。結局のところ、達也の(学園での)復讐は勘違いから生まれた不要なものだったということなのだけれど。これまでの記述からはそのように終わったとは読みとれないというか肩透かし。だからこその権々会、邪の音は七つだったと言われればそれまでですが。

あとは双鴉の計が読者には丸わかりだったのが少し残念だったか。章の名は天火だし、赤壁だし。読者と同じだけの情報を持って読み解けない撫子じゃないでしょう?

とりあえず、流にはうゆうさんが良かった。くそう。

ルヴォワールシリーズも次巻でラスト。7巻分の構想を詰め込んだ傑作との呼び声。とても楽しみです。

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2015/08/18

『最後から二番めの真実』 氷川透

氷川透の名を目にする機会があったので再読。12年ぶり。

後期クイーン問題に踏み込んだ意欲作として紹介するのが相応しいか。後期クイーン問題とは「作中で探偵が最終的に提示した解決が、本当に真の解決かどうか作中では証明できない」というこれまでこの本を読んできた時間はなんだったんじゃいという問題。メタ的に作者が「読者への挑戦」としてそれを保証することはできるけれど、その対象はあくまで読者であり、探偵に対して「すべての情報は出そろったよ。真相に到達できるからね」と教えてあげる術はないという問題。個人的にはそんなこと考えながらの読書は楽しいのだろうかという問題。

とりあえず、作中の氷川透が信じる解は正直あまり美しくない。バタバタしていて無理もある。他者の協力が必須な上、ひとりの人間を殺害するために関係ないふたりの人間まで…というのは全く理解できない。リスクがただただ増大している。けれど、この作品における真実の名探偵である氷川透の導き出した解が、この作品においては真実なのでしょう。例え『最後から二番めの真実』の方が美しくとも。

本格を書こうとした本格ですよね。大好きです。作者である氷川透がtwitterからも姿を消し、消息不明なのですがいま何をしているのでしょうか。新作読みたい。書きあげたはずの『インサイドアウト』はどうなったの。読みたい。

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2015/08/14

『ダンガンロンパ霧切3』 北山猛邦

世界観の説明が不要なので物語が実にスムーズ。でも、それがまた物足りなかったりもするシリーズ第3弾。

結の元に現れたトリプルゼロ。結と自分はよく似ているという彼が差し出したのは白と黒、ふたつの封筒。白は委員会への招待状、黒は委員会からの挑戦状。結が手にしたのはもちろん黒。そして始まった12の挑戦、12の密室。1週間以内にすべての挑戦を退ける為に仲間を増やすことにした結と霧切さんの元に行方不明のトリプルゼロ、御鏡霊の情報がもたらされて…?な1冊。

表紙から察することも可能かと思われますが(ネタバレします)

まさかの
ショタ

ですよ。嬉しい限りです。それでも充分
御鏡くんはぶっ飛んでいてトリプルゼロは伊達じゃないってところを魅せつけてくれますので安心してください。まあ、あくまでこれはダンガンロンパ霧切なので、霧切さんに全ての事件を解決して欲しかった気もしますが、まだ彼女はそのレベルではないのでしょう。もちろん、彼女の謎解きだって鮮やかなものでしたよ。

それにしてもこのシリーズ、風呂敷広げ過ぎじゃないですかね。いや、とても楽しませてもらっているのですが。北山作品ナンバー1のシリーズだと思ってますが。それでも、委員会が中学生の霧切さんに倒せる敵に思えないんだよなあ。ダブルゼロクラスの探偵をボスにした中小組織ってことにして、「ふふふ、委員会がやられたようだな。しかし、あいつはダブルゼロクラスの中でも最弱」みたいなことをトリプルゼロに言わせて幕を閉じるみたいな終わりで良かったのではないでしょうか。だって、霧切さんまだ中学生よ?

とりあえず第4弾が楽しみ。あと、ダンロン×佐藤友哉ってなんですか!?

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2015/08/13

『死神の浮力』 伊坂幸太郎

『死神の精度』の千葉が8年ぶりに帰ってきた。てっきり短編かと思ったらまさかの長編。千葉は相変わらず魅力的だけれど、彼の仕事ぶりを7日間追うのはさすがに長い。いや、きっと千葉なら読書とはそういうものだ、しっかり読めとかなんとか言いそうですが。

二十五人に一人の良心を持たない人間、サイコパスに愛娘を殺された山野辺夫妻が復讐を試みる7日間。山野辺夫妻が本気だってことはわかる。でも、どこかのほほんとしているように読めるのは千葉パワーなのか。というか、千葉がいなければ復讐のふの字すら果たせなかったように思えるのだけれど。

伏線の張り具合は10段階評価で5程度か。大きなものだと映画監督志望の彼とまんじゅうこわいとキャンペーンと。ただ、キャンペーン適用の結果が傑作なので6かも。本城が高裁で有罪になって20年後に刑が執行される…なんてありきたりな結末を思い描いていたので、あの終わり方は実に満足。

また千葉の仕事ぶりを読みたい。時代ものもいける。参勤交代の途中で籠の中の大名が「可」にされた場合、どんな死を迎えるのだろう。

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2015/08/09

『烏丸ルヴォワール』 円居挽

『丸太町ルヴォワール』に続くルヴォワールシリーズ第2弾。

前作でデビューした新人龍師3人(論語、達也、撫子)にそれぞれ花を持たせつつも、これは流の物語。双龍会はあっさり。山月の筋書き通り。それよりもなによりも、

うゆうと少女にやられた…!

第一章で予告なく現在と過去と倒錯すると知らしめてからの、うゆうと少女。まさかあの少女が○○○の○だなんて。ラスト、達也に連れられうゆうと再会した一連の流れでぶわーっと氷解。やられた。ついでに、達也の反応にもやられた。

とりあえず、うゆうと少女と達也の三角関係がキャラ読み的に気になるのと、達也の過去ね。税所先生ってば何者なのよ。

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2015/08/02

『禁断の魔術』 東野圭吾

ガリレオシリーズ第8弾。「猛射つ」が加筆され長編化と聞いて。

いつも書いているが、湯川の人間味が増している。ただし、本作に限って言えばその人間味が効果的に作用していたように思う。もちろん「猛射つ」のお話。ラスト、合図があれば湯川は発射したに違いないという意見に1票。確証のないことは言わないのなら、確証のあることは言うのでしょう。そして、自分の心(決意)に確証が持てなくてどうする。ただ、長編にする必要のある作品かなあ…とは思う。特に大きな驚きがある作品ではなく。加筆するとしたら登場人物の心模様でしょう。ガリレオにそういうものは求めてないのよねえ。

というわけで、「曲球る」なんて解決に科学も物理も関係ないどころか、不可解な事件は起こってなくて唖然。

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