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2015/03/30

『名探偵に薔薇を』 城平京

『虚構推理』『絶園のテンペスト』の城平京氏のデビュー作…なのでしょうか。初版が1998年、今まで読んでなかったのが残念に思えるほどおもしろかった。

二部構成ですが、第一部が素晴らしい。『メルヘン小人地獄』という猟奇的な童話をモチーフにした連続殺人事件に摩訶不思議な毒薬。少しも進展しない捜査と、対照的な名探偵登場からの疾走感。謎解きも実に論理的で、蓋を開けてしまえば実に簡単なことで、警察がどうしてその可能性に思い至らなかったのか不思議なくらいの見事な幕引きでした。

だからこそ、第二部のハードルを勝手に上げて上げて上げてしまったのが個人的な反省点。名探偵のパーソナルな部分に興味がない…とは言いません。むしろ好きです。キャラ読みもよくします。が、本作に限っては名探偵の過去を明かすタイミングが遅すぎて(唐突すぎて)感情移入するタイミングを失してしまったのがいけなかったのか。第二部の肝であるホワイダニットの部分をほとんど楽しめなかった。二転三転させてやろうというサービス精神は嬉しいのだけれど、ええ!?そうだったの??と思えるほど(探偵を含め)登場人物のことを理解できませんでした。

悪くはない、もちろん良作なのだけれど。第一部のテイストで最後までいって欲しかったという個人的願望でした。

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2015/03/26

『ダンガンロンパ霧切2』 北山猛邦

『ダンガンロンパ霧切1』シリーズ続編。前作を北山作品のベストかもしれないとほめちぎったわけですが、本作も実におもしろかった。

謎解き部分はまあいいとして(13億の謎じゃない。現金10億が足枷になっちゃってるのが残念)ダンガンロンパ×ライアーゲームを思わせる探偵オークションが良い。ここからネタバレしますが、敵対するふたつのグループ、その資金額がイコールになってからの駆け引き、全額投入して万事休すかと思いきやどこから出てきたその100万円という実によく練られたライアーゲームに天晴です。

個人的にはダブルゼロのクズっぷりがたまらない。探偵は別に正義でなくて良いんですよ。そんなのは幻想です。探偵の在り方は探偵の数だけある。そんな絶望的な世界で霧切響子がどう成長し、どう組織に迫っていくかが本シリーズの読みどころですよね。

飽きさせることなく読み続けた2時間。表にでてきた黒幕。これからの展開がたのしみです。

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2015/03/25

『双孔堂の殺人 Double Torus』 周木律

探偵役を務める十和田がいきなり犯行を自白して始まるシリーズ第2弾。十和田ならやってなくてもやったと言いそうなので(全ての不可能を消去して最後に残ったものが如何に奇妙なことであってもそれは真実なのでしょう)特に驚きはないのですが、代わりに捜査をしてくれた警視庁キャリアでシスコンの宮司さんは実にわかり易くたくさんのヒントを提示してくれるのでミステリ難易度がぐんぐん下がってます。

丁寧に差し込んでくれる見取り図からトリックを容易に想像できます。ああ、もう1フロアあるんだろうなあって。

囚われの身となった十和田が語る数学蘊蓄は本編(ミステリ)に関係あるようで関係ないので読み飛ばし可。むしろ推奨。もう少しレベルを落として数学を嗜んでいない者でも楽しめる、まさに蘊蓄レベルにできないものでしょうか。

それでもきちんと謎を解く=ミステリしているだけで最近のメフィスト作品の中では良作に思えるから不思議です。

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2015/03/17

『水底の棘 法医昆虫学捜査官』 川瀬七緒

法医昆虫学シリーズ第3弾。講談社のプレゼントでサイン本をいただきました。

派手さはないけれど、各キャラクタの個性を存分に活かしてコツコツ真相に辿り着く良作。(○○による)死体の損傷が激しく、被害者の身元すら判明しない=捜査が進展しない中、文字通り虫の知らせで殺害現場を見つけ出し事件解決した赤堀は見事。

そんな赤堀ですが今回は悩んでましたね。取っ掛かりを見つけてからはいつもの猪突猛進でしたが。やっぱり腕を腫れ上がらせる赤堀が好きです。無謀ですけど。

シリーズ第4弾がいまからたのしみ。本シリーズ良いです。もっと知られて良い。ドラマ化は…虫がねえ。

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2015/03/14

『ローウェル骨董店の事件簿 センチメンタル・ジュエリーの謎』 椹野道流

『ローウェル骨董店の事件簿』シリーズ第2弾。前作同様、まったく骨董店の事件簿ではないけれど、キャラクタ紹介にページを割かなくて良い分、ミステリ要素濃いめです。

デューイの元にセンチメンタル・ジュエリーを持ちこんだ男の死から始まる本作。今回もデリックがいい働きしましたが、検死官としてではなく名探偵っぽく推理してました。検死シーンも好きなのですこし残念ですが、デリックの発見やエミールの頑張りで謎がひとつひとつ解れていく様は丁寧で良かったです。

デリック中心のキャラ読みだと、今回はデューイとケイが中心で少し物足りない感じ。某女優さんとのやりとりはなかなか良かったけれど。親友になったというふたりですが、やっぱり色恋方向に振れてみませんか?

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2015/03/11

『フライプレイ! 監棺館殺人事件』 霞流一

第15回本格ミステリ大賞の候補作に選ばれた本作。さっそく読んでみましたが、

まったくおもしろさを感じられなかった…

登場人物たちの狙いは理解できます。真相は「そんな伏線あったか?」って感じでぽかーんでしたけど、まだ許容範囲です。それよりも、

登場人物たちのやりとりが上滑りしていてとにかくおもしろくない

はっきり言って無駄。もちろん、バックグラウンドを会話で説明しているんだというのはわかります。その、必要な会話を残すとしても7割くらいはカットできると思うんですよね。本作がまさしく「本格」で、謎を解くことに特化した文章だったなら絶賛していたかもしれない。それくらい読んでいて無駄な会話が多い。苦痛。

とりあえず、地の文に嘘はないんですかね。認識していなかった事実云々じゃなくて明らかな嘘。あるような気がしますが調べる気にもなれません。

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2015/03/01

『啄木鳥探偵處』 伊井圭

探偵・石川啄木、助手・金田一京助という設定に惹かれて読んでみたのだけれど、このふたりである必要性がどこにもなく設定を活かしきれていない。むしろ京助のように啄木の才能に惚れているわけではない私のような読者にとっては啄木のクズっぷりが気に障る。

ミステリとしても抜きんでて優れているものはなし。敢えてあげるなら「逢魔が刻」がベストか。

ラスト「魔窟の女」に登場した少年も、にやりとはしたけれど単なるボーナストラック。やっぱり必要性がないんだよなあ。

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