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2015/01/31

『検察側の罪人』 雫井脩介

おもしろい、が、有り得ない。有り得ないことで有って欲しいと思う一冊。読了感は悪くないが重い。思えば雫井氏の作品はいつもこうだ。

時効となったすべての契機、過去の事件が検事に落とした影はこれまでの人生すべてを棒に振れるほどのものだったのか。一線を越える、その背中を押す出来事はもちろん有ったけれど、だからと言ってあれだけのことができるとは思えない。その想いの強さがわからない。

作品のキーワードでもある「正義」。自らの行いを正義だと居直ってくれれば良かった。けれど検事は自らの行為を正義だと思い込もうとしていたに過ぎない。

なんだかよくわからないけれど、誰も報われないし救われない作品だった。おもしろかった。

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2015/01/22

『風ヶ丘五十円玉祭りの謎』 青崎有吾

『体育館の殺人』 『水族館の殺人』に続く館シリーズ第3弾にして日常の謎もの。どれもまとまっていて良し。

個人的には「針宮理恵子のサードインパクト」が楽しめたのだけれど、『体育館の殺人』のネタをいくつか割っているのは良いのだろうか?おそろしく綺麗になった釘宮さんを見てみたい。

表題作「風ヶ丘五十円玉祭りの謎」は『五十円玉二十枚の謎』に裏染が挑んだのかと期待しましたが全く別の物語でございました。本作とは関係ありませんが、いつか『五十円玉二十枚の謎』の納得のいく解決を読みたい。あのアンソロ大好きですが、やはり無理のある回答が多くてもやもやが残っているのです。

そうそう、「その花瓶にご注意を」と「おまけ」で魅せてくれた裏染ファミリーですが一体なにものなのでしょうか。父親譲りで母親は普通であって欲しいものだけれど。あと、けいおんですよね。ごはんはおかず。

「もう一色選べる丼」は太鼓の音なしでは読めません。

次回作、『図書館の殺人』にも期待。

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2015/01/17

『シュークリーム・パニック Wクリーム』 倉知淳

『シュークリーム・パニック 生チョコレート』の姉妹編。ようやくタイトルのシュークリームにまつわる話が収録されましたが、ミステリとしてもギャグとしてもくだらn…残念な一冊。

「名探偵南郷九条の失策 怪盗ジャスティスからの予告状」もネタの何番煎じかなんて関係なく、伏線の張られ方(描写、文章)がわかり易すぎて。明らかに一人称の視点で書かれてるじゃないですか。もう少し(もちろんアンフェアにならずに)三人称っぽい文章にしてくれたら。倉知氏ならそれができると思っていただけに少しショックでした。

とりあえず、分冊にして出す必要性はあったのでしょうか?

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2015/01/08

『シュークリーム・パニック 生チョコレート』 倉知淳

なぜこの表紙だったのか。というか、シュークリームがパニックするようなお話はひとつもなかったわけですが、姉妹編を読めば氷解するのでしょうか。しないような気がします。

収録されている作品は3編。どれもこれも普通、半年後に内容話してみろって言われても話せないような気がします。敢えて挙げるなら「現金強奪作戦!(但し現地集合)」が好み。「強運の男」は本当にただの強運の男だったのが残念。そこにいかさまがあって、男がどんな目的でこのゲーム(いかさま)を仕掛けてきているのかを探る方が絶対に面白かったと思う。

「夏の終わりと僕らの影と」は9割青春小説で読むのがとてもつらかったです。

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2015/01/02

『微笑む人』 貫井徳郎

帯の「ぼくのミステリーの最高到達点です」はかなり言い過ぎだと思った本作。『慟哭』超えは難しい。

小説家の「私」が驚愕の理由で妻子を殺害した男の人間性、過去に迫っていく作品。その動機は読書スキーの私でもわかるようで絶対にわからない。だからその男のことをもっと知りたくなるわけですが…。

ラストまでは圧巻のおもしろさです。予定調和かもしれない。それでもグイグイと読者を物語に引き込んでいく筆力、さすが貫井徳郎です。でも、

ものすごくモヤモヤするラスト

これはいけません。貫井氏がこの作品をどう落としたかったのかは充分過ぎるほどに伝わってきます。伝わってきますが、ではここまで読んできたこれは何だったのか?物語ではないのか?と問わずにはおれません。

ラスト直前で示された「すごくわかりやすいストーリー」。実にわかりやすくて府に落ちました。そこからのカスミの言葉。その意味はわかります。わかった上でここまで読んできたことを馬鹿にされたような印象を受けました。これが「ぼくのミステリーの最高到達点」

とてもモヤモヤします。

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