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2014/10/31

『人形はなぜ殺される』 高木彬光 


名作の呼び声高い本作、なぜか未読だったので電子書籍で読んでみました。実を言えば電子書籍は初めて。読書は紙でするものだという信念(?)は捨てるつもりはないのですが、いつでもどこでも、電気を消した布団のなかでも読めるという優位性は悪くないと思いました。本作のような古い(あるいは入手困難な)作品を電子書籍で読むのは有りでしょうか。

さて、本作はタイトル通り「人形がなぜ殺されたのか」が焦点であり、それが顕著に現れるのは第二章の殺人なわけですが、私、今回は第一章で犯人もトリックも完璧に解いてしまったので鍵となる第二章で犯人がとる行動が胡散臭くてたまらない。解けて嬉しいはずがこれはこれで嬉しくないというミステリ読みのジレンマ。

実際、ミステリを読み慣れている人ほど(意外な犯人が好きな人ほど)容易に犯人&トリックに気付けるだろう一冊。というか、この作品があって、後発の作品に触れて来たからこそ気付けただろう一冊。やはり名作、功績は偉大です。

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2014/10/27

『伊藤博文邸の怪事件』 岡田秀文

タイトルの通り、伊藤博文邸で起こる怪事件(殺人事件)について記した一冊。岡田秀文氏の作品を読むのはこれが初めてですが、作品ラインナップを見るに戦国を中心とした時代モノ作家さんなのでしょうか。明治でミステリとは異色。史実をフィクションに絡める手法に期待していたのですが。

うーん、終始盛り上がりに欠ける作品だったように思います。連続殺人事件に(明らかに)怪しい登場人物、伊藤博文の登場にめまぐるしく披露される推理…と要素たっぷりなのに何故か地味。文調でしょうか。

用いられたトリックも私が大好きなアレだったのにも関わらず、魅せ方というか解き明かし方というか、とにかく衝撃が欲しかったのにさらーっと進行してしまった印象。もったいない。

それにしても、このトリックはシリーズ1作目で使われるのが定石なのでしょうか?森博嗣の○シリーズ1作目もこれでしたよね?個人的にはシリーズキャラクタにも慣れてきて変化が欲しい3作目が相応しいような気がするんですが、それだとアンフェアが過ぎるのでしょうか。どうかな。

とりあえず、シリーズ2作目の『黒龍荘の惨劇』の方が好評っぽいのでそちらも読んでみたいものです。

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2014/10/22

『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』 太田紫織

舞台が北海道(旭川)だと書店で紹介されていたので読んでみた1冊。

骨が大好きな櫻子さん。法医学的な手法で謎を解くのかと思いきや、アプローチはベーシック。骨でしか知り得ない情報から手掛かりを得…みたいな展開を勝手に想像していただけに拍子抜け。

っていうか、法医学者でもなんでもないただの骨好き櫻子さんですが、果たして何者なのか。櫻子さん自身の秘密を解き明かすのは続刊で…というか、失踪するっぽいことが書かれてましたがどうなってしまうのか。そもそも、櫻子さんと僕が知り合った経緯(事件)はいつ描かれるのか。

さらっと読めるので大作の後、気分を変えたいときなんかに少しずつ読み進めるのが良いかもしれない。旭川情報とか方言解説とか、ちょっとした小ネタも道民だから楽しめる。とりあえず最強方言「押ささる」がいつか出て来てくれることを願う。

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2014/10/12

『残り全部バケーション』 伊坂幸太郎


相手が泣きそうな顔になる仕事をしている溝口と岡田をめぐる5つの物語。実に伊坂らしい1冊なのだけれど、溝口&岡田以外の部分がおざなりになってしまっているのが残念。できることなら全部書き切って欲しかった。

第一章「残り全部バケーション」の解散家族とか実に魅力的じゃないですか。あのあと仁徳さんにどんな復讐をしたのかとか知りたいじゃないですか。第三章の「検問」だって果たして3人が導き出した答えが正解だったのか知りたいじゃないですか。というか、かなり無理のある設定なので納得のいく答えが欲しいじゃないですか。

その点、第二章の「タキオン作戦」は完璧でしたね。ああいうの大好きです。

でも、「飛べても8分」ラストを曖昧にしたのは良かったですね。書き切って欲しい気持ちはわかる。ただ、あれはもう間違いなく岡田からの返信でしょう。きっと「了解です。では、車で迎えに行くので~」って書かれているのでそう。でも、岡田が乗ってるのってバイクなのか…?だって、先生のところにきているフルフェイスの見舞客って岡田でしょう?

そうすると、先生って誰?って話になるんですけれど。仁徳さん?

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2014/10/05

『眼球堂の殺人 The Book』 周木律 

第47回メフィスト賞受賞作。ええ、とてもメフィスト賞らしい作品でございました。とりあえず、

『笑わない数学者』を彷彿とさせる…

とか書いてしまうと怒られるかな。でも、森博嗣推薦の1冊だから大丈夫だろうか。

天才建築家・驫木煬が巨額の私財をなげうって建築した眼球堂。そこに招待された物理、精神医学、芸術、政治そして数学の天才たち。「建築学こそあらゆる科学の頂点に立つものであり、すべての世界は建築学にかしずく」と主張する驫木であったが、翌日、その驫木の死体がポールに串刺しになった状態で発見される。次々と殺される天才たち。果たして犯人は誰なのか。そのトリックは?

というお話ですが、トリックは極めて容易です。そして、トリックがわかってしまうと芋づる式に犯人もわかってしまいます。動機に関しては理解する必要もないかと…っていうか、作中で提示されてました。というわけでメフィストらしさは充分ですが、ミステリとしては物足りない一作。

ただ、エピローグで見せてくれた趣向が大好きなので全体的な評価は「良」になるかな。『眼球堂の殺人事件』が終わったときに解決されずに残っていたクエスチョン(伏線)も綺麗に回収してくれて満足。そして、シリーズ続刊でふたりはどう描かれているのかが気になるところ。何もなかったようにふたりいっしょに登場してくれると嬉しいのだけれど、そうもいかないでしょうか。

犀川先生と四季はどうしたっけ?と思い返してみて…ああネタバレだわ。

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