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2014/03/26

『竜の雨降る探偵社』 三木笙子

昭和30年代の新宿、珈琲店の2階で雨天のみ営業と噂の探偵社。住まいを追われ、探偵となった元神主と追い立てたその友人とが織りなす雨の物語。

ミステリとしての難易度は低め。普通に読めばわかる。それよりも、湖から追い出した…だけでは済まなさそうな櫂と慎吾の関係ですよ。というか、

まさかの櫂の正体

いきなりのファンタジーなわけですが、文章が綺麗で透き通っているので案外すーっと受け入れられます。ああ、そういうこともあるかもしれないな…みたいな。おそるまじ文章の力。

そうそう、「好条件の求人」は作者他シリーズとリンクしているみたいですね。そちらも読んでみたいものです。

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2014/03/22

『トラップ・ハウス』 石持浅海

トラップだらけのトレイラーハウスの中で、9人の大学生がwhy?とwho?に挑むという石持氏お得意の閉鎖空間もの。

「なぜ自分たちは閉じ込められたのか」という、自分に向けられた悪意の存在を確認していく設定は大好物です。仕掛けられた目覚まし時計のアラームと短いメッセージ、そこから犯人の真意を読み説いていくとか最高…なんですが、石持作品において最早お約束になってしまった論理の飛躍と強引さは尚も健在。ふたつめのメッセージからの推論が最も乱暴だったかな。

そして、これもいつものことですが、全く共感できない動機。ワザと…なんですかね?石持氏のインタビューとか読んだことないのですが、どこかでこの件について語ってたりしませんかね?ご存知の方がいらっしゃいましたら一報ください。

そうそう、ラストでいきなり推理ゲームがデスゲームになってしまったのも残念。もっと知的に終わらせて欲しかったものです。



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2014/03/19

『Mystery Seller』


とっておきの謎、売ります。
がコンセプトのALL書き下ろしアンソロジー。

個人的には有栖川の「四分間では短すぎる」がベスト。某古典名作の本歌取り、もう単純に「うまいなあ、さすが有栖川だなあ」という感嘆ですよ。そして、作家アリスと火村がやっても成立しそうなお話だけれど、学生アリスたちが年代ものの下宿で膝を突き合わせてやるからこその味がある作品だなとも思ったり。

米澤穂信の「柘榴」も好き好き。ただ、ミステリでは無いような気がするのだけれど…このアンソロ、他にもミステリ?と首を傾げたくなる作品があるのだけれど(島田荘司とか島田荘司とか)ミステリをどう定義しているのだろうか。どこかに提示してくれればより親切なのに。

麻耶の「無くした御守」は素なのか素じゃないのかとても気になりますが、そこを投げっぱなしにしてこその麻耶だなあ、と。

そして何より、作家ごとの著作リストがもう親切でたまらない。このリストだけでも価値のある、そんな一冊かと。

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2014/03/14

『ここに死体を捨てないでください!』 東川篤哉

読み飛ばしていた烏賊川市シリーズ第5弾をようやく。

先日までやっていたドラマ「私の嫌いな探偵」、今季一番じゃないかってくらい良かったですね!ゴーリキー演じる管理人さんがガチミステリヲタで、あることないこと妄想してむちゃくちゃな推理を展開する様がミステリスキーあるあるでたまりませんでした。他の東川作品をいじってみたり、紅葉&船越が出てみたり、鵜飼さんが格好良すぎたり…突っ込みどころ満載で早くもシリーズ化して欲しいと思えるほどの良ドラマでした。

そんなわけで、映画化するなら本作が良いかもしれない『ここに死体を捨てないでください!』ですが、とりあえず香織&鉄男の馬鹿っぷりが酷い()死体運搬に関するあれこれがとにかく有り得ないわけですが…なぜか許せてしまうのがこの烏賊川市シリーズの恐ろしいところ。許せるどころかちょっと愛らしいとさえ思ってしまったわい。

ミステリ的には「最初の夜、轟音が響き渡った筈では?」から「いくらなんでも跡が残るに決まっているだろう」まで突っ込みどころ満載ですが、それでもなんとか成立している…のか?このゆるさも烏賊川市シリーズってことで、ひとつ。

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2014/03/07

『犯罪小説家』 雫井脩介

『犯人に告ぐ』が良かったので続けて読んでみた雫井作品。

日本クライム大賞を受賞した待居涼司の出世作「凍て鶴」に持ち上がった映画化話。監督に抜擢された小野川は奇才の評判を欲しいままにし、「凍て鶴」にも独自の解釈を持ちこもうとする。かつて世間を騒がせた自殺系サイト「落花の会」についてフリージャーナリストを唆して調べる小野川の真意はどこに?そして、「落花の会」の関係者ではないかと疑われた原作者の待居は本当に元幹部なのか?それとも、異様なまでに「落花の会」に固執する小野川が実は…?というお話。

正直、待居と小野川、どちらが「落花の会」幹部なのかは冷静に考えればわかります。なので、問題はwho?ではなくwhy?だと思うのです。なぜ今になって「落花の会」について調べ回るのか、あるいは、調べ回ることを許すのか。この解がなかなか良かった。少なくとも私はすんなりと府に落ちました。とにかく小野川にイライラさせられる前半、そして、意図的に狙った「全篇に充ちた不穏な空気」(帯より)に結構しんどい読書になりましたが、ラストの○○が真相を知り取り乱したその感情、表情がありありと伝わってきて、一転、良い読書に。

個人的にはラストのラスト、映画館での一幕は蛇足かなあと思ったのですが、どうだろう。あれがないと犯人が野放しになるってことでミステリじゃない…いや、そもそも本作はミステリではなく犯罪小説なのか。さて、どうでしょう?

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2014/03/01

『エコール・ド・パリ殺人事件』 深水黎一郎

芸術ミステリシリーズ第一弾。『ジークフリートの剣』の先読した際に探偵役を果たす瞬一郎のキャラクタが掴めず(というか、探偵役だと思わず)突然の登場に唖然としたわけですが、なるほど天才キャラだったのか大好物です。

本作で描かれているのはエコール・ド・パリと密室。しかも「読者への挑戦状」付きという本気さ。「読者への挑戦状」との出会いはいつだって気分を昂ぶらせますね。

エコール・ド・パリに関する蘊蓄はあっさりとしていて読み易い。しかも、蘊蓄の垂れ流しではなく事件を解き明かす鍵としてしっかり機能するのだから驚き。いや、それが当たり前なんですけど、そうじゃない(なくなっていった)某シリーズがね、あるんですよ()

我儘を言えば、作中に登場した絵画をカラーで添えて欲しかったかな。文字だけではイメージしずらい…というか、想像できてしまったら絵画の面目丸潰れですよ。エコール・ド・パリがどんな作風の一派なのか一言で語ることができないのならば尚更、コレクション・ダカツキの作品だけでも写真を挟んで欲しかったものです。

芸術ミステリシリーズは第二弾『トスカの接吻』の評判も高いので楽しみ。瞬一郎の厭味のない天才っぷりも好感が持てるし…『ウルチモ・トルッコ 犯人はあなただ!』からは想像もできなかった、当たりシリーズかもしれない。

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