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2014/02/26

『さよならの次にくる 新学期編』 似鳥鶏


『さよならの次にくる 卒業式編』
に続く、事実上下巻。卒業式編は正直微妙だったのだが、

下巻でここまで巻き返してくる作品は初めてってくらい良かった

ちょっと感動するくらい綺麗に伏線回収、まとめてくれてます。卒業式編のレビューで「果たして浦和くんが今後どう絡んでくるのかに期待」なんて書きましたが、一作だけ明らかに毛色の違った浦和くんの件、あの伏線が回収されたときには「ほおお」と声が出ました。これと子守唄の件は本当に素晴らしかった。

新学期編に収録されている作品を個別にみても、卒業式編よりレベルが上がっていて単独でも楽しめるつくり。「ミッションS」の演劇部による寸劇もなかなか…っていうか、演劇部が活躍し過ぎである。柳瀬先輩、ファイト。まあ、それでもやっぱり今は伏線の回収っぷりにとにかく感動なのだけれど。そして、

卒業式編に収録されている断章1、

全てを知った上であれを読むともう!!なんという気障!気障!!

伊神さんにこれからも付いていきたいと思う所存。

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2014/02/25

『さよならの次にくる 卒業式編』 似鳥鶏

『理由あって冬に出る』に続く葉山シリーズなのか伊神シリーズなのか、とにかく第2弾。

収録されているのは4つの短編と思わせぶりな断章。短編自体はどれも小粒で、正直、印象に残っているものはなし。かろうじて「猫に与えるべからず」に趣向としてのおもしろさがあるが、僕の存在に気が付かない読者はいないと思うので、果たして浦和くんが今後どう絡んでくるのかに期待。ただ、もっと本気で騙そうと思ったら騙せたんじゃないかと思うので、残念にも思う。

さて、名探偵とのさよならの次にくるものは何なのか。伊神さんのポジションを葉山くんが乗っ取ることはできるのか。そして、柳瀬さんとの関係は?『新学期編』が楽しみでございます。

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2014/02/23

『ブルータスの心臓』 東野圭吾

1989年刊行の東野圭吾初期作品。

利害の一致した三人による、大阪→名古屋→東京の死体リレーが行われるはずだった夜。彼らの前に現れたのは共犯者Aの死体だった。果たして、Aを殺害した姿見えぬDとは何者なのか?なフーダニットもの。

とりあえず、タイトルの取って付けた感が半端ない。副題の「完全犯罪殺人リレー」が的確ですが、こちらはダサい。

フーダニットとしてはミスリードのために登場した仁科一家(専務と婿)が怪しすぎてミスリードとしての役割を果たせていないのが微妙。そして、本格ミステリとして書かれている割に真犯人Dに辿り着くまでのヒント(情報)が揃っていないのは残念かな。けれど、とてもよく練られた作品で、初期東野作品らしい一作。

それにしても2011年にドラマ化していたんですね。主演・藤原竜也…これはちょっと観てみたい。

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2014/02/20

『犯人に告ぐ』 雫井脩介

 

男児連続殺害事件。解決の糸口を見つけられないまま最初の事件から一年が経とうとしたそのとき、取り入れられた新たな捜査方法…それはマスコミを使った劇場型捜査。担当捜査員がニュース番組に出演し、直に犯人に語りかける。果たしてヤングマンはどんなメッセージを犯人に告げるのか。横山秀夫に福井晴敏、伊坂幸太郎までもが絶賛した警察小説の金字塔。

なのですが、劇場型捜査という言葉からイメージするセンセーショナルさは殆どありません。いや、どんどん失われていくと言った方が正しいでしょうか。二章くらいまでのスピード感には痺れましたが、捜査が停滞する過程で作品そのものも停滞してしまった模様。そもそも、男児連続殺害事件の捜査よりも警察内部のスパイを罠にかける方にページが割かれているような気がしないでもない。

どんでん返しも特になく。本格ミステリ脳の私は「犯人は作品の冒頭から登場していなくてはならない」と勝手に思いこんでいて、まさかあのローラー作戦で本当に犯人を引っ掛けるつもりだとは思ってもいませんでした。というか、決め手がほぼベージュのみ、結構危ない橋でしたね。

最後まで派手さを持ってグイグイと引っ張ってくれていたら「名作!」とスタオベしたくなるような作品になっただろうに…というのが率直な感想。誘拐事件の犯人もね、きっと自殺した彼なのでしょうが、違うかもしれないというのはなんともモヤモヤが残ります。

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2014/02/17

『ヒア・カムズ・ザ・サン』 有川浩

物に宿った想いを視ることのできる男、そんな大まかなあらすじ一つから生まれたふたつの物語。

個人的にはParallelの方が好きかな。父親の痛々しさが刺さる刺さる。昨日読んだばかりの『三匹のおっさん ふたたび』ではリアルすぎてちょっと…みたいなことを書きましたが、それは求めているものが違うってだけで、痛々しいものを痛々しく、ままならないものをままならないまま、正面から相手取る有川作品の男らしさが好きです。

それにしても真也のこの能力でもう少し作品が書けそうですよね。シリーズ化に期待。

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2014/02/16

『三匹のおっさん ふたたび』 有川浩

ドラマ観てます。ノリのキャスティングした人はわかってます、最高です。

そんな『三匹のおっさん ふたたび』は前作に比べると痛快さに欠けるというか、もやもやが残るというか、正直期待したものと違います。

増しているリアリティの所為だと思うのですが。対岸の火事じゃない、いつ我が身に降りかかって来てもおかしくない(ご近所)トラブル…なんだけれど、私がこのシリーズに求めているのはそこじゃなくて、やっぱり爽快・痛快な勧善懲悪なんですよね。

物語の中でくらいスカッとしたい、させて欲しい。そんな願いを込めつつ『三匹のおっさん 三たび(?)』があることを期待します。

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2014/02/15

『夜の国のクーパー』 伊坂幸太郎

いつおもしろくなるのだろう…と我慢して読み続けていたら、ついには終わってしまった。『オーデュボンの祈り』に雰囲気は似ている(こちらは猫が喋るのだけれど)が、伏線が回収…どころか張られることもなく、ただただ平坦に進む物語に欠伸が。

クーパーなどいないこと、あるいは、「私」とトムでは世界のスケールが異なることが吃驚ポイントなのかもしれないが、正直「で?」という感じ。伊坂がこの物語を通してなにを伝えたいのか、全く伝わって来なかった。もし伝えたいことなどないのだとしても、物語(ファンタジー)としての魅力も薄く、やはり楽しめなかった残念な一冊。

せめて伊坂流のエスプリが利いていれば。最近の伊坂作品はどうにも物足りない。

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2014/02/12

『六枚のとんかつ』 蘇部健一

ああ、くだらない。

この感想こそが本作に向けた最高の褒め言葉だと思う。そんなバカミス界のエースにして第3回メフィスト賞受賞作。

16のゆるーーーーーーーーーーーいショートミステリが集まった本作。保険調査員である小野由一が保険金を払わなくて済むように…もとい、保険金を払うにはちょっとすっきりしないのでその前に謎を解いておこうという体ですが、どれもこれもくだらない(笑)

個人的には「しおかぜ⑰号四十九分の壁」が好きです。ご丁寧に時刻表とか付いてますね、あらあら芸が細かいこと。

決して真剣に読んではいけない、真剣に読めば読むほど莫迦を見る、とにかくゆるーーーーーーい気持ちで、出来ることなら、ある程度歳をとってから読んだ方が良い一作。

とりあえず、『占星術殺人事件』は偉大です。

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2014/02/09

『プラチナデータ』 東野圭吾

もちろん映画は観ていませんが、和製「マイノリティ・レポート」だと聞いて興味は覚えておりました…が、観なくて良いかも。

国民の遺伝子情報から犯人を特定するDNA捜査システム。その管理者であり、システムに絶対的な信頼を寄せていた神楽龍平はある日、システムがはじき出した結論に唖然とすることになる。記憶のない殺人、けれど、本当に自分の「身体」は人を殺めていないと断言できるだろうか?真実を突きとめるために、神楽は「モーグル」というプログラムを求めて逃走を始める。

というお話ですが、まあ薄っぺらいです。DNA捜査システムという設定は悪くない、というかむちゃくちゃ好みです。けれど活かし切れていない印象。システムに隠された秘密=プラチナデータもね、特に驚くような秘密ではなく、「でしょうね」と言った程度。逆に、警察内部にそのくらいのこと考えつく奴はいなかったのか!と憤りたい気分。

二重人格については百歩譲ってまあ良いとして、スズランについては必要だったのか?と首を傾げたくなるレベル。せめてもうひと捻り、神楽の前に現れたスズランが実在していたくらいのどんでん返しは欲しかった。どれもこれも深読みする必要なし、第一候補から物語に当てはめていけば満点で正解できるレベルなのがとにかく残念。神楽を助けてくれた自給自足のおじさんたちとか、もっと絡めたらもっとおもしろくできそうな要素、結構あったと思うんだけど。

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2014/02/07

『ブレイズメス1990』 海堂尊

個人的に海堂作品のベストだと思っている『ブラックペアン1988』の続編、世良を中心に若かりし東城大を描いたシリーズ第2弾です。

今回、世良に与えられたミッションはモナコの地よりモンテカルロ・エトワール、天才外科医・天城雪彦を連れて帰ること。そして、世良によって桜宮に導かれし天城に与えられたミッションはこの地に心臓手術専門病院であるスリジエ・ハートセンターを設立すること。けれど、新施設設立の前には様々な問題(主に費用)が立ちはだかっており、天城はその問題をクリアにするために日本で初となる公開手術に踏み切ることを決める…なんてお話。

とにかく『極北クレイマー』ラストで極北の地に現れた世良の姿と本作の天城の姿が被る被る。世良の人格形成にめちゃくちゃ影響を与えたんだなあ…と思いますが、本作のラストがとにかく思わせぶりなのはどうしてでしょう。続編である『スリジエセンター1991』が気になって気になって仕方がないじゃない。

そして、小天狗こと我らが高階病院長(現職)が大人し過ぎるのでは?もっと減らず口…もとい、クイーンとしてナイトと激しいバトルを繰り広げて欲しかったかったです。これも『スリジエセンター1991』に期待…しても良いですよね?

理由はわかっているのだけれど、いま無性に『チーム・バチスタの栄光』を再読したいです。

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2014/02/04

『殺意の集う夜』 西澤保彦

ノベルス版帯裏によると東野圭吾さんの『鳥人計画』を読んで以来、自分も一度はこの「事件の犯人自身が推理する」という趣向を試みてみたいと思っておりましたとのことで、6つの命を奪った大学生の独白から始まる物語。合間にもうひとつの殺人舞台を挟みつつ、その日、その嵐の山荘でなにが起こったのかを描いているわけですが、

もちろんやられました\(^o^)/

まさか「事件の犯人自身が推理する」という言葉が最大にして究極のネタバレだとは…というわけで、ここからのレビューもネタバレですが、作中で語られるふたつの事件(園子が部屋で殺されていた事件とホステスの智恵が殺された事件)それぞれの語り部(探偵役)がもう片方の事件の犯人という趣向です。つまり、万里は前夜にもうひとつ殺人を犯していた…え?それっておかしくない?だって万里は女子大生だったはずじゃ?

ってことで、叙述トリックも仕掛けられてますよ

一人称作品は叙述トリックを疑えってのは定石ですが、西澤作品は一人称作品多いしなあ…と言い訳してみる。言われてみれば万里ちゃんが長身だったり(刑事の七座より背が高い)「変態ヤロー」と声を掛けられたりしてますが…やっぱり万里ちゃんサイドの物語だけで気付くのはちょっと無理かな。だって万里ちゃんが完全に乙女なんですもの。

とにかく昔の作品らしくサービス旺盛な一作。なにせバカミス要素まであるのよ。なぜ彼らがあの日、あの別荘に集まることになったのか…そんな馬鹿なと言わざるを得ないでしょう。

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2014/02/02

『県庁おもてなし課』 有川浩

もちろん映画は観ていませんが、高知を堪能するのなら映画より実地で!とおもてなし課のふたりなら言ってくれるのではないかと思う『県庁おもてなし課』。かなりのボリュームですがあっという間に読了。

有川作品の中でも恋愛成分薄め、あくまでもおもてなし課の思考錯誤がメイン。サクセスストーリーと書かなかったのは、彼らのおもてなしはまだまだ始まったばかりだから。東京オリンピック誘致ですっかり有名になった「お・も・て・な・し」のフレーズですが、「おもてなしマインド」って素敵ですね。友人を自宅に呼ぶとき、掃除をしたり美味しいものを用意したり…そんな気持ちを思い出して、裏返して、自分がその「おもてなしマインド」を受け取ったら嬉しいなあと思ったところで、おもてなし課のふたりにまんまと嵌められているなあと思いました。

高知に行く機会があるかどうかは微妙ですが、もしその機会があれば絶対にパラグライダーはやります。あのシーン、掛水くんが見た景色が思い浮かぶようでしたが…思い浮かんだその景色より、実物はもっともっと素敵なのでしょう。やりたい。心が弾みます。

うん、すっかりおもてなしされてしまったようです。

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2014/02/01

『パダム・パダム Eの悲劇'80』 古野まほろ

『命に三つの鐘が鳴る』に続く悲劇シリーズ二条サイド、第二幕。うん、今回も良かった。悲劇シリーズに今のところ外れなし。

跳梁跋扈するシリアルキラー「眼喰鬼(アイ・イーター)」を逮捕すべく、警察署長として京都に赴任することとなった二条実房。着任早々、身内である警察官が四人目の犠牲者となり果て、面目を潰される形となった二条であるが、直ぐさま英国仕込みの臨床捜査心理学を駆使して眼喰鬼に迫る。果たして眼喰鬼の意外な正体とは?みたいなお話。

正直、最初の70ページ、京都に入城するまではツライ。古野ワールドにおける警察組織の在り方やルールを説明してくれているのだけれど…目がすべるすべる。けれど、ここをしっかり読めるかどうかが後の推理に納得出来るか否かの境目なので是非とも頑張っていただきたいところ。そして、京都に入ってからの加速感がたまらない。眼喰鬼の捕縛まであっという間でございました。

ところで、被害者の名付けについては先方に許可を取っているのでしょうか?にやにやが止まらない。

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