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2014/01/29

『贖罪の奏鳴曲』 中山七里

『さよならドビュッシー』でおなじみ、岬洋介のパパが拝めると聞いて手に取った本作。なんと、岬パパが登場するのは続編の『追憶の夜想曲』の方でした\(^o^)/ でも、良いの。充分に楽しませてもらったから!

少年期に殺人を犯し、<死体配達人>とまで呼ばれた弁護士・御子柴礼司。ある雨の夜、御子柴は新たな死体をひとつ川に投げ捨てる。しかし、その死体の死亡推定時刻に御子柴は東京地裁で法廷に立っていたのだ。確固たるアリバイ、そして新たなる裁判、果たして事件の真相は?的なお話。最初100頁分くらいのネタバレも入ってるけど。

事件の真相については早々に見破れるかと。手掛かりは豊富…というか、明け透け。ただ、予想外だったのは御子柴のダークヒーローっぷり。御子柴を生き返らせたピアノの描写がまさに中山ワールドでしたが、それにしても少しドラマチック過ぎるでしょうか。いや、ドラマチックに生きようとしていた友の分まで、彼はドラマチックに贖罪を続けなくてはならないのか。

『追憶の夜想曲』がそのくらい続編なのかわかりませんが、これからも御子柴の贖罪を読み続けたい、そう思えるくらい魅力的なダークヒーローっぷりです。期待。

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2014/01/27

『真夏の方程式』 東野圭吾

もちろん映画は観ていないガリレオ長編。また献身かもしれないと思ったら、やっぱり献身だった。

トリックに科学(物理)らしいところが殆どないのが残念。いや、小学理科レベルの科学ならあるのか。なにせ、今回の湯川は小学生と「博士」「助手」と呼び合う仲だからな。天才、ただし変人の湯川がどんどん人間らしくなる…そんな最近の傾向に拍車がかかった一冊。

ロケット実験やシュノーケル、映画映えしそうなシーンも続々。なにより、湯川が守ろうとした海がどんな海だったのかを見てみたい。

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2014/01/25

『死ねばいいのに』 京極夏彦

殺されたアサミについて聞きたい。そのためにアサミの関係者を一人、二人と訪ねるケンヤ。けれども聞かされるのはアサミの話などではなく、いかに自分が不幸か、不運か、生きるのが辛いのか…そんな「死ねばいいのに」と言ってみたくなるような話ばかり。それでもアサミについて知ろうと歩きまわるケンヤの目的とは何か。果たしてアサミとはどんな女性だったのか。

というお話かと思いますが、さすがに四人、五人と続くと飽きてきますね。だって皆、自分勝手で自分本意なことしか言わないんだもの。いや、それでこそ人間で、だからこそケンヤはアサミに恐れを抱いたのだけれど。

アサミを殺した犯人は誰なのか…は予想通りだったので驚きはなし。ケンヤの目的もまあ、そんなことだろうなと思ったので驚けず。ただ、あれを言われて真顔で同意したというアサミには少し驚いた。果たして彼女はどういう精神状態の女性だったのか。

あらやだ、今度は私がアサミについて知りたくなってる。

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2014/01/23

『少女は黄昏に住む マコトとコトノの事件簿』 山田彩人

登場するキャラクタふたりは表紙から想像する通り。ヲタクのひきこもり少女と童顔のスウィーツ刑事はなかなか良いコンビです。ふたりの話し方が似たり寄ったりで、どちらが話しているのかわからない…という事態にまでは陥らないものも、どちらかは(探偵役ではないマコちゃんの方は)普通の話し方で良かったのでは?程度にしか気になる点はなし。

しかーし!起こる事件、それを解くロジックが表紙から想像するよりももっとずっとしっかりしていたことが嬉しい誤算。てっきり日常の謎ものかと思っていたものですから。でも、作者が想定している本作の位置づけはライトノベルなのでしょう。「密室の鍵は口のなか」で菊池紫音の作品をそのように紹介しているわけだし。というか、「密室の鍵は口のなか」の楽屋感が…。

ミステリとして最も好みだったのは「吹雪のバスの夜に」でしょうか。雪の山荘…もといバスもの。犯人はなぜこんな(容疑者が限定されてしまう)場所で犯行に及んだのか?をひとつずつ紐解いていく様が良かった。雪を掘ったら偶然にも撲殺するのに適した石が出てきたってのは承服しかねるがね。

そしてスウィーツが食べたくなること請け合い。

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2014/01/21

『天啓の殺意』 中町信

『模倣の殺意』に続く殺意シリーズ第2弾。というか、殺意シリーズは3部作と聞いていたのですが、いつの間にか4部作、5部作と続いて出版されてますね。『模倣の殺意』が売れたからでしょうか。

ま、売れるよね。これだけおもしろかったら!

というわけで、今回も普通に騙されましたとも。明日子と同じく、大どんでん返しのあるミステリが大好きな者としては嬉しい限りです。言い訳をするならば、地味ながらも犯人当てミステリとしてしっかり成立した作品だったからこそ、作品そのものをひっくり返す叙述トリックが仕掛けられていると思わないというか忘れさせられるというか。

真相編で意外な探偵役が時系列を表にまとめてくれましたが、そんなもの要らないくらい分かり易くて納得のトリックです。一言で言うなれば「気持ち良い」。この瞬間があるからミステリを読むのを止められないのです。

そして、『散歩する死者』からの改題で授けられた「天啓」。まさにあの原稿は明日子にとって天啓だったのでしょう。人を操る渾身の一作、楽しく拝見させていただきました。

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2014/01/20

『理由あって冬に出る』 似鳥鶏

初・似鳥作品。表紙からして学生ものですが、どいつもこいつも良いキャラしてます。私は柳瀬親子が好き。

そして、怪奇現象を論理的に解決という趣向も大好き。特別難しいトリックではなかったので高校生が考えましたが通じるところも良いよね。動機がちょっと…ですが、若さゆえの暴走でしょうか。葉山少年に責任を半分背負わせようとしたときの伊神先輩の台詞はなかなか良かったです。葉山少年を散々こき使っていた人と同一人物とは思えません(笑)

そうそう、エピローグの趣向も良かった。あれで作品がキュッとしまった感じがします。

どうやらシリーズ通してなにか伏線が張られている…のか?そんな噂を耳にしたので続刊にも期待。柳瀬先輩と葉山少年のこれからにも期待。で、表紙のふたりは葉山少年と一体誰だね?

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2014/01/18

『月光蝶 NCIS特別捜査官』 月原渉

期待以上でした

米軍基地内で見つかった惨殺死体。さっそく米海軍犯罪捜査局(NCIS)が捜査に乗り出すが、どうやら犯行現場は基地の外である模様。しかし、被害者がゲート抜けた記録はなく、犯人は一体どうやって「基地という密室」を破って殺人を犯したのか…という、一冊。いやあ、おもしろかった。

実行犯自体はかなり早い段階にわかってしまったのだけれど(102頁の一文とかもう、答えそのもので「こんなにはっきり書いていいの?」って思いましたとも)、その先にあった黒幕にまでは想像が至りませんでした。ときどき挿入される男女の会話、果たしてこのふたりは誰なのか…についてはもちろん考えていたわけですが。まさか彼女だとは思わないだろうよ。もちろんすぐに伏線の確認に走りましたよ。確かに嘘は書いてない。ただ、ミスリードというよりは情報不足の感が否めないのは少し残念。でも、純粋に吃驚したのでもう嬉しくなっちゃって!やはり私はどんでん返しものが好きで好きで堪らないのです。

普通のミステリとしても充分におもしろいですよ。死体を基地の内と外、危険を冒してまで移動させた理由とか尤もですし。なにより「基地という密室」という概念がとても気に入りました。

あ、動機についてはノーコメントで!

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2014/01/16

『キアズマ』 近藤史恵

『サクリファイス』に始まったロードレースシリーズ第四弾。これまでのシリーズ、一貫して主人公だったチカは登場せず、とある事故をきっかけに自転車の魅力に惹き付けられてしまった正樹と、正樹のチームメイトでありエースでもある櫻井というふたりの大学生が本作の主人公。

とにかく、自転車が走り去るかのようにすらすら読める。あっという間の読了。今回は大学生ふたりの一年を描いているので、レースひとつひとつの描写は淡泊。ただそれが、正樹があっという間に掴んでしまった栄光と重なるようで爽快でもある。数カ月でトップに立てるかどうかの現実性は別にして…いや、それほどの才能ということか?

目を背けたいのに背けられない、まるで亡霊のような過去を持つふたりがこれからどんなロードレース人生を歩むのかはわからないけれど。いつの日かチカと同じレースに出場する…そんなシリーズ続刊を是非とも読みたい。そうじゃなきゃ、シリーズの一作として出した意味がない!そう、信じております。

あ、タイトルの『キアズマ』ですが、交叉を意味するギリシア語とのこと。正樹と櫻井、ふたりの路は交叉したばかりです。

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2014/01/14

『犯罪ホロスコープII 三人の女神の問題』 法月綸太郎

『犯罪ホロスコープⅠ 六人の女王の問題』の続刊。十ニ星座をモチーフとした事件に綸太郎が挑むという設定はとても良いのだけれど、設定が制約となり、結構むちゃくちゃな事件もあったりしてなんだかなあ…という印象。

Ⅱで描かれているのは天秤座から魚座まで。どの作品が好みだったかを聞かれても正直答えられないのだけれど…天秤座「宿命の交わる城で」が一番良かったかな。トリックに思い至ってしまったため驚きはなかったけれど、収録作の中では一番ロジカルだったような気がする。

うん、法月はやっぱり長編だね!次の長編に期待!なにせ綸太郎がついに携帯を持ったからね!もしかしたら親父さんと離されて携帯が必要になるようなステレオタイプな事件に遭遇するかもしれないし!

って、それは嫌だわ()お約束はいつまでもお約束であって欲しいものです。

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2014/01/12

『ジェノサイド』 高野和明

人類の滅亡について記した「ハイズマン・レポート」。そのレポートで危惧されていた未来を人は迎えようとしていた。アメリカ、コンゴ、そして日本。3つの異なる都市でジェノサイドの幕が上がる…みたいなお話ですが、とりあえず厚い。

カテゴリはSFなのでしょうか。DNAの新たなる進化・ヌースの外見描写がどう読んでもグレイなのもSFを想起させますね。全てのシナリオを描き、操っているのは誰か?というミステリ要素もあるにはありますが、基本的に一本道をぐいぐい進ませる(読ませる)一冊になっているので黒幕の正体は重要ではありません。いや、一本道をぐいぐい進ませる=掌の上で人類を遊ばせるなんて芸当ができる者をイメージすればその正体に辿り着くのはそう難しいことではないかも。

コンゴでの戦闘の描写にちょっとくどさを感じたりもしましたが、基本はいつもハラハラドキドキ。個人的には正勲がいつ裏切るのかと手に汗握っておりましたが、彼は正真正銘、善意の協力者でしたごめんなさい。

そうそう、コンゴではふたりのガーディアンが死を迎えましたが、もし死んだのが彼らでなかったら…具体的には航空機を操縦できるマイヤーズが死んでいたら果たしてどうなっていたのでしょうね?そこだけは彼らの知略の及ばないところ=ジェノサイドの恐怖なのでしょうか。

とりあえず、彼らと人類の共存の未来がありますように。彼らを守るために死んでいった者たちに報いるためにも。

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2014/01/07

『PK』 伊坂幸太郎

よく似たふたつのお話、「PK」と「超人」で得たもやもやを「密使」ですっきりさせる三部作。最近読んだ伊坂作品、あるいは『ゴールデンスランバー』以後の伊坂作品の中ではなかなか良かった。

ゴキブリの出た世界と出なかった世界。「PK」と「超人」がAとA´の世界だとするのは簡単だけれど、A´の世界である「超人」で突然届いた誤報メールで「?????」 つまりは「PK」も「超人」も耐性菌の蔓延から世界が救われるお話で、そのアプローチが違うってことですよね?というか、「密使」でゴキブリが盗まれている以上、「PK」は起こらなかった未来なのか。うむ、深いな。

「PK」だとPKを外すように指示した組織が何者だったのか、「超人」だとレストランの壁にくっついて盗み聞きをしていたのは誰だったのか、という謎が残るのだけれど、彼等もやっぱり未来を変えようと切磋琢磨する組織の一員なのだろうか。それとも世界を滅ぼそうと企む組織の一員?

誰かのちょっとした選択で未来がほんの少し変わる。その当たり前の流れの中に私や貴方もいて、知らず知らず未来を大きく変えているのかもしれない。だから迷ったときには、「臆病は伝染する」「そして、勇気も伝染する」なんて言葉を思い出してみると良いのかもしれない…なんて真面目なことを6秒ほど考えさせられた一冊。

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2014/01/03

『誰もが僕に『探偵』をやらせたがる』 白石かおる

『僕と『彼女』の首なし死体』に続く白石かおるシリーズの二作目、誰もが白石くんに探偵をやらせたがる短編が4作収録。

白石くん視点の地の文が今回もあちらこちらにジャンプを繰り返していて、嫌いじゃないけど読み難いのは相変わらず。それでも前作よりも些か読み易いのは短編だからでしょうか。あるいは白石くんや冴草室長が人間として丸くなったからか。

個人的にはほぼ表題作である「誰もが僕に探偵役をやらせたがる」が好みかな。某古典ミステリとトリックが同じだけれど、そこまでやる?という馬鹿らしさに一票。白石くんの格好良さが現れている作品ならば「僕は人の話を聞くのが嫌いではない」かな。人を呼び出すためにボヤ騒ぎを起こしてしまう白石くんの思考回路はちょっとどころでなく問題かと思いますが。

これからも冴草室長や店員さんが白石くんを立派な探偵にするべく謎を彼の元に持ち込み続けるだろうと思うので、きっと読めるだろう次回作にも期待。個人的には短編を願おう。

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