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2013/03/25

『玩具店の英雄 座間味くんの推理』 石持浅海

『月の扉』の座間味くんが美味しいものに下鼓を打ちながら既に解決したはずの事件に隠されていた裏側を読みとる…すっかり定着したパターン、7つの推理が冴えわたる短編集です。

が、相変わらず強引ですね。短編という「容量の制約」だと思いますが、果たして座間味くんが解き明かした裏側は本当に真実なのでしょうか?確かに座間味くんが指摘する「違和感」、それには納得しきりなのだけれど。そして、違和感がある以上、そこから事件の核心に迫っていくのは当然なのだけれど。果たして座間味くんが到達した地点が唯一の正解なのだろうか?と思わされること数々。

きっと、本作から登場した津久井操という女性、彼女が異常なまでに座間味くんを褒めて上げるからなのだろうけれど。座間味くんの推理を、発言を、彼女は全面肯定してしまうんですよね。それが「座間味くんだから」という理由で。きっと「容量の制約」がなく、座間味くんの推理にひとつでもふたつでも反論するページ数の余裕があればこう思うこともなかっただろうけれど。それでもやっぱり『月の扉』から始まる座間味くんシリーズが好きなので残念です。

ただ、「傘の花」はあまり強引さがなく綺麗だと思いました。逆に、表題作は「なぜ表題作になったのか?」と思ってしまったほど強引。きっと、座間味くんを指して「英雄」としたかったのだろうけれど。けれど、座間味くんほど「英雄」から程遠くに身を置きたい人はいないのだよ。

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