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2013/02/09

『群衆リドル』 古野まほろ

帯には「雪の山荘」「謎めいた招待状」「ダイイングメッセージ」「見立て」「マサーグース」「密室」なんていうミステリスキーの胸躍らせるワードが並び、目次に燦然と輝く「読者への挑戦状」。期待するなってのが無理な古野まほろ氏のイエ先輩シリーズ『群衆リドル』が本日のメニューです。

古野氏の天帝シリーズはその世界観に酔わされて途中で挫折してしまったクチなのですが、本作はとても読み易く書かれています。東京(首都)を帝都と呼んだり、「天帝」という言葉が突然登場するくらいの古野ワールドは舞台装飾程度に。それよりもなによりも読者…というか私を惹きつけたのが主人公にして名探偵、イエ先輩の存在なのです。

八重洲家康。クラシックの世界に足を突っ込んだことのある者ならば知らぬ者のない天才ピアニスト…なのだけれど、現在ワケあってステージからは遠ざかっているその彼が、とても魅力的なのです。いや、彼を魅力的だと思うのはユカのような一部のマニアックな者だけで、現実世界で彼と対峙したら厭味な奴だとしか思わないと思うんですけれど。でも、ミステリの、特に本格の世界には彼のような奇人変人にして天才が似合いますよね。とりあえず私は、130頁ラストの一行にしびれた。素晴らしい。

で、肝心の内容なのですが…舞台設定は素晴らしいです。「ロンドン橋落ちた」の通りに殺されていくゲストたち。消える人形。密室のバリエーションも物理的(バリケードの)密室、雪密室、視線の密室と豊富です…が、それをやったのが○ってのはどうなのだろう。もうそれだけでバカミスと呼ばれても致し方ないよね。確かに○を使えば犯行は可能だったのかもしれないし、作中にしっかり○が描写されているのでアンフェアではないのだけれど。けれどやっぱり美しくはないかなあと思ってしまうのです。

とりあえず、イエ先輩はなぜショパンを弾かなかったのか、イエ先輩はなぜユカを抱かないのか、イエ先輩とユカのこれからがとても気になるのでこれからもウォッチするシリーズに決定ということで。

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