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2013/02/08

『転迷』 今野敏


転迷開悟=迷いを転じて悟りを開くこと、ならば本作で悟りを開いたのは誰なのか。隠蔽捜査シリーズ第4弾です。

先日読了したばかりの『初陣』は刑事部長の伊丹が主人公でしたが、本シリーズの主人公はあくまで竜崎。今回も竜崎の元には厄介事が舞い込みます。が、「お国の為」に働くことを厭わない彼は刑事(署長)としての仕事を全うするわけですが…この「お国の為」ってのがすごいなあといつも思うわけです。同時に、強い違和感を覚えるわけですが。果たして、国家公務員として働いている人の中に「お国の為」と思って仕事をしている人がどれだけいるでしょうか?竜崎は「お国の為」に働くことが国家公務員の義務であり、キャリアが果たすべき義務はさらに大きいと考えているわけですが…そんなこと考えて仕事している公務員を私は知りません。

そしてそれは物語の中でも(少々違う形とはいえ)問題として現れます。外務省、そして厚生省との縄張り争い…と書くと随分と堅苦しくなってしまいますが、事件を解決させるために情報が欲しい竜崎が各省庁を代表するキャラクタを相手取るわけです。キャラクタが好ましいかどうかは別として厚生省麻薬取締部の矢島とのやりとりは痛快です。そして、最後には「お国の為」に一致団結して(?)働くこと=事件を解決することの必要性を周りに認めさせていくんですよね。その意味で『転迷』したのは竜崎以外のキャラクタであって、竜崎は徹頭徹尾なにも変わらないんですよね。それが良い。

個人的には戸高の活躍が少なかったのが残念かな。戸高が追っていたヤマまで本筋の事件と絡んできたらどうしようかと思いました。さすがにそれは高望みというものです。

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