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2009/04/25

『書物迷宮』 赤城毅

書物迷宮 (講談社ノベルス) Book 書物迷宮 (講談社ノベルス)

著者:赤城 毅
販売元:講談社
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世には出せない書物

世に出してはならない書物

貴方はそれを読んでみたいと思いませんか?

『書物狩人』に続くル・シャスールシリーズ第2弾です。第1弾はあくまでも依頼を受けて、SILABの“仕事人”としてのル・シャスールを描いておりましたが、今回はあくまでも個人として、蒐集家としてのル・シャスールを描いております。もちろん、第1弾同様の人間模様は健在ですが。

体系や顔立ちに特質すべき点はなく、どこにでもいそうな東洋人でしかないのに。それでも彼は人の眼を引く。それは…ポオの物語やマリー・アントワネットの如き白髪の所為。なぜ彼は白髪を染めることなく、書物を追い続けるのか狩り続けるのか。それが最大の謎。今回も彼の秘密は一切語られることはありませんでいしたが。いつか…きっと。

今回登場する稀覯本は4冊。幻の詩集に鉄道の時刻表、旧家の家系図にナチスの細菌研究書。歴史を揺るがすような…とは云えない書物ばかりだけれど、人ひとりの人生を揺るがすには充分な書物たち。スケールが小さくなったように感じられますが、ル・シャスールの推理のスケールはでっかいです。

個人的には「愛された娘」が好きです。ラストの娘の決断が良い。「美意識で行動される方は好きです」なんて台詞、美しい。今回はどの作品もラストが良いです。「長い長い眠り」の黒さにもうっとり。

KGBやCIAなんていう単語が並び、歴史とロマンに溢れる、もっと派手な作品を読みたいと少しだけ思ってしまいましたが。今回はル・シャスールの人となりを少しだけ垣間見れたので。まだまだこのシリーズ続くようなので(積読状態の「メフィスト 2009年4月号」には「書物法廷」が!)愉しみは取っておきます。

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コメント

 はじめまして。新参の夕です。管理さんの書くレビュー見させていただいて、自分の感想とレビューを比較したり参考にしたりしております。
 私は森ファンでありまして、犀川先生大好き人間です。森さんのレビューを見ようとこのブログを見ていたのですが、管理さんの読んでる本の量に驚嘆しました(自分は一日一冊ですがとても追いつけないですね)
 いろんな本に出会いたいので、ちょくちょく拝見させていただきコメントさせていただきたいと思います。よろしかったら今後ともよろしくお願いします。

投稿: 夕 | 2009/04/28 15:42

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