« 『短劇』 坂木司 | トップページ | 『十字架の少女』 若木未生 »

2009/03/31

『生首に聞いてみろ』 法月綸太郎

生首に聞いてみろ (角川文庫 の 6-2) Book 生首に聞いてみろ (角川文庫 の 6-2)

著者:法月 綸太郎
販売元:角川書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

切断された石膏像と、切断された生首

首の上、秘められたものとは?

2005年ミステリ界を風靡した法月綸太郎代表作

ワントリックもののミステリは風化してしまうけれど、ロジックに足を着けたミステリは風化しないのだな、と思った再読通勤本。一度読んだはずなのに、実に愉しませていただきました(トリアタマによる犯人忘却は秘密)。

本作、相当長く相当厚いのですが、無駄な箇所はそうそう無く。綸太郎のああでもないこうでもないは健在。でも、いきなりピコーンと閃いて「犯人は貴方だ!」とかやられるより、ひとつひとつ可能性を潰して、ときには犯人の掌の上で騙され欺かれながら、唯一といえる真相に辿り着く…その過程を愉しみたいときってのがあるんです。本作はまさにその過程を愉しむ1冊。綸太郎(登場人物の方)がやけに人間臭い、ときには(いつもか?)それが良いのです。

本作はもう各所でレビューされ尽くしていて、いまさら「やれトリックが~」とか「やれロジックが~」とかの検証は不要かと。というか、

読めば判る

ので。回収し損ねた伏線もないでしょうし。綸太郎と同じ過程で犯人まで辿り着けると思います読者も。親切な本格ミステリ。

なので、読書中に私が猛烈に気になったポイントを。それは妻の自殺に心を痛める各務に対して放たれた法月警視のこんな一言。

「私の家内も同じ死に方をしましたから」

えっ?初耳です。法月綸太郎シリーズはエラリー・クイーンへの強烈なオマージュなので、母親が居ないことを気に掛けたことも無かったのですが(まるでそれが当たり前のように)、そうですよね居ますよね母親。でも、その母親が病死でも事故死でもなく自殺って。綸太郎が母親に関して述べた作品(箇所)って他にありましたっけ?少なくとも私のトリアタマデータベースには残っておりません。だって、母親が居ないのなんて当たり前だと思っていたので…この件、いつか描かれますか?それとも本家と同様藪の中ですか?

しかし、綸太郎と警視(父親)の関係は作品によって随分違いますね(本家同様)。絶大な信頼を寄せてみたり、邪魔者扱いしたり。「今回のふたりはどんな関係かな?」と思いながら読むのが最近の愉しみ方だったりします。

|

« 『短劇』 坂木司 | トップページ | 『十字架の少女』 若木未生 »

コメント

こんにちは。
この「生首に聞いてみろ」、読もうかどうか迷って未だ手を付けていない一冊です。
ちょっと読んでみようかな〜、という気になりました。

綸太郎の母親については「雪密室」に描写があったようななかったような。
薄い本だった覚えがあるので次の候補にいかがでしょうか。

投稿: yuko | 2009/04/01 13:08

☆yukoさん☆
『雪密室』ですねっ!早速チェックしますっ!!
『生首』おもしろいですよ~その年のミステリランキング総なめは伊達じゃないです。久しぶりに大作と呼べる本格ミステリ読んだわぁ…という気にさせてくれます。
ワントリックで最後にひっくり返す作品が増える中、そうじゃないところが好感。叙述系ワントリック系の作品の方が好きなんですけれど(こっそり)『生首』は好きです。綸太郎が動いている感じが良い。
コメントありがとうございました!!

投稿: まじょ→yukoさん | 2009/04/02 20:36

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/38084/28841384

この記事へのトラックバック一覧です: 『生首に聞いてみろ』 法月綸太郎:

« 『短劇』 坂木司 | トップページ | 『十字架の少女』 若木未生 »