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2009/03/10

『退出ゲーム』 初野晴

退出ゲーム Book 退出ゲーム

著者:初野 晴
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高校生活には事件がいっぱい

だけど、わたしは逃げない投げ出さない

だって

ハルタはわたしの最大のライバルなのだから

評判があまりに良すぎてちょっと懐疑的だった初野晴氏『退出ゲーム』が本日のレビュー。初野氏といえば『水の時計』『漆黒の王子』両作に共通する「深く暗く黒い闇の中に一筋の“幸福”という名の光」というイメージだったのですが(もの凄く私的なイメージを詩的に表現してみました)本作は脱皮というか真逆な作風で驚き。分類するならば米澤穂信・坂木司ラインです。米澤穂信はもう“まんま”と表現しても良いでしょう。古典部を読んでいる感覚に何度陥ったことか。

作中では4つの事件(?)が描かれていて。個人的には表題作「退出ゲーム」が好きなんですけれども。退出ゲームやってみたいけれども…いちゃもんをつけるのは得意だけれどもアドリブの利かない私には難易度高いわ。とにかく予想外の展開でミステリスキーを愉しませてくれる「退出ゲーム」。「ガチャピンをはねた日」で電柱から巨体をはみ出させるムックも見たかったですけれども(笑)あれでサックス奏者をゲットするのはまず無理でしょう。

「エレファンツ・ブレス」に登場したマッド・サイエンティスト萩原兄弟も最高でした。どんだけレパートリーあるんですか土下座。

うーん、やっぱりミステリとしての評価よりもキャラ小説としての評価が先に立つような気がします。チカ&ハルタをはじめ、前述の萩原兄弟といい生徒会長の日野原とか…有象無象海千山千ですね。そして、チカとハルタの三角関係。冒頭で「すわ、恋愛小説か?」と思わせておいて殆ど回収していないところを見ると、このシリーズまだまだ続けるおつもりのようで。草薙先生が挫折した理由も明らかになっておりませんしね。

これまでの初野氏らしさは成りを潜めて。愉しい時間を頂戴しましたが、それが少し哀しい。このまま≒米澤穂信にはなって欲しくないです。だから、もう少し暗黒を、もう少し挫折を、そこから少しの希望を。初野氏のこれからに期待しています。

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