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2009/03/21

『1/2の騎士』 初野晴

1/2の騎士 harujion (講談社ノベルス) Book 1/2の騎士 harujion (講談社ノベルス)

著者:初野 晴
販売元:講談社
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戦う私の側には、いつもサファイアがいてくれた

サファイアがいてくれたから、私は頑張れた

だから、どうか、消えないで

『退出ゲーム』で新境地を拓いた感のある初野晴氏、講談社ノベルス進出作品です。本作は『退出ゲーム』ほど軽くなく、『水の時計』『漆黒の王子』ほど重くなく、でも、悪くない。

物語は、とあるマイノリティ代表のマドカとサファイアとの出逢いから始まる。サファイアに懐かれてしまったマドカが、生粋の正義感でドッグキラー、インベイジョン、ラフレシア、グレイマンから街を、仲間を、自分自身を守るために戦う…もちろん戦うと云っても本作はファンタジーであってもファイター(戦隊)モノではないので、その戦い方はミステリ。

個人的には序盤戦・ドッグキラーとの戦いが好きかも。大切な人を守るために沈黙を守る少女と、大切な人を守るために吸入器を握り締め走り続ける少女と。思うように走れない自分自身に戸惑いながら、サファイアとの関係にも戸惑いながら、試行錯誤で辿り着いたドッグキラーの言葉「言葉が通じないのは、お前ら多数派のほうなんだよ」

マジョリティとマイノリティ。人は誰しもマイノリティたる一面を持っていて、その部分だけを切り取れば誰しも独り。それを強烈に強固に強靭に強行してしまった狂人が本作の犯人たちで。

って、全く意味のわからないレビュー。この作品、表現するのが凄く難しい。ミステリなんだけれど、登場するのは猟奇殺人犯なんだけれど、主人公であるマドカは全能の探偵ではなく。サファイアをはじめとする仲間がいて、運を味方にすることができて、初めて真相に到達できる。マドカとサファイアと…登場人物全員の成長の物語。

だから、後半になればなるほど冗長に感じるのは残念。マドカの騎士としてのサファイア、その秘密が明らかとなったときに少しだけ感じた感動と絶望。マドカの戦いはこれからも続く。でも、きっと大丈夫だよね?

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コメント

はじめまして。
この本の感想を探して某検索エンジンから辿り着きました。

かなり重いテーマを扱っているのに暗い話にならずに爽やかな読後感を味わえたのが良かったです。
ミステリとしても面白くて、謎を解いた時に苦さが伴うのも個人的に好みでした。

投稿: yanbal1915 | 2009/06/14 00:22

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