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2009/02/08

『MOMENT』 本多孝好

MOMENT (集英社文庫) Book MOMENT (集英社文庫)

著者:本多 孝好
販売元:集英社
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死ぬ前にひとつ願いが叶うとしたら

貴方はなにを願いますか?

死の瞬間、その刹那、なにが見えますか?

『MOMENT』はハードカバ2冊(サイン本と読書本)と文庫(通勤本)を所有しているというなんとも勿体無いお金の使い方。本多氏の懐が少しでも暖かくなってくれれば本望、そして新しい物語がひとつでも多く生まれてくれたら感激、それくらい愛して止まない本多孝好氏の作品『MOMENT』が本日のメニューです。

いまでも本多氏のベストは『MISSING』の「瑠璃」だと疑わない私ですが、『MOMENT』も好き。キャラクタという意味では『MOMENT』の僕は『真夜中の五分前 side‐B』の捻くれた彼と同じくらい好きです。そういえば、本多氏の作品で主人公の名前を思い出せるものって無いかも(『MOMENT』の僕が神田だってことも、いま確認するまで思い出せなかった…トリアタマ)。

本作は病院の清掃夫に身を窶した僕が、貰いすぎた報酬を返済すべく働く4つの物語。死ぬ前にひとつだけ僕の出来る範囲で貴方の願いを叶えましょう…その中でその刹那、浮き彫りにされゆく生と死の肖像。個人的には復讐とか脅しとか、そんなものとは無縁の、ただただ意味のないただただスマートな会話がその場を支配する「FIREFLY」が好みでしょうか。

価値のない人間なんていなくって、価値のない人生なんてなくって。最終的にそれを判断するのは自分だから…そんなわけないじゃない。表題作「MOMENT」の言葉が印象的。

自分の勝手な事情で、自分で勝手に死にたいのなら、自分が関わったすべての人の同意を取り付けるべきです

なにも考えていないように見えて、常に冷静であるように見せて、いつくもの死を見送っておきながら、むしろいくつもの死を見送ってきたからこそ、生まれることのできた言葉…そんな印象を持った印象的な言葉に同意したい。

『MOMENT』にはもうひとつ物語があって、それは読書が大好きな私たちみたいな人種には死と同義かもしれない物語で。必殺仕事人は登場しないけれど、本作よりも少し未来が見える物語も是非とも堪能ください。

もうひとつの『MOMENT』はこちら

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