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2009/01/18

『黒影の館』 篠田真由美

黒影の館 建築探偵桜井京介の事件簿 (講談社ノベルス) Book 黒影の館 建築探偵桜井京介の事件簿 (講談社ノベルス)

著者:篠田 真由美
販売元:講談社
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一切の消息を絶った桜井京介

蒼と深春は京介を取り戻すべく

彼の過去を…禁断の扉を開く

ついにラス一となった建築探偵シリーズ、ついに桜井京介の過去が明かされましたが…

やっぱり篠田女史、ハードル上げすぎたよ!!

前作『一角獣の繭』にてこんなレビューを書いた私。

シリーズ序盤から匂わされつつも明かされなかった京介の過去。一体“桜井京介”とは何者なのか?次巻、遂に明かされる??ここまで引っ張ってきて『原罪の庭』を越える名作じゃなくっちゃ、許さなくてよ!!!(かなりハードル高いな。でも、篠田女子自らハードル上げてるからさ…)

確かに異質にして異端。やはり人間ではなかった桜井京介。でも、『原罪の庭』クラスの名作がくるに違いないと思っていた私にとっては物足りなさが残る。

義父の死によって、再び日本へと舞い戻ってきた神代宗。自分は義父になにもしてやれなかった、なにも返してやれなかったと自責の念に駆られる神代の前に現れたのは、門野貴邦。門野の口車に乗せられ神代が向かった“地図にない場所”には、邑を支配する一族とあやうい美貌と知性を湛えた少年、そして殺人事件が待ち構えていた。訳も解からずに一族の住まう屋敷に連れ込まれた神代は、美しいステンドグラスに見惚れるかのように、自分の立ち位置を確認するかのように、過去と現代に起こった複数の殺人事件の謎を追う。

『黒影の館』はこんな物語です。隠しても隠しきれるものではないので言っちゃいますが、上記あらすじの“あやうい美貌と知性を湛えた少年”というのは桜井京介です。ちなみに屋敷内での名は久遠 叡(アレクセイ)。

驚いたことにしっかりミステリです。館モノです。本格の風味、あると思います。正直、神代さんと京介の出逢いや行く末が気になってミステリどころじゃないので、犯人が誰であろうとどうも良いのですが(酷い)意外性、あると思います。犯人のこれまでの言動を見れば、動機も理解できる。でも、篠田女史が読んでもらいたいのはそこじゃないと思うから。

じゃ、どこ読んでもらいたいのかというと…

肝心なとこ書いてないですよね!!

『原罪の庭』はミステリ部分はもちろん、石になりかけていた蒼をどうやって取り戻すか、蒼の成長と心の繋がりを描いた部分が秀逸で号泣で名作だったわけですが。本作にはそういった部分皆無じゃないですか。神代さんがアレクセイをどうしてそこまで助けたいと思ったのか…読み取れない。アレクセイは確かに可哀想だったけれど、存在しない人間と変わらなかったけれど、でもきっとあのまま生きてゆくことはできた。それがアレクセイの望んだ形ではなかったにせよ。

もちろん、義父を喪ったばかりの神代さんにとって贖罪の意味もあったのだと思う。あんなに愛してくれた義父に、最後まで礼すら言えなかったなにも返してやれなかった。その後悔を、愛された経験のないアレクセイを愛してやることで払拭する。きっとそういうことだったのだと思うのだけれど…なぜか読み取れなかった書かれてました?

感動巨編が来る!と勝手に思い込んだ私が悪いのでしょうか?面白かったんです建築探偵ここ最近酷い作品が多かったので久しぶりに満足のゆく作品が読めて嬉しいんです。でも、やっぱり物足りない。次回が本当のラスト。感動巨編は次回作までお預け。蒼&深春、頑張れ。

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コメント

確かに『原罪の庭』は名作でした。
次でラストなんですね。
学校卒業してからはそのシリーズから遠ざかってました。いま京介や蒼はいくつになったんだろ…?

投稿: もとか | 2009/01/19 08:44

☆もとかちゃん☆
そうなんです次でラストなんです建築探偵。
もう蒼も22歳です…私たちはどちらかというと京介や深春の年齢に近くなってきましたね虚しい。
ラストの前におさらいと称して建築探偵一気読みしようと思ってます。名作『原罪の庭』も!!

投稿: まじょ→もとかちゃん | 2009/01/19 20:17

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