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2009/01/21

『夜の光』 坂木司

夜の光 Book 夜の光

著者:坂木 司
販売元:新潮社
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私はスパイ、コードネームはジョー

私には3人の仲間が居て

皆、それぞれの戦場で闘っている

スパイ小説かつ青春小説、えっそれってどういう新ジャンル?と思った坂木司氏の新刊『夜の光』。読んでみて納得、これはスパイ小説かつ青春小説だわ。

普通に学生生活を謳歌していたならば、決して集うことのなかった4人のスパイ。本当ならば自分独りで自分の戦場で、孤独な闘いを続けるはずだったのに。天文部に入ってみようと思ったがばかりに…出逢ってしまったじゃない本当の仲間に。

それぞれが、それぞれに、悩みを抱えて。それは家族のことだったり、定まらない自分であったり、恋だったり。スパイ同士は決して自分の戦場のことを語らない戦況を尋ねたりもしない。けれど、一番辛いときに一番しんどいときに、狙い定めたかのように援護射撃をしてくれるから。それはつまらないジョークだったり、美味しい野菜だったり、薫り高き珈琲だったり。

そして、4人のスパイを遙か彼方から照らす夜の光。何億光年か先に存在した星を静かに眺めているうちに、また頑張ろうって思えるから。まだ闘えるって思うから。だから4人は集う星の下に夜の光に。

坂木司氏らしいミステリもテイストとして残されてはいるのだけれど。この作品の良さはそこではないと思うから。(個人的には「スペシャル」のピザの謎が好き。よくできている私もいつかやってみたい)

ゲージの軽いノリと、ジョーの丁寧な訂正が好き。ギィが珈琲を淹れるたびに私は手元のマグカップを口に運んでいたし、ブッチの作る野菜なら食べても良いと思った。偏食の大家たる私が。そして、田代のような話のわかる教師がこの世に居るわけないと哀しくなった。

実は私もスパイ業を営んでいて。私にも同じ戦場で闘う仲間が居ることを再確認して、ちょっと笑った。

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