『書物狩人』 赤城 毅
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書物狩人 (講談社ノベルス) 著者:赤城 毅 |
国を、政治を、歴史を揺るがしかねない稀覯本を
合法非合法問わずに入手する書物狩人
さぁ、貴方はどんな本をご所望で?
なんとなくファンタジー小説だと思い込んで嫌煙していた本作ですが、
まさかこんなにも現実的、即物的な小説だったとはっ!
もちろんファンタジー要素は含まれておるのですが…SILABがこの世に存在しないとは誰にも言い切れない。そんな、なんとも不思議な感覚に襲われる一作『書物狩人』が本日のメニューです。
フランス語で狩人を意味する“ル・シャスール”と呼ばれることを好む書物狩人・半井優一。体系や顔立ちに特質すべき点はなく、典型的な日本人であるにも関わらず…彼は常に人の眼を集める。それは、見事としか言いようの無い、銀と見紛うような白髪の所為。染めているようには見えないから…どんな精神的ショックが彼の髪をそうさせたのか。
そんな秘密めいたル・シャスールを探偵的役割に据え、4冊の稀覯本をめぐる物語を集めた本作。どの作品も、どの稀覯本も、どの歴史も、有りそうで無さそうでもの凄く魅力的。ケネディ暗殺の真相を握る1冊の教科書、存在してはならない第五福音書、ナポレオンの旧蔵書に散逸した中国の歴史書…そんな有りそうで無さそうな4冊の稀覯本を廻って張り巡らされる罠、暗躍、推理。
なぜ依頼人はその古書を望むのか。依頼人がル・シャスールに本当のことを言っているとは限らない…むしろ偽りを告げていることの方が多く。そして、そういった人間は悪事に手を染めていることが殆どで。そんな人間に稀覯本を渡してしまって、世界を揺るがすような歴史を変えてしまうような1冊を渡してしまって良いものか。そんなドキドキワクワクを読者に与えてくれる素敵な作品。
ファンタジーだと誤認したまま、読む機会を失わなくて良かった。そう思った素敵作。お薦め。
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