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2008/11/13

『探偵小説のためのエチュード「水剋火」』 古野まほろ

探偵小説のためのエチュード「水剋火」 (講談社ノベルス フJ- 4) Book 探偵小説のためのエチュード「水剋火」 (講談社ノベルス フJ- 4)

著者:古野 まほろ
販売元:講談社
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私は帝都から逃げてきた

なぜなら私は人殺しだから

陰陽師探偵が解き明かす謎とは…私の罪なの?

『天帝のはしたなき果実』でメフィスト賞を受賞し、私を失踪に至らしめた古野まほろ氏。そんな古野氏が「探偵小説のための」と冠したミステリを書いているらしいという噂を耳にしたのが半年前。ようやく手に取ることができました『探偵小説のためのエチュード「水剋火」』。

あっ、やっぱり天帝の世界観は引っ張るんだ…

事件が起こるまでの100頁、やっぱり古野氏とのお付き合いはまだ早かったか荷が重かったかと悩む。突然大きくなる文字にも頭を抱え、突如現れた百鬼夜行に手を振り、このノリで古野氏にも手を振ってしまおうか思案。やれ陰陽師だアウシュビッツだフルトヴェングラーだと云われてピンと来ないのは、私が『御矢』『孤島』から敵前逃亡したせいなのでしょうか?けれど、トリアタマ世界代表の私が『御矢』『孤島』の内容をいつまでも覚えていられるとは思えん。やっぱり不親切設計認定でよろしいのでしょうか?

ミステリとしてはバッキバキの物理トリックをかましてくれたので満足。挑戦状も挿入されてましたし。けれど、挑戦状手前までの記述で「おっし、推理すんぞ!」と思う人間がどれだけいるのか謎。だって、情報があからさますぎるよ。ミスリードのために用意された情報を私はお見かけすることができませんでした。あぁ、この記述、絶対推理のパーツに必要なんだろうなぁ…っていうか無理矢理必要な情報盛り込んでる感満載!?ってな感じです。

あれですかね、ト書き風にするのは最近の流行りなんでしょうかね?人間の描写とか!風景背景の描写とか!ワトソン役の内面とか!そういうので読者を誤認させようよ。ト書き(=人間の台詞)で書かれてしまうと「この情報は読者に公開しておかないとフェアじゃないので、わざわざ云わせてます」感がビンビンに伝わってくるよ。

というわけで、バッキバキの物理トリックにも関わらずトリック&犯人(人間の方)が解ってしまいました。物理トリックで(特に頭を使うことなく)犯人が解ったのって、本作が始めてではなかろうか…。

とりあえず、次の『探偵小説のためのヴァリエイション「土剋水」』を読むかどうかはまだ未定。そのまえに挫折した『御矢』『孤島』を読んだほうが良いかしら。でもまた失踪したくない…。

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